「わっけわかんねぇ……鬼ごっこってなんだよ」

 B-05にある鎌石村の路上。広がる布の中央部がもぞもぞと動いている。その動きはしばらく円を描いていたもののやがて外縁へと向かい、布の中から一人の少年が這い出て来た。

「ここ、どこだ……?」

 頭に浮かぶのは疑問符ばかり。見る者が見れば本当にはてなマークが浮かんでいるのが見て取れる表情でジャック・ラッセルは首をひねった。

 桃色豚闘士団(ローズ・コジョン)に所属する騎士。それがジャックだ。騎士になるためのセレクションを(親の七光りで)突破し晴れて騎士になった彼は、つい先日、国王の親書をエルフの王に届けるという任務の最中、自身のミスもあり同僚の少女を殺しかけてしまう。幸い一命は取り留めたものの、予断を許さない状況だ。しかも彼はこの剣で騎士団から除名されている。ようするに失職したてほやほやだ。であるからして、わけのわからない鬼ごっこになど付き合っている時間は無い。

「アイテムが無くなってる。でも装備はそのままか。」

 自分の体から剣が取られていないことにほっとしながら、ジャックは今後について考える。ルール説明はほとんど聞いていなかったが、確か自分の役は『「お」なんとか』だった。ということは普通に考えれば『鬼』だろう。そして『鬼』はどこかに『子』を捕まえれば良いらしい。丸一日使って随分暇なことをするものだと思ったが、とにもかくにこうなればやるしかない。文句はさっきルール説明していた奴を見つけたら脛蹴りと共にぶつけてやろう。

「空は赤いし、建物は変だし、トゥトアスのどのへんなんだろ。ま、でも、とにかくやるしかないか。」

 「よっしゃ!」と掛け声を一つ発して走り出そうとし、体力を使うのはまずいと思い歩きに変える。しかし歩きでは遅すぎるので、間を取って共保で移動を開始した。目指すはとりあえず近場の建物からだ。


 彼は知らなかった。
 自分が『鬼』ではなく『親』であること。
 自分がくくりつけられていた椅子に支給品があることを。
 ここが彼の生まれたトゥトアスではなく地獄であること。

 そしてこの鬼ごっこが命がけのものであることを。



【B-05/00時04分】
【ジャック・ラッセル@RADIATA†STORIES】
[役]:親
[状態]:健康
[装備]:アイアンエッジ@RADIATA†STORIES
[道具]:なし。
[思考・行動]
基本方針:なし。
1:とりあえず近場の建物を調べる。
※その他
制限時間を把握、各役の勝利条件は未把握、自分の役は鬼と誤認。
人物解説……RADIATA†STORIESの主人公で16歳。「竜殺し」の騎士を父に持ち、騎士に憧れて騎士になった。コロコロやボンボンなどにいそうな典型的な少年漫画の主人公キャラで、出典時期は騎士団編で騎士団を解雇されたタイミングのため大した苦労も成長していない。なお、彼のステータスはボスを倒した分の成長のみ、装備は初期装備とする。
最終更新:2018年06月10日 00:25