G-07にある分校は地図上には存在しない。それはまだ建設途中だからであり、またその成り立ちに由来する。
この沖木島にあるのは、現在は北部にある釜石小中学校のみである。かつては西部に平瀬村分校があったが、現在は統廃合された。そのため平瀬村と南の氷川村の子供は、山をぐるりと海沿いに迂回して釜石小中学校に通うことになっている。
当然このことは、平瀬村と氷川村の人間からは不評であった。自分の村の学校が無くなった平瀬村も島の反対側まで毎日行かねばならない氷川村も憤り、この通学に関しては島の中でもちょっとした争点である。そしてこの問題への対処法として二つの解決策が検討された。
一つは、島の中央の神塚山にトンネルを掘ること。地図でいうE-06とG-06にある断絶した道はその名残である。結局は反対運動と神塚山の地盤の問題――不幸ないくつかの落盤事故――で見送られ、そのトンネルの跡地は主催者側の施設として再利用され桜ヶ島ショッピングモールが鎮座することになった。そしてもう一つは、それぞれの村から通うのに同じぐらいの便利さの場所に新たな学校を作るというもの。これが結局は『同じぐらいの不便さの場所』に作るという形で固まり、老朽化した釜石小中学校に代わり氷川分校(仮)が建てられるに至ったのである。
さて、先にも言ったがこの分校は建設途中である。具体的には体育館とプールで、前者はほぼ完成するも後者はほぼ手付かずである。そしてその体育館は当然施錠されており。
「なんで誰も来ないのよ……」
そこに閉じ込められる形となった少女、一路舞は困惑と恐怖の真っ只中にいた。
いつもどうり学校にいたはずなのに気がつけば見知らぬ体育館で閉じ込められていた。おまけに外は赤い空。催眠術や暗示なんてチャチなもんじゃない、もっと恐ろしいものの片鱗を現在進行系で味わっている。それでも努めて冷静にどこかのクラスが体育館に来るのを待っているのだが、誰も来ないどころか漏れ聞こえてくるはずの児童の声すら聞こえない。特に彼女のクラスは学校でも一二を争ううるささであるため学校の外からでも間違いなく聞こえるはずなのに。しかも体育館の時計やいつの間にか持っていたスマートフォンが指し示すのは深夜0時という時間。いったい何が起こってしまったのか。
普段なら不平不満を言うところだが一人ではそれもできない。苛立ちよりも心細さが先に立つ。そうして待ち続け既に小一時間。いい加減なんとかしなくてはと思いながらもさすがに窓を割って出ようなどとは思いつかないあたり腐っても優等生である。
と、待ち続けているところに声が聞こえてきた。声色を考えるとどうやらスピーカーか何かで生徒が話しかけているようだ。少しして、先生らしき声も聞こえてきた。ということは。
「なによ、やっぱり人いるじゃない……」
ほっと息を吐く。とりあえず誰かいるのは間違いないのだ。これならじきに閉じ込めも終わるだろう。
彼女は知らない。鬼ごっこ開始から一時間に渡ってその身が安全であったのは閉じ込められるという隔離された状況だからであったこと。そもそも自分が鬼に追われる身だということ。そしてここは自分の通う学校では無いことを。
【G-07(分校・体育館)/01時00分】
【一路舞@黒魔女さんが通る!!】
[役]:子
[状態]:健康
[装備]:スマートフォン(子)
[道具]:
[思考・行動]
基本方針:誰かに体育館の鍵を開けてもらい授業に戻る。
1:とりあえず放送を聞く。
※その他
自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。
人物紹介…原作における主人公・チョコのクラスの学級委員で、最初期から登場する五年生の少女。性格は極度の仕切り屋で何かある度に「○○委員会」を立ち上げる。ちびまる子ちゃんの丸尾くんや絶望先生の木津千里を想像するとその人間性が理解しやすい。なお、別に彼女に超常的な力は無い。ただ単に自分が仕切るために並々ならぬ執念を見せるだけのただの女子小学生であり、クラス会議やグループ活動以外では目立たない(他のクラスメイトが揃いも揃って濃いのもあるが)。
最終更新:2018年06月23日 05:00