「穢土転生じゃねえみたいだな……本当の地獄ってのは随分とお優しいところだ。」
顔の下半分を包帯で隠し、手足に特徴的なカバーをかけた筋肉質の男はそうひとりごちながらニヤリと笑う。鬼人再不斬こと桃地再不斬は、二度目の蘇りを果たした己が肉体を試すように動かしながら天井に『立って』いた。まるで重力が逆転したかのような光景だが、しかし彼が忍者だと教えられればそのことに疑問を抱く者はいないだろう。ましてや彼は血霧の里と謳われた水の国の霧隠れ、その中でも最高位の実力者である『忍刀七人衆』の一人である。生憎今はその愛刀は無いものの、その高い実力は偽物などではない。ただの『子』や『親』では太刀打ちできない『鬼』、彼もまたその一人だ。
ひたひたと天井から壁に歩き、床も当然歩き、また天井から壁へと歩く。その間に全てが床であるかの如くバク宙や倒立、ひねりなどを加えていく。そして最後に指一本で天井にぶら下がると、満足したのか音も無く床へと着地した。
「傷も完璧に治ってやがる。疲労感もちゃんとある。生き返らせるってのはハッタリじゃねえわけか。」
微かに上がった心拍数を実感した再不斬は己の蘇生を受け入れた。先にも言ったが、彼が生き返ったのは今回が初めてでは無い。一度目は彼の意思など無関係に蘇らせられ望まぬ戦いをさせられた。だが今回は違う。生き返りをかけた戦いに参加することを鬼との契約の元に交した、ある種の傭兵契約。生きる為に殺すという彼のこれまでに近いものだ。そこには一人の自由人としての彼がある。それが前回と違い、彼が『殺る気』を持っている理由だ。
「前払いの分としちゃあ上等だ……さて、行くか。」
これで騙しているようだったら即刻殴り込みをかけていたところだが、報酬が受け取れているのであれば文句は言わない。金払いの良い顧客なら手心を加えるのも吝かではないのだ。それに彼自身、血に飢えている。この昔を思い出すゲームにさすがに気分が高揚していた。
楽しかったあの頃――その手を数多の子供の血で染めた時を振り返りながら、一人の鬼人が音も無く解き放たれた。
【???/深夜】
【桃地再不斬@NARUTO】
[役]:鬼
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:四次元っぽい紙袋、不明支給品2つ(確認済み)、スマートフォン(鬼)
[思考・行動]
基本方針:ゲームを楽しみ、生き返りを果たす。
1:適当に索敵しながら水のある場所に移動。
人物紹介……原作において最初に主人公のナルト達が命懸けの戦いをした相手で、他国の抜け忍。クーデターに失敗して以来在野に身を落とし、橋建設の妨害の依頼を受けナルト達と交戦。相棒の白をカカシに殺され自身も劣勢が決定的になったところで依頼主のガトーに裏切られる。最後は白を貶めたガトーの首を撥ね、ガトーとガトーが雇った多くの傭兵達と刺し違える形で死亡した。
最終更新:2018年06月24日 15:46