「ほよ」

気がつけば、少女は見知らぬ場所に居た、
色素の無い白い髪をツインテールにした、白皙の─────全体的に色の白過ぎる少女だった。

「確か中庭の噴水に腰掛けてうたた寝していた筈……」

首を傾げると、左のテールの付け根に結ばれた二つの鈴が、カランと音を立てた。

【私が眠っている間に連れて来られたのでしょうか?】

浮かんだ疑問を直ぐに有り得ないと打ち消す。熟睡しているならまだしも、うたた寝している程度で、接近に気づかないわけが無い。

「何だか知りませんがセッカクの楽しみが、訳のわからない事で潰されるなんてガッカリです」

短く溜息をついて周囲の様子を探る。

「……周囲には誰も…というより何も居ませんね」

人の気配どころか生物が居る様子すら無い。
代わりに宙を紙が舞う音がする。それもとても多くの音が。
尤も生来盲目の為にその紙が何なのか少女には確かめる術は無いが。
盲目である事を抜きにしても、一体此処は何処で、自分はどの様な状況に置かれているのかサッパリ判らない。

「ハァ……面倒です」

取り敢えず人を探さなければならない。此処が何処なのか?という事を知るのも大切なのだが、何分にも病弱な身。下手をすれば風邪をひく。身体を休められる場所も探さなければならなかった。
少女は右手に提げた黒鞘の日本刀を杖代わりに、適当な方角へと歩き出した。

【???/00時01分】
【因幡月夜@武装少女マキャヴェリズム[役]:子
[状態]健康
[装備]:摸造刀:亜鉛合金製で重量は日本刀と変わらないが強度は脆い。
[道具]:不明
[思考・行動]
基本方針:人を探す。
※その他
自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。

人物情報
元々女子高だった学園が共学になった際に男子生徒を恐れた女子生徒のための風紀組織、愛知共生学園“天下五剣”の中で最強と言われる剣士。
飛び級して中学校に通うが実年齢は小学生。
白髪白貌紅眼─────要するにアルビノ─────の盲目の美少女で、外見と盲目の由来は、優れた剣の才能を世に誕生させる為に父親に当たる男が二度に渡り行った近親相姦の所為。
生来病弱でしょっちゅう咳き込み、酷い時には発作を起こすが、剣の才能は凄まじく、薬丸自顕流居合を修め、幼少の身で不可視の魔剣”雲耀“を習得。
踏み込みから抜刀に至るまでの動きが、同じ五剣でも見えない神速の剣技を遣う。
徒手に於いても“雲耀“の応用技である“魔弾”を用いる事で、大の大人でも殴り飛ばす事が出来る。
年不相応に落ち着いた性格だが、武術について話し出すと長い。趣味について語るオタクの様に長い。言動の端々に年相応の子供っぽさが垣間見える。
少し前まで引き篭もりだった為か、世故に疎いところがある。
長らくぼっちだったが最近友人と弟子が出来た。
身体が弱い為に気温によっては簡単に体調を崩す、アルビノでもある為に、会場の気候が夏ならば最悪暑さで行き倒れる。

【能力】

生来の盲目の故か異常なまでに鋭い聴覚を持ち、
数百m範囲の人間の骨や筋肉の稼動音を聞き取り、脈拍や呼吸から心理状態や体調、果ては嘘を吐いている事まで理解できる。
この聴覚で操作はおろか認識すら難しい潜在筋を認識し、動かし方を把握出来る。
この為、剣才と併さって十にも満たない歳で奥義を修める事が出来た。

薬丸自顕流居合
同じ領域に居ないものには、目では捉えられない速度で、距離を詰めすれ違いざまに三撃斬りつけられる速度。

魔弾・改
示現流の技法を応用して撃つ徒手の技に体重移動を組み合わせて威力を底上げした技。
威力が体内に浸透蓄積する。
最終更新:2018年04月11日 09:18