(鬼ごっこ……ねぇ、どうやら十二大戦とは別みたいだが)
会場に降り立って直ぐに隠れられそうな場所に飛び込んだ怒突は、飛行機内で聞かされた
ルールを思い出してそう言った。
自分以外は全て敵で、ただ一人しか生き残れない十二大戦に覚悟を持って挑むつもりだった怒にしてみたら拍子抜けなルール。
とは言えそれで楽観視している様子もなく、むしろ警戒をしているのか神妙な表情で考え込んでいる。
(だが、十二大戦と違ってこのゲームは信用が無いっつーのが問題だ。
果たして条件通りに勝利したとして、本当に無事に解放されるかもわからねぇ。
となれば、このゲームの運営を出し抜く方法も考えなければならねぇだろうな)
少なくとも十二大戦は、優勝者はキチンと生還していたし願いを叶えて貰ったという事実がある。
その点、怒が命を懸けて殺しあうだけの理由があった。
だがこの鬼ごっこはどうだ。
突然拉致されてデスゲームを強制されている以上、運営を全面的に信用など出来るわけがない。
(だからといってゲーム自体も疎かにするわけにはいかねぇ。
子を守る親に俺のような戦士を宛がう以上は、子を捕まえる鬼が相応の強さを持っているだろう事は予想がつく)
怒も十二大戦に選ばれるほどの戦士として、そう簡単に殺されないという自信があった。
だが、この鬼ごっこはそう単純な事ではないという事も気づいていた。
(俺が生き残ればいいって簡単なルールじゃねー以上、他の参加者の生死にも注意しとかなきゃならねぇ。
特に子の参加者はなるべく死なせないように気を配る必要があるわけだ)
勝利条件が条件なだけに、怒の脳裏には隠れ続けて生き残るという待ちの選択はなかった。
他の親にどれだけ使える奴がいるか分からない以上は、積極的に子と接触しておく必要があるのだ。
(つまり基本は、強力な鬼に追われ為す術も無い子を必死で逃がす親、というのが本来想定されるケースだろうな。
いくら俺でも誰かを守りながら、『皆殺しの天才』のような化け物と殺り合うのは無理だからな。
恐らく鬼も、俺達との戦力差についてはそう考えているはず)
怒の脳裏に浮かんだのは、十二大戦にも参加していた、わけが分からないほど強いと称される戦士牛井の姿。
そこまででなくても、自身と同格くらいの戦士と戦うのであれば、足手まといを気にする余裕はない。
(だからこそ、そこを突く。子は鬼から逃げるしかないという思い込みに付け込む。
俺の秘蔵の『ワンマンアーミー』を使って、無力な子の力を飛躍的に秘薬的に引き上げて戦力差を埋める)
『ワンマンアーミー』
それは、毒殺師である怒の真骨頂。
筋肉・神経・五感・心配・記憶力・思考力といった人体機能のすべてを限界まで引き出すドーピング薬。
言わば、使用者のLvを強制的にMAXまで上げる薬だ。
勿論そんな効力の薬が真っ当な物の筈はない。
当然、詳細は怒も知らないまでも副作用はあるし、こういう緊急事態でもなければ使用しないものだ。
(その上で鬼を捕まえてゲームの運営側についてでも聞き出せれば儲けもんだ。
何も鬼ごっこだからって大人しく逃げ隠れてやる必要もねぇ。
セオリーがあるなら逆を行け、だぜ)
怒はこれから取るべき方針を決定すると、その場を出発した。
【不明/深夜】
【怒突@十二大戦】
[役]:親
[状態]:健康
[装備]:犬耳のカツラと付け尻尾
[道具]:デイパック(不明支給品2)
[思考・行動]
基本方針:生き残る。
1:ワンマンアーミーによる戦力の底上げ。
2:できれば運営を出し抜く。
※その他
自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。
【人物解説】
十二大戦という殺し合いに参加するはずだった戦士。
人身売買を副業としており、自分を戦争犯罪者に限りなく近い戦士と自称しているが、
それも普通の社会で生きていけないであろう子供を見殺しにするのは後味が悪いから、生きていける場所に売っただけである。
間違って変態に売ってしまった少女を救出して養子にしたり、
自分を殺すために危険な賭けに出た元教え子を止めようとして、逆に自分が危険な賭けに出たり、何だかんだで甘い所がある。
また、保父をやっており、保護者には評判がいいらしい。
なお本名は津久井道雄というが、本名で書かれても誰だかさっぱり分からなそうなので怒突表記です。
【能力】
ざっくり言えば体内で様々な毒を作ることができる。
普段は噛みついてそこから毒を流し込む事で、戦闘スタイルを噛みつきと誤解させて毒使いであることを隠しているだけで、
別に噛みつかなくても空気中に毒を散布する事もできる。
けど風とかに左右されそうだしやっぱり噛んだ方が確実?
最終更新:2018年05月19日 18:17