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「鬼ごっこ、ねえ……」

 そう言いながら屈み込みデイパックからアイスピックを取り出して手の上で弄ぶ男が一人。高級感のある服で均整のとれた身体を包み、端正な顔の眉根を寄せる男の現在の社会的地位は被疑者――つまり彼は逮捕されている身だ。マスコミからも家族からも完全に犯人と思われている彼にとってこの状況はある意味千載一遇のチャンスではあるのだが、それでも表情は晴れない。当然であろう。いつの間にか拉致されて鬼ごっこをしろなどと言われればこうもなろう。

「アイスピックと、ICレコーダーか……」

 だが彼はこの機を逃す気もなかった。自分の転機となった、あの生放送での公開討論。そこでの失言と家族からのアリバイ証言の撤回により、既に彼の社会的生命は絶たれている。これでも弁護士を志した身だ、裁判になれば負ける気はないが、仮に勝ったとしても現状はマイナスにしかならない。そのことは彼をハメた男が十年に渡って殺人犯の息子だと言われたであろうことを考えれば想像に難くなかった。

「いいさ、やってやるよ。今度は失敗しない。」

 残念ながら道は一つだ。なら進むしかない。止まっても戻っても地獄なら前に行くしかないんだ。

「借りは返すよ……早川慶介。」

 小笠原祥太はそう言うとキツくアイスピックを握り締めた。



【B-10/00時07分】
【小笠原翔太@FINAL CUT】
[役]:親
[状態]:健康
[装備]:アイスピック@現実、ICレコーダー@現実
[道具]:デイパック
[思考・行動]
基本方針:意地でも生き残る。
1:まずは行動方針を決める。
※その他
自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。
人物解説……ネタバレになるが本ドラマはミステリーではないので影響は小さいと判断し人物解説を行う。FINAL CUTにおける十年前の無認可保育園女児殺害事件の真犯人。なのだが、このドラマはメディアによる報道被害への復讐譚であるため、彼については逮捕されて終わりであり事件の全容はわからない。そこで今回、彼は冤罪であったということにした。彼が真犯人であろうとそうでなかろうとドラマにほとんど影響は無いからである。なお、性格は割とティピカルなプライドの高い弁護士を想像すればだいたい合っている。
最終更新:2018年05月24日 00:22