風もないのに空を舞うチラシの一枚が、タイの顔へと落ちました。気を失ったかのように寝ていたタイの瞼がピクリと動き、その動きに合わせてチラシも動き、それに刺激されてまた瞼が動き、何回か繰り返しているうちに目が覚めます。目に被さるチラシ越しに赤い空を見上げて、タイは自分の右手を掲げました。掌の赤い目と目が合うと、心の中で一つ舌打ちをして立ち上がりました。
『ここは妖界なのか?それにしては町並みが人間界と変わらない。それともあのときぼくは死んだのか?ならここは地獄か。』
もしそのとき近くに誰かいたら、突然頭の中に聞こえた声に驚くでしょう。タイは口を開かずに、テレパシーのような方法で話すことができるのです。印を結ぶのも口を開かずにできるため、その術は止めることが難しく、そんなことができたのは今までで一人しかいませんでした。タイの姉であり、彼を殺した妖怪達を従えた妖界ナビゲーターである、ルナを除いては。
『どっちでもいい。飛行機が飛んでるのならここには誰かいるはずだ。そいつから情報を聞きだす。』
タイはそう決めると、その場から姿を消しました。人間の目では捉えれないスピードでジャンプし、近くの木のてっぺんに飛び乗ったのです。妖力のコントロールで周囲に衝撃波を出さないようにして、猫が飛び移ったぐらいの小さな音だけ立てて。そしてその動きで服の違和感に気がつきました。どうやらスマートフォンが服に挟まっているようですが、携帯電話しかない時代に生きているタイにはそれが何なのかわかりませんでした。
(これの使い方も調べる必要がある。)
ちょっとの間試してみて使えないとみると、タイは人を探しに再び超スピードで元いた場所から消えました。後にはわずかに揺れる一本の木だけが赤い空の下で枝葉を伸ばしているだけでした。
【E-04/00時03分】
【タイ@妖界ナビ・ルナ】
[役]:子
[状態]:健康
[装備]:『スマートフォン(子)』
[道具]:ペンダント@妖界ナビ・ルナ
[思考・行動]
基本方針:人間界を滅ぼす
1:情報を話させる。使えないなら殺す。
2:誰かと馴れ合うつもりは無い。
※その他
自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。
人物解説……『ナビルナ』シリーズの主人公である竜堂ルナの弟で、陰陽師の父と妖孤の母を持つ半妖。戸籍が無いと思われるが竜堂タイが本名である。享年十歳。五巻の『光と影の戦い』終盤でルナの仲間の妖怪であるスネリともっけに胸を貫かれ、ルナによって妖界へと送られたタイミングからの参戦。五巻までの出来事の黒幕的存在で、ルナを誘導することで悠久の玉の封印の解除の為の準備を進めさせ、そのためには時に陰ながら手を貸し時にルナと関わった人間に不幸をばら撒いた。右手の掌にある第三の目を開眼することで超動体視力と超運動能力を発動し、母ゆずりの莫大な妖力と父ゆずりの陰陽術を武器に戦う。性格は人間への憎悪で固まっており、明晰な頭脳を人間界を滅ぼす為に使っている。なお漫画版ではないので腕が取れたりはしていないが、小説版では後にどこかのソーディアンの如く穢土転生されてまた姉と戦うハメになってたりする。ちなみに服装はHOT LIMITを歌ってるときのT.M.Revolutionっぽい恰好である。
最終更新:2018年05月29日 02:32