経済史2002(秋)市川

2002年度・秋学期・経済史(市川 文彦)70分 持ちこみ一切不可

次の二つの問題に答えよ。

問題Ⅰ.以下の文中のaからjに当てはまる、最も適当な用語を、解答用紙に記入せよ。

①現代フランスの歴史学研究グループの一つ、アナール(Annales)学派の基礎を
築いた一人、フェルナン・ブローデルは、次のような三層にわたる時間軸を提起して、
壮大な歴史分析を進めた。
 すなわち、(1)人間社会に日々生じる出来事、aなどを対象とする<表層の時間軸>、
また(2)景況などを対象とする<循環の時間軸>、そして(3)大地、文明など、
人間の眼には一見すると「動かざる」、「変化が明示されていない」事象、つまり
「構造」を対象とする<bの時間軸>の、三つである。

②中世ヨーロッパの都市における自治体制は、初期の都市領主による支配から、その
都市の有力商工業の従事者たちが組織し、参加したcが、新たに都市自治の中軸となる
場になった。
 たとえば中世パリでは、その代表的な経済組織であるdが、上記のcにおいて、
市政へ大きな影響力を行使し、経済活動の自由、政治法制上の自治の獲得を目指した。

③近代期工業化が本格化する以前に、ヨーロッパは16世紀から18世紀中葉にかけて
農業革命を経験した。生産性の大幅な向上を伴った農業部門は、その後の工業化の
進展に、資本形成、工業産品への需要増、租税負担、非農業部門従事者への食糧供給
安定化とともに、さらにeとfの、二点の影響・効果ももたらしていた。

④19世紀末期、ユーラシア大陸周辺各地の主力工業部門の一つは、綿業であった。
当時、英国綿製品が世界中を消費市場にして席捲していたのに対し、アジア間市場で
は、それらは必ずしも浸透してしていなかった。その要因は、そもそもg型が、
厚地布-太糸-小幅ものを専ら生産していたのに対して、<西欧型>は、薄地布
-細糸-hものに特化していたからである。すなわち両者の型には、製品特性自体に
著しい差異性が、存在していた。ただしアジア間市場では、近代期以降、ウエスタン・
インパクトの直撃にさらされたi型のみが、特殊例として生まれた。その特徴は、
<g型>と<西欧型>とが混合した、異なる二つの製品特性をもつ型式にある。

⑤現代ヴェトナムは、社会主義体制を維持しながらも、国家管理化での市場指向
経済化の推進をはじめとする<ドイ・モイ政策>、すなわち国内の経済・政治・
社会体制の大変革を目指したj政策を、1986年以降、選択、実行している。

問題Ⅱ.14世紀中葉から18世紀中葉にかけての、いわゆる「産業革命」期以前の、
<ヨーロッパにおける工業化>と<ヨーロッパ・非ヨーロッパ世界間の貿易パターン>
との関係の推移、その諸特徴について、具体的に付表のデータにも必ず触れながら、
かつ以下の七つの用語全てを用いて、解答用紙に論述せよ。(7用語を用いる際は、
①植民地開発・経営 の如く、必ず用語に番号・下線を付すこと。)

 ①植民地開発・経営、②三角貿易の構造、③高付加価値商品の生産、④植民地物産
 ⑤1770年代初頭、⑥一次産品・原材料、⑦再輸出

 付表:14世紀中葉から16世紀中葉のイングランドの羊毛・毛織物輸出動向

※※※解答用紙の裏面に、この講義へのコメント、感想を記して下さい(=採点外)。

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最終更新:2008年07月14日 20:22
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