2003年度春学期・
開発経済学(山崎幸治)試験時間70分 持込一切不可
1、以下のa~dまでの記述が、それぞれ正しいか誤りであるか示しなさい。もし誤りである場合は
その理由も簡潔に(1、2行で)明記すること。
(a)ソローモデルを想定した場合、長期的には貯蓄率の上昇によって1人あたり消費
の増加率は変化しないが、人口増加率の上昇は1人あたりの消費の増加率を引き
上げることになる。
(b)1960年代から90年代にかけての東アジア新興工業諸国の奇跡的な高成長は、
大部分が技術進歩によるものであった。
(c)ソローモデルを想定した場合、短期的には貯蓄率の上昇によっての増加率は影響
を受ける。1人当たり所得
(d)ハロッド=ドーマー・モデルでは貯蓄率は水準効果だけ持っており、成長効果はない。
2、第二次世界大戦によって生産設備の多くが破壊された日本やドイツは戦後に急速な経済成長を達成した。
この歴史的事実を、元々これらの経済が定常状態にあったと仮定して、ソローダイアグラムを用いて説明せよ。
3、ローマ-モデルにおいて、1人あたり生産の成長率は、長期的にはアイデアの生産関数と等しくなる。
経済全体で見たアイデア(A)の生産関数は
A(ドット)=δLa^λ・A^φ, 0<λ<1, 0<φ<1
によって表された。ここではδは定数、Laは研究開発に従事する労働者の数である。
人口増加率が一定のnであると仮定して、以下の問いに答えよ。
(A)λとφがそれぞれどのような効果を表しているのか。名称とともに具体的に答えよ。
(B)均整成長経路におけるアイデアの成長率を求めよ。
(C)(B)で求めた結果と技術進歩を伴うソローモデルの均整成長経路と比較して、相違する点について簡潔に答えよ。
(D)ここで、λ=0、φ=1と仮定し、経済が均整成長経路上にあるとする。研究開発の生産性を
表すδが一度かぎりの増加が起こったとき、時間の経過とともにアイデアの成長率はどのように
変化するか。縦軸にアイデアの成長率、横軸にLa/Aをとったグラフを用いて説明せよ。
注)「^」は、~乗の意味です。
A(ドット)は教科書「経済成長理論入門」ではAの上に点が付いている記号でした。
最終更新:2008年07月14日 20:34