2003年度春学期
社会保障論 大谷強 試験時間70分持ち込み一切不可
社会保障論について新聞やテレビなどの報道で、いくつか疑問をいただいた人が
います。春学期の授業によく出席した皆さんが、次の疑問のうちから3つを選んで
説明してください。誤解に基づいて間違った理解をしている人には、その間違いを
指摘して正しく説明してください。なお、奇妙な言葉遣いをしている人もいますが、
表現を気にしないで中身を汲み取ってください。A,B,Cの各グループから1つずつ
を選んで計3つ解答してください。解答は問題の順番どおりでなくても結構です。
問題のグループ名と番号を明記してください。裏に回っても構いません。時間と
気力・筆力に余裕があれば、授業に対する感想も書いてください。
A-1民間の保険に入り保険料も払ったのに、事故にあわなかったら、1円も戻って
こないそうよ。貯金のほうがずっと優れた制度と思うわ。
A-2わては一生懸命、努力して年をとったときの準備をしたり健康に気をつけてる。
遊びまわっていた奴らは、お上のお世話になり、医療費は無料だとか、年金まで
貰うらしい。けしからん世の中や。
A-3「たいすうの法則」が保険では大事だと、借りたノートに書いてある。なんの
ことや?それに給付反対給付均等の原則(原理)とか、よう分からんがウンチャラ
カンチャラの原則(原理)なども、あるらしい。保険ってどんな仕組みで成り立って
いるのか、さっぱりわからん。
A-4社会保障制度の一覧表が配られたんや。法律名ばっかりで、しかもお役所の名前
がずらっと並んでいる。これは私ら普通の生活をしている者には関係ない証拠や。
B-5健康保険料を払っている上に、病気になったときには自己負担もあるなんて、
なんで?大きな手術でもした時には1000万円もかかる。我が家はつぶれてしまう。
貧乏人は病気にもなられへんわ。
B-6皆保険というらしいが、わしは失業したときに、健康保険証(組合員証とも
いうらしい)を会社に取り上げられた。もう病気になったときも医者に行くこと
もでけへん。失業者がぎょうさん増えているが、どうなるんか、他人事ながら
心配や。
B-7会社に勤めはじめて5年がたつけど、給料から差し引かれる健康保険料が響く
わ。ボーナスからも引かれるんや。手取りも少なくなり有名な六本木ヒルズにも
行かれへん。ウチら、病気もしてないのに、こんなに保険料、高いの、なんで?
教えて!教えて!・・・
B-8ワシは寝たきりにならんぞ。なったとしても、ワシの嫁はんや息子の嫁が
世話をしてくれるはずや。他人を家に入れるのはいや。介護保険なんて要らんわい。
加入しない自由もあるよな、自由の国というのやから。
B-9高齢者の介護のために介護保険料を高齢者が出すのは当然やと思うわ。でも、
年金と一緒にウチら学生からも集めてるそうよ。バイトで夜も働いてるのに(だから
冷房の効いた教室で寝ているんや)、若者に厳しい社会よね。
B-10介護が必要になったら、すぐにヘルパーがきてくれるとばかり思うとったら、
要介護認定という手続きをせえと言われた。急いでいるんや。すぐになんとかしろ。
B-11バスに乗って広告を見ていた、訪問介護の会社が宣伝している。役所がぜんぶ
やると思っていた。利益を求める民間の会社が乗り出してもいいの?おかしいわよね。
C-12年金の制度は難しいわ。私、大学を卒業した後、就職バッチリで上場会社勤め。
会社の同僚と結婚して育児に専念してたの。あの男が会社で不倫したんで、離婚。
別の会社にお勤めしたの。で、なじみの馴染みのカフェのマスターと再婚して会社を
辞めたけど、おれは自営業だからお前の年金は関係ないって。冷たいよね。やはり
会社員が相手のほうが、いいわよ。で、10歳年上の部長さんと再々婚して、下の子
を育ているの。今はシアワセよ(笑い)。でも、こんな人生で私の年金、どうなん
だろう?心配やわぁ。
C-13国民年金(基礎年金)の老齢基礎年金って、正門前で売っていたノートには
「定額制」と書いてある。つまり、年をとったら、みんな同じ年金額がもらえるのね。
C-14俺は独身、同僚は若くして結婚。相手は子育て中で家にいる。帰れば彼女が
暖かい夕食を作って待っている(俺はコンビニの冷たいおにぎり)。同期入社だから
給料は同じ。でもあいつのほうが俺よりも厚生年金の保険料は多いはずや。それが
公平というものや。
C-15ねぇねぇ、知ってる?国民年金(基礎年金)には学生の特例があること。保険料
納めなくても、年金は全部もらえるんだって。当然よね、苦しい思いをして試験勉強
しているのだから。社会からそれだけ期待されているってワケ!納得!
C-16皆年金で基礎年金っていうだろ。それって、つまりぃ…高齢になったら生活に必要な
年金を全部、国家が出してくれるってことだよな?ダロー。捨てたもんじゃないね、
日本も。外国に逃げ出すのを止めようかな。
最終更新:2008年07月16日 20:28