08(秋)(木村)

2008年度・秋学期・会計学B(木村 吉孝)60分 持込一切不可

Ⅰ.次の各文章の( )に適当な語句を入れなさい.
1.資産とは,過去の取引または事象の結果として,報告主体が支配している( 1 )という.ここで,(1)とはキャッシュの獲得に貢献する便益の源泉をいい,実物財に限らず,金融資産及びそれらの同等物を含む.
 資産はその機能的な属性によって,貨幣性資産と( 2 )に分けられるが,貨幣性資産は支払手段としての現金預金,金銭債権などからなり,(2)とは将来の収益の稼得のために利用されるべく待機している未回収の資本(未費消原価)であり,棚卸資産,有形固定資産,繰延資産などがこれに当たる.

2.( 3 )[時価の変動による利益を得ることを目的として保有する証券]は,( 4 )をもって貸借対照表価額とし,評価差額は( 6 )として処理する.
 満期保有目的の債権[満期まで所有する意図をもって保有する社債その他債権]は,取得原価をもって貸借対照表価額とする.ただし,債権を債権金額より低い価額または高い価額で取得した場合において,取得価額と債権金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは,( 7 )に基づいて,算定された価額を持って貸借対照表価額としなければならない.
 ( 8 )及び関連会社株式は,取得原価をもって貸借対照表価額とする.
 その他有価証券[(8)及び関連会社株式以外の有価証券]は,(4)をもって貸借対照表価額とし,評価差額は( 9 )方式に基づき,全部純資産直入法または部分純資産直入法のいずれかの方法により処理する.全部純資産直入法とは,評価差額の合計額の部[( 10 )の区分]に計上するものであり,部分純資産直入法は,自家が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額は純資産の部[(10)の区分]に計上し,時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額は,当期の損失として処理する物である.

3.債権の貸倒見積高の算定にあたっては,債務者の財政状態及び経営成績等に応じて,債権を次のように区分し,その区分に応じてそれぞれ次の方法により算定する.①( 11 )[経営状態に重大な問題が生じていない債権者に対する債権]については,債権全体または,同種・同類の債権ごとに,債権の状況に応じて求めた過去の( 12 )など合理的な基準により貸倒見積高を算定する.②( 13 )[経営破綻の状態には至っていないが,債権の状況に応じて,次のa,bいずれかの方法により貸倒見積高を算定する.a.債権額から( 14 )の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し,その残額について債権者の財政状態及び経営成績を考慮して貸倒見積高を算定する方法,b.債権の元本回収及び利息の受取りが見込まれる事ができる債権については,債権の元本及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理時に見込まれる時から当期末までの期間にわたり( 15 )で割り引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法.③( 16 )[経営破綻または,実質的に経営破綻の陥っている債務者に対する債権]については,債権額から(14)の処分見込額及び,保証による回収見込額を減額し,その残額を貸倒見積高とする.

4.通常の販売目的(販売するための製造目的を含む)で保有する棚卸し資産は,取得原価を持って貸借対照表価額とし,期末における( 17 )が取得原価よりも下落している場合には,当該(17)をもって貸借対照表価額とする.この場合において,取得原価と当該正味売却価額との差額は( 18 )として処理する.なお,製造業における原材料等のように,( 19 )の方が,把握しやすく,(17)が当該(3)に歩調を合わせて動くと想定される場合には,継続して適用することを条件として,(3)(最終仕入れ原価を含む,以下同じ)による事ができる.また,前期に計上した簿価切下額の戻入れを行う方法[(9)法]と行わない方法[( 20 )法]のいずれかの方法を棚卸資産の種類ごとに選択適用できる.
 通常の販売目的で保有する棚卸資産について,収益性の低下による簿価切下額(前期に計上した簿価切下額を戻し入れる場合は,当該戻入額相殺語の額)は( 21 )とするが,棚卸資産の製造に関連し不可避的に発生すると認められるときには,製造原価として処理する.また,収益性の低下に基づく簿価切下額が,臨時の事象(重要な事業部門の廃止,災害損失の発生など)に起因し,かつ,多額であるときには,( 22 )に計上する.なお,この場合には,(4)を適用していても,当該簿価切下額の戻し入れを行ってはならない.
 トレーディング目的で保有する棚卸資産については,( 23 )に基づく価額をもって,貸借対照表価額とし,帳簿価額との差額(評価差額)は,当期の損益として処理する.なお,トレーディング目的で夫有する棚卸資産に係る損益は,原則として,純額で( 24 )に表示する.

5.リース取引について,( 25 )取引とは,リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引またはこれに準ずるリース取引で,借り手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ,かつ,当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう.一方,( 26 )取引とは,(25)取引以外のリース取引をいう.
 (25)取引について,借手は,リース取引開始日に,通常の( 27 )に係る方法二準じた会計処理により,リース物件とこれに係る債務を( 28 )及びリース債務として計上する.一方,貸手は,リース取引開始日に,通常の(17)に係る方法に準じた会計処理より所有権移転(15)取引については( 29 )として,所有移転外(15)取引については,( 30 )として計上する.

Ⅱ. 下記の各文章の誤りを指摘し,その理由を簡潔に述べよ.
(1)土地建物は固定資産であるから,棚卸資産二なることはない.
(2)棚卸資産の評価方法として,個別法は,払い出された個々の棚卸資産の実際原価をもとに費消原価を算定する方法であるから,恣意的な利益操作を排除できる評価方法である.
(3)研究開発が順調に進み,将来の収益獲得期待が確実であると認められる場合の研究開発費は,これを資産として貸借対照表に計上することができる.
(4)市場販売目的のソフトウェアについては,開発当初から製品マスターの完成までに要した費用を資産として計上しなければならない.
(5)介意約不能のリース期間中のリース料総額が,借手の見積現金購入価額の概ね90%以上であるリース取引は,ファイナンス・リース取引に該当する.
(6)ファイナンス・リース取引において,借手がリース資産及び,リース債務の計上額を算定する二当たって,利息相当額の見積に恣意性が介入するおそれがあるため,原則として,リース契約締結時に合意されたリース料総額からこれに含まれている利息相当額の見積額を控除してはならない.
(7)金融資産の契約上の権利または金融負債の契約上の義務を生じさせる契約を締結したときには,必ず金融資産または,金融負債の発生を認識しなければならない.
(8)デリバティブ取引により生ずる正味の債権及び債務は,時価を持って貸借対照表価額とし,その評価差額は当期の損益として処理しなければならない.

Ⅲ.下記の各問に答えよ.
1.棚卸資産の評価方法として,従来認められてきた後入先出法が,平成20年9月26日に公表された「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準委員会)において廃止された.会計基準の国際的な調整の流れの中で今回廃止に至ったと理解できるが,他にどのような理由を指摘することができるか.後入先出法の利点や欠点を示しながら簡潔に述べよ.
2.金融資産の消滅を認識する方法として,リスク・経済価値アプローチと財務構成要素アプローチがある.それぞれの認識アプローチの意義を示した上で,制度上は財務構成要素アプローチが採用されている,その理由や妥当性について見解を述べよ.




注)Ⅰの( 5 )は欠番.


以上
R

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最終更新:2009年01月25日 15:45
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