孤独な大学生77
「はーっ!終わった終わった。」 金髪碧眼、立てた髪、飛行士のゴーグルをつけた 後ろに飛行機がプリントされたスカジャンを着て背に灰色の翼を持った男、 ジュぺリがトレーニング室から出てきた。 「お疲れジュぺリ。はいポカリ。」 ピンクの髪を入念にセットしたヘッドホンをつけてピッタリした赤い服を着た 茶色の眼をした背中に昆虫のようなピンクの翼が生えた女、 モアがジュぺリにポカリスエットを手渡す。 トレーニング室は反射神経、避ける力を鍛えるもので 四方八方から銃弾が飛んできてそれを避ける訓練をする部屋が200室ほど備わっている。 「モア。お前最近少しは強くなったのか?もうあのルナってちびっ子に負かされたりする事は許されん ぞ。」 ジュぺリがタオルで汗を拭きながら言う。 「大丈夫だよ。あれからずっと電磁鞭の特訓をしてる。あの娘がいくら速くても 電磁鞭なら射程の外から戦える。あの娘が剣を使ってる限りね。」 ジュぺリか快晴の空を横目で見ている。 「あの娘は常識を超えてくるぞ。だから俺達も常識を超えなきゃならん。 俺達はレッドラム。気の狂った強さと頭を持ってなくちゃならん。」 モアが機嫌を損ねた顔をする。 「レッドラムじゃないよ![[スカイクロラ]]だよ!」 ジュぺリがふっと息を吐き出す。 「今の何千人でかからないと強いレッドラムを倒せない状況でそういう事言うのはよくない。 俺達はレッドラムと同じ舞台に立っているんだ。俺は一人で相手方の幹部と相手できるような 強さを目指して鍛えてるぞ。ガロアなんかはもう既にそういうレベルだ。」 モアの表情が曇る。 「ガロアか・・・私あの人ちょっと怖いの。ストイックすぎ。詩吟するし。」 ジュぺリの顔が笑んで歪む。 「詩吟が嫌いか?」 モアの顔に少し赤みがさす。 「気持ち悪いもの。私ああいう曖昧な芸術嫌いよ。いや、芸術自体嫌いなのよ。」 ジュぺリが面白そうな顔をする。 「いっつもレッドラムのロックバンドの歌聴いてんのにか?」 モアの顔が真っ赤になる。 「ピンク・ハイデガーは別格!私レッドラムも芸術も大っ嫌いなんだから! アンタの変な模型工作も嫌い!飛行機なんて!飛行機なんて!うちらより遅い飛行機なんて!」 ジュぺリが少し癇に障った顔をする。が、すぐ和む。 「・・・モア。じゃ今度俺が模型飛行機を飛ばすの見に来ないか? 多分良さが分かる筈だぜ。此処から3キロ離れた原っぱでさ。」 モアは当惑した顔をする。 「嫌だよ。嫌いだって言ったでしょ。模型飛行機。」 ジュぺリは少し哀しそうな顔をする。 「頼むよ。俺いっつも一人で偶に孤独なんだ。」 モアは観念したようにため息をつく。 「しょうがないな・・・良いよ。あんたが孤独を嫌いだなんて思わなかった。」 ジュぺリがパッと顔を明るくして遠くを見る。 「心配しなくてもこれからはもっと孤独な戦いになる。 お前と長話できる機会も無くなるな。少し寂しいぜ。」 モアは複雑な顔をして俯く。 「そうだ。天気はこれから荒れるんだ。絶対に・・・。」 第三次レッドラム大戦まであと半年。