このあたり数百マイル四方でたった一人のハーフリング―レギスは、頭の後ろで手を組んで、びっしりと苔のはえた木の幹によりかかっていた。ハーフリングというのはもともと小柄だが、レギスはとりわけ身体が小さかった。頭のてっぺんにあるひと房のふわふわした茶色い巻き毛を勘定にいれても、三フィートあるかないかだ。そのくせ、機会さえあればたらふく食べるせいで、腹にはたっぷりと肉がついている。彼は釣竿がわいの湾曲した杖を、足の指の又にしっかりとはさみこんでいる。杖は穏やかな湖面へと斜めに高くさしのばされ、メア・デュアルドン湖の鏡のような水面に、くっきりと影をおとしていた。
―R.A.サルヴァトーレ(著)、風見 潤(訳)
『アイスウィンド・サーガ1 魔石の復活』
故郷での快適な暮らしこそ、大部分のハーフリングの人生の目的である:平和で静かな生活を送ることができ、略奪を仕掛けてくるモンスターや軍隊の激突から遠く離れた場所;燃える火と豊かな食糧;素晴らしい飲み物と素晴らしい会話。しかしハーフリングの中には辺鄙な農業共同体で生活を送る者や、絶えず移動を行なう遊牧集団を形成し、新たな土地と人々を発見しようと、開けた街道と広々とした地平線へと誘い出されていく者もいる。しかしこうした放浪者ですら、平和、食事、炉辺、そして家を愛しており、ただその家というのが、泥道に沿ってひしめき合っている四輪馬車であったり、川の流れに浮かぶ筏であったりするかもしれない。
ハーフリングは他のあらゆる者とうまくやって行こうとし、何でもステレオタイプに考えることを嫌う―特に否定的なものは。
エルフ:「彼らはすっごい綺麗だよ! あの顔、あの音楽、あの優雅さ、とにかく全部。彼らはまるですっごく素晴らしい夢から抜け出てきたみたいさ。でも、あの笑い顔の後ろで何を考えてるかを見分けるのは難しいよ―これまでもたくさん企んで来てることは間違いないね。」
ドワーフ:「ドワーフは素晴らしい友だちになるし、彼らの言葉は信じて間違いないよ。でもときどき笑っちゃうと、彼らを傷つけるみたいだね。」
人間:「人間は僕らに良く似てるよ、本当。少なくともそのいくばくかはね。お城や砦の外に出て、農夫や牧夫と話してみれば分かるけど、善良で純朴な人たちがいっぱいいるんだ。男爵や兵士たちが何でもかんでも悪いやつらという訳はじゃない―彼らの持つ信念は称賛すべき点さ。それに彼らが自分たちの土地を守ってくれるって事は、僕らの事も守ってくれるって事なんだから。」
小さく現実的
小柄なハーフリングは大きなクリーチャーでいっぱいのこの世界で、人目を避け、閉め出し、攻撃を避けることで生き抜いている。身長約3フィートの彼らは比較的無害に見え、そのため、帝国の影や、戦争や政治紛争の辺縁部で何世紀も生き抜くことに成功した。彼らは頑健な体格をしており、40から45ポンドほどの体重である。
ハーフリングの肌は小麦色から白い色までさまざまで、血色が良く、髪の毛は通常は茶色か砂のような褐色の癖っ毛である。瞳は茶色かハシバミ色。ハーフリングの男性はしばしば長いもみあげを誇示するが、顎髭を生やす者は稀で、口髭もやはり稀である。彼らは質素で快適で実用的な衣類を着ることを好み、明るい色の物を好む。
ハーフリングの実用主義は彼らの衣類以外にも及ぶ。彼らは必需品と単純な楽しみを重要視し、粉飾や見せびらかしにはあまり興味を持たない。最も裕福なハーフリングですら、彼らの宝物はみんなに見せるために陳列したりはせず、地下室に鍵を掛けてしまっておく。彼らは問題を最も直接的に解決する手段を見つけ出すコツを持っており、躊躇することにはほとんど耐えられない。
親切でお節介
バーフリングは愛想が良く陽気な人々である。彼らは炉辺と家の快適さと同様に、家族の絆と友情を大切にし、金や栄光といったものにはあまり夢を抱かない。彼らの中の冒険者ですら、通常は共同体、友情、放浪熱、あるいは好奇心が原因で世界に乗り出したのである。彼らは新しい事柄を、たとえそれが珍しい食べ物やちょっと変わった様式の衣類などといった単純な事柄であっても、発見することを愛している。
ハーフリングは容易に哀れみによって動かされ、あらゆる生きている者が苦しむ姿を見たくないと思っている。彼らは親切で、自らが貧しい時ですら喜んで共有する。
群衆に紛れ込む
ハーフリングは人間、ドワーフ、あるいはエルフの共同体に溶け込むことに長けており、自らの価値を認めさせ、喜んで迎え入れてもらうことができる。彼らの生来の隠密能力と気取らない性質は、ハーフリングが無用な注意を引くことを避けるのに役立っている。
ハーフリングは快く他人のために動き、友人には、その人物がハーフリングであるかその他の種族であるかに関わらず、忠実である。彼らは友人、家族、共同体が脅威に晒されたときには、異常なまでの凶暴性を発揮することがある。
牧歌的で愛想が良い
ほとんどのハーフリングは、大きな農地と手入れの行き届いた木立のある小さく平和な共同体で生活している。彼らが自身の王国を築いたり、彼らの平穏な庄以上に大きな土地を所有したりすることすらめったにない。ハーフリングの貴族や王族といったものは、いかなる種類のものも一般的には認めておらず、その代わりに、家族の長老が彼らを導いてくれるものと見なしている。いかなる帝国の浮沈に関わらず、家族は彼らの伝統的な生き方を維持してくれる。
多くのハーフリングは他の種族の間で暮らしており、そこではハーフリングの熱心な働きぶりや誠実な人柄は、彼らに豊富な報酬を約束してくれ、快適な生活が得られる。一部のハーフリングの共同体は生活の手段として旅をしており、四輪馬車を駆り、ボートを漕ぎ出して、あちらからこちらへと、定住地を持たずにいる。
探険という好機
通常、ハーフリングは自らの共同体を防衛するためや、友人を支援するため、あるいは広く驚異に満ち満ちた世界を探険するために冒険者の道へと踏み出す。彼らにとって、冒険行は好機というよりまさに仕事そのものであり、ときに必要な事柄である。
ハーフリングの名前
ハーフリングは個人名、家族の名前、そして場合によっては綽名を持つ。家族の名前は、しばしば何世代も頑固に伝えられてきた綽名という事もある。
男性の名前:アルトン、アンダー、ケイド、コリン、エルドン、エリッヒ、フィナン、ギャレット、レンダル、ライル、メリック、ミロ、オズボーン、ペリン、リード、ロスコー、ウェルビー
女性の名前:アンドリィ、ブリー、キャリー、コラ、ユーフェミア、ジリアン、キスリ、ラヴィニア、リダ、マーラ、ネッダ、パエラ、ポルティア、セラフィナ、シェイナ、トリム、ヴァニ、ヴァーナ
家族の名前:ブラッシュギャザー、グッドバレル、グリーンボトル、ハイヒル、ヒルトップル、リーグアロウ、ティーリーフ、ソーンゲイジ、トスコブル、アンダーバウ
ハーフリングの種族特徴
ハーフリングのキャラクターは、他の全てのハーフリングと共通の特徴をいくつか有する。
能力値上昇:
君の【敏捷力】の値は2上昇する。
年齢:
ハーフリングが20歳で成人に達し、通常は2世紀目の半ばほどまで生きる(訳注:つまり150年前後ということ)。
属性:
大部分のハーフリングは秩序にして善である。原則として、彼らは善なる心を持ち親切であり、他人が苦しんでいる姿を見るのは嫌いで、抑圧には耐えられない。彼らはまた非常に秩序正しく、伝統を重んじ、彼らの共同体の支援に頼ること甚だしく、彼らの昔ながらのやり方に安心を覚える。
サイズ:
ハーフリングは平均的には3フィートの身長で、体重はおよそ40ポンドほどである。君のサイズは小型である。
移動速度:
君の基本歩行移動速度は25フィートである。
ハーフリングの幸運(Lucky):
攻撃ロール、能力判定、あるいはセーヴィング・スローのダイスの出目で1をロールしたとき、そのダイスを再ロールすることができるが、新しいロール結果は必ず採用しなければならない。
ハーフリングの勇気(Brave):
君は恐怖状態になるのに抵抗するためのセーヴィング・スローに“優位”を得る。
すり抜け移動(Halfling Nimbleness):
君よりも大きいサイズ分類のあらゆるクリーチャーのいる場所を通り過ぎて移動することができる。
言語:
君は共通語とハーフリング語を話し、読み、書くことができる。ハーフリング語は秘密の言葉ではないが、ハーフリングたちはそれを他者と共有することを嫌がる。彼らはほとんど書くという事をせず、そのため、彼らには文学大系と呼べるようなものがない。しかしながら、彼らの口承の伝統は非常に素晴らしいものである。ほとんどあらゆるハーフリングは、彼らが居住していたり、旅をして通過したりする土地の人々と会話するために、共通語を話す。
亜種族:
ハーフリングの主要な2種、ライトフットとスタウトは、本当の亜種族というよりも、非常に血縁関係の近い家族のようなものである。この亜種族の1つを選ぶこと。
出典:『Player's Handbook』
最終更新:2016年09月12日 22:48