091913版
ときにD&Dの冒険では、野外を通過する旅はただ口で説明するだけで済まされてしまう。プレイヤーは自分のキャラクターが向かう場所を説明し、君はその道中で何が起こったかを述べる。また別のときには、旅はその目的地と同じくらい冒険にとって重要なものでもありえ、野外探険のルールがプレイに持ち込まれることになる。
この項では、野外を旅する際のターン制のシステムを紹介している。このルールでは野外エリアをどのように移動し、どのように調査するのかを説明しており、また天気や高い標高といった環境的な考慮すべき事柄について的を当てている。
選択ルールの項には、野外を探険する間にキャラクターたちが取ることができる作業についてのルールが含まれており、さらに、キャラクターたちが野外で道に迷った場合に何が起こるかを決定するシステムを取り扱っている。
野外の地図
キャラクターたちが荒野や他の屋外の場所を探検する前に、君はキーとなる地理的特徴と地形の概要が記された地図を用意しておく必要がある。
君たちが地図を描いている野外の環境は、地上世界にある広い屋外の空間や、アンダーダークの広大な洞窟や通路などの広大な地下空間かもしれない。どちらにせよ、地図を描くにはスクエア・グリッド(四角形のマス目)ではなく、ヘックス・グリッド(六角形のマス目)を使う方が良い。なぜなら、ヘックス・グリッドの方が2点間の距離をより正確に測ることができるためだ。
君の野外地図の縮尺は、君がどれくらいの正確さを求めているかに応じて決まる。最も詳細に記述したいエリアでは、各ヘックスやスクエアは1マイルを表す。より大きな範囲をカバーするには、各ヘックスやスクエアが6マイルを表す。非常に広大なエリアをカバーする最大縮尺の地図では、ヘックスやスクエア1つが36マイルをカバーしているかもしれない。
ダンジョン内でそうするのと全く同じように、キャラクターたちが遭遇する地形の種類、モンスターの巣、居留地、その他の彼らが道筋で出くわすかもしれない注目に値する場所が何であるかを決定するために、野外地図において彼らの移動を辿ること。物事を単純化するために、キャラクターたちは注目に値する場所のあるヘックスやスクエアに入ったとき、それらが特に隠されているのでない限り、それらの場所を発見するものと見なす。キャラクターたちは彼らが入った1マイル幅のヘックスにある廃墟の城の正面玄関に直接歩いてこられるわけではないが、彼らは古い道、廃墟の境界部、その他そこ場所に何かあるという徴に容易に気付くことができる。
視認性:野外を移動するとき、森、丘、その他何らかの障害物によって視界が遮られていない限り、キャラクターたちは晴れた日にはあらゆる方向におよそ2マイル見通すことができる。降雨は<視認>聖を1マイルにまで減少させ、霧は数百フィートにまで減少させる。
キャラクターたちが山や高い丘の上に立っているか、他の何らかの手段で彼らのいる場所を高みから見下ろすことができるのであれば、彼らは見通すことができる距離を20倍する。
地形
野外地形は少数の一般的な分類に分けられて氷原されており、その地形のエリアを通過しての旅がどれくらい困難であるか、また(選択ルールとして)食糧や水を見つけるのがどれくらい困難であるかを示している。
旅の移動に関しては、地形は通常か移動困難かのどちらかであり、移動困難地形はそこを通過してのキャラクターたちの移動速度を半減させる。
もしキャラクターたちが街道や道路に沿って旅をするなら、彼らは周辺の地形に関わりなく、通常の移動速度で移動できる。
地形概略 |
地形 |
旅の移動 |
砂漠 |
通常 |
森林 |
移動困難 |
丘陵 |
通常 |
ジャングル |
移動困難 |
山岳 |
移動困難 |
平地 |
通常 |
街道/道路 |
通常 |
沼地 |
移動困難 |
ツンドラ |
通常 |
野外ターン
これは野外環境を1時間旅し探険するための処理順番である。
1.方向とペース:プレイヤーたちは彼らのキャラクターが移動する方向と、彼らの旅のペースを決める。またプレイヤーたちは彼らの隊列をも決定する:グループ内で誰が正面に立ち、誰がまん中で、誰がしんがりに立つのかを決めるのである。(もし君が選択ルールを使用しているなら、このときに彼らの探険時作業をも決定する)。
2.地図上で進める:キャラクターたちが旅した距離と方向を、彼らの旅のペースと選んだ方向を考慮に入れて決定する。
3.ランダム遭遇:ランダム遭遇を判定し、発生したなら、クリーチャーとキャラクターたちの間で発生する対話遭遇や戦闘遭遇を解決する。
4.環境の効果:極端な冷気などの、環境、天気、あるいは地形の効果を適用する。これらの効果のいくつかはキャラクターたちにセーヴィング・スローを要求するかもしれない。加えて、もしキャラクターたちが強行軍を試みているなら、この時点でその活動に関するセーヴィング・スローを解決する。
探険が続くのであれば、第1ステップに戻り、次のターンの処理手順を繰り返す。
旅のペース
キャラクターたちが選択した旅のペース―速い、普通、あるいは遅い―はモンスターや他の脅威が彼らを不意討ちするチャンスと、彼らが1時間の移動でどれだけの距離を踏破できるか、そして(選択ルールを使っているなら)彼らが旅をしながらどんな作業ができるかを決定する。
プレイヤーたちに、彼らの選択肢に何があるか説明すること:彼らは潜在的な危険についてあまり注意を払うことなく、素早く通過して次の場所へ行きたいのか、あるいはゆっくり移動して道筋にあるあらゆる事柄を詳細に観察して行きたいのか? グループが旅のペースを決定するとき、「旅のペース」の表で彼らの意図に適切なものを選んで使うこと。もしパーティが分離するなら、それぞれの小グループが自分達のペースを選ぶ。
探険グループの旅のペースは、その準備具合を決定する。この要素(準備具合)は、君がいくつかの状況において使用することができる難易度として表現される。たとえば、戦闘開始時に不意討ちを避けるために【判断力】セーヴィング・スローを行なうときや、(選択ルールにおける)キャラクターたちが道に迷う危険があるときに行なう判定などだ。
旅のペースはまた、表に示されている通り、1時間の間にグループが行くことができる最大距離をも決定する。森林、山岳、ジャングル、そして沼地を含む移動困難地形では、旅の移動速度は半減する。たとえば、普通のペースで森林を移動しているグループは、毎時間1マイルまでしか移動することができない。
|>|旅のペース
ペース |
準備具合難易度 |
1時間毎の最大距離 |
速い |
15 |
3マイル |
普通 |
10 |
2マイル |
遅い |
5 |
1マイル |
移動時間
キャラクターは、1日の間に彼あるいは彼女の【耐久力】の値に等しい時間数までは、不利な影響を受けることなく野外を移動することができる。この時間制限には、短時間の休憩、食事、水を飲む、装備品の調整などに費やす時間が含まれる。
強行軍:もしキャラクターがこの制限を超えて進みたいのであれば、そのキャラクターは追加の1時間の終了時に【耐久力】セーヴィング・スローを行なわなければならず、その難易度は10+そのキャラクターの限界を超えた1時間につき+1に等しい。セーヴに失敗すると、そのキャラクターは1レベルの疲労を受ける(サイドバー参照)。
疲労
疲労はそれになったキャラクターの妨げになる他の効果とは異なっており、疲労状態のキャラクターでもさらに疲労状態になり、さらに悪化する。
疲労はレベルで計られる。それを完全に取り除く前にこの効果を追加で被るごとに、1レベルか、あるいはその効果に特記さされている数値分だけその深刻さが増大する。疲労を除去する効果はそのレベルを減少させ、キャラクターの疲労がレベル1より下になるまで減少したなら、すべての疲労効果は取り除かれる。8時間休憩し、1日に十分な食糧と水を摂取したなら、キャラクターの疲労レベルは1減少する。
レベル1:そのキャラクターはあらゆる攻撃と能力判定に“不利”を受け、呪文に精神集中し続けることができなくなる(この効果はレベル2~5の間にも適用される)。
レベル2:そのキャラクターの移動速度は半減する。加えて、呪文を発動しようとするときには、そのキャラクターは難易度10の【耐久力】判定を行なわなければならず、失敗するとその呪文は一切の効果を発揮することなく無駄に消費されてしまう。(この効果はレベル3~5の間にも適用される)。
レベル3:そのキャラクターの移動速度は通常の4分の1にまで減少し、キャラクターの最大ヒット・ポイントは通常の半分に減少する。
レベル4:そのキャラクターの移動速度は0になり、キャラクターの最大ヒット・ポイントは通常の4分の1に減少する。
レベル5:そのキャラクターは0ヒット・ポイントにまで減少し、ヒット・ポイントを回復できなくなる。
レベル6:そのキャラクターは死亡する。
ランダム遭遇
君は1時間毎の終了時に、何者かあるいは何かが冒険者たちの進路を不意に横切ったり、あるいはその逆が発生したりしないか判定する。
その地域の棲息密度がモンスターと遭遇する可能性を決定する(表参照)。ワンダリング・モンスター(彷徨えるモンスター)の判定を行なうには、
d20をロールする。もし遭遇が発生したなら、英雄たちが何と遭遇したか決定するために適切なワンダリング・モンスター表でロールすること。(この表は君が製作するものの1つであるかもしれないし、君が運営する冒険に附属しているものであるかもしれない)。
ランダム遭遇の性質はキャラクターたちが探険している地域に基づいている点に気をつけること。文明化された街道では、モンスターの一団と遭遇するよりも、放浪の鋳掛屋やキャラバンと遭遇する可能性の方が高い。
地域 |
遭遇の可能性(d20) |
疎らな生息地 |
20 |
典型的な地域 |
18~20 |
密集生息地 |
16~20 |
クリーチャーとの遭遇
探険しているグループがクリーチャーと遭遇したなら(それがワンダリング・モンスターであれ、冒険で登場することが指定されているものであれ)、キャラクターは彼らを攻撃しようとしたり、回避しようとしたり、あるいは何らかの手段で対話しようとしたりできる。
隠密行動:プレイヤーたちに彼らが何をしたいか聞く前に、どちらかのグループが相手方に気付いたかどうかを決定する。すべてのメンバーが隠密行動に成功しているなら、一方のグループあるいは他方は気付かれることを完璧に回避できる。そうでない場合、誰かが気付いた側に忍び寄ろうと試みるなら、それを判定するために対抗判定が発生する。
不意討ち:もし片方のグループが他方から隠れているなら、そのグループは戦闘のルールに記載されている通り、不意討ちの機会を得る。さもなければ、各クリーチャーとキャラクターは、その準備具合に応じて決まる難易度に対する【判断力】セーヴィング・スローを行なう。キャラクターたちに与えられる準備具合の難易度は、彼らの旅のペースによって決定される。モンスターたちに与えられるものについては、下記に示すように、警戒度合いに応じて決まる。
警戒度合い |
準備具合難易度 |
低い |
20 |
通常 |
10 |
高い |
5 |
遭遇距離:一般的に、そのエリアの地形やレイアウトによって、グループが互いに気付いたときにキャラクターたちがクリーチャーからどれだけ離れているかを決定する。もしこの距離が前もって決まらないなら、d20+20をロールする。その地域が通常の地形(草原、不毛のツンドラ、あるいは凍りついた湖など)であるなら、この結果に10をかけ、その地形が移動困難であるなら(起伏のある丘陵や森林など)、結果に5を掛ける。この結果の数値が遭遇開始時における2つのグループの間の距離を示すフィート数である。
場所と物を探す
キャラクターたちが作業を実行している間に、特記事項のある場所や物と行きかったときには、彼らに発見したものについて説明し、彼らに適切なアクションを取ることを許すこと。
天気
クリーチャーと遭遇したり、奇妙な場所に行きあったりする事に加えて、キャラクターたちは豪雨、凍てつく冷気、あるいは焼けつく熱気といった普通の天気の危険にも遭遇する。
君は自身のキャンペーンに相応しい天気を選ぶこともできるし、あるいはある日の天気を決定するにあたって下の表でロールすることもできる。1年のその時点の季節に一致する表を使用すること(その地域が温暖な気候にあると見なしている)。この表には温暖な気候地域で見られる4つの季節のそれぞれに1つが含まれており、加えて、砂漠やツンドラのように、特別に暑かったり、寒かったりする気候のために2つが与えられている。また君は、ある地域やエリアの地勢や標高を考慮に入れてこれらの表を使うこともできる。たとえば、山岳のより高い標高においては、温暖な気候にある地域であっても寒冷で雪が降るかもしれない。
温暖/春あるいは秋 |
天気(d20) |
特別な天気はない |
1~14 |
嵐(軽度の雨) |
18~20 |
嵐(激しい雨) |
16~20 |
温暖/冬 |
天気(d20) |
寒冷 |
1~14 |
寒冷、嵐(雪) |
18~20 |
寒冷、嵐(激しい雪) |
16~20 |
温暖/夏 |
天気(d20) |
特別な天気はない |
20 |
暑熱 |
18~20 |
嵐(激しい雨) |
16~20 |
砂漠 |
天気(d20) |
暑熱 |
20 |
暑熱、嵐(砂) |
18~20 |
嵐(激しい雨) |
16~20 |
ツンドラ |
天気(d20) |
寒冷 |
1~14 |
寒冷、嵐(雪) |
18~20 |
寒冷、嵐(激しい雪) |
16~20 |
寒冷な天気
気温が華氏0度(約-18℃)を下回ると、その冷気に晒されているキャラクターは1時間毎の終了時に難易度10の【耐久力】セーヴを行なわなければならない。分厚いコート、手袋などといった寒冷な天気用の装備を持たないキャラクターは、自動的にこのセーヴに失敗する。
セーヴィング・スローに失敗すると、キャラクターは1レベルの疲労を受ける。
嵐
雪、雨、強力な風、砂嵐、その他の危険などの悪天候は、旅の移動速度を半減させ、移動困難地形と組み合わさると合計で4分の1にまで減少させられる。
加えて、特定の種類の嵐には下記の追加効果がある。
砂嵐:視界は50フィートにまで減少し、クリーチャーは不意討ちを受けることを回避するためのセーヴに“不利”を受ける。
激しい雨:視界は50フィートにまで減少し、クリーチャーは不意討ちを受けることを回避するためのセーヴに“不利”を受ける。
激しい雪:視界は50フィートにまで減少し、クリーチャーは不意討ちを受けることを回避するためのセーヴに“不利”を受ける。激しい雪は嵐の後も1d6日間前述した通りに移動速度を減少させ続ける。
暑熱な天気
特別に暑熱な天候(華氏100度以上;約38℃以上)では、その熱気に晒されているキャラクターは1時間毎の終了時に難易度10の【耐久力】セーヴを行なわなければならない。中装鎧や重装鎧を着用していたり、その他の重い衣類を身に着けていたりするキャラクターは、このセーヴに“不利”を受ける。
セーヴィング・スローに失敗すると、キャラクターは1レベルの疲労を受ける。
高い標高
10,000フィート(約3,000メートル)を超える標高を旅する事は、空気中に酸素が不足することにより、特に苛酷である。そのキャラクターがどれだけ旅をする事ができるかを決定する際に、1時間旅をする毎に2時間分の旅をしたものとして扱われる。
疲労状態のキャラクターは10,000フィートを超える標高にいる間、その疲労を軽減するための休憩を取ることができない。
キャラクターとクリーチャーは高い標高に順応することができる。そうするには、この標高で何ヶ月も過ごす必要がある。クリーチャーは20,000フィート(約6,000メートル)を超える標高に順応することはできない。
アンデッド・クリーチャーや人造など、呼吸をする必要がないクリーチャーは、高い標高から悪影響を受けない。
食糧と水
野外では、生存できるだけの十分な食糧と水を運搬することが生存を果たすのに非常に重要である。どちらかを欠かしてしまったキャラクターは疲労の効果を受ける。
水:1人のキャラクターは1日に1ガロンの水を消費し、天気が暑熱であるなら1日に2ガロンを消費する。この量の半分の水しか摂取できなかったキャラクターは難易度10の【耐久力】セーヴを行なわなければならず、失敗するとその日の最後に1レベルの疲労を受ける。それよりもっと少ない水しか摂取できなかったキャラクターは、その日自動的に1レベルの疲労を受ける。
もしキャラクターがすでに1レベル以上の疲労を受けているなら、そのキャラクターはどちらの場合でも2レベルの疲労を受ける。
食糧:1日分の食糧はおよそ1ポンドの重さになる。キャラクターは3+【耐久力】修正値に等しい日数までは食糧なしでやっていくことができる。もしキャラクターが半ポンドの食糧しか食べられなかったなら、それは食糧なしでやっていける日数として半日分として勘定する。通常の1日分の食糧を食べた時点で、食糧なしでやっていける日数の勘定はゼロに戻る。
この期間が過ぎた後は、キャラクターは食糧なしでいる1日につき自動的に1レベルの疲労を受け、半ポンドの食糧を食べただけの1日につき【耐久力】セーヴを行なわなければならず、失敗すると1レベルの疲労を受ける。
食糧とクリーチャー・サイズ
食糧と水に関するルールはキャラクターのサイズが中型であるという前提で記述されている。ホースのような非人型生物をも含め、異なるサイズ分類のクリーチャーは、生命維持に異なる量の食糧を必要とする。
小型サイズのクリーチャーは半分の量の食糧と水を摂取する。
大型サイズのクリーチャーは4倍の量の食糧と水を摂取する。
超大型サイズのクリーチャーは16倍の量の食糧と水を摂取する。
巨大サイズのクリーチャーは32倍の量の食糧と水を摂取する。
超巨大サイズのクリーチャーは64倍の量の食糧と水を摂取する。
最終更新:2014年06月15日 14:11