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54 名前: 共産党幹部(catv?) [書き手] 投稿日: 2007/04/05(木) 13:34:37.87 ID:FhggKygW0 ◇◇◇ ドンッドンッ 扉が強い音でノックされている。 …せっかくの虚無の曜日… 私はこの本を読む。うん。読む。 少し長めだが、性能の良い自分の杖を片手で拾い上げ、くるんと少し廻す。 『サイレント』が発動。 周囲の大気を能動的に制御。瞬時にあらゆる音が消える。 …うん。これで、静かに本を読める。 今日はせっかくの虚無の曜日だもん。 もう私のレベルには届きもしない退屈な授業を聞く必要もない。 でも休日だとサガラに会えない… 本当は『レビテーション』で浮いて取れた本だけど…それを取ってくれたサガラ。 『シュヴァリエ』の称号を持ち、多くの任務をこなして多くのメイジを見てきた 私でも…人間の使い魔なんて初めて見た。とても珍しいサガラ。 ルイズと仲良さそうに話しているのをよく見かける。 キュルケがかっこいいとか逞しいとかうっとりしているのを聞かされる。 これはいつものこと、だけど。 55 名前: 共産党幹部(catv?) [書き手] 投稿日: 2007/04/05(木) 13:35:15.77 ID:FhggKygW0 サガラ… サガラ。 見たことの無い服装で、高いレベルのメイジや戦士特有の強い瞳で、 粗暴なようで意外と純朴で緻密な人柄… いけない、1ページ分何を読んでいたのかわからなくなっている。 戻って読み直さねば… うん。いや、もうやめよう。本の内容に集中したい。 集中集中… 集中集中… 視界の片隅で赤色が動いている。 この色は… キュルケの髪… 本が奪われた。肩をつかまれて揺すられた。 むぅ…本読んでたいんだけど、でもキュルケだし。 杖を一振り、『サイレント』を解除する。 「タバサ!今すぐ出かけるわよ! 準備してっ」 急に音を取り戻した部屋で、動きを取り戻したオルゴール… もっと激しく炎のようにまくしたててくる。 56 名前: 共産党幹部(catv?) [書き手] 投稿日: 2007/04/05(木) 13:35:37.38 ID:FhggKygW0 「虚無の曜日…」 カレンダーを指差す。そう、今日は虚無の曜日なのだ。 私もキュルケも休日は、主に私は本にキュルケは男の子に夢中であり それぞれの休日を過ごすのが常である。 「わかってる、わかってるわ!でも私は恋をしてるの、恋! わかる!?ソースケにこの『微熱』の炎が燃え上がっちゃったのよ!」 ソースケ… サガラか。うん、ここ最近はずっとサガラの話をしていた。 なるほど、今回はサガラに熱をあげたのか。 でも、それがいったいどうして『出かける準備』に繋がるのだろう… よくわからない。 「あぁそうね、あなたは説明しないと動かないのよね! 私の恋人(予定)が!愛しき人がっ、あのにっくきヴァリエールと出かけたのよ!? しかもっ!しかも1頭の馬に2人で相乗りしてたの! 私は追いかけなくちゃいけないのよ! この『微熱』の燃えるままに!!」 まくしたてるキュルケ。でも私達の間の不文律、キュルケが説明したら、 私が断らなかったら、お互いを可能な限りを超えて助けるという無言の約束… 仕方ない。この本はまた今度… いや、移動中でも読めるだろう。 57 名前: 共産党幹部(catv?) [書き手] 投稿日: 2007/04/05(木) 13:36:07.27 ID:FhggKygW0 立ち上がって窓際へ向かう。窓を大きく開け放ち、使い魔との感覚をリンクする。 シルフィード。こっち。いくよ。 数秒もしないうちに大空から黒くて大きな影が降りてくる。 それは逆光を脱すると蒼くきれいな体躯を持つ風のドラゴンの姿を見せた。 私の使い魔、シルフィード。 風のドラゴンであり、その両翼は広げると7mにもなる。 ひそかに私の自慢の使い魔だ。 「いつ見ても、あなたのシルフィードは惚れ惚れするわね」 キュルケが褒めてくれる。シルフィードも喉を鳴らして喜んでいるようだ。 私も嬉しい。えへ。 「…2人、どっち?」 大まかな方角でもわからないことには追いかけることは難しい。 虚空を指差してキュルケにたずねる。 「ごめん、わかんない。慌ててたんだもの」 むぅ… でもシルフィードならきっと大丈夫だと、思う。 やれるよね? シルフィードが頷く。 58 名前: 共産党幹部(catv?) [書き手] 投稿日: 2007/04/05(木) 13:36:51.51 ID:FhggKygW0 「馬1頭と人間2人。食べちゃダメ」 了解と、でも言いたげに…これはサガラか。 こちらに背を向けるシルフィード。 窓から広い背中に飛び乗る。続いてキュルケも。 すこし鼻をひくひくさせて首を回して周囲を見ると、シルフィードは一直線に 加速を始めた。 忠実で優秀な使い魔が仕事を始めたのを確認した私は、 キュルケの手から本を奪い取り、強い向かい風を小さな魔法で遮りながら、 続きを読み始めた。 …サガラがルイズと、相乗りでどこかに… 内容が1ページ飛んだ。 本に集中。 ◇◇◇ 80 名前: 共産党幹部(catv?) [書き手] 投稿日: 2007/04/05(木) 14:48:04.08 ID:FhggKygW0 ◇◇◇ トリステインの城下町を、半ば寄り添うようにして俺とルイズは歩いていた。 といっても今あるいているメインストリートは道幅が5m程度で、 さらにはそくに露店や店からはみ出た商品がならび、また多くの人々で ごったがえしていることもあり、それは必然といえば必然だ。 むしろ離れて歩けば、人の流れに飲まれてはぐれる可能性も否めない。 「む、ここは…いつものこれだけの人数がいるのか…?」 「さ、さぁ…。よく来るわけじゃないnaiからわからないけど… でも確かにこれはせまいわね…」 「あぁ、確かに貧民街のメインストリートならこれぐらいの混雑は珍しいことではないが… むぅ…」 腰に僅かな違和感があった。迂闊だ。 確かに馬に乗りなれていないということはあったのだが、3時間馬に揺られただけでこの様とは… この世界での、超常に頼らない交通手段は馬が主であるようだった。 ここに来る途中にも街道で何台かの馬車を見かけた。そして逆に原動機などの 機械を使用した車やバイクなどはひとつも見かけていない。 馬になれる必要があるか…いや、馬になれる前にこそ帰るべきなのだろうがな。 ここで書き手に規制かかったっぽい?
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