和泉式部

   和歌

  •   播磨の聖の御許に、結縁のために聞えし

冥きより冥き道にぞ入りぬべき はるかに照らせ山の端の月

  →『拾遺集』に一首だけ収録された、和泉式部の初出歌
   雅致女式部(まさむねのむすめのしきぶ)名義
   後に『和泉式部集』に収録された際の詞書には、性空上人に結縁する際の歌とされている

  →『法華経』の文を下敷きにした歌。
   「冥キヨリ冥キニ入ッテ永ク仏名ヲ聞カズ」という一節がある。


  •   五月五日、菖蒲の根を、清少納言にやるとて
これぞこの人の引きけるあやめ草 むべこそ閨のつまとなりけれ  和泉式部
   かへし
閨ごとのつまに引かるる程よりは ほそくみじかきあやめ草かな  清少納言
   また、かへし
さはしもぞ君は見るらんあやめ草 ね見けん人にひきくらべつつ  和泉式部

  →清少納言との贈答歌。菖蒲の根は邪気を払うと言われていたので
   贈答品としておくられ、軒に吊るして病気を防いだという。
   和泉式部の歌は
  「これこそ人みなが好んで引いた菖蒲草です。ごらんなさい閨の妻となったのも道理ではありませんか」
   くらいの意味。
  →対して、清少納言の返歌は直截で、
  「閨ごとの妻に引かれると仰いますけれど、それにしては思うほどよりは細く短い菖蒲草ですこと」
   和泉式部も直截に応答して、
  「まあ、そんなふうにごらんになるのですね、菖蒲草を共寝した方と比べたりなさって」
   ……という、互いに挑発的なやりとり。
  (zsphereコメント。まぁ要するに、清少納言が開けっぴろげなせいで
   かなりアダルトな会話になっているというw)
最終更新:2010年11月22日 11:07