M:蘇生術・若返り術

ヘカテと、「青春(ユウエンタ)」との二つの祭壇を作り、
   地に二本の溝を掘り、そこに羊の血を注ぎ込んで、一杯の葡萄酒、あたたかい乳を加え、これに浸した
   たいまつを灯す。
   世界各地から取ってきた種々の薬草を鍋の中に入れ、極東から取り寄せられた石くれ、
   大海の引き潮に洗われた砂、満月の夜に集められた白霜、ワシミミズクの翼と肉、狼男のはらわた、
   キニュプスの河に住む水蛇の薄い皮、牡鹿の肝臓、九代を生き延びた鳥の嘴と頭を入れて煮こんだ。
   この薬液に枯れたオリーブの枝を浸すと青々とした緑を取り戻し、鍋からこぼれた滴が落ちた地には
   花々や青草が萌え出たという。
   そしてアイソンの喉を切り裂いて古い血を流れ出させ、血管を薬汁で満たすと、白かった髭と髪が黒くなり、
   見事に若返ったという。




      参考文献

『変身物語(上)』オウィディウス



最終更新:2014年09月20日 04:25