ヘレネ

  • 『イリアス』『オデュッセイア』他、トロイア戦争に関する諸作品の登場人物。

  • 彼女がメネラオスの下から連れ去られた事が、トロイア戦争の原因となった。



   エジプトナイル川河口付近に漂着し、拘留されてメンフィスに送られて、
   メネラオスの下から財宝やヘレネを奪取した事を難詰されて、これらを置いたうえでの国外退去に処されたという
   メンフィス祭司の話を紹介している。
   またそれゆえに、メンフィスのプロテウスを祀った神域内に、「異国のアフロディテ」という社があり、
   これはヘレネを祀っているのだという自説を記している。
(実際には、この社はフェニキアの女神アスタルテであろう、と岩波文庫版の注にはある)


   ここにヘレネとメネラオスを祭った社があった事が知られている。
   ヘロドトス『歴史』巻六によれば、スパルタ王アリストンの三人目の妻は元々不器量な娘だったが、
   乳母がこの娘を毎日ヘレネの社に連れて行ってお参りをさせたところ、
   ある日の帰り際に一人の女が現れて抱いている娘を見せてほしいと言い、見せると子の頭に手を置いて
   この娘はやがてスパルタに並ぶ者のない美人となろうと告げ、それ以降目に見えて娘は美しくなっていったという。


      参考文献

『歴史(上)』ヘロドトス
『歴史(中)』ヘロドトス


最終更新:2015年10月12日 22:10