アリスカン墓地


  • 世界遺産「アルルのローマ遺跡とロマネスク様式建造物群」の中のひとつ。


  • ティルベリのゲルウァシウス『皇帝の閑暇』に、キリストの七十二人の弟子のうち選りすぐりの司教たちが
   この地に信徒たちの骸が安眠できる荘重な墓地を作ろうと決めたのがこの墓地であると記されている。
   司教たちによる奉献式の際にはキリストが以前人間であった頃の肉体をまとって親しく現れ、
   「この墓地に埋められた者は誰であれ、悪魔のまやかしに苦しめられないだろう」と祝福されたという。
   そのためガリアの最も傑出した君主や教会人たちがこぞってここに遺骸を埋めるようになり、
   四輪車や二輪車、馬などの他、ローヌ川の流れに任せて棺を運んだという。
   さらに同書によれば、そのように川に流された棺は決してアルル市の境界を越えなかったと言い、
   また棺には聖なる墓地へのお布施であるかのように金銭を納めることになっていたが、
   ある時若者たちがこの金銭をくすねたところ、棺は同じ場所でくるくる回って決して下流に流れようとせず、
   それによって事態が発覚したことがあったという。



      参考文献
『西洋中世奇譚集成 皇帝の閑暇』ティルベリのゲルウァシウス



最終更新:2016年11月18日 05:48