輝安鉱

  • 英名Stibnite(スティブナイト)。Sb₂S₃ 三硫化二アンチモン

  • レアメタルである原子番号51アンチモンの鉱石鉱物として貴重。


  • 『続日本紀』文武天皇二年(698年)に記された朝廷への献上品に「伊予国献白[金へんに葛](しろめ/びゃくろう)」「伊予国献[金へんに葛]鑛(すずかね)」とあり、
   通常これらの言葉はスズを指すが、伊予国にはスズ鉱山は無く、そのためここで記載されている
   献上物は輝安鉱だったのではないかと考えられているという。

  • アンチモンは富本銭をはじめとする七世紀後半から八世紀前半の銅銭・銅鏡に含まれている事が知られている。
   通常、これらの素材としては銅とスズの合金である青銅が一般的だが、日本にはスズ資源が比較的乏しく、
   中国からの輸入に頼らざるを得なかったため、大体素材としてアンチモンが用いられたと考えられる由。
   ただし、加工が難しく品質が安定しないため、やがて廃れたとされる。

   好評を博し、これを機に海外に多く売られ、大英自然史博物館やアメリカのスミソニアン博物館
   カナダロイヤルオンタリオ博物館、ドイツベルリン自然史博物館フランス国立自然史博物館など
   名だたる博物館に所蔵されている。


      参考文献

国立科学博物館「大英自然史博物館展」図録
最終更新:2017年05月26日 23:47