道鏡

  • 平安末成立の『七大寺年表』によれば、
   道鏡は河内国人、弓削氏出身、天智天皇の孫志基親王第六子。
   僧義淵の弟子で、葛城山に籠り如意輪法を修し苦行極まりなし、
   療養中の孝謙天皇が彼を召し、宿曜秘法を修せしめたところ験あって平癒、
   それにより天平宝字七年(763年)、少僧都に任ぜられたと。

  • ただし、皇胤という伝えには疑いもある由。

  • 天平宝字七年七月二日、道鏡が四十巻の経典を写させた記事。
   その内訳をみると、『大金色孔雀王呪経』をはじめとする
   孔雀王呪関係経典四種七巻、
   『十一面観世音神呪経』『十一面神呪心経』『陀羅尼集経』等。
   これが道鏡の修法に使われていた経典とすれば、医療面の修法が得意だったのではないか、とのこと。

  • 京都栂尾の高山寺所蔵『宿曜占文抄』(文治四年の書写)によれば、
   道鏡は宿曜秘法を孝謙天皇に伝授したとし、
   藤原仲麻呂の反乱もこの修法のために無事平定されたとする。

(『日本陰陽道史総説』村山修一)



最終更新:2011年08月08日 10:43