アユ

  • 日本の国魚。ただし中国では雑魚扱いの魚だとか。

  • 水苔を食べるため、独特の香りを持つ。故に中国名を「香魚」という。

   腰の衣裳の糸と針、飯粒で釣りをし、「もし事成るなら川の魚よ餌にかかれ」と言ったところ、
   かかったのが細鱗魚=アユだったという。
   この時皇后が「めづらしき物なり」と言った事から、その地を「めづらの国」と
   言うようになり、のち転訛して「松浦」となったという。

  • 「鮎」の字は、中国ではナマズを指す。
  • 江戸時代、既に「鮎」をアユにあてる誤りは知られていたが、それでもこの字を使う理由として
   『本朝食鑑』は「神宮皇后が占いに用いた魚であるからこの字をあてねばならない」としている。

  • 『日本書紀』に、天智天皇が崩御した時に流行した時に流行した童謡を載せる。
    み吉野の 吉野の鮎 鮎こそは 島辺も宜き
    え苦しゑ 水葱のもと 芹のもと 吾は苦しむ
   当時、大海人皇子は出家して吉野におり、その大海人皇子の境遇を
   アユに見立てた歌と読み得る。

  • 愛知県の「アイチ」は、古く年魚市(あゆち)といった事に由来するという。
   『日本書紀』にも、「日本武尊が佩かしし草薙剣は、今尾張国年魚市の郡の
   熱田の社にあり」とある。
   『延喜式』にも、尾張から煮塩年魚が貢献された事が記されており、おそらく
   アユが獲れる地、の意味だったと思われる。

(『世界大博物図鑑2 魚類』荒俣宏)


最終更新:2011年10月12日 11:51