後藤喜一

登録日:2020/12/31 Thu 22:26:03
更新日:2024/04/22 Mon 23:14:03
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みんなで幸せになろうよ





プロフィール

ごとうきいち
機動警察パトレイバーシリーズの登場人物
CV:大林隆介
実写版のシルエットは瀧伸

警視庁警備部特車二課第二小隊の隊長を務める中年男。階級は警部補。
東京都台東区入谷の出身で、大学を卒業後に警視庁へ奉職。派出所勤務からスタートして新宿署や本庁公安課等を経て特車二課の隊長職に収まった。

本庁時代は"カミソリ後藤"の名で知られた切れ者であった。
が、とある理由によって閑職である特車二課に島流しも同然に左遷されたとされる。親交の深い松井刑事に言わせれば「キレすぎた」為であるらしいが詳細は不明。
そういった過去やプライベート等も含めて謎の多い人物で、部下の隊員達がそれを探ってやろうと盛り上がっていたこともあるが、大体は煙に巻いている。

二課にやって来てからというもの「切れ者」として鳴らしていた過去を微塵も感じさせない風貌と振る舞い。緩めたネクタイに水虫予防の為にサンダル履き、気怠るそうにタバコを吸ったり新聞を広げるその姿は正しく昼行灯
だが、いざというときは往年の冴えっぷりを存分に発揮し、更には人を自分の意のままにコキ使う動かす油断のならない男。

競馬、ゴルフ、カラオケ、釣り等々多彩に趣味を持つ。
ベテランの警官らしく柔道は黒帯の腕前だが、特に発揮される場面はない。

隊長として

上位下達の階級社会である警察組織にあって「命令も強制もしない」をモットーとし、部下の隊員に対して階級や役職に物を言わせるようなことも一部の例外を除いてあまりなく、各々の自主性を尊重する放任主義。

普段の訓練から出動先での立ち回りまでを自由にやらせており、自分がだらしないこともあってハメを外すことにも寛容。
更にはそれで失態を犯すようなことがあっても怒鳴り込み散らすようなことはない。

無論完全に放置を決め込んでいるわけではなく、現場では自由にやらせつつも時と場合を見て助言を与え、目に余るようなことがあればそれとなく諌めて自制を促している。
基本的には柔らかい態度で諭すことが多いものの、時には厳しい態度で迫ることもあり、胸ぐらを掴んで凄味を利かせた場面もあった。

また隊内の士気や人間関係にも気を回しており、年若く未熟な部下達に社会人の先輩としてアドバイスを送ることも。また、慣れないフォローに苦心することもあり、野明と香貫花の間に諍いが起きたと見るやわざわざ金を借りてまで飲み会を催している。


このように気配りの巧みさや部下に責任を持っていかない懐の深さを見せる後藤であるが、本当の意味で無気力な者や見込みのない者は全く相手にせずに早々と愛想を尽かす一面もあり、
劇場版二作目では南雲が不在であるにも拘わらず第一小隊に任務を引き継いで帰りたがる部下に「まぁ、良いか」と帰宅を認めながらも本人が去った後で「良い訳ないじゃないの」と嘯いている。
導いても救えないものは早々に切り捨てている、ようなもの。


才気

何もない時はいい加減でテキトーなオヤジであるが上にも書いた通り往年から培ってきた頭脳の切れ味は健在。
長年警察官として勤め上げてきた経験と余念なく収集した情報に裏付けされた洞察力は中々のもので、内海や帆場・甲斐や柘植といった「見えない敵」の行動や目論見をいち早く予見し、捕まえる為のお膳立ても怠らない。

「正義の味方」としての己の信念から事件解決という目的に手段を選ばず、責任問題をちらつかせて上層部に黙認を決め込ませるのは最早十八番と言っていい。
人使いもかなり荒く、個人的な興味から遊馬や松井といった他人をタダ働きも同然にコキ使って調べさせたり、上司の福島課長に無茶な手回しを要求したこともあった。
この男の策謀に振り回されながらも頼まれたことに応えてみせる彼らの苦労は察するにあまりある。

ミニパトでは特車二課の貧相な食糧事情と財政を解決するべく、秘密裏に整備班特製『ハゼの干物』を密売する大規模なネットワークを作り上げたことが語られ、南雲隊長から「警察官になっていなければ、稀代の詐欺師になっていた」と評された。

後藤の悪知恵・謀略に割りを食わされる人間は数多く、とある元上司は後藤本人や第二小隊に嫌がらせを繰り返した挙げ句自作レイバーによる二課棟襲撃という暴挙に及んでいる。

人間関係

本庁に所轄、果ては商売敵までありとあらゆる方向に人脈とコネを持ち、それらを通して非公式な協力を取り付けたり持ち出し禁止の資料を入手したりするのはお手のもの。
こういったシンパの中で特に親交が深いのが捜査課の松井刑事であり、プライベートでも情報交換に勤しみつつ一緒に飯を食べたりしている。

一方、上司の側からしてみると「何をしでかすかわからない」ところや、自分以上の能力を垣間見せるところが不気味がられているようで、嫌われる描写が多い。
後藤の側もしばしば(無能と見定めた)上司に責任を押し付けたり、ひどい時には策略でもって破滅に追い込んだりしている時がある。
あまりにも機敏すぎる割に掴みどころがないため、「使う側」の上司にとっては「使いにくい」としか思えないようだ。

もっとも、漫画版の福島課長とは何だかんだで息の合うところも垣間見せており、
福島課長が強い信念や優れた直感を垣間見せた際には(課長も警察官だよ)と頼もしげな表情を浮かべている。
まあ、事件後に上手いことやって全額課長のポケットマネーで課の飲み会をやらせたりもしてるが

アーリーデイズでは学生時代に思想家の甲斐冽輝と交流があり志を共にしていたが、彼が過激派ということもあり後に決別している。

人望は厚いが女性とはあまり縁がない様子。
同僚である南雲しのぶとは頭が上がらないと同時に高い信頼を寄せるさながら熟年夫婦のような関係であるが中々進展には至らない。とあるエピソードで一緒に一夜を過ごした時は千載一遇の好機があったものの、「あと一歩」が踏み出せず終わっている。
小説版「ブラックジャック」では祐子という名の妻との死別が語られており、昼行灯と化した要因の一つとされている。*1

実写版での特車二課隊長で自身の再来とも呼ばれる後藤田継次は後輩であり、彼の隊長就任以前から面識がある。
彼からは尊敬されているようだが、後藤自身は詰めの甘いところのある彼の手腕を「一言余計」と評している。

余談

  • 話し方、口調は担当声優の大林隆介に寄せて作られたらしい。ちなみに大林氏は小さい頃父親に「昼行灯」と言われていたといい、後藤も「昼行灯」と言われてびっくりしたと語っている。

  • キャラクターの造形は俳優の仲代達矢で、「みんなで幸せになろうよ」という名言は仲代氏が映画で言ったセリフである。

  • 名前の元ネタは警察OBで官房長官も努めた後藤田正晴氏と元首相の宮沢喜一氏から。「後藤田」の名は劇中で何度か偽名に使われている他、後任の隊長に就任した後輩も後藤田という名前である。
    ちなみに後藤田氏も「カミソリ」というあだ名があったが、「切れ者→切れ者と言えばカミソリ」からの着想が元になっているとのことなので、こちらは別に元ネタという訳ではない。

  • 実写版では太田・進士と共に小さな警備会社を設立するも、放漫経営が祟って一年足らずで倒産したとのこと。その後の消息は分からないが劇中でその後の二課に関わる行動をとっている。

  • 今野敏原作の「安積班シリーズ」の1作『夕暴雨』にも名前で登場。この作品では、主人公・安積剛志警部補の同期という設定。

  • 押井監督に言わせると後藤が部下の中で思い入れがあるのは実は太田らしい。何でも「自分にないものがあるから」とのこと。






だから、追記・修正しろと言ってるんだ!!







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最終更新:2024年04月22日 23:14

*1 ただ、パトレイバーシリーズはすべての作品を同一の世界線で並べている訳ではなく、この設定がアニメ版や漫画版に反映されているかは不明である。