カトキハジメ

登録日:2012/06/24(日) 07:33:35
更新日:2023/12/14 Thu 16:24:12
所要時間:約 6 分で読めます




カトキハジメは日本のメカデザイナー。埼玉県出身。1963年12月3日生まれ。本名は加藤 一。

主にアニメやゲームのメカデザインやリファインを手掛け、今日の日本の創作・キャラクター界を代表するメカデザイナーの一人である。


◇カトキハジメとガンダム
同人作品でイラストレーターとしての手腕を磨き、1986年の『機動戦士ガンダムΖΖ』でプロデビュー。
しかし大先輩である出渕裕との対談で「(デザインした機体について)どうだった?」と訊かれた際、「ΖΖという作品自体許せないので別にどうでも良い」と、突っ慳貪な返答をしている。

1989年には雑誌モデルグラフィックスの企画『ガンダム・センチネル』でキャラクター・メカニック双方に於いてメインデザイナーを兼任。後期主役機であるEx-Sガンダムの複雑で緻密なルックスは「カトキハジメの最高傑作」との呼び声も高い。

1991年のOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』ではガンダム試作1号機(GP01)のデザインアシスト、後期主役機であるガンダム試作3号機(GP03)のデザイン他を担当。
しかし大先輩河森正治が担当したGP01のフォルムに対し、「格好悪い」「こんなものファンは喜ばない」等と、ここでも辛辣な意見を述べている。
肝心のGP03は彼自身をしてオーパーツと呼ぶべき代物で、特に時代考証を重視するファンからは公開当時から不評であった。

1993年の『機動戦士Vガンダム』のデザインコンペにて、巨匠・大河原邦男から遂にTVシリーズ初のメインメカデザイナーの座を勝ち取る。
流石の彼もその重圧に苦しみ、大河原のアドバイスを受けつつ、主役機ヴィクトリーガンダムを完成させた。
その実力は御大・富野由悠季監督も「彼のデザインに助けられた」と語るものの、それと同時に「ゴテゴテし過ぎ」「ガンダムに囚われ過ぎている」との評価も下されている。
特に後期主役機のV2ガンダムのデザインは非常に辛辣な評価を下され、小説版に於いてV2ガンダムは登場せず、セカンドVガンダムと呼ばれるヴィクトリーのパワーアップバージョンに差し替えられた。

続く『機動武闘伝Gガンダム』『新機動戦記ガンダムW』では主役機に大河原氏のデザイン案が採用され(Wの量産機はカトキ氏がメインを務めた)、『∀ガンダム』にて自ら参加を表明するも断られた経緯がある。
一方OVA『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』ではメインに抜擢され、女性ファン層にアンケートを採りそれをデザインに反映させ、結果的に多くの支持を集めることに成功するなど型破りな面も。

2007年『機動戦士ガンダムUC』では久々にメインに復帰。
「MSが変身する」という意欲的なアイデアが話題を呼び、旧シリーズに登場するMS群のリファインには過去作のファンからの評価も高い。

メカの造形にも深い造詣を持ち、前述のGガンダムの主要MF、マスターガンダムのマントシールドの可動ギミックに頭を抱えていたバンダイホビー事業部の社員に対して図解書類を送付し、あっさりと解決したという逸話がある。
これが元でマスターグレードシリーズのデザインを担当することになり、ユニコーンガンダムの変身ギミックはそういった経験に裏打ちされた最たる物であると言えよう。
マスタグレードV2ガンダムの開発時には試作に自らパテを盛って形状を指示していた。

リファインに於いては原典に忠実なデザインを手掛ける一方で、独自のアレンジを加えたVer.Ka(バージョン・ケーエー)と呼ばれるシリーズが存在する。
より洗練された造型や現実的解釈によってデザインされた姿にはファンも多いが、表記をそのまま読んだ「バカ」等と呼ばれることも。

後に『GUNDAM FIX FIGURATION(G.F.F.)』をはじめとするハイエンドフィギュアシリーズや、『RealG(通称お台場ガンダム)』でも頭部他各所デザインを担当、
バンダイゲーム事業部が展開するガンダム作品シリーズにはカトキデザイン版が採用される等、活動の場を広げた。


◇カトキハジメとヒュッケバイン
『スーパーロボット大戦』シリーズに登場のスパロボオリジナル機体、ヒュッケバイン。これも彼の手によるものだが、
ある時を境に、ヒュッケバインのイラストはおろか各種キット、イラストすらもが悉くお蔵入りという憂き目に遭う。
昨今ではヒュッケバインが登場するシリーズでも、発売前情報ではその存在は徹底的に秘匿される。
各種攻略本や設定資料集でもゲーム中のグラフィックのみでイラストも掲載されず、メディアミックス作品に於いては呼称は型式番号で為され、名前すら出てこない。
ヒュッケバインはオリジナル機体の中でも特に人気が高く、この異常とも取れる扱いには多くの疑問が残る。
『ヒュッケバイン問題』と言われるこの騒動の原因は明らかにされてはいないものの、「顔がガンダムに似てるから」という理由でバンダイまたは創通から警告を受けたとの説が有力とされる。

ヒュッケバインの関連機体であるSRXシリーズ、エクスバイン、エグゼクスバインなどのデザインも手がけており、アニメスーパーロボット大戦OG ジ・インスペクターではエクスバイン登場回の作画監督を務めている。

◇カトキ立ち
カトキハジメのデザイン画でよく目にするあのポーズのこと。これは氏が、ロボットの地に脚が付かないデザイン画に違和感を覚え編み出したものであり、
顎を引き、腕は軽く曲げ、脚は肩幅よりやや広く開き、向かって右斜め45度辺りから投影するもの。
右斜め45度というのは「物体が一番格好良く映る角度」という見解もあり、カトキハジメ本人も「一番見映えするポーズ」と評している。

◇カトキハジメ(うじ)、カトキ(うじ)
日本では文章で敬称を使う場合、大抵「()」をつけるのが慣例であり、カトキハジメも大抵「カトキ氏」と呼ばれる。

それとは別に、吉崎観音が執筆した漫画「ケロロ軍曹のガンプラレポウト」に登場する筋骨隆々とした顔がガンダム(またはGP-03)のカトキハジメを指して、「カトキハジメ(うじ)」と呼ぶ(漫画内の呼称)
「リファイイイイイン」という擬音で命を削りながらモビルスーツをリファインしたり、「お前は今までに盛ったモリモリくんの量を覚えているのか?」とモデラーにしかわからないジョーク*1を飛ばしたりしていた。
先生役になって生徒たちに「カト公」と呼ばれたりもしており、こちらで呼ぶファンもたまにいる。

◇キャラクターデザイナー・イラストレーターとしてのカトキハジメ
このようにメカデザイナーとしての名声を欲しいままにしているカトキ氏だが、イラストレーターとしての技量も知る人からの評価が高い。

ガンダム・センチネル-ALICEの懴悔-では各キャラクターのキャラクターデザインを担当。男臭い物語にふさわしく、劇画風の渋いデザインで統一されている。

いわゆる「萌絵」も描くことができ、アンソロジーコミック『涼宮ハルヒの絢爛』にハルヒのイラストを寄稿(後にこのハルヒをモチーフとしたフィギュアがシリーズ化された)
他にも初音ミク電脳戦機バーチャロンのコラボ機体「フェイ・イェンHD」のデザインついでにミクのイラストを描いたりもしている。

他にもアイカツ!122話ではまさかの絵コンテを担当して視聴者を驚かせ、ライトノベルとある魔術の禁書目録電脳戦機バーチャロンシリーズのコラボ企画『とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』では、キャラクターデザイナーのはいむらきよたかに代わり全ての表紙絵・挿絵を手がけている
メカデザイン専門というわけではなく、デザイン関連なら割と何でもやるタイプの人なのである。

◇その他
コナミが発売した『ポリスノーツ』には同業者であり同社社員の新川洋司からの推薦により、EMPSと呼ばれるパワードスーツをはじめ、スペースコロニーや月面基地施設等の総合的なデザインを担当。
セガが開発した『電脳戦機バーチャロン』シリーズに、こちらも同社社員尾崎弘一の紹介で参加。尾崎はかつて『ガンダム・センチネル』に立体造型担当として参加していた縁があり、
背中にセガサターン乃至ドリームキャスト型のVコンバータ(所謂エンジン。起動時には展開し中にあるVディスクと呼ばれるCD状のパーツが展開する)を背負ったロボット、バーチャロイドのデザインは大きな反響を呼んだ。
ちなみに、同シリーズのスピンオフドラマCD『"CyberNet Rhapsody" Episode#14』に於いて、フェイ・イェンの擬人化イラストを掲載している。



追記・修正(Ver.ka)をお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • メカデザイナー
  • イラストレーター
  • ガンダム
  • ガンプラ
  • 変態
  • カトキ立ち
  • カトキ氏(うじ)
  • 足長小顔ロボ
  • Ver.ka
  • バカ
  • イケメンメカの父
  • スタイリッシュ
  • カトキハジメ
  • アイカツ!
  • 埼玉県

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年12月14日 16:24

*1 モリモリとは模型用のポリエステルパテの商品名