ビッグブーツ(プロレス技)

登録日:2012/01/29(日) 23:14:50
更新日:2024/02/02 Fri 21:59:21
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◆ビッグブーツ

「ビッグブーツ(Big Boots)」はプロレス技の一つ。
所謂プロレス式のハイキックであり、旧来より多くの使い手が居る。
近年はWWE等のアメリカンレスリングに倣い「ビッグブーツ」の名前で呼ばれる事が多くなったが、以前は単にハイキック(フロント)と呼ばれていた。
日本人で最大の使い手は、矢張り故・御大ジャイアント馬場だろう。
馬場の「十六文キック」は、長らくプロレスファンを虜にする必殺技であり続けた。

技の要領から馬場の例を引き合いに出すまでも無く、巨人や大型レスラーに使い手が多いが、鋭いキックを武器にする格闘系のレスラーにも好んで使用する選手が多い。

非常に単純な技の為に、格闘技としては実用性が低いとする意見もあるが、
実際には顔面の高さまで足をピンと伸ばした状態で振り上げるのは難しく、尚且つ威力を維持する事自体が技術なのだと言える。
……事実、予想外のリーチや死角から振り上げられると云うポイントにより、例の如く単純ながら危険な技である。


【バリエーション】

◆通常式
その場で足を振り上げ、相手の顔面を蹴飛ばしていく。
ラリアットが得意な選手に対しては腕にカウンターを合わせる攻防も見られる。


◆カウンター式
要領としては通常式と同じだが、ロープに振った相手や走り込んで来た相手に合わせる。
ジャイアント馬場の十六文キックは、この方式で使用されていた。


◆ランニング式
近年の主流。
自ら走り込んで、勢い良く相手の顔面を蹴飛ばす。
体重のある選手の場合はフィニッシュにもなり得る。
選手によっては飛び上がりながら蹴り込むジャンピング式を使用する選手も。


◆串刺し式
相手をコーナーポストに振り、対角線を走って仕掛けるビッグブーツは迫力満点。
特に川田利明の物が有名。


◆二段式
「ポンプキック」とも。
蹴り込むと見せかけて、インパクトの瞬間にもう片方の足で顔面を蹴るフェイント技。


【主な使い手】

ジャイアント馬場
「十六文キック」
師・力道山アントニオ猪木と並ぶ日本プロレス界の始祖。
馬場の長身でバランス良く足を振り上げる事自体が、実は凄い事であった。
晩年は足の骨折や年齢もあってかロープに凭れながら足だけ振り上げていたが、
若手時代は縦横無尽にリングを走り回るスタイルだった馬場は、相手の頭部が吹き飛ぶ位の勢いで蹴りをかましていた。


アンドレ・ザ・ジャイアント
「十八文キック」
プロレス史上最大の「大巨人」
身長や体重で、それぞれに確かにアンドレを超える選手なら居るが、総合点でアンドレを超えた巨人レスラーは二度と出現しないであろう。
馬場のサイズを超えると云う意味で、その蹴りは十八文キックと呼ばれた。


ハルク・ホーガン
アメリカンプロレス史上、最・最高峰の超人。
ギリギリまでやられておきながら、体を震わせ立ち上がり(ハルクアップ)→相手を指差し「You!」(観客も)→パンチを三連発→ロープに振ってビッグブーツ
→必殺のレッグ(ギロチン)ドロップに繋ぐのが必殺パターン。

……威力を超えた様式美の極致である。
因みに、これが日本マットだとロープに振ってからのアックスボンバーが+αでフィニッシュになる。


川田利明
全日本プロレス四天王の一角たる、黄金の90年代を代表するトップレスラー。
保守的な全日本で、キックを取り入れた反骨の男は、決して恵まれたとは言えない体格ながら、この技を得意とした。
串刺し式を仕掛ける際の特徴的な「ディヤァァァァァァァァァ!!」と云う掛け声は有名だが、本人はファンが掛け声を合わせるのを好きでは無かったらしい。


蝶野正洋
「ケンカ(ヤクザ)キック」
実際には足を真っ直ぐ振り上げるビッグブーツと、股関節を開き横方向から顔面を蹴るケンカキックは全く別の技なのだが、同一のカテゴリーで紹介される事が多い。
元々はレガースも付けずに他人を馬鹿力で蹴りまくるライバル橋本真也に腹を立てた蝶野が、仕返しとして橋本の顔面を蹴り飛ばしたのが最初。
本気の蹴りを受けて、ムチウチ(&脳震盪)に追い込まれた橋本は自分を棚に上げて暫く愚痴っていたらしい。


◆田上明
「ダイナミックキック」
全日本プロレス四天王の一角にして、2代目「NOAH」社長の眠れる火山。
巨体を浮かせるジャンピング(ダイビング)キックはフィニッシュにも使用される。


◆高山善廣
自らの力と才覚でプロレス界を渡り歩く帝王。
肉体に貫禄が付いて以降は、伝統的なプロレス技も身に付けたが、ビッグブーツもその一つ。
現在の日本人レスラーとしては最長身で、ビッグブーツは大迫力。


アンダーテイカー
WWEの墓堀人。
ビッグブーツと言えばテイカーが思い浮かぶファンも多いのでは?


ケビン・ナッシュ
アメリカンプロレスのビッグネーム。
「NWO」時代には必殺のビッグブーツをヤクザキックUSAと称して使用していた時期も。


永田裕志
青義軍を率いるブルージャスティス
レスラーとしては中型だが、キレの良いビッグブーツを好んで使用。
自らの身体を真一文字にして蹴り込むロケットキックなる技もあったが、最近は使用していない。


◆ジャイアント・バーナード
新日本プロレスの暗黒期を支えた最強外国人の刺青獣。
豪快なポンプキックの使い手。
現在は古巣WWEでヘッドコーチとして活動。


◆ジェイク・リー
全日本出身のGood Looking Emperor。
甘いマスクと均整の取れた長身を併せ持ち、192cmの恵まれた体格から繰り出されるビッグブーツは破壊力抜群。
NOAH参戦後はコーナーにもたれ掛かった相手に仕掛ける串刺し式ビッグブーツを「FBS」の名称でフィニッシュホールドとして使用。この技で清宮海斗を破りGHCヘビー級王座を奪取した。


キング鉄拳
二代に渡ってシリーズに登場するジャガーマスクのプロレスラー兼孤児院経営者。
ビッグブーツをジェイルキック、加えて二代目はケンカキックを893Kの名称で使用。
ジェイルキックはカウンターだとD.D.Tに繋がる便利技。


大泉洋
北海道の大スター。
出世作『水曜どうでしょう』での、主に受験スペシャルにてミスターと共に安田顕(ヤスケン)にカウンター式でキックをかましていた。


追記・修正は的確に顔面を捉えてから。

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最終更新:2024年02月02日 21:59