ムーンサルトプレス(プロレス技)

登録日:2012/09/01 (土) 23:15:53
更新日:2023/08/26 Sat 16:59:24
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◆ムーンサルトプレス

「ムーンサルトプレス(moonsault press)」はプロレス技の一つ。
今日では最も代表的な空中技の一つとして認識されている。
見た目の華麗さに反して、空中技の中では比較的に難易度が低いとも言われており、現在までに多くの使い手が存在している。



【概要】

基本型はコーナーポスト上にリング外を向いた状態で立ち、リング内でダウンした相手に向かい、トンボを切る要領でダイブし、
後方一回転(※270゚)して相手をプレス(圧殺)していくと云う物。
大きく弧を描きながらリングに着地すると云う、ダイナミックさと美しさを併せ持つ人気技であり、
嘗ては絶対的なフィニッシングホールド(決め技)だが、現在の更に高度となった空中技の使い手の中では、魅せ技、痛め技として使用する選手も多い。
原型となったのは初代タイガーマスク(佐山聡)の“ラウンディングボディプレス”だったが、ザ・コブラ(ジョージ高野が正回転の方式を初披露。
……そして、天性の華を持つ武藤敬司がデビューから間もなくフィニッシングホールドとした事で大流行を果たした。


なバリエーション】

◆ムーンサルトプレス
上記の様にコーナーポストから放たれる最も基本的なバージョン。
ベイダーやビガロの様な2m、200kgに迫る超大型選手にすら使い手がおり、WWEで活躍したビッグ・ショーにも出来たと言われている。
海外でもそのまま“ムーンサルト”と呼ばれることが多いが、海外では“元祖”として捉えられている武藤(ムタ)へのリスペクトか、“ムタ・プレス”と呼ばれることもある。

◆その場飛び式
近年の流行技。
ダウンした相手に背を向け、その場でトンボを切って相手をプレスしていく。
初代タイガーマスクは同じ要領で両膝を落とすムーンサルトニードロップを得意とした(4代目も使用)。

◆ムーンサルトアタック
立った相手へのムーンサルト。回転式のトペである。
リング外へのムーンサルトは、現実的には全てアタックになる。
若手時代に比べ空中技を多用しなくなったHBK(ショーン・マイケルズ)もこの技は好んで使用していた。
格闘ゲーム等に登場する場合は、ゲームの都合上こちらのバージョンが多い。

◆アラビアンプレス(ハリウッドスタープレス)
サブゥーやRVD(ロブヴァンダム)が得意とした、一度トップロープに尻餅を付いてからのムーンサルトプレス。
厳密にはモーションの違いから、それぞれ別の技とされる。

◆スターシップペイン
ハリウッドスタープレスに捻りが加わったジョン・モリソンのムーンサルトプレス。エリミネーションチェンバーの天井から放ったこともある。

◆ラ・ケブラーダ(アサイムーンサルト)
ウルティモドラゴン(校長)がメキシコ時代に開発した、エプロンでセカンドロープに飛び乗ってからの場外ムーンサルトアタック。
リング内で放つと、ラ・ブファドーラに名称が変わる。
トップロープに飛び乗り、更に落差を増したバージョンもある。

◆ライオンサルト
WWEレジェンドの一人、クリス・ジェリコが得意としたリングの中央に寝かせた相手へのブファドーラ。
多くの使い手が居るが、ジェリコのスピードとモーションは誰も真似出来ないともされる。

【主な派生技】

◆スカイツイスタープレス
女子プロレスラーのチャパリータASARIが開発した捻りを加えたムーンサルトプレス。
男子プロレスでもカンクーントルネード(関空トルネード)、ヤンタイム…etc.と呼ばれている技である。
『エアマスター』でもお馴染み。

◆フェニックススプラッシュ
初代タイガーマスクが開発していたとされる幻の技で、ムーンサルトから体を捻り、前方を向いてから一回転(450゚)してのプレス。
長らく幻の技とされていたが、FMWのハヤブサがこの名前で実戦公開。向き直りつつの450スプラッシュなので、一見だと訳の分からない回転に見える。
……以降、何人かの使い手が現れたが、殆どが向き直ってからの450スプラッシュ。
DDTの飯伏幸太はこの技を最も安定したフィニッシングホールドとして使用してしまっている。
ハヤブサ式のフェニックススプラッシュが出来るのはB×Bハルクと飯伏ぐらい。

◆スターダストプレス
獣神サンダーライガーが開発した捻りを加えたムーンサルトプレス。
本人は一度しか出せなかった幻の技であったが、現在は後輩の内藤哲也が決め技としてマスターしている。

◆ムーンサルトムーンサルト
飯伏が試合中盤に繰り出す、魅せ技の一つ。
ムーンサルトを仕掛ける→相手がかわす→着地してその場飛びムーンサルト……の一連のムーヴを指す。

◆ダブルローテーションムーンサルトプレス
誰もが考えながらやれなかった究極型をリコシェが実現したオリジナル技。
後方2回転(※630゚)のムーンサルトである。


【主な使い手】
※ムーンサルトプレスに限る

武藤敬司
通常型の最高の使い手にして、流行の発端。
リング内に飛び出す独特のモーションは他に真似が出来た選手がいない。
代名詞にして、武藤の膝を破壊した元凶。そのため現在は封印している。

初代タイガーマスク
初代タイガーの見せたラウンディングボディプレスとは、後方正回転では無く、ふわりと体を旋回させる様に舞い降りる独特な技であった。

小橋建太
鉄人小橋は、全日四天王と呼ばれる以前の若手時代に、ムーンサルトを反骨の象徴としてフィニッシングホールドにしていた……が、
元祖の武藤同様に矢張りこの技により膝に致命的なダメージを抱える事となった。
引退試合でラストを飾った技はバーニングハンマーでも剛腕ラリアットでもなく、青春の握り拳からのこれ。

天山広吉
天山プレスと呼ばれる鈍重ながら味のあるモーションで使用。
着地に失敗して首を折りかけたりもしたが、ここ一番での隠し技として使用し続けている。

◆SANADA
ラウンディングボディプレスの名称で使用。
基本のフィニッシュムーブが関節技Skull Endや抑え込み技オコーナーブリッジなSANADAにとって貴重な空中技のフィニッシュムーブであり、
近年はSkull Endで痛め付ける→ラウンディングボディプレスの流れをメインフィニッシュとしている。

◆ビッグバンベイダー
90年代を代表する最強外国人の一人で、新日本、Uインター、WWE、全日本、NOAHでタイトルを獲得した。
200kg近い体格ながら、ムーンサルトを隠し技としていた。

カート・アングル
ショーマン志向の強いWWEの中にあって、本格的なレスリング勝負、異常進化した日本のレスリングにも通じるスタイルを持ち込んでみせた現代アメプロの象徴の一人。
スープレックスとサブミッションが有名だが、プロレスに転向した際に身に付けた高い弧を描くムーンサルトも得意技としていた。
しかし、ハードコア・ホーリー戦で着地時にアングルの膝がハードコアの肘に当たってしまい、粉砕骨折させてしまったため、以後は自爆技になった。
特に、ライバル関係を築くクリス・ベノワとのケージマッチ(金網戦)で見せた、
5mの金網頂上からの自爆ダイブはWWE史に残る衝撃の場面として扱われる(首が悪い奴がやる事じゃねぇ……)。

◆ザック・ゴーウェン
2003年にWWEに登場した奇跡の男。
片足での踏み切りになるが、非常に綺麗な弧を描くムーンサルトを放ち、ビッグショーからフォールを奪ったことがある。

リタ
彼女のムーンサルトは「リタサルト」と呼ばれ、低空で高速なムーンサルト。
しかし、ある映画の撮影中にスタントで放ったところ、低空すぎて床を頭がカスってしまい、首をやってしまったことがある。



追記・修正は膝を壊さない様にお願いします。

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最終更新:2023年08月26日 16:59