エアーウルフ(海外ドラマ)

登録日:2017/05/19 Fri 14:55:30
更新日:2023/08/20 Sun 11:58:05
所要時間:約 13 分で読めます





CIA・ファイルナンバーA56-7W マッハ1+――攻撃用ヘリコプター“エアーウルフ”。トップシークレット。
テストパイロット、ストリングフェロー・ホークの手で砂漠地帯の何処かに隠匿された。

政府への返還条件――ベトナムで消息不明になった、兄ジョンの行方を探すこと。

開発責任者、CIA特別作戦部長“アークエンジェル”。
彼は、政府の方針に反し、陰でホークを支持。
兄に関する情報を流す代わりに、重要な作戦にホークとエアーウルフの協力を要請。

一匹狼ホークの唯一の友人は、ドミニク・サンティーニ。

この、世界最高速ジェットヘリ“エアーウルフ”こそ、最も危険な兵器と言える。




■超音速攻撃ヘリ エアーウルフ

『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ(原:AIR WOLF)』は、1984年から1986年までCBSで放映されたSFドラマ。
全3シーズン、55話。
TVドラマとしては破格の制作費を投じた大型企画で、音速の壁をも突破する超絶的能力を持った架空の戦闘ヘリ“エアーウルフ”の活躍を描く。

日本では86年に日本テレビの『金曜ロードショー』でパイロット版が放送。
以降、約1年に渡りTVシリーズ本編が放映されて人気を集めた。
80年代を代表する海外特撮ドラマであり、空と陸と云う違いこそあるものの、同じく架空のスーパーマシンが活躍する『ナイトライダー』と共に、同時代を代表する人気タイトルとなった。
印象的な両番組のテーマ曲は日本独自で録音、纏められてサントラとして販売もされていた。

その後、放映チャンネルをUSAネットワークに変えて新シリーズが87年に放映。
全24話。
日本では『新エアーウルフ 復讐編』のタイトルで放映されたが、それまでのシリーズからキャストが一新されたことや大幅に予算が削減されたことが見て取れる粗雑な作りになったことなどからか、1シーズンのみの製作に留まっている。
この時代の米映画やドラマ全般に言えることだが、登場人物の軽妙な語り口にも注目である。

【あらすじ】

CIAの主導により秘密裏に完成された、超音速飛行をも可能とする攻撃ヘリ“エアーウルフ”。
破格の機体性能に加えて、最新鋭の電子制御機器により管制された強力な武装システムをも備える、空飛ぶ小型要塞だ。

しかし、“エアーウルフ”はデモンストレーションの最中に、ゲストとして招かれていた上院議員による過去の自らへの冷遇を恨んでいた悪魔的天才・モフェット博士の反乱により、北アフリカ某国(リビア)へと持ち去られてしまう。

開発プロジェクトの責任者であり、逃走時のモフェット博士による攻撃から片目と片足を失いつつも生き延びたCIA高官の“アークエンジェル”は、知己である人里離れた山荘に住む腕利きのヘリパイロット、ストリングフェロー・ホークに100万㌦で“エアーウルフ”の奪還を依頼。
乗り気でなかったホークだが、15年前にベトナム戦争で行方不明になった兄ジョンの捜索を条件に出す。

無理に言うことを聞かせようとする政府の強引なやり口に怒るホークだったが、彼を気遣い山荘に残った“アークエンジェル”の部下、“ガブリエル”に頑なな心をほだされ恋に落ちる。
しかし、彼女はモフェットの手にかかり行方不明となったスパイの代わりに自ら某国に潜入。
後を追ったホークだが、彼が相棒のドミニクと共に“エアーウルフ”を奪回した頃、“ガブリエル”はモフェットによる残酷な拷問を受けて息を引き取っていた。

怒りに燃えるホークは追撃を振り切ると砂漠に逃げたモフェットを追い詰め、復讐を果たす。
そしてホークは奪還した“エアーウルフ”をネバダの“死の谷”と呼ばれる場所に隠匿。
“アークエンジェル”は、ホークとお互いに協力関係を結ぶことを約束して、これを黙認。

こうして、ホークと地上最強のヘリ“エアーウルフ”は世界の各地で活躍することとなったのである。

【登場人物】

■ストリングフェロー・ホーク
演:ジャン=マイケル・ヴィンセント
声:磯部勉
腕利きのヘリパイロットで、以前からCIAの仕事もしていたらしい。
ベトナムからの帰還時に行方不明となった兄の生存を未だに信じており、その捜索を条件に“エアーウルフ”のパイロットとして契約を結ぶことになる。
12歳の時に両親を、出兵前に恋人を、そしてベトナムで兄を失った経験から自分の愛する者はみんな死んでしまうと考えており、そうした思いがホークを偏屈にしていた後に脚本の都合で軟化していくが
従軍経験もあるからか、ヘリの操縦のみならず本人の戦闘能力も中々に高く、“エアーウルフ”の奪還時に見せたように潜入もお手の物である。
普段は絵や音楽を愛する物静かな人物だが、怒らせると怖く、ドラマ内ではドSな部分が度々見られる。
ハイテク制御された“エアーウルフ”だが、時としてホークの野生の勘が窮地を救うこともまま有る。
その際のロボットアニメにも通じる熱い台詞も注目ポイント。
『新エアーウルフ 復讐編』第1話で重傷を負い、ジョンとは再会できたものの、出番はそこで終了となった。

■ドミニク・サンティーニ
演:アーネスト・ボーグナイン
声:富田耕生
ホークの父親の友人であり、思春期に両親を失ったホーク達兄弟にとっては父親替わりでもあった優秀なパイロット。
ヘリコプターによる運送会社“サンティーニ航空”の経営者。
社員としてホークを雇ってもおり、時として2人で何かの映画でヘリが必要な時のアドバイザーとして参加していたり、スタントパイロットとして協力している姿が度々描かれている。
その腕を見込まれてホークに“エアーウルフ”奪還の協力を要請され、隠匿場所としての“死の谷”の場所を教えたのもドミニクである。
『新エアーウルフ 復讐編』第1話で爆殺される。

■ケイトリン・オシャネシィ
演:ジーン・ブルース・スコット
声:戸田恵子
シーズン2から登場。
テキサスハイウェイパトロールの女性隊員だったが、パトロールの悪事に纏わる事件でホーク達に救われる。
その後はサンティーニ航空の社員となり、ホーク達の秘密に薄々気付きつつも付き合っていく。
ドミニクの自業自得な怪我を機に“エアーウルフ”の3人目の隊員となるが、初搭乗の際のドジっ娘ぶりは後の日本のアニメの元ネタ……なのかも。

■“アークエンジェル”/マイケル・コールドスミス・ブリッグス3世
演:アレックス・コード
声:家弓家正
CIA特別作戦部長。
常に白いスリーピースの一揃えに身を包んだ紳士で、吹き替えではドミニクから白無垢とも揶揄されている。
“エアーウルフ”開発計画の責任者でもあり、高圧的ながら奪還された後の“エアーウルフ”をホーク達に任せたままにするなど、何だかんだで茶目っ気もあれば度量の広いクライアントである。
上司に、委員会を率いる“ゼウス”が居る。

■マレラ
演:デボラ・プラット
声:横尾まり
シーズン1~2に登場した“アークエンジェル”の腹心の女性。

■ガブリエル・アデマール
演:ベリンダ・バウアー
パイロット版に登場した“アークエンジェル”の腹心の一人。
ホークと愛情を交わすも、ホークのために志願した“エアーウルフ”奪還作戦の最中に命を落とす。

■チャールズ・ヘンリー・モフェット
演:デヴィット・ヘミングス
声:内海賢二
「悪魔的天才」と評される科学者にしてパイロット。
十数年前に自分に恥をかかせた上院議員への復讐を果たすと共に、未知数の力を持つ“エアーウルフ”を米国と敵対する勢力圏へと持ち去った。
モフェット自身がエキセントリックな性格の持ち主であり、生粋のサディストでもある。
ガブリエルの敵としてホークに討たれるが、密かに“エアーウルフ”のメインシステムにロジック爆弾「遺言プログラム」を仕掛けており、それにより“エアーウルフ”を暴走させてホーク達を絶体絶命に追い込んだ。

【新エアーウルフの登場人物】

■セント・ジョン・ホーク
演:バリー・ヴァン・ダイク
声:津嘉山正種
行方不明になっていたストリングフェローの兄。
重傷を負った弟から“エアーウルフ”を引き継ぐ。
ちなみに演者はストリングフェロー役のジャン=マイケル・ヴィンセントより7歳も年下である。

■マイク・リバース
演:ジュレイン・ワイン・デービス
声:石丸博也
空軍少佐。

■ジョー・サンティーニ
演:ミシェル・スカラベリ
声:藩恵子
ドミニクの姪。

■ジェイソン・ロック
演:アンソニー・シャーウッド
声:樋浦勉
“アークエンジェル”の後任。
新たな“エアーウルフ”の操縦チーム『騎兵隊』を指揮する。

【エアーウルフ】

メインタイトルにもなっている架空の戦闘ヘリで、都市伝説にある“黒いヘリコプター”から着想を得た政府機関の生んだ秘密兵器である。
ベースはベル・ヘリコプター・テキストロン社のベル222A。
機体には識別を示すマークや数字の類いは一切標されていないが、羊の皮を被った翼の生えた狼をシンボルとしており、システムの起動画面等で確認出来る。

ウィンドウは防弾。ボディはボロン繊維により強化された装甲材となっており、通常の重火器類程度では一切のダメージを受けない。
メインシステムは最先端の電子機器により制御されており、戦闘経験を蓄積することでレベルアップしていく。
このメインシステムには“エアーウルフ”の設計図が隠されており、それがあれば同一機体の複製も可能なため、その設計図の盗難が題材になったり、実際に同型機が複製されたこともあった。
電子制御されていると云う裏をかかれてメインシステムをハッキングされてしまったり、前述のようにシステム内にロジック爆弾を仕掛けられて窮地に陥ったことも。

基本的には時速300ノット*1で飛行可能なヘリコプターだが、左右燃料タンクの内側部分に設置されたターボジェットエンジンに着火することで、地表から高度2万メートルの空間内で9.6秒で超音速に到達する。
この状態ではメインローターはフリーとなり、ヘリとは別構造の高速飛行体となる。
また、超高度にも対応した与圧システムも備えているらしく、成層圏間際まで上昇したこともある。
“エアーウルフ”の最大の武器は、この駆動系のスムーズな切り替えを利用した変幻自在の運動能力であり、最高速度こそジェット戦闘機に及ばないものの、それらをも越える運動性能、攻撃能力、航続距離を以て振り切ってしまう。

ターボジェットを起動させた時に、狼の咆哮を思わせる空気を切り裂く特徴的な音が鳴り、これが“エアーウルフ”のコードネームの由来だと思われるが、視聴者からは全面が黒で腹部のみが白い巨体から、空を飛ぶ鯱と言われることも多い。
ネット時代では直訳した『空狼』の愛称も。

【エアーウルフの主な装備】

■チェーンガン
二連装30ミリ機関砲と単装40ミリ機関砲の組み合わせで、左右燃料タンクに配置されている。

■三連装ADFポッド
機体下部から飛び出すミサイル発射装置。
各種ミサイル群を発射可能で、核弾頭弾も発射可能。
180度転回可能で、連射も可能。
  • “ヘルファイヤー”/空対地短距離ミサイル
  • “レッドアイ”/地対空短距離ミサイル
  • “コパーヘッド”/対戦車用空対地長距離ミサイル
  • “マーヴェリック”/空対地長距離誘導ミサイル

■ファルコン
ADFポッドの両脇の発射口から射出される誘導(手動、自動)ミサイル。

■シュライク
核弾頭搭載可能な長距離ミサイル。

■サンバースト(太陽弾)
機体側面のランチャーから発射される熱感知ミサイル用の妨害装備。
フレアーのような使い方をされたり、直接ミサイルを引き付けたりといった描写が見られる。

レーザー
機首部分から放たれる橙色の光線兵器。
『新エアーウルフ』から装備された。
シーズン3に登場した複製2号機“レッドウルフ”が初出。

■ウィスパーモード
『新エアーウルフ』から追加された、ローターの音を極限まで小さくする隠密飛行モード。

■専用ヘルメットとフライトスーツ
ヘルメットとフライトスーツは“エアーウルフ”のシステムと連動しており、バイザーにミサイル照準や暗視画像の投影が可能。
至近距離で爆発が起きた時などには搭乗者の目を守るべく、自動でバイザーが下りるようにもなっている。
フライトスーツにはライフモニタリング機能もある。
シーズン2以降は、より未来的なSFチックなものになった。

【余談】

企画の規模は勿論、主演のジャン=マイケル・ヴィンセントのギャラが1本20万㌦に達していたと言われるなど、文字通りドラマとしては破格の作品であった。
一方、当のヴィンセントがアルコール依存症やドラッグの問題を抱えていたことから後には撮影に支障を来すようになったらしく、そうしたトラブルが人気作でありながら尻すぼみな結末を迎えざるを得なくなった理由かもしれない。

また、破格の予算を投じてもなお金を食う特撮やヘリアクションの部分は、後半に行くにつれて使い回しが多くなり、撮影場所を変えていたにも関わらず『新エアーウルフ』では殆どが前シリーズからの流用となり、あからさまな違和感を生じるものになってしまっている。

正式なものでは無いらしいが、作品の知名度もあってかRCヘリのボディとして高い人気を誇り続けており、ボディを再現した機体を飛ばした動画などが多く投稿されている。
プラモデルでは日本ではアオシマが放映当時にアメリカのAMT社が販売していたものを販売していたが、09年に青島文化教材社より国内の新規金型により劇中モデルを再現したキットが登場している。

パイロット版には2パターンがあり、テレビ放映用のCBSバージョンと、ソフト販売用のムービーバージョンがある。
日本でも前者が『金曜ロードショー』で放映され、後者はソフト販売されていた。
一部の編集やBGMに違いがあり、CBSバージョンではシリーズの始まりとして、ホークの行動を支持した“アークエンジェル”がサポートを約束する場面が最後に付けられている。



追記・修正は音速の壁を突破してからお願い致します。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 海外ドラマ
  • エアーウルフ
  • エアウルフ
  • 空狼
  • ヘリコプター
  • 超音速
  • SFドラマ
  • 80年代
  • ドラマ
  • 超音速攻撃ヘリ エアーウルフ
  • 日本テレビ
  • 07年夏ドラマ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年08月20日 11:58

*1 ※時速555kmほどだが、この時点でヘリコプターの限界と仮定されている最高速度400kmを越えている。