東京メトロ東西線

登録日:2017/08/15 Tue 21:25:10
更新日:2024/04/17 Wed 17:16:21
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東京メトロ東西線(とうざいせん)は、中野駅から西船橋駅までを結ぶ東京地下鉄(東京メトロ)の鉄道路線である。鉄道要覧では「5号線東西線」。
ラインカラーはスカイブルー、路線記号はT





概要

名前の通り東京都心を東西に貫く、東京都の大動脈。
中野駅から都心を縦断して東へ進み、旧江戸川を渡って千葉県の西船橋駅までを結ぶ。
なお、南砂町駅から西船橋駅までは地上を通る。これは建設当時の当該区間が閑散地域であり、地下線を建設するよりも地上を通したほうが建設費が安価になるからという理由である。
営団地下鉄にとっては初となる東京都外への路線で、東京都外に管理駅が存在する唯一の路線である。*1

前述した自社線内だけで14kmという地上区間は他に類を見ない規模で、東西線の特徴とも言える。
しかし、この長い高架の地上区間は強風の影響による速度規制を受けやすく、台風など荒れた天気の時は運休になることも多い。
実際、1978年には荒川中川橋梁上で突風により通過中の列車が脱線転覆し、負傷者が出るという事故も発生している。*2

首都圏屈指の混雑路線であり、私鉄では長らくワースト1を誇っていたため混雑対策として車両には通常よりもドア幅を広くした「ワイドドア」車両も多数導入されている。
近年の地下鉄同様ホームドアが設置されているが、ワイドドア車を含め比較的ドア位置が異なる車種が多いことから、他線区と比べて開口部の大きなタイプが設置されている。
なお、混雑率については2022年度に南北線に抜かれ1位から陥落した。これはコロナ禍でテレワークに代表される通勤形態の変化が生じたことが大きく、これに伴い輸送改善計画の大幅な見直しが発表されている。

副都心線以外の全ての地下鉄路線との乗換駅があり、大手町駅ではJR東京駅とも地下通路でつながっている。

車両基地は東陽町駅が最寄りの深川車両基地と、妙典駅が最寄りの深川検車区行徳分室がある。行徳分室は元々行徳検車区という独立した組織だったが、2009年に深川検車区の傘下組織となった。
深川車両基地は430両収容可能で留置・重要部検査・全般検査・改造工事などを担当、行徳分室は130両収容可能で留置と列車検査を行う。


運行形態

快速通勤快速各駅停車の3種類が運行されている。
快速は各駅停車を葛西、妙典、原木中山の何れかで追い抜き、浦安で途中停車を行う。
通勤快速は朝のラッシュ時のみの運行で、西船橋→中野方面(いわゆるB線)限定の運行となっている。

中野駅と西船橋駅ではJR総武線各駅停車*3と、西船橋では東葉高速鉄道と相互直通運転を行う。乗り入れ区間は中野~三鷹間と西船橋~東葉勝田台・津田沼間。なお直通先では全列車各駅停車として運行される。
かつては東葉高速線内でも快速運転を行う「東葉快速」が運行されていたが、通過駅の利用者が増えたため2014年3月のダイヤ改正で廃止された。


使用車両

全車10両編成での運行。

現役

自社

  • 05系
1988年に、輸送力増強と老朽化した5000系の置き換えを目的に登場。
2004年まで増備が続き、バリエーションが非常に多い。
2000年以降に登場した車両は前面形状が大幅に異なることから「05N系」「新05系」とも呼ばれる。
初期車は既に廃車されているが、一部はインドネシアへ譲渡されたり、千代田線北綾瀬支線へ3両化されて転用されたりしている。
通常の車両よりもドア幅を広げたワイドドア車が5編成存在する。ちなみに当初はもっと投入するはずだったらしいが、多扉車と比べて乗降時間がかかる上、余計な乗降や駆け込み乗車が頻発して却って遅延の原因になってしまい、この5編成で打ち止めとなってしまった。
以後、新たなワイドドア車の投入は15000系を待つこととなる。

  • 07系
元々有楽町線の輸送力増強用に投入された車両だが、副都心線開通に伴うホームドア設置によっていらない子となり、残存していた5000系の置き換えを目的に東西線へ転用された。
このうち一本は千代田線のピンチヒッターとして運用されたことがある。
余談だが05系の一部編成には本形式と同じ窓配置の編成が存在する。

  • 15000系
輸送力増強と老朽化した05系初期車の置き換えを目的に登場。
当初は05系の増備車として扱われる予定だったが、有楽町線・副都心線用10000系で採用された技術をフィードバックしたことから、新形式として増備された。
東西線にとっておよそ18年ぶりのワイドドア車。05系ワイドドア車の場合、先頭車乗務員室寄りのドアは通常の大きさとなっていたが、15000系ではそれも含めて全てワイドドアを採用しており、その関係で先頭車の長さは中間車よりもやや長くなっている。

他社乗り入れ

  • JR東日本E231系800番台
老朽化した301系・103系の置き換え用として登場。拡幅車体ではなく209系1000番台のようなストレートボディ。東葉高速線へ乗り入れることが出来ない。
東西線の数ある形式の中で運転士が一番運転しやすい車両だとか。

  • 東葉高速鉄道2000系
東葉高速鉄道の車両。新05系をベースにした車両で、老朽化した1000系の置き換え用に登場。
JRへ乗り入れることが出来ない。


過去

自社

  • 5000系
東西線を代表する車両であるが、かつては千代田線でも使用されていた。
営団初の20m車で、日比谷線のマッコウクジラこと3000系を大型化した簡素なデザインとなった。
ステンレス車が大半を占めているが、営団初のアルミ試作車も存在する。
登場当初と国鉄301系登場後では出力が異なる。
冷房改造後、一部の編成は界磁添加励磁制御に改造され回生ブレーキも搭載している。
非冷房で残った編成は東葉高速鉄道に譲渡され同社の1000系となった。
2007年までに東西線から撤退し、現在は一部の編成がインドネシアに譲渡され余生を過ごしている。
また、しなの鉄道への譲渡も計画されていたが、同社の経営体制刷新に伴い破談となっている。
現在はアルミ試作車の5951Fが新木場車両基地にて保存されている。
前述の脱線事故を起こしたのは本形式(5818F)なのだが、事故から数ヶ月後に放送された『東映版スパイダーマン』第2話にて敵が脱線させた列車として登場したのが同編成で、この時撮影された事故現場の映像がそのまま使用された。

  • 8000系
半蔵門線の車両。
なんで半蔵門線が?と思われがちだが、車両冷房率向上と05系登場までのつなぎとして3編成が使用されていた。
帯は紫のままだったが、マスコンや連結器などは当然変更されていた。


他社乗り入れ

  • 国鉄301系
国鉄初のアルミ車両で、通勤・近郊形では初の空気バネ台車を装備する。
こいつの登場で東西線車両が出力低下調整された。101系と5000系をあわせたような風貌。

  • 国鉄103系1000番台・1200番台
国鉄車両。アルミ製ゆえに割高だった301系の代わりに作られた。
番台の違いは運転台直後の戸袋窓の有無で、1000番台は常磐線から転属したもの。
なお、国鉄及びJR乗り入れ車両は最初はグレーと黄色帯(301系は最初はクリアラッカーに黄色帯)だったが、205系が総武線に導入され以降は水色帯へと変更されている。*4

  • 東葉高速鉄道1000形
元・営団5000系。顔面が変更されたり帯色が変更されたり。
廃車後はインドネシアでセカンドキャリアを積んでいたが、特に老朽化が進んでいたこともあり205系の譲渡が進んだことで2022年までに引退。


駅解説

  • T-01 中野(なかの)
起点駅。中央・総武線各駅停車中央快速線乗り換え。駅を出てすぐ地下に潜る。
JRとは同じ改札を利用する共同使用駅となっている。
東京都中野区の中心駅で、中野サンプラザ、警察病院、野方警察署最寄り駅。

  • T-02 落合(おちあい)
この駅の近くで都営地下鉄大江戸線と交差するが、大江戸線側に駅は無い。

  • T-03 高田馬場(たかだのばば)
JR山手線西武新宿線乗り換え。
副都心線西早稲田駅とも近く、多少歩くが乗り換えできなくもない(※運賃通算対象外)。
西船橋側には非常時に使われる両渡り線が存在する。

  • T-04 早稲田(わせだ)
単独駅だが、一応都電荒川線早稲田電停と乗り換えができない訳ではない。
リーガロイヤルホテル東京、国立国際医療研究センター、早稲田大学西早稲田キャンパス・戸山キャンパス最寄り駅。

  • T-05 神楽坂(かぐらざか)
地上の道路の幅が狭いので、単式ホームを縦2層に並べた構造となっている。

  • T-06 飯田橋(いいだばし)
有楽町線南北線都営大江戸線、JR中央線各駅停車乗り換え。有楽町線・南北線とは改札外連絡となる。
日本歯科大学、東京逓信病院、東京大神宮最寄り駅。ちなみに、かの指定暴力団竹書房も2021年に移転するまでここが最寄り駅だった。

  • T-07 九段下(くだんした)
半蔵門線都営新宿線乗り換え。
飯田橋方に引き上げ線が存在し、西船橋方面からの九段下止まりの列車が使用している。この引き上げ線は東陽町開業まで使用していた初代飯田橋検車区の痕跡。
靖国神社、千代田区役所、科学技術館、日本武道館、千鳥ヶ淵戦没者墓苑最寄り駅。
半蔵門線と新宿線の間の壁(通称「バカの壁」)が取り払われてからも、2020年春のダイヤ改正前は東西線と半蔵門線・都営新宿線は改札外連絡だった。

  • T-08 竹橋(たけばし)
毎日新聞社前の副駅名があり、事実毎日新聞本社の最寄り駅でもある。

  • T-09 大手町(おおてまち)
丸ノ内線・千代田線・半蔵門線、都営三田線乗り換え。
改札外の地下通路を進むとJR東京駅日本橋口にも繋がっている。東京駅着のJRバスからなら利便性はかなり高い。
産経新聞本社、読売新聞本社、日経新聞本社最寄り駅。

銀座線都営浅草線乗り換え。
ビジネス街にある駅で、日本橋兜町に近い。
東京証券取引所最寄り駅の一つ。高島屋前の副駅名がある。

  • T-11 茅場町(かやばちょう)
日比谷線乗り換え。荒川より東の方面から秋葉原に行く人には便利な駅。
日本橋兜町に近く、東京証券取引所はこの駅が最寄り。

  • T-12 門前仲町(もんぜんなかちょう)
都営大江戸線乗り換え。
富岡八幡宮、成田山東京別院深川不動堂(深川不動尊)最寄り駅。
名前通りお寺の門前町として栄えた歴史があるので、今も駅前には懐かしの個人商店アーケード街が残る。

  • T-13 木場(きば)
東西線で最も深い場所に位置する駅でもある。
ホームのほとんどがシールドトンネルで、拡幅のためにトンネル構造体の解体が行われている。もちろん営業運転中に。
ところが前述の理由から混雑状況が改善されたこともあり、工事は中断した模様。大丈夫だろうか
改札口付近には今も冷水機が残っている。

  • T-14 東陽町(とうようちょう)
深川車両基地所在駅であり、当駅発着列車が設定されている。
江東運転免許試験場、東京YMCA本部、JRバス関東東京支店最寄り駅。この駅から快速運転が始まる。
地上区間が強風等による運転見合わせになった場合、大抵は当駅で中野方向への折り返し運転が行われる。

  • T-15 南砂町(みなみすなまち)
東西線の地下駅で唯一快速列車が通過する駅でもある。
東京タクシーセンター最寄り駅。
木場駅同様こちらでも駅施設の拡幅工事が行われているが、こちらの工事内容はホームと線路の増設。

  • T-16 西葛西(にしかさい)
志布志駅(日南線)・瀬戸瀬駅(石北本線)と並んで日本で3駅しかない漢字の回文駅名。
地上に出て最初の駅。

  • T-17 葛西(かさい)
地下鉄博物館前の副駅名が示すとおり、この駅の高架下には地下鉄博物館がある。
相対式ホーム2面4線の駅だが中2線は通過線となっていて、ホームがない。
終日に渡り快速の通過待ちが行われており、快速の1本前に発車した各駅停車は当駅で快速に追い抜かれる。

  • T-18 浦安(うらやす)
この駅から千葉県に入る。
京葉線舞浜駅開業まではこの駅が東京ディズニーランド最寄り駅で、現在でも同園行きの路線バスが運行されている。

  • T-19 南行徳(みなみぎょうとく)
2012年に完成したリニューアル工事により、太陽光発電など環境負荷軽減のシステムが導入された。

  • T-20 行徳(ぎょうとく)
かつてはこの駅にも待避線を作る計画があった。
南行徳同様、2014年に太陽光発電システムが導入されている。
駅名の由来となった地名・行徳だが、これは室町時代にこの周辺にいた修験者が「行徳様」と呼ばれていたことにちなむ。
隣駅の由来になった妙典も似たような信仰由来。

  • T-21 妙典(みょうでん)
元々は下妙典信号場で、深川検車区行徳分室への入出庫線が分岐するだけだったが、周辺地域の開発に応じて後から駅を設置できるよう準備はされていた。
そして他の駅設置から遅れて幾星霜、1999年に新駅として正式開業。必然的に東西線で最新の駅になった。
平日のラッシュ時や土休日の朝(こちらは上りのみ)には快速の通過待ちが行われる。
2面4線の駅だが葛西駅や原木中山駅とは構造が異なり、全ての線路にホームがある。
ちなみにローマ字表記だと「Myoden」だが「マイおでん」の意味ではない。

  • T-22 原木中山(ばらきなかやま)
葛西駅と同じ2面4線(中2線は通過線)の駅で、平日のラッシュ時に一部の各駅停車はここで追い抜かれることがある。
駅名はこの駅周辺地名の「原木」と「本中山」を合体させたもので、営団初の合成駅名。

  • T-23 西船橋(にしふなばし)
JR総武線各駅停車・武蔵野線京葉線東葉高速鉄道乗り換え。
改札外で連絡運輸の取扱も無いが、京成西船駅(京成本線)とも乗り換えできる。
かつては中野駅同様JRと改札内で繋がっていて3社すべてが共同使用駅となっていたが、PASMOが導入された2007年3月18日よりJRと東京メトロ・東葉高速鉄道との間に中間改札が設けられた。

停車駅一覧

●…停車
|↑…通過
駅番号 駅名



接続路線 待避
設備
直通運転 JR中央線各駅停車 三鷹まで
T-01 中野 JR中央線各駅停車、中央線快速
T-02 落合
T-03 高田馬場 JR山手線
西武新宿線
T-04 早稲田
T-05 神楽坂
T-06 飯田橋 有楽町線南北線
都営大江戸線
JR中央線各駅停車
T-07 九段下 半蔵門線
都営新宿線
T-08 竹橋
<毎日新聞社前>
T-09 大手町 丸ノ内線千代田線、半蔵門線
都営三田線
T-10 日本橋
<高島屋前>
銀座線
都営浅草線
T-11 茅場町 日比谷線
T-12 門前仲町 都営大江戸線
T-13 木場
T-14 東陽町
T-15 南砂町
T-16 西葛西
T-17 葛西
<地下鉄博物館前>
T-18 浦安
T-19 南行徳
T-20 行徳
T-21 妙典
T-22 原木中山
T-23 西船橋 東葉高速線
JR総武線各駅停車、武蔵野線京葉線
直通運転 東葉高速線 東葉勝田台まで
JR総武線各駅停車 津田沼まで(平日朝夕限定)

追記・修正は東西線の大混雑を味わってからお願いします。

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最終更新:2024年04月17日 17:16

*1 有楽町線・副都心線の和光市駅は東武鉄道の管理。

*2 当時、「地下鉄が突風に煽られ脱線転覆」という速報テロップが一部テレビ局で放送され、地上区間が存在する地下鉄の認知度が低かったこともあり疑問に思う人が多く出たという逸話がある。

*3 西船橋からの直通は朝夕ラッシュ時のみ。

*4 直通当初から中央・総武各駅停車の中野~三鷹間では東西線直通列車を「銀色の電車」と案内しており、205系を東西線直通列車と間違える乗客への誤乗防止のためである。