ガサラキ

登録日:2018/03/26 (月) 23:35:52
更新日:2024/04/03 Wed 16:24:40
所要時間:約 16 分で読めます






ただひとつ 


たる 証にと


石の舞台に 足打ち付けぬ



『ガサラキ』とは、日本のアニメ作品である。全25話。
製作はサンライズ。本放送は1998年10月から1999年3月。


目次




概要


監督は『装甲騎兵ボトムズ』『太陽の牙ダグラム』などで知られる高橋良輔
助監督は後に『プラネテス』『コードギアス』などを手掛ける谷口悟朗が務めている。


今作は「近未来を中心にしたSFロボットアニメ要素」と「平安時代から現代まで続く超常的な因縁を組み合わせた伝奇要素」が入り混じった作品となっている。
そのため作中では突然能楽の舞が始まったり、千年前のロボット(っぽい何か)が動き出して現代製の人型兵器をフルボッコにしたりし、
更にそこへ怪奇的な要素や政治劇が加わり、かなり独特な雰囲気の作品となった。

しかしそれらの各要素が互いを食い合ってしまった部分があり、独自の用語も連発されるので混乱しやすい。
後半には政治面から主張に割かれる場面も多くなり主人公たちが本筋から遠ざかり、話の主軸が別のキャラへと移ってしまった感もある。
また、ロボットアニメとして人型兵器の有用性に説得力を持たせるエピソードや演出もしっかり為され見応えもあるのだが、如何せんロボットのかっこいい活躍シーン自体が少なく、全体的に地味に感じられてしまうかもしれない。
情報量の多すぎる台詞も多く、一言半句の聞き逃しも許されないことも。リアルタイムの視聴者は全員ついていけたのだろうか。

上記のように観るものをかなり選ぶタイプの作品ではあるが、メカデザインやBGMなど評価されている点も多くコアなファンも獲得、TAのギミックをブラッシュアップした「コードギアスシリーズ」のナイトメアフレームや、スタッフが影響を受けたと公言する『OBSOLETE』など、後年の作品にも本作のDNAが受け継がれている。また、本作で試みられたポリティカルフィクション的アプローチは同じく高橋・野崎コンビによる『FLAG』にてより先鋭化されていく。

当時のソフトセールスもそれなりに好調で劇場版制作の話も持ち上がったが諸事情によりお蔵入りとなっている。

TV本編の他、小説版や本編とは異なる時代を描いたドラマCDなどで商品展開されており、2010年にはDVD-BOXも発売している。

スパロボシリーズには2017年にソーシャルゲーム媒体の『スーパーロボット大戦X-Ω』に参戦を果たしている。


主題歌


□オープニング

  • 『MESSAGE #9』(第1話~第14話、第17話~第24話)
作詞・歌:種ともこ/作曲・編曲:保刈久明

  • 『REMIX OF MESSAGE #9:type M』(第15話、第16話)
作詞・歌:種ともこ/作曲:保刈久明/編曲:松林正志

□エンディング

  • 『LOVE SONG』
作詞・歌:種ともこ/作曲・編曲:新居昭乃



ストーリー


現代日本。
特務自衛隊で二足歩行兵器・TAの実験パイロットをしている少年・豪和ユウシロウ。
ある日、実験として一族に伝わる神事・「餓沙羅(がさら)の舞」を行うことになったユウシロウは、父や兄たちが見守る中、ガサラキ召喚の舞を始める。
しかしその最中、突如目の前に見知らぬ少女の幻影が現れる。

止めて!呼び戻さないで!

恐怖を!!

少女の言い残したその言葉を聞きユウシロウは舞を止め、実験は失敗に終わる。


それから間もなく、中央アジアのベギルスタン共和国で起こった紛争の解決のためTAパイロットとして派遣されたユウシロウは、そこで正体不明の二足歩行兵器と交戦。
それに乗っていたのはあの幻影の少女・ミハルだった。

千年の時を越え、再びガサラキに纏わる因縁が始まろうとしていた……



登場人物


□主人公


◆豪和ユウシロウ(憂四郎)
CV:檜山修之
豪和家の四男。17歳。
整った顔立ちだが無口・無表情な少年。
嵬としての素質を持ち、余流能楽・餓沙羅の舞を行うことでと餓沙羅の鬼を召喚することが出来る。
現在はTA実験のため特別に特自の第3実験中隊に属し、パイロットとして任務に就いている。特殊な事情から大尉待遇。搭乗TAのコードはフォーカス1。
身体能力は高く、TAパイロットとしては他の隊員を圧倒する腕前を持つ。
周囲の人間への優しさを秘めているが、10歳以前の記憶が無く自分自身の存在に掴みどころのない違和感を抱え、兄たちに利用されていることを理解しつつも自己主張もしないまま命令に従っている。
しかしミハルとの接触をきっかけに自身の出生や過去の因縁を知り、自分の意思の下行動し始める。
『ボトムズ』でいうところのキリコ・キュービィー的キャラなのだが、後半は西田のキャラに食われ気味で若干影が薄い。

ちなみに中の人は同時期には同じサンライズ制作の作品で勇者王熱血隊長とかの熱いキャラを演じているが、こちらは真逆の口数が少なく叫ばないキャラなのでぜひ聞き比べて欲しい。

◆ミハル
CV:金月真美
ユウシロウが出会った少女。15歳。
日本人らしいが天涯孤独の身であり、自身を拾ったシンボルの下でフェイクパイロットを務め、同時にインヴィテーター(嵬)として実験にも参加している。
乗機には鈴蘭のパーソナルマークが描かれている。
幼い頃から実験ばかりの生活だったせいで感情の起伏に乏しいが、何故か骨嵬などガサラキに関する事柄に対しては非常に強い恐怖を感じている。
実験の過程で偶然精神だけの状態でユウシロウと接触して以降、戦場などで度々出会い遥か過去に刻まれた互いの因縁に気付いていく。
本作のヒロインで『ボトムズ』でいうところのフィアナ的存在なのだが、ユウシロウとの色恋などはあまりなく、後半はその他の展開に押されユウシロウ共々やや影が薄い。


□豪和家


◆豪和乃三郎
CV:小山武宏
豪和一族総代にしてユウシロウたちの父。
かつては兄を追い落とし総代になったが、老成した現在は落ち着いた性格になっている。
一清の野心を危惧し止めようとしたが逆に総代の地位を追われ隠居の身となる。
最終回では、美鈴を生贄にガサラキを召喚しようとした一清を止めるべく実験現場へ向かうが、
ガサラキを求める餓鬼と化した一清の凶弾で命を落とす。

◆豪和一清
CV:高田祐司
豪和家長男。
優秀な頭脳と強い野心を秘めた青年で、目的のためなら家族すら利用し使い捨てることも厭わない卑劣な人物。
そのため親族を含め周囲からの受けはあまりよくない。
ユウシロウを利用し封印されたガサラキ召喚儀式の復活や骨嵬復元、TA開発などを行いつつ、父を追い落とし総代となり、やがて日本政府へのクーデターと米国への脅迫交渉に加担する。
豪和家の次期党首として十二分の能力を持っており、傍から見れば何を妬む必要もないはずの人間だが
唯一豪和家の根源である嵬の素質にだけは恵まれず、内心に嵬である異母兄妹への憎悪を滾らせていた。
嵬達がいずれも不幸を背負いこんでいる事を知ろうともせず、ただただ嵬になれなかった事を引きずる彼は嵬を上回る力を求めて周囲の人々を消費しながらガサラキとの接触を目論み、そして…
実質今作のラスボスであり、そのキャラは『ダグラム』のラコックを思わせる。

◆豪和清継
CV:速水奨
豪和家次男。
優れた物理学者でガサラキ召喚実験やTA開発、骨嵬の開発などを手掛けている。
自らの知的好奇心から一清に協力する道を選ぶが、家族への愛情は持ち続けているため、その野望が美鈴に災いを齎すことを恐れており、ユウシロウのことも半ば実験動物扱いしつつも個人的には心配している。

◆豪和清春
CV:千葉一伸
豪和家三男。
眼鏡に温和そうな雰囲気が特徴の青年で、豪和インスツルメンツの役員を務める。
交渉を得意としており、一清の計画に乗り自衛隊へのTA売り込みをはじめとした政治的なやり取りを担う。
一応家族愛はあるものの最終回でやらかす。

◆豪和美鈴
CV:こおろぎさとみ
豪和家長女であり、五人兄妹の末娘。
愛らしい少女で、学生ということもあってガサラキなどに関する豪和家の黒い部分からは敢えて遠ざけられている。しかし本人はそこに孤独感を覚えている。
歳の近いユウシロウのことを特に慕っており(ブラコン)、怪しげな実験や戦場に身を投じる彼を案じている。
ちなみに憂四郎と彼女は乃三郎の後妻の子である。


□特務自衛隊教導団第3実験中隊


◆速川保
CV:安井邦彦
実験中隊隊長。階級は中佐。
冷静な判断力と部下の命を預かる責任感を備え、部下を不条理な危険に曝すことを嫌う。その姿勢や人柄から周囲の評価も高い。
当初はクーデターへの加担を拒否するつもりだったが、西田の粘り強く真剣な説得を受け承諾。部下たちとともに協力者となる。

◆徳大寺琢磨
CV:中田和宏
実験中隊で速川の副官的立場にある大柄な男性隊員。大尉。
主に作戦行動時の状況分析を行う。

◆安宅燐
CV:高山みなみ
実験中隊のTAパイロットでA小隊隊長。階級は大尉。乗機はフォーカス2。
赤毛のロングヘアーが特徴の女性で、ユウシロウの直属の上司兼小隊長兼姉貴分。
何かと秘密の多いユウシロウに気を回し、時には命令無視をしてまで面倒を看てくれている。

◆鏑木かほる
CV:日高成留美
TA部隊A小隊のオペレーターを務める女性。階級は大尉。
命令に違反を犯すユウシロウに厳しい言葉を向けることもあるが、実際は不器用なだけで仲間達のことを思いやっている。

◆高山臨己
CV:菅原淳一
TAパイロットでB小隊隊長。階級は少佐。乗機はフォーカス3。
刈上げ頭に円らな瞳が特徴の柔和そうな顔立ちの男性。
本来民間人であるユウシロウを戦場に連れて行くことに戸惑うなど良識的だが、戦闘では割とひどい目に遭うことも。

◆北沢淳
CV:岩永哲哉
B小隊のTAパイロット。階級は大尉。乗機はフォーカス4。
ややチャラい系にも見える青年。
豪和の特権で部隊に食い込んできたうえ何かと秘密が多いユウシロウに不信感を持っており食って掛かる場面もあったが、彼の命懸けの行動と実力を見て以降仲間と認める。

◆村井沙生
CV:丹下桜
B小隊のオペレーター。階級は中尉。
ユウシロウを除くと部隊中最年少。
明るい女性で、他の隊員たちからは名前と階級を合わせて「ムラチュー」と呼ばれることもあるなどどこか幼さを感じさせる。
ただし実務面では非常に優秀。

◆陶見卓郎
CV:林延年
中隊指揮車の管理担当。階級は中尉。
すごく地味な人。


□シンボル


◆ファントム・F・フィーゼラー
CV:宮崎一成
ユウシロウや西田たちの前に現れる銀髪の美青年。その正体はシンボルの最高権力者。
フェイクの開発など組織を使い様々な暗躍をしているようだが、ぶっちゃけ本編観ただけだと何がコイツの目的なのか理解するのは難しい。

+ 人は人として生まれ、人として死ぬのだ。
2000年ほど前に生まれ、ガサラキによって生かされ続けている特殊な嵬。
周囲に明かす事は無いが終わりの見えない監視役に疲れ果てており、
永遠の生から解放されるためにガサラキへの接触を目論んでいた。
最終的に念願かなってガサラキ内部へ到達、異星人の意思の中へ溶解して消滅した。

◆メス
CV:徳弘夏生
シンボルの評議員を務める男性。
組織のためなら冷徹な判断も下す人物。
一方でミハルの上司兼保護者的存在であり、彼女に対しては父親のような表情を見せることもある。


□クーデター関係者


◆西田啓
CV:岸野幸正
国学者。飽食に溺れ堕落する現代日本の在り方を憂い、その光景を見る事を嫌い日本刀で自らの両目を潰した盲人の男性。
既にかなりの老体であるが、日本を想う心は全く衰えておらず、広川や豪和などの賛同者と共にクーデターを実行に移す。
天才的な分析・推論能力を持ち、豪和の失われた伝承に関する知識までも備えるチートじいさん。
クーデターが本格化した中盤以降はユウシロウたちを喰う存在感を放つ。

◆広川顕郎
CV:拡森信吾
特自参謀部の中佐であり、事実上実験中隊の最高指揮官。
西田の考えに賛同し日本の未来のためクーデターを主導する。政治工作もこなすやり手。
一方で部下への思いやりも備え、悪人ではないが良くも悪くも理想家。


□その他


◆空知検校
CV:秋元洋介
ユウシロウの能楽の師。
豪和に近しい人物で、自分の正体に悩むユウシロウに嵬や骨嵬のことを教える。

(ワン)
CV:森川智之
華僑の自衛組織「共和会」のリーダーを務める男性。シンボルの元メンバー。
中盤偶然保護したユウシロウとミハルを引き渡すようシンボルから依頼されるが、二人への恩義もあって拒否し二人を助けようとするが……


□平安編


◆豪和憂四郎
CV:檜山修之
ユウシロウの前世。
平安時代、渡辺党に属し骨嵬・朱天を駆っていた嵬。
神事の際、美晴を殺せなかったことで神事を破綻させてしまいそこを綱に付け込まれ戦へと駆り出される。

◆美晴
CV:金月真美
ミハルの前世。
平安時代、骨嵬・克天を駆ったもう一人の嵬。
神事で憂四郎に敗れるが、自分の命を奪わなかった彼に惹かれる。
しかし兄への愛情を捨てられず、苦悩したまま戦場に出るが……

◆渡辺綱
CV:高田祐司
渡辺党の一員であり、美晴の兄。
己が野望のため美晴と憂四郎を使い帝との戦を始める。
おそらくは一清の前世。

□3世紀

ミカ:倭の弥呼(ミカ)姫。卑弥呼(ヒミカ)。「神籬(ひもろぎ)」(=骨嵬)を使う「天の御巫」(=嵬)。
セツヤ:交易船に乗る末廬国(マツラ)海人(あま)。出雲の御巫の末裔。

□15世紀

ピュセル:ドムレミ村の嵬の一族出身。骨嵬に乗って戦った。
ド・レ:当時のファントム・F・フィーゼラー本人。
リシュフェール:ドムレミ村の嵬の一族。処刑されたピュセルの記憶を受け継ぐ者と思ったド・レに誘拐される。
ブレダ:リシュフェールの兄。

□20世紀初頭

豪和憂四郎:当時の餓沙羅の舞の継承者。日露戦争に使おうとする軍部の要請により1000年ぶりの骨嵬の復活を行なった。
豪和晴美:双子の姉妹。憂四郎の妹
豪和美雀:双子の姉妹。憂四郎の妹

□60世紀

ミハル:かつて天の世界へとエクソダスした「星の人」の降臨を3000年以上も阻止している民「風の人」(サラム)の嵬。
ユウシロウ:トルクに属さず砂の海を渡ってトルク間の交易をなりわいとする民「砂の人」。
ミスズ:遺伝子サンプルと記憶データを元にクローン再生装置アニムによって作られた豪和美鈴。



メカニック


□タクティカルアーマー

豪和総研が開発した新型二足歩行型兵器の総称。通称「TA」。「AT」ではない。
駆動系には人工筋肉が用いられ、学習した細かな動作を各部のコンピューターが分散制御し、それをパイロットが統括制御することで複雑な動作を行えるようになっている。
運用は実質歩兵の延長であり、市街戦など地形を利用しやすい戦闘では高い性能を発揮するが、平地などで従来の戦車や戦闘機を正面から相手取るのは無謀。
また歩行や戦闘による衝撃などパイロットの心身にかかる負担が大きく、指揮車からのバイタル管理を施しても長時間の戦闘は不可能といった欠点もある。
ロボットアニメ的な万能感は薄く、あくまで限定的な条件下でのみ真価を発揮する兵器であることが強調されている。

その実態は豪和の骨嵬復元計画の過程でサンプルを培養して生まれた人工筋肉「マイル1」を基に造られた、いうなれば「骨嵬の模造品」。
そのためユウシロウのような嵬がいなければその性能を完全には発揮させられない。

デザイン担当は出渕裕。


◆壱七式戦術甲冑 雷電(ライデン)

豪和総研製の試作型TA。
作品前半で実験中隊に配備・試験運用されている。装甲は黄土色。
火器のほか、脚部に装備された移動用アルムブラスト、機体牽引用のリフティングウインチなどを装備。
なお、作中では「雷電」ではなく主に「イチナナ式」と呼称される。

◆壱七式戦術甲冑改 震電(シンデン)

豪和総研製のTAで、中盤から自衛隊に制式配備された機体。
雷電の発展量産型で、外観も良く似ている。ただし色は黒。
主な改良点として稼働時間が大幅に延長された他、コクピットシステムもある程度汎用化されている。
中盤以降実験中隊の機体として運用され、24話ではユウシロウの影響でエライことになる。
こちらも「震電」ではなく「イチナナ式改」と呼称される。



□メタル・フェイク

シンボル版のTA。作中での通称は「フェイク」。これはTA同様「骨嵬(オリジナル)の復元過程で生まれた模造品」という点からきている。
こちらの人工筋肉は日本とは別の場所(中国といわれている)で発見された骨嵬のサンプルから作られた。
開発自体は豪和より先だったが、サンプルとなった物がミイラ化していて劣化が激しく研究に遅れが生じ、結局完成は同時期となってしまった。
外観や装備などの差こそあれ、基本的な性能などは豪和製のTAと大差ない。

デザイン担当は荒牧伸志。


◆メタル・フェイク「イシュタルMk-II」

シンボルが開発したフェイク。装甲は黄土色。
胴体に頭部がめり込んだようなデザインが特徴で、雷電などに比べるとやや手足が細い。
泡状爆薬スプレーで壁をくり抜いての移動や、コンピューターへのハッキング機能など特殊装備を持つ。
一方で稼働時間は雷電より短い。
当初はミハルらが搭乗しシンボルの部隊でのみ運用されていたが、終盤には米軍へと販売され、震電と交戦する。
装備の違いはあるものの、本編に登場するフェイクはこの一機種のみ。



骨嵬(クガイ)

はるか昔にガサラキから齎されたとされる神器であり、嵬の素養を持つ者のみが搭乗することを許される鎧人形。
TAとフェイクの原型になった存在であり、シンボルでは「オリジナル」と呼ばれる。

その姿は巨大な鬼面の鎧武者で、「鬼神」とも称される。
嵬が餓沙羅の舞を行うとそれに反応し腹部の操縦席を開き、嵬をその内部に取り込む。
餓沙羅の舞によって呼び出されたガサラキの力を封じ込めた物とも伝えられ、鎧の下のボディは人工筋肉で構成されているようだが、TAなどに比べかなり生物的な挙動を見せる。
この人工筋肉一つにしても現代科学では解析しきれない。
戦闘能力も極めて高く、格闘のみで武装状態のフェイクを凌駕する程の強さを誇る。
ぶっちゃけオーパーツ

TV本編に登場したのは二体のみだが、これら以外にも存在してはいたようである。


朱天(シュテン)

鬼哭石の御蔵の奥深くに封印されていた豪和家の骨嵬。
頭部から伸びる長い飾り毛と長い右腕が特徴。武器は七支剣と太刀。
平安時代には憂四郎を嵬にして渡辺党の神事で使われ、渡辺党が傀儡子であることを止めた際御蔵に封印した。
しかし現代になり、御蔵を訪れたユウシロウが乗り込んだことで復活。
約千年間放置されていたにもかかわらず問題無く動き、そのままイシュタル二体を破壊。
その後は豪和の研究所に運び込まれるが……

克天(コクテン)

平安時代に渡辺党が保有していたもう一つの骨嵬。
般若面のような顔と長い両腕が特徴。巨大な槍を装備する。
美晴を嵬とした渡辺党蜂起の際、朱天と共に帝の兵を虐殺した。
現代では登場しない。



用語


  • (カイ)/インヴィテーター
餓沙羅の舞を行うことで餓沙羅の鬼と呼ばれる現象を起こし、ガサラキを召喚することが出来る素養を持ったシャーマン的人間のこと。
骨嵬を操れる他、前世の記憶を引き継ぐなど特殊な能力を備える。

  • 豪和一族
豪和市を拠点に豪和インダストリーを経営する旧家。官僚や自衛隊との繋がりも強く、日本政府にすら影響を与える力を持つ。
その源流は平安時代に骨嵬を操り傀儡子(くぐつ)と呼ばれた渡辺党という武家。
かつては傀儡子としての力を封印したが、現代になりその力を取り戻そうと一清を始めとした者たちにより骨嵬復元計画などが行われている。

  • 特務自衛隊
PKOによる海外派遣を主任務とする自衛隊。豪和家の影響力が強く、ユウシロウが所属しているのもここ。

  • シンボル
多数の多国籍企業から成る巨大複合企業。同時にその裏で秘密結社としても活動し、その圧倒的な財力により世界規模の暗躍を行っている。
豪和とは別にガサラキに関する研究が行われている。




  • ガサラキ
作中度々語られる謎の存在。
餓沙羅の舞によって召喚されるとも伝えられるが、その正体は………

+ いざや いざ往かん
正体は300万年前の地球に到来した異星人…の思考パターンを移しこまれたスーパーコンピュータ。
進化の果てに種としての滅びが迫っており自らを精神体に変えて地球へ到来、
月の裏に自身らの全情報を記録したコンピュータを設置し、人類の祖先を自分たちの新たな肉体として進化するよう目論んだ。

この際人類進化の監視役、ガサラキの目として肉体に直接の処置を受け、上記コンピュータへのアクセス機能を持たせられた個体が嵬。
過去の記憶を持つ事や、異星人由来の骨嵬を操る等の異能もそのため。
しかし嵬の性質はガサラキの意図していたほど遺伝せず、また人間の文化が異能者である嵬を
秘して囲い込む方向に進んだため、ガサラキはひたすら待ち続ける事になった。

ストーリーの最終盤、嵬として理想の進化に達した美鈴を器として自身の内部に取り込むが、
あまりにも長い時をひたすら観察だけに費やしたガサラキは既に確固たる意志を喪失していたのか
彼女を追ってきたユウシロウとミハルの意思に屈し、二人の発した「かえれ」の令に従って
自らガサラキに呑まれたファントムと一清を取り込んだまま何処ともしれない宇宙の果てに去って行った。



余談

実に重厚で難解な内容が展開される作品であるので、これを後の再放送やビデオで初めて見た人にはさぞかし、深夜帯に放送されていたアニメかと思うだろう。
だが、なんと実際に本作が放送されていたのは日曜の朝9時30分。

日曜の朝9時30分である。

大事な事なので二回言いました。

つまり『スーパー戦隊シリーズ』と同じ『ニチアサ』の時間帯で放送されていたアニメだった。朝の時間帯でこの難解な内容を理解しろと言われても、特に『ニチアサ』の視聴者層である子供相手では無理な話だろう。*1

しかもこれが放送される前の番組が、スタジオぴえろが制作した『魔法のステージファンシーララ』という魔法少女もののアニメである。
ファンタジーな魔法少女アニメの後番組が、戦争やクーデター、政治劇を扱った現実味ある内容のロボットアニメになるとは、一体誰が想像出来ただろうか。
ちなみに本作の後番組が『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』である。

なお、後に『機動戦士ガンダムUC』のTV放送版である『機動戦士ガンダムUC RE:0096』がニチアサキッズタイム』の日曜朝7時での放送に決まった時は同じくこの事がネタにされていた。



餓沙羅なる


遙けき便り 打ち捨てむ


そは呪われし 回文にして




追記・修正は舞をしてからお願いします

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最終更新:2024年04月03日 16:24

*1 ただ、本作の30分前の番組は通販番組であり、8時台もアニメ以外の番組が放送されていた。テレビ東京も、現在のようなテレ朝の『ニチアサキッズタイム』に対抗するような姿勢は当時はとってはおらず、主に7時台(ちなみに放送されていたのが7時からは『タミヤRCカーグランプリ』、7時30分からは『ポポロクロイス物語(旧アニメ版)』だった。)を日曜朝の子供向け番組の時間帯としていた。