車内放送

登録日:2018/06/11 Mon 11:51:42
更新日:2024/03/20 Wed 17:43:49
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本日もアニヲタWiki線を御利用いただきありがとうございます。この記事は車内放送です。

車内放送とは鉄道、路線バスにおいて乗客への案内として行われる放送。

主に車掌が肉声で行うことが多いが、最近は運転手が1人で乗務しているワンマン運転が多いことや車掌の負担軽減のため、事前にプロの声優やナレーターに原稿を読み上げてもらい、それを編集してスイッチひとつで流せるようにした自動放送を採用している事が多い。

車内放送では独特な鼻声っぽい声でアナウンスを行うことが多い。よく車内放送の物まねをする時に、その独特な発声方法を真似る人も多いだろう。
これは走行音や乗客の話し声など雑音の多い車内でも声が通るような発声の指導がされているとか、車掌は鼻声でアナウンスをするという伝統が残っているからとか諸説ある。

ヨーロッパでは車内放送がまったくない列車も少なくない。一応、国境を超えて走る国際列車や高速列車ではその国の主な公用語+英語によるアナウンスがある。

かつては自動放送を8トラックテープに録音していたため、運転士が乗務する系統の数だけテープをカバンに入れ、系統や路線が変わる度にテープを入れ替えていたがこれが非常にめんどくさい上、少しでも変更があると全部録音し直しになる、運行中にテープが切れるなどのトラブルも多発したことから、現在は音源をデジタルで記録できるフラッシュメモリがメインで使われている。
更に車内放送の番号を指定すると連動して行先表示機、車内案内表示器、運賃表のセットも完了するようになっている。たまに連動しない所もあるが。。

主な内容

  • 乗客への挨拶
始発駅、停留所・主要駅、停留所を発車後に行うことが多い。
  • 行先・系統番号
行先に合わせて方面やバスや路面電車であれば、系統番号もセットでアナウンスすることがある。
  • 停車駅案内
停車する駅をアナウンスする。路線バスの場合は流れないことが圧倒的だが、高速バスについては停車停留所が案内される。
  • 次停車地案内
次に停車する駅、バス停を案内する。停車地が近くなると鉄道であれば出口がどちら側かもアナウンスする。
  • 車内設備案内
鉄道であればトイレ・売店・自販機・公衆電話などの場所の案内、車内販売の案内、自由席・指定席・グリーン車の連結位置など。バスであれば非常口の取り扱い方法など。
  • 乗換案内
次停車駅、バス停で乗り換えられる別路線・系統を案内。具体的な時間・ホームまで案内してくれることもある。
  • 啓発放送
車内マナーや車内事故防止の呼びかけなどを案内。主なものに混雑時の携帯電話使用、座席の譲り合い、不審物発見時の対応、高速バスであればシートベルトの着用呼びかけなど。新型コロナウイルス流行期間中はそれに関連するアナウンスが流れていた。
  • 宣伝・観光放送
停車駅・バス停ごとに付いたスポンサーの広告を流す他、自社の宣伝を流す。観光路線では景勝地付近で車窓の見どころを案内する。
  • 業務放送
めったに聴けるものではないが、運行中のアクシデントやトラブル発生時に別の場所にいる乗務員を呼集する時などに流れる。更に東海道新幹線では、終点に到着後車庫へ入る列車で「この電車は回送列車です。ご乗車いただけません。間違えてご乗車されているお客さまは、進行方向前寄りの運転室までお越しください」というアナウンスが流れる。

自動放送を担当するナレーター・声優

基本的に自動放送を担当する声優というのは調べないと分からない事が多いが、JR北海道の特急と快速エアポートの一部列車では終着駅に到着後、放送を担当した声優による挨拶が流れる。
一部の路線では話題集めのため、期間限定で人気声優やタレントを起用することもある。

  • 脇坂京子
東海道・山陽・九州新幹線のアナウンスに起用されている。新幹線のアナウンスつながりでアニメSHIROBAKOに「新幹線のアナウンス」として出演したことも。
  • ドナ・バーク
東海道・山陽・九州新幹線の英語のアナウンスに起用されている。リリカルなのはシリーズレイジングハートの声の人と言えば分かる人もいるかも知れない。
  • 三浦七緒子
JR東日本の通勤列車の日本語放送にアナウンスに起用されている。
日常の通勤・通学で毎日聴いている諸兄も多いことだろう。
  • クリステル・チアリ
JR東日本の通勤列車をはじめとした様々な線区で英語放送を担当する声優・ナレーター。
こちらも毎日聴いている人が多いハズ。特に東京メトロの英語放送更新前は関東だと彼女の担当ではない路線を探すのが難しかったほど。
関西では南海高野線の2300系の車内放送がこれだったり。
えいごであそぼの4代目おねえさん役の人で分かる人もいるかもしれない。
  • 大橋俊夫
JR北海道の列車のアナウンスを担当している。
かつて走っていた「旭山動物園号」では、子供向けを意識してか語りが明るく、名義も「俊夫おじさん」としていた。
  • ジーン・ウィルソン
JR東日本および北海道の新幹線・特急ほか、多くの線区で英語放送を担当している。
山陽新幹線で運行されていた500系の特別仕様『500TYPE EVA』で渚カヲルとして車内放送を担当。
  • 堺正幸
フジテレビ出身のフリーアナウンサー。北海道・東北・北陸・上越・山形・秋田の各新幹線とJR東日本の特急列車、観光列車のアナウンスを担当。
  • 藤田咲
札幌市電でさっぽろ雪まつりシーズンに運行される雪ミク電車の放送を担当。
  • 大山のぶ代・小原乃梨子・水田わさび・大原めぐみ
かつて津軽海峡線で運行されていたドラえもん海底列車でドラえもんのび太として車内放送を担当。大山ドラは機関車牽引の客車快速列車「海峡」と電車特急「ドラえもん海底列車」で、わさドラは電車特急でのみ車内放送を担当した。
  • 尾崎由香
京王動物園線でけものフレンズとのタイアップ企画でサーバルちゃんとして限定で担当。
  • 長沢美樹
小田急箱根高速バスで運行されていたエヴァンゲリオン新劇場版:Qのラッピングバスで伊吹マヤとして担当。
  • 伊波杏樹
東海バスオレンジシャトルのラブライブ!サンシャイン!!ラッピングバスの内浦地区バス停での案内放送を高海千歌として担当。同じくラッピングバスを運行している伊豆箱根バスも伊豆長岡駅-伊豆・三津シーパラダイス系統を走る1号車に限り、Aqoursメンバーによるアナウンスが行われている。
  • 伊藤かな恵・小見川千明・豊崎愛生・戸松遥・能登麻美子
のと鉄道のアニメ花咲くいろはのラッピング列車で緒花・民子・菜子・結名・巴として担当。現在はシステムの故障で流れなくなっているらしい。
  • 黒沢ともよ
京阪電鉄宇治線で響け! ユーフォニアムの黄前久美子として担当。1日限りの限定で流れた。
  • 高山みなみ・今野宏美
JR西日本境港線で運行されているゲゲゲの鬼太郎ラッピング列車の車内放送を2018年3月まで担当していた。
  • 戸田恵子
JR四国のアンパンマン列車でアンパンマンとして担当。

車内チャイム

新幹線、特急、急行といった優等列車や路線バスで放送の開始を乗客に知らせる意味で流れるチャイム。
かつては三打音によるシンプルなものもよく見られたが、現在はオリジナルのメロディを流すことも多い。
以前は音源にオルゴールが使われていたが、使用頻度が高いためにピンがダメになってしまう事が多く、音飛びが激しかったり、酷いと曲が少し変わってしまったチャイムを耳にすることも多かった。現在は事前に録音済みの電子音に代わっている。

主な車内チャイム

「○○チャイム」というのはすべて通称であり、公式の名称ではない。

在来線・私鉄

  • 鉄道唱歌
主に国鉄時代からの電車で使われる。歌い出しの部分がアレンジされて流れる。開業当初の東海道新幹線でも流れていたが、新時代の超特急に似合わないと短期間で変えられてしまった。電子音、オルゴールなど様々な形で使われている。
  • アルプスの牧場
主に国鉄型気動車で使われる。国鉄時代からの特急型気動車が絶滅危惧種になってしまったため、国鉄時代からのオルゴール版を聞く機会は少ない。
しかし、JR北海道の在来線特急に電子音版が搭載されており、そちらはJR北海道の気動車特急に乗ると終着駅到着前に聞くことができる。
  • ハイケンスのセレナーデ
主に客車で使われる。こちらも聞くことが難しいが、客車で運行される観光列車にはほぼ搭載されているため、意外と聴く機会は多い。
こちらもJR北海道の在来線特急に電子音版が搭載されているが、使用機会が少なく聞く機会は少ない。
  • ひたちチャイム
651系・E653系・E657系の歴代常磐線特急とE751系で使用されるチャイム。
185系とE257系にもアレンジ違いのものが搭載されているが、こちらはほとんど使用されない。
  • ビューチャイム
房総特急255系で仕様されるチャイム。カシオペアにはアレンジ版が搭載されていた。
実は185系・651系(アレンジ版)にも搭載されているが、使われることは少ない。
  • 四季~春~/美しく青きドナウ/春の歌/主よ、人の望みの喜びよ
JR東日本の485系・583系に搭載されたクラシック曲4種。
一部のチャイムは他の車両にも搭載された。「主よ、人の望みの喜びよ」に関してはカシオペアの車内販売・食堂車用のチャイムとしてのイメージが強い人もいるかも知れない。
  • ちょっとだけストレンジャー
JR東日本の183系・189系・485系・489系の一部に搭載されていた。加山雄三の同名の曲をアレンジしたもの。
  • ロマンスをもう一度
小田急電鉄のCMソング。展望室のあるロマンスカーの車内チャイムとして起用されている。
  • ワイドビューチャイム
JR東海の全特急車両*1と313系8000番台に搭載。自動放送用、手動放送用で微妙にアレンジが異なる。
キハ85系の量産先行車にのみ、大幅にアレンジが異なるチャイムが別に装備されている。キハ85系はJR東海最初の新製特急車両であることから、通常のチャイムのプロト版と考えられる。
  • 北陸ロマン
谷村新司による、北陸新幹線金沢開業記念キャンペーンソング。2015年10月から北陸新幹線W7系および683系に車内チャイムとして搭載された。
  • サンダーチャイム
北陸特急の681系・683系およびそれの改造車である289系、山陰用の287系に搭載されているチャイム。
683系は後に上述の北陸ロマンに変更されたが、681系にはそのまま残されている。
681系量産先行車にのみ、別アレンジのものが搭載されていた。
  • オーシャンチャイム
283系と「くろしお」用の287系に搭載されているチャイム。
当初287系はすべてこちらのチャイムを積んでいたが、後に289系に合わせてかこうのとり用の車両は上記のサンダーチャイムに変更された。
  • 関空快速チャイム
関空快速に使用される阪和線用223系・225系に搭載されている。電車でGO!2高速編などで聴いたことがある人も多いかもしれない。旧版と新版があり、2008年3月のダイヤ改正を境に切り替わった。
一般列車では珍しいチャイム搭載車両だが、現在はタブレットによる放送が普及したため、聴けるかは車上放送を取り扱う車掌に当たるかにかかる。
あまり知られていないが大阪環状線用の323系にも搭載されている。
  • はるかチャイム
関空特急はるかおよびサンライズエクスプレスで使用されるチャイム。こちらも旧版と新版がある。
  • だいこくさま
因幡地域を舞台にした童謡で、特急「スーパーはくと」用のHOT7000形で聞くことができる。
手動放送用と自動放送用の2種類がある。
  • 河内音頭
大阪メトロ谷町線八尾南駅到着前に限って流れる。
  • アンパンマンマーチ
JR四国のアンパンマン列車で流れる。
  • 浪漫鉄道
JR九州の社歌。885系電車を使用する列車で終着駅付近でカラオケバージョンを流すことがある。

新幹線

  • JR東日本新幹線チャイム
上越新幹線系・東北新幹線系でチャイムが違う。東北新幹線系のチャイムは電車でGO!シリーズで耳にしたことがある人が多いかもしれない。北海道新幹線でも流れるが、北陸新幹線ではJR西日本保有のW7系のみ違うチャイムが流れる。
かつては停車駅にちなんだご当地の民謡や童謡などを使った「ふるさとチャイム」があり、評判は良かったものの手間の多さが嫌われたのと、短距離利用客の増加で廃止されてしまった。
2022年6月から2024年3月ダイヤ改正までの間、200系塗装に変更されたE2系の1編成限定ではあるが、「ふるさとチャイム」が復活した。なお、この編成と併結した山形新幹線「つばさ」も東京~福島間では「ふるさとチャイム」が流れていた。もう全部復活させたほうが良くない?
  • 会いに行こう
シンガーソングライター・UAの東海道新幹線タイアップ曲。
2023年7月21日からJR東海所属の新幹線車両で使用を開始。始発・終着・途中駅とも「会いに行こう」の部分が使用されている。
  • AMBITIOUS JAPAN!
農家兼アイドルのTOKIOの、東海道新幹線タイアップ曲。
2003年の品川駅開業から2023年7月20日まで使用された。始発駅発車時と終着駅到着前には「突き進めば望みは叶う」の部分が、途中駅到着前には「Be Ambitious!」の部分が流れる。
  • いい日旅立ち 西へ
山口百恵の「いい日旅立ち」を鬼束ちひろがカバーした楽曲で、JR西日本のキャンペーンソングに起用されたため、原曲の歌詞を西日本仕様に改めたもの。JR西日本所属の山陽・九州新幹線用車両で聴ける。始発駅発車時と終着駅到着前には「遥かなしまなみ 錆色の凪の海」の部分が、途中駅到着前には「ああ 日本のどこかに」の部分が流れる。
かつて運行されていた寝台特急「トワイライトエクスプレス」でも大阪駅・札幌駅を発着する時にインストゥルメンタルバージョンとして前奏からサビまでが流れていた。
  • 残酷な天使のテーゼ
言わずと知れた『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングテーマ。500TYPE EVAで流れていた。始発駅発車時と終着駅到着前には「そっとふれるもの もとめることに夢中で」の部分が、途中駅到着前には「この宇宙(そら)を抱いて輝く 少年よ 神話になれ」の部分が流れた。
  • ひかりチャイム
ひかり・こだまの両列車で1987年4月から新幹線品川駅開業直後まで、始発駅発車後と終着駅到着前に流れた、電車でGO!新幹線山陽新幹線編で聞いたことがある人も多いかもしれない。途中駅では三打音のチャイムが流れていた。
イギリスのチャリティーバンド「Band Aid」のオリジナル曲『Do They Know It's Christmas?』がを原曲にしているという文献が研究サイトや一部公式グッズの説明などで見られるが、実際は偶然メロディが似ただけである。

元の楽曲は1984年の発表で3年ほどタイムラグがあるほか、当時は鉄道会社が自社のCMやご当地に因んだ楽曲を使用するという考えはまずなく、本格的に普及したのは21世紀以降である。
これに加えて著作権の問題がある。著作権の切れていない楽曲を使用する際は当然ながら権利者に使用料を支払う必要があり、特に日本における洋楽の使用料については非常に高額とされている。
ただの到着楽曲に高い著作権料を支払うメリットがあるか…と冷静に考えるとわざわざ洋楽を使用する必要があるとは言えないだろう。

チャイムの使用停止後も0系・100系の引退前に復活した事がある他、2015年からは山陽新幹線全通40周年を記念し、新大阪駅を除く山陽新幹線全駅の列車接近メロディとして聞くことが出来る。
また、意外なところでは品川駅15番線の発車メロディ「ML-24」がこれのアレンジだったりする。
  • のぞみチャイム
のぞみの運転開始から品川駅開業直後まで使われていた。やはり電車でGO!で聞いたことがある人も多いかもしれない。
2008年からは東京駅の発車メロディとして使われている。実はこれがJR東海の管轄する駅で唯一の発車メロディである。
名古屋はね~名古屋はね~名古屋は飛ばし~♪
  • 黛チャイム
上述の通り新幹線も当初は鉄道唱歌を使用していたが、新時代の特急に古臭い鉄道唱歌は似合わないとクラシック作曲家の黛敏郎が手がけたメロディを車内チャイムとして流していた。
しかしわずか4年で廃止となり、しばらくは4打点のチャイムが使われた後ひかりチャイムになった。そのため、幻のチャイムと言われる。
何故幻になったかと言うと、怖いというクレームが殺到したためと言われる。実際聞いてみると確かに怖い。
ちなみに実はオルゴールが壊れる前と後とで2バージョンあり、後者のバージョンの方が有名。
  • 九州新幹線チャイム
ミュージシャンの向谷実が手がけたメロディを車内チャイムとして流している。向谷氏はこの他に京阪電鉄、京成スカイライナーのチャイムも手がけている。

外国語放送

来訪する外国人のために外国語による車内放送を行う例も多い。
英語が最も多いが、中には中国語、朝鮮語、ポルトガル語、フランス語によるアナウンスもある。基本的に外国語放送は自動放送として流れることが多いが、たまに車掌の肉声で放送されることもある。
ちなみに日本以外の外国でも日本語によるアナウンスが流れることがあるとか。


ご乗車ありがとうございました。次の停車駅は追記・修正です。

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最終更新:2024年03月20日 17:43

*1 北アルプス用キハ8500系も含む