はたらく細胞BLACK

登録日:2018/08/02 (木) 00:34:32
更新日:2024/04/08 Mon 07:08:19
所要時間:約 3 分で読めます






“働き方改革”なんて微塵も導入される気配のない、細胞たちの“ブラック”労働活劇

働け! 細胞ども!!



■概要


『はたらく細胞BLACK』とはモーニングにて連載していた『はたらく細胞』のいくつかあるスピンオフ漫画の一つ。全8巻。
原作は『ゆりキャン』などの原田重光。作画を本作が初連載の初嘉屋一生が担当。
監修を原作者の清水茜。
原作の原田氏は後に『はたらく細胞LADY』の原作も出がける。

本編に比べ人体が不摂生な生活を送っているので細胞たちがブラック企業並みに忙しく働いている。
また本編では主人公の赤血球は女性、白血球が男性だったが、本作では逆に主人公的な赤血球が男性、準主役となる白血球が女性となっており、
どちらも本編のAE3803、U-1146の性別を反転させた様な容姿をしている。

掲載誌が青年誌という事もあってかエロ・グロを含む表現が多く、
ショッキングな描写も少なくないため、コメディ然とした原作と比べて少々人を選ぶ。
この際なのでぶっちゃけると、主役の個体を含む白血球 (本作では全て女性) などの 見えちゃマズい部分(乳首) バリバリ露出させている
もっとも方針転換したのか2巻以降はエロは少ない。

また本編では死亡した細胞の顔は(×△×)といった感じにデフォルメされるが、本作ではそのような描写は事は無く、細胞も細菌も生々しい死に顔を晒す。
本編で描かれる事がほとんど無い赤血球の溶血、白血球の戦死者も容赦なく発生している。
戦闘員である白血球がことごとく女性なためリョナっぽいシーンもあり、この点も好みが分かれる要素かもしれない。

人気があったようで発売から2日で2万3000部の重版が決定し、
その報告を聞いた原作の原田氏は「ホッとしました……大事な作品をお借りしていたので」と言ったという。
18年8月8日時点では累計9万3000部になった。

ちなみにTwitterを見るにペン入れまでアナログで作業し、仕上げをデジタルでしているようだ。

元々は全10話を予定していたが、人気が出たため連載の継続が決定した上で第一部が終了。
一時休載を経て始まった第二部は「輸血」により舞台が別の体へと移っている。
第二部の体では「糖尿病」が進行し、赤血球たちのよりブラックで過酷な労働活劇が描かれる。モーニング36・37号の31話まで隔週連載であったが、44号まで休載の後、45号より月1掲載で連載を再開した。
モーニング50号から「うつ編」(6巻収録)、2020年モーニング20号より「がん編」(7巻以降収録)がスタートした。
モーニング35号にて第二部が終幕、52号より第三部(実質第二部の延長)が連載再開し2021年8号で連載終了。

また、月刊少年シリウス出張版では第一部の前日譚が掲載された。

2021年1月からテレビアニメが放送。
ナレーションは津田健次郎
しかも選りによってはたらく細胞第2期の後に放送するのでその落差はかなり激しい。
更に第3話と第4話は通常放送してる時間帯では放送出来ない内容の為、別日の遅い深夜枠で1時間スペシャルで放送した。
ところどころ原作とは異なったストーリー展開になる事も多く、第6話〜第8話は第二部の世界で起こる疾病が第一部の世界で起こっている。



■あらすじ


毎日せっせと体中に酸素を運ぶ、新米赤血球。
しかし彼の職場(世界)の労働環境は、徹底的にブラック――!!
飲酒、喫煙、ストレス、睡眠不足……不健康の総合商社のような世界で、過重労働の末に細胞たちは何を思うのか?

これは、あなたの体の物語――。

(公式より引用)


■登場人物


赤血球

酸素を体中に届けるのが仕事。
本作の赤血球は女性型がおらず、登場する個体は全て男性型となっている。
また、本編では登場しない老人の赤血球もおり、寿命で死を迎える姿も描かれている。
詳しくは個別へ。

  • AA2153
「酸素を運ぶ、それが僕の仕事だ!」
CV:榎木淳弥
主人公。男性の新米赤血球。
本編の赤血球AE3803と同様に、右側頭部から飛び出しているアホ毛とメガネが特徴。身長158cm。体重39kg。
その劣悪な環境もあり、自身を含めた細胞が「何故働くのか」「何ができるのか」「何をすべきなのか」を常に自問している。
彼もまた「体」という名の世界を維持する為に、「自分に課せられた仕事を全うする」為に、時に悩みながらも懸命に働く。
セクシーな肝細胞(≒キャバ嬢)にドギマギさせられるなど、シャイかつウブ。
白血球1196番との交流の中、劣悪でブラックな環境でも努力しいい世界(体)を築いていきたいと願っていたが…。
アニメ版ではより真面目で優等生、やや世間知らずな所が強調されている。

  • AC1677
「この体の中で働きすぎじゃない細胞なんて、どこにもいねえだろ?」
CV:KENN
AA2153の同期の赤血球で、糸目が特徴。身長163cm。体重45kg。若干チャラついた軽い性格。肝臓の綺麗なお姉さんが大好き。
アニメ版では原作より出番が大幅に増えている。
ビビリなため危険な職場にすぐ音を上げて逃げたがる(AA2153が真面目すぎとも言える)一方でAA2153とは仲が良く、何だかんだで彼の覚悟に付き合う事が多い。

アニメ版では一時期は真面目で優秀な彼に劣等感を覚え、汚いマリオブラザーズ感じの悪い先輩赤血球の誘いでカフェインに手を出してしまうなどやさぐれてしまった事もあった。
しかしAA2153に決死の覚悟で命を救われ、「もうちょっと生きたくなっちまったじゃねぇか!」と迷いを振り切り彼との友情を取り戻した。(アニメ7話)

その後はブラックな労働環境で思いつめ、ワーカーホリックが加速してしまったAA2153を諭し「サボり方」を教えるなど逆に彼の目を覚まさせている。
……しかし胃での作業中、胃潰瘍やピロリ菌の影響で崩れた胃壁から転落しそうになったAA2153を助けようとした際にその反動で胃酸の海に転落
目の前で親友とも言える存在を喪った事でAA2153は職場放棄してしまうほど心に深い傷を負った。

上記のようにアニメでは出番が増え、AC1677自身の内面も掘り下げられて友情が強調されているため*1より鬱度の高い展開となっている。

  • AD6614
「いい環境でバトンを渡してやれなくてすまないな」
CV:三瓶雄樹
一話に登場する、糸目で常に笑顔を浮かべているスキンヘッドの赤血球。配属されたばかりのAA2153らの面倒を見てくれた。
優しい性格でブラックな環境に音を上げる彼らを休ませてあげようとしてくれる(他の先輩赤血球に文句を言われて失敗したが)。
一方でそうした環境で笑顔でいられるのは「感情を押し殺す」ようにしているなど、彼もまたこの環境で荒んでしまった一人でもある。
最後は喫煙による一酸化炭素が蔓延した際にAA2153を安全なルートへ向かわせ、
自身は一酸化炭素が充満する危険なルートへ一酸化炭素ヘモグロビンと変質して行きながら特攻していった。


好中球

いわゆる「白血球」。体内に侵入して来た細菌や異物を攻撃し身体を守るのが役目。
本編ではその全てが男性型だったが、本作では逆に全個体が女性。
また武器は第一部の個体は日本刀を、第二部の個体はサーベルを主に使用しているほか、場合によっては銃火器も持ち出す。
詳しくは個別へ。
尚、本編とはもう一つ大きな相違点として白血球達が他の細胞達に恐れられたり嫌われたりしている描写がほとんど見られない点があるが、これは本編の白血球と異なり容姿が美女であることに加え、白血球の出動頻度が本編と比較して非常に高いため、他の細胞達も白血球達及びその仕事現場を見慣れてしまっているためであると考えられる。

「大丈夫か?新米」
CV:日笠陽子
もう一人の主役となる女性の白血球(好中球)。
右目を長い前髪で隠しており、原作の白血球(好中球)を女性にしたような感じである。身長166cm。体重50kg。
本作の好中球の例に漏れず、彼女もまた中々の巨乳かつノーブラ。下はちゃんと履いていたがなんと 黒パンツ であった。
原作の1146と同様に職務に忠実で真面目な性格。
また作者によると「クールな性格なのではなく、任務の為にクールであろうとする性格」との事。
AA2153とは、彼が酸素の運搬中に一酸化炭素と肺炎球菌のダブルパンチを喰らっていた所を助けた事を切っ掛けに知り合った。
以降彼を「新米」と呼んでいたが、第二部以降は「赤血球」と呼ぶ。
原作のU-1146と比べて主人公の赤血球との交流の機会は少ないのだが、彼の事は気にかけている様で、
肝細胞とAA2153が良い雰囲気になっている(ように見える)様を見た時には面白くなさそうにしたり、
彼から激励を受けた際には素直に嬉しそうにしていた。かわいい。
第二部の世界の好中球の中で頭角を現し、リーダー格にまで上り詰める。

原作者の清水先生は本作の白血球を「今まで読んだ漫画の中でも特に好きなデザイン」と褒めている。
アニメ版ではオリジナルキャラクター(元は原作のモブ)である後輩の8787、1212とよく行動を共にしている。

  • 隊長好中球(第一部)
「正直に言おう…負け戦だ……!それでも我々は戦い続けなければならない!死を恐れるな!武器を持て!細菌どもを喰らい尽くせ!!」
CV:伊藤静
好中球達のリーダー的存在。
顔の中央を横断する大きな傷跡と、左目に着けたアイパッチが特徴的な勇ましい女性。
彼女のみ、刀を二本装備している。
4話の表紙にて、1196番の骨髄球時代からの師である事が示唆されている。
淋菌の侵入に際し、勝利の見込みの無い戦いであると理解しつつも憶する事無く、また他の好中球達を鼓舞し、自身も最前線で戦った。
しかし彼女らが駆逐するより圧倒的に速い増殖速度を持つ淋菌を前に次第に劣勢となり、遂には彼女も多数の淋菌に囲まれ命を落とす。
アニメ版では演説内容が異なっており、「無駄死にはせず、迷った時は生き残る可能性が高い選択をしろ」「生き残る事で守れる命もある」と怪我人には待機するよう命じ、自らも最後まで生きる望みを捨てなかったが淋菌の足止めに残り命を落とした。

  • 白血球ちゃん(第二部)
「こんな体(せかい)のためでも…細胞(わたし)たちは働かなきゃならないんだよ!」
ツインテール+貧乳の好中球。血小板より少し年上程度の外見の女の子。
第二部の体の好中球のメイン個体。他の細胞や血球と同様、1196番とは衣装が異なる。
外見に違わず性格も子供っぽいが、子供扱いされると怒る。
「よそ者」でありながら第二部の体で的確なリーダーシップを取る1196番に複雑な思いを抱いていたが、帯状疱疹ウイルス戦で窮地に陥っていた所を彼女に救われ、「姐さん」と呼び信頼関係を築く。


▲T細胞

「異物ハ排除…異物ハ排除…」
CV:丹沢晃之
白血球の一種で、ストレスにより繁殖しやすくなった細菌と日夜戦う。
性別は男のままだが、苛烈すぎる生活環境のためか無印版より肉体が屈強かつ傷だらけになっているのが特徴。
ヘルパーT細胞の命令によって暴走し毛根の毛母細胞を攻撃してしまう。ステロイドに捕縛され我に帰った後は毛母細胞の少年に侘びていた。
命令(サイトカイン)を出したヘルパーT細胞が悪いはずなのだが一般細胞には「働き過ぎでおかしくなったT細胞たちが毛母細胞を襲ったらしい」と噂されていた。理不尽。

アニメオリジナルシーンでは細菌との戦いに際し、キラーT細胞一同でハカらしきパフォーマンスをしていた。確かにキラーTも黒ずくめ(オールブラックス)だけど

  • ヘルパーT細胞
CV:伊藤健太郎
敵の情報をキラーT細胞に伝え出動させるのが仕事。
過剰なストレスで「少しでも細菌の可能性があるものは排除する」という考えに至り、
「活発に活動している細胞はガン細胞」「怪しい奴らはこの体から根絶やしにしろ!!」という理屈で、
樹状細胞が止めるのも聞かずに毛母細胞に対する攻撃命令を出し円形脱毛症を引き起こしてしまう。そしてステロイドに捕縛され正気に戻る。

  • NK細胞
11話に登場。大腸内のポリープが癌細胞でないか調べていた。
原作と同様の唇の厚ぼったいマッシブなタンクトップを着用した女性型なのは共通しているが、
第一部の個体は長いストレートヘアかつ迷彩柄の長ズボンを着用しており、武器はククリ刀である。
第二部の個体はドレッドヘアで、武器がサーベルなのとボトムスがホットパンツなのは原作と同様。

  • 血球司令官
CV:平川大輔
眼鏡を掛けた男性型の細胞で、脳から赤血球白血球に司令を出す司令官。アニメのクレジットでは脳細胞(司令)となっている。
女性のサポート司令(アニメ版のクレジットでは脳細胞(オペレーター))がいることから、
どちらかというと彼の方が本編のヘルパーT細胞に近いイメージ。
この体の健康状態の悪さをいつも憂えている。

  • 第二部の血球司令官
第二部の血球に脳から司令を出す司令官。若干目が死んでる個性的な顔立ち。
「この体ではノルマが全て」という考え方の持ち主。彼は裸眼だが、眼鏡を掛けた三つ編みの女性サポート司令がいる。
問題を起こした血球を「無能な働き者」と吐き捨てるなど冷酷に見えるが、彼なりに生命維持のための職務を全うしようとしており、犠牲になった赤血球の名前(番号)も全て覚えていた。


▲その他の免疫細胞・血液細胞

CV:椎名へきる
本編とほぼ同じ容姿。ただし出番が少なく本編ほどの強キャラ感は無い。淋菌に敗れたお団子ヘアーの白血球を看取った。
また足の親指に付け根に突然現れた未知の敵への対処にも出動、フレイル型モーニングスターで一撃を浴びせるが効果は無かった。

アニメ版では出番が大幅に増えているが、やはり他の免疫系同様多過ぎる仕事を前に心身共に疲弊し切ってしまっている。

CV:久保ユリカ、橋本ちなみ、綾瀬有
本編と同じ愛くるしい幼児の姿だが出番は少なめ。胃では過酷な止血作業を行い主細胞にも頼られている。
心筋梗塞編ではプラークの崩落を固めて血栓を作るが…。

アニメでは、過去は原作と同様の可愛らしいちびっ子たちだった様だが、
隊長格の子は環境悪化のためか今や血管内ですれ違ったAA2153をガンを飛ばして道を開けさせるなど、他の細胞と同様にかなりやさぐれてしまっている。
しかし他の血小板は淋菌が出現した時に怯えてしまうなど、多少大人びているもののまだ幼さを残していたりする。

  • 血小板(第二部)
第一部の血小板とは違い全員帽子を被っている。多血小板血漿(PRP)療法により壊死の進行に立ち向かう。


▲肝臓

複数の役割を持つ肝臓であるが、今作では特に「アルコールの分解」の機能がピックアップされている。
酒と密接に関わるためか本作の肝臓は歓楽街で表現されており、入口は まんま歌舞伎町一番街のアーケード になっている。

  • 肝細胞
CV:ブリドカットセーラ恵美
肝臓の7~80%を占める細胞。肝臓内のキャバクラで働いている。
見た目は完全にキャバ嬢。髪をアップにしたメインの個体の他に、髪型が黒髪ロング・ツインテールの個体も存在するが、総じてセクシーな美女。
やって来た客のアルコールを、コップに入った2種類の飲料の形で表現される酵素で分解するのが仕事。
なお、赤血球たちは肝臓へ行き肝細胞にアルコールを分解してもらうことを「ヌきに行く」「ヌいてもらう」と形容する。
余りにアレな言い回しな所為でか、AA2153は当初は盛大に誤解していた模様。
そして肝細胞は、それを察した上で特に触れる事はなかった。流石はプロである。

ここ最近は飲酒が多く、アルコールを分解する時に発生するアセトアルデヒドという毒物に当てられて死亡した肝細胞も少なくない模様。
メインの個体も体調を悪くしており、初登場時点では多少無理を押せば接客できていたが、
後に再登場した際には、飲酒の更なる増加を含む身体全体の不調の影響を受けて彼女の体調悪化も深刻化し、
身体はやつれ髪はボサボサ目は虚ろ……と酷い有様であった。一応、その後多少は持ち直した様子。

  • クッパ―細胞
類洞内にいるマクロファージの一種。キャバクラで働いている。
踊り子のような恰好をしており、おっぱいをモロ出ししている
古くなった赤血球を貪食するのが仕事。
本編にも僅かながら登場しており、熱中症の回で全身に黒い布を纏った格好で大量の傘を運んでいた。

アニメ版では流石に露出がかなり抑えられている。


▲睾丸

精子の発生、形成が行われる。本作では精原細胞を育てる保育所のような場所として描かれている。

  • セルトリ細胞
精原細胞に栄養や酸素などを供給する細胞。
保母さんのような見た目。

  • 精原細胞
赤ん坊のような見た目。彼らが育つと精子になる。

  • 精子
「待っててね卵子ちゃん今会いに行くから……!」
生物にとって重要な生殖に必要な子種。
白いふっくらしたおたまじゃくしに頭が生えているという、直球ながらもなんともいえないデザイン。
赤血球たちの働きでなんとか射精され、新たな人間になるため卵子を求め外の世界へ旅立っていった。
が、実際は快楽を求めての性交と指摘されており、直後に淋菌に感染。つまりこの子たちはムダ死に……。

余談だが、現実的な話をすると体内に貯蔵された精子は3~4日で自然に分解されて消滅するため、
3日毎に欠かさず妊娠目的で射精しているのでなければ「無駄撃ち」していようがいまいが状況的には大差ない。

その後喫煙やアルコール、ストレスによる男性ホルモンの低下で精子たちの数は減り元気が無くなっていく…。


▲毛根

毛の元となる組織。

  • 毛母細胞
ヘルパーT細胞の誤解によってキラーT細胞から攻撃を受けてしまった毛髪を生み出す細胞。
見た目を一言で表せば 黒くてひょろいストレッチマン


▲胃

食物からエネルギーを取り出す高炉。胃潰瘍の発生で身体の中でのもっとも危険な場所になってしまった。

  • 主細胞
胃の内側に数多く存在する細胞。ペプシンのもとになるペプシノーゲンを分泌する。
職人気質のおっさん。副細胞や血小板に指示を出す。
横柄な態度を取るものの恐怖から逃げ出す赤血球を仕方ないと見逃したり、危険に陥った赤血球を担いで助け出すなど彼なりに周りを気遣う一面もある。
一方で胃酸により死んでいく血球達を前にしても「ここでは日常茶飯事」と言っているが、ドライというよりは職場環境上割り切っているものと思われる。

  • 副細胞
胃酸やペプシンにより胃が傷つくのを防ぐため、粘液を分泌している細胞。ガスマスク姿で目が可愛らしい。


▲脾臓

血液を貯めておく場所で、脇腹あたりにある。激しい運動をした時に脇腹が痛くなるのはここの痛みである。
また、古くなった血球が処分される場所でもある。

  • 赤脾髄
血液をろ過し不要な物質を取り除いたり、古くなったり傷ついた赤血球を処理するのが仕事。
ビジュアルは裁判所の裁判官みたいな老人。
役立たずを処分するわけではないため、友を失い絶望して「自分はもう働けない」と処理されることを望むAA2153を「働くことに意味を見出すなど100年早い!」と一蹴した。


▲腎臓(第二部)

血液を濾過し、老廃物である尿を生成する。この漫画では「千と千尋の神隠し」の湯屋の様な場所として描かれている。
…が、決して楽しそうな場所ではなく「沈黙の臓器」の二つ名の通り、
皆ただひたすら無表情で黙々と赤血球たちの汚れを洗い流すというなんとも言い難い光景が広がっている。
なお、アニメでは第二部での腎臓関係の話が第一部の身体での出来事として放送されることになっている。

  • 糸球体
第二部で登場。血液を濾過するフィルターの役割を果たす。糸球体は皆お団子頭の湯女の姿をしている。
「婆様」と呼ばれる老婆が若い娘の糸球体達を仕切っていたが、細菌に襲われ死亡する。
「働きな…!腎臓の細胞に代わりはいないんだ……残ったあんたたちがやるしかないんだよ……」
残された娘たちは、その遺言を胸に働き続ける。


▲膵臓(第二部)

インスリンなどのホルモンを分泌する内分泌機能と膵液という消化酵素を分泌する2つの役割がある。

  • β細胞
インスリンを分泌する工場の作業員の細胞。糖尿病により血糖値が上がりインスリンの必要量が増えすぎるとβ細胞が疲弊してインスリンを産生しなくなってしまう。


▲その他細胞

  • 一般細胞(第一部)
本編では若い男性型ばかりだが、今作ではオバちゃんの個体もいる。
「ちょっと赤血球さん!最近酸素の供給が全然足りないよ!」「末端の細胞は死ねっていうのかい?」
痛風で焼け野原になった足先に、「これくらい痛めつけないと僕らの悲鳴はこの体に届かない」と赤血球AA2153が現れると、彼らも溜まりに溜まった不満を爆発させた。
「…そうだこんな状況で働いてられるか!!」「もっとビタミンをよこせ!」「少しは休みを取らせろ!」「ニコチンの供給が多すぎるぞ!」「アルコールの量を減らせ!」

  • 一般細胞(第二部)
第二部の一般細胞が置かれている環境は更に過酷である。
配達された酸素が「活性酸素」になればあっという間に老化してしまい、更には潜伏していた帯状疱疹ウイルスの進行を受ける。
そして睡眠薬のオーバードーズによる昏睡が引き金となり、外から送られる薬物に対してデモ行進を繰り広げるまでに精神的に追い詰められてしまった。

  • 脂肪細胞(第一部)
細胞質内に脂肪滴(油)を有する細胞。高カロリー摂取や運動不足などによって肥大化していき、肥満の原因となる。
運動不足のせいで力士のようにパンパンに太っている。
本編のマスト細胞(肥満細胞)とはなんの関係も無い。

  • 皮脂腺細胞(第二部)
毛穴の横にある皮脂腺内で分裂を繰り返し、皮脂を溜め込む。その仕事は自身の死(退職)によって完成する。
しかし皮脂に含まれるパルミトレイン酸が活性酸素により酸化し、加齢臭を生み出してしまった。



■細菌

  • 肺炎球菌
本編とほぼ同じ容姿。容赦無く赤血球の喉元を食いちぎり溶血させる。

  • 淋菌
淋病を引き起こす細菌。
「淋」菌というだけあって、常に「淋シイ……淋シイ……」と連呼している*2

容姿は背中から触手を生やしたマタンゴといった感じで、頭部や触手の形状は 明らかに男性器を模している。 要するにきたないBB部隊
頑強な細胞壁を持つために好中球の装備では歯が立たず、しかも増殖速度が極めて速いため、好中球独力では退治不可能(≒自然治癒しない)という恐るべき細菌。
彼らを撃滅するまでに好中球は多数の戦死者を出す事態となってしまった。
その後ペニシリンの到着により戦況が逆転。細胞壁を破壊された後のシルエットは、
元々亀頭を模した頭部に加え、太ももが球状になっているためもう完全に手足の付いたチンコであった。
また本作に於いて、淋病によって引き起こされる「尿道から膿が出る症状」は、細胞達による 戦死した好中球の水葬 という形で表現された*3

好中球に対しては触手を身体に絡み付かせて締め上げる事で攻撃する。本作の好中球は揃いも揃って巨乳美女であるためその戦闘は触手責めの様相を呈する
そして締め上げが主な攻撃手段なのに 何故か好中球の着ている服をビリビリに破り裂く 。いいぞもっとや……いや、やっぱりやめてあげてください……。

アニメ版では彼らの登場回はその外見と舞台により別の時間帯に移された要因になった。
外見も曲線的な甲冑を纏ったような外見になっており、雰囲気はそのままにチンコらしさは全く無くなっている。当然である

  • ピロリ菌
胃粘膜を傷つけ、胃潰瘍を誘発するとされる細菌。本作では胃酸の海を泳ぐ巨大な怪物として描かれている。
免疫細胞たちの決死の攻撃もさほどの効果を上げずお手上げ状態だったが、最終的に外の人が服用した抗生物質によって制圧された。
完全な駆除に成功したのかは不明*4


■ウイルス

  • 帯状疱疹ウイルス(第二部)
第二部の体で水ぼうそう以来神経節に潜伏していたヘルメット状のウイルス。根絶する事は不可能だが神経節に閉じ込め一生眠っているはずだった。しかし積もり積もったストレス、免疫力低下により再び姿を表す。



■人間(世界)


細胞たちが働いている職場そのものである人間。先述の通り第1部と第2部では世界(からだ)が異なる。
原作では人間の性別や年齢が分からないように配慮されているが、本作ではある程度推測出来る描写が存在する。

▲第1部

描写から年齢は30歳以上(おそらくは中年)の男性という事が分かっている。
他に分かっている事は喫煙者で酒の飲みすぎにより肝機能が低下中、血液はドロドロで血管はデコボコ、ストレスによる円形脱毛症に悩まされ、EDということ。
バイアグラの摂取などから風俗も利用しているようだが、何をやらかしたのか淋病まで発症している。
作中喫煙は10年ぶりと言っていたので、長い間禁煙していたのに喫煙してなきゃやってられんような出来事があり、以後飲酒の量が増えストレスでEDになったりしているようだ。二日酔いには迎え酒というダメ人間(迎え酒は酔いで頭痛や吐き気をごまかしているに過ぎない)。
もしかしたら「外の人」もブラック労働なのかもしれない。

本編ではチョイ役かつトラブルメーカーでもあった「薬剤」が頻繁に登場し、多くの場合において細胞たちを助けているのも特徴。

最終的に不摂生が祟り心筋梗塞を発症して心停止に至り、細胞たちの世界を滅亡寸前に追いやるが
心臓マッサージ、AEDの使用、外科手術(ステント治療によるプラーク除去)により一命をとりとめた。
その後は体内の環境が大きく改善しているが、多少は意識も変わったのだろうか。

☆第1部でり患した疾病の例
  • ED
  • 淋病
  • 円形脱毛症
  • 水虫
  • 胃潰瘍(+ピロリ菌感染)
  • 痛風
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 大腸ポリープ
月刊少年シリウス出張版


▲第2部

赤血球AA2153らが輸血により降り立った新たな世界(体)。
心筋梗塞の罹患歴のある人は献血を断られるため単なる献血ではなく、顆粒球輸血療法*5によるものと考えられ、第一部の体の親族など面識がある人間と思われる。
年齢や性別は不明であったが20話で男性と判明しており、毛根の状況から見てハゲかけていることに加え、
加齢臭も漂う事からオッサンである可能性が高い。以前の体に輪をかけて劣悪な環境もあり細胞達の言動は荒みきっている。
一日5回のエナジードリンク摂取がやめられず、鼻血や尿路結石のせいで赤血球は酸素を運ぶだけで命がけである。
さらに飲酒によるアルコール摂取量も多く、喫煙による一酸化炭素は常に充満している。
丸2日も睡眠を取らず同じ姿勢のまま動かなかったためにエコノミークラス症候群を引き起こし危うく死に掛けたほか、痔になったり帯状疱疹になったりと非常にブラックな肉体。
何よりも大きな問題はそうした健康状態にもかかわらず一向に生活習慣の改善がみられないこと。
赤血球たちは、「死の四重奏*6」に蝕まれたこの体で先住赤血球らのパワハラにも負けず仲間を増やし、離れ離れであった白血球1196番とも再会する。
しかし、最凶の病魔である「糖尿病」の進行は進み、ついにはβ細胞が自ら活動を停止してしまう。
もはやこの世界の生死は「外」からの援助次第だが、それでも生活習慣は改善されずアルコールと薬の量が増えていく…。

☆第2部でり患した疾病の例
  • 敗血症
  • カフェイン依存(急性中毒ではなく、カフェイン切れの離脱症状)
  • 尿路結石
  • 加齢臭
  • エコノミークラス症候群(肺塞栓症)
  • 糖尿病(尿糖、赤血球の糖化)
  • AGA(薄毛)
  • いぼ痔
  • 痔ろう
  • 帯状疱疹
  • 壊疽(糖尿病神経障害)
  • 糖尿病網膜症
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 腱鞘炎
  • 急性膵炎
  • 歯周病
  • オーバードーズ(睡眠薬の過剰摂取)
  • ドライアイ
  • うつ病発症
  • ニコチン依存症
  • 肺がん発症
  • 癌再発・転移

▲アニメ版

アニメ版は登場する細胞や疾病が原作の1期と2期の折衷となっており、微妙に展開が異なる。
10年ぶりの喫煙と飲酒によって加速度的に悪化していくことに変わりはないが、ある意味原作より酷い状態になりつつある。

☆アニメ版でり患した疾病の例
  • 口内炎
  • ED
  • 淋病
  • 円形脱毛症
  • 尿路結石(+手術後感染症)
  • 加齢臭
  • カフェイン依存(カフェイン切れの離脱症状)
  • 脂肪肝
  • エコノミークラス症候群(肺塞栓症)
  • 水虫、インキンタムシ、しらくも
  • 胃潰瘍
  • 痛風
  • 狭心症
  • 心筋梗塞






追記・修正は自分の体内がホワイトだと自信がある方がお願いします。

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最終更新:2024年04月08日 07:08

*1 胃潰瘍回自体も原作より後に回されている

*2 「淋病」の名前の由来は、炎症によって尿道が塞がる事で尿の勢いが落ちてポタポタと漏れ出るようになる事を、雨の中の「林」の木々から雨水が滴り落ちる様子に準えたものであるため「淋しい」とは無関係

*3 実際に膿の正体は死亡した白血球が堆積したものである。顕微鏡サイズの存在である白血球(の死体)が、肉眼ではっきり見える塊を成すという事からもどれだけ激しい戦いだったか、どれだけ淋菌が手強い相手であるかが想像できるだろう

*4 抗生物質によるピロリ菌駆除は、一度目の成功率が8割程度。殆どの場合二度の服薬で駆除できるが、稀に駆除しきれない場合もある。

*5 敗血症などで減った好中球などを補充するために他者の体から顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球の総称)を採取して投与する治療法。赤血球は分離されるが、ある程度混入する。顆粒球の寿命の問題から採取・処理してすぐに投与する必要があり、継続的に行う都合上一人の患者に複数のドナーが必要とされる。

*6 肥満・糖尿病・高脂血症・高血圧を併発した状態