登録日:2018/12/03 (Mon) 16:20:19
更新日:2023/06/03 Sat 14:33:58
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概要
SCP-001-JPは、パリのノートルダム大聖堂、スペインのセビリア大聖堂、ドイツのケルン大聖堂にそれぞれ隠された収容室で発生する消失現象である。
このオブジェクトの収容違反は即時のK-クラスシナリオを引き起こすとされており、非協力的な行動は記憶処理、または即時の終了事由となる。
異常現象の発生に備え、発生地点の収容室内には一名のDクラス職員が拘束されており、異常現象の拡散を防いでいる。
更に、特別に任命された機動部隊が現象の観測と拡散阻止のために常駐している。
……と、001提言枠に相応しいスケールだ。
それでは、それぞれの異常現象について説明していこう。
SCP-001-JP-1
SCP-001-JP-1は4日に1度、内部の人物の体が24時間かけて徐々に消失していく現象である。対応する機動部隊は『機動部隊V-04'Vacant'』。
勿論対象は凄まじい痛みと多量出血に見舞われ、4時間ほどで頭部が消失することによって死亡する。4時間もの間地獄を見るDクラスに、いくら大罪人とはいえ同情を禁じ得ない。
この現象は半径50m以内の他の人に伝播する。しかし、何らかの手段で自殺した場合は伝播しない。
なお、この消失は順序があるようで、Vacantによってリストにまとめられている。
2時間:突然左足が消失し、混乱及び恐慌状態に陥る。この時点で睡眠ガスの使用が許可される
7時間:四肢と頭部が完全に消失。欠落は左足、頭部、右足、左腕、右腕の順の模様。
12時間:臓器、血管、筋肉、脂肪を残して他全てが消失。
24時間:残った体も全て消失し現象は終了。以降3日間は発生しないとされる。
SCP-001-JP-2
SCP-001-JP-2は3日に1度、内部の人物の五感が10時間かけて徐々に消失していく現象である。対応する機動部隊は『機動部隊V-09'Vain'』。
12時間経過時点で痛覚以外の感覚が消失し、対象は大抵舌を噛み切り自殺する。
この現象も半径25m以内の他の人に伝播する。ただし、伝播した異常現象の場合、五感のうちいずれか1つを2時間で消失するものに変化する。この現象も何らかの手段で自殺した場合は伝播しない。
ここで、ミドガルズ博士による証言。
彼によると、財団はこの現象について2度失敗しているという。
というのも、SCP-001-JP-1やSCP-001-JP-3と違い発見に手間取ったことと、その特性の特殊さにより異常性がどのようなものかの理解に時間がかかった為。
1つ目は、『人類が本来持っていた感覚』、第六感を全人類から消失したこと。2つ目は、視覚の『何か』の消失。
第六感の消失はまだよかった。第六感は所有している人が少なく、また消失しても気づかれにくかったから。
だが、視覚の消失は影響が大きかったのだと思われる。
詳しいことは分からない。だが、収容室が箱だと気づいたのはその後だったという。気づいた時点で後手に回さられていたとも。
眩い世界が我々の立つべき暗闇に覆い尽くされてしまい、暗闇の世界に仮初の光を当てたと博士は語る。
次元的なものか、はたまた明度的なものかは定かではないが、博士曰く、「
失敗したのではない」らしいので、恐らくはアンニュイ・プロトコルに頼ることなく収容できたのであろう。
最後に、博士は「三度目の失敗は許されない」と綴る。失敗を許さないためには『消費』すると、その行動が誰かに『悪』だと揶揄されようとも、そうすることが『正義』だと信じているようだ。
だが、彼らをそう突き動かす物は彼らを『悪』だと断じているらしい。
なぁんかキナ臭くなってきたよなぁ?
SCP-001-JP-3
SCP-001-JP-3は2日に1度、内部の人物の記憶が6時間かけて徐々に消失していく現象である。対応する機動部隊は『機動部隊V-11'Void'』。
記憶喪失以外にも脳幹機能の全てが停止、それに伴う心肺停止によって死亡することが殆ど。
やはりこの現象も半径10m以内の他の人に伝播する。だが、この現象は自殺しても体がそこにある間は伝播し続ける為、曝露者は設備内の焼却施設によって処理される。当然焼却施設から半径10m以内にはいかなる職員でも立ち入りが禁止されている。
ここで、Voidの隊員であるV-11-γの証言。
彼は現象を観測する任務についているのだが、彼の拙い読唇術によると、対象が記憶を失っていく様子を見ていると、口々にある言葉を叫んでいるように見えるらしい。
曰く、「奪われる」と。
彼はSCP-004-KOを比較にあげ、その違和感を主張する。
SCP-004-KOは、ざっくりいうと曝露した対象は記憶を少しずつ失っていき、最終的にただ息をするだけの肉塊と化す練兵場。
彼の憶測によると、収容室内にはある種の化け物がおり、捧げられた人間の記憶を食らうのではないかという。
アナンタシェーシャのように。
これらの施設内にもしも対象が存在しないままで異常性が発揮された場合、この異常現象は全世界の人々に発揮される。恐らくはSCP-001-JP-2の『失敗』はこの特性により広まったのだろう。
また、3つの大聖堂の共通点として、それぞれがかつて財団によって使用されていた拠点である点が挙げられる。
そのため、施設そのものがSCP-001-JPの影響を受けて変質した可能性が指摘されている。
次のリストは財団と大聖堂との歴史的関連を示したリストである。
1520/01/14
ドイツの哲学者、ノーレラス氏によって最初のオブジェクトとされるアイテムが発見される。
現在、このアイテムはドイツ農民戦争の結果、農民の手に渡り、以後行方不明となる。
なお、このアイテムはSCP-001-JPではないことがわかっている。
1525/日時不明
ノーレラス氏が異常物品の収集を開始したとされる。
ノーレラス氏がそれらの物品を使用している描写も確認され、その様子を農民達が神の所業とし、ノーレラスを崇めていたと言われている。
1528/日時不明
ノーレラス氏がセビリア大聖堂にて自身を「大司教セビージャ」と名乗り、当時のスペインの住人に異常な特性を持つ品々を「神への供物」として捧げる事で収集を開始したとされている。
1529/12/24
現在、財団に存在している最古の報告書がノーレラス氏の手によって執筆。
オブジェクト名は「賢者の流体」であり、異常性は人を不老不死とすると記録されている。また、その異常物品を使用したノーレラス氏の日記もセビリア大聖堂内で発見された。
ただし、ノーレラス氏はこの一年後に原因不明の死を遂げているために、このオブジェクトの存在は否定されている。
1532/11/12
ノーレラス氏死亡。
その後、初代O5-1であるグレゴリウス氏が大司教に任命される。彼の手によりオブジェクトの収集システムの改善が行われ、団体名を「保証と抑制と防衛のための礼拝の教団(The Order of Worship for secure contain protect)」と命名。これが今日のSCP財団の基礎となった。
恐らくこの辺りが001に指定される所以だろうか。
なお、その異常物品の保管の際に使用されていたのがSCP-001-JP-2が発生する収容施設である。
1533/日時不明
グレゴリウス大司教の介入により、当時建設が中断されていたケルン大聖堂の地下に、“SCP教団”の新たなオブジェクトの収容施設を建設するサファード計画が始動。この地下収容施設は5年後の1538年に完成し、エルメロス大司教によって運営される。その際に建設されたのがSCP-001-JP-3が発生する収容施設である。
1545/日時不明
反キリストの人たち、つまり涜神者の懲罰に使用されていたノートルダム大聖堂地下施設を教団が買収、異常物品の人体実験用施設として使用されるようになる。
この際に使用されていたのが、SCP-001-JP-1が発生する収容施設であり、前述したこれらの三施設を総称し、サイト-00とされる。
1546~1788
SCP教団の規模拡大に伴い、各地の教会の地下に収容施設を建設。また、信仰的要素の薄い、或いは存在していない土地に対しては独自の文化と建築物の建造が進められ、異常物品の収集は効率化された。
今日確認できる文化の中には財団が間接的に創設に関わった物も数多く存在している模様。
1789/05/05~1799/11/09
フランス革命勃発。これによりノートルダム大聖堂は多大な損害を受けると共に、多くのオブジェクトが流出。
収容施設の維持は困難と判断された。
いくつかのオブジェクトは他の施設へと移動し、ノートルダム大聖堂の収容施設は廃棄される事態に。
また、この際に流出したいくつかの異常物品により、各要注意団体の前身とも呼べる存在が各地に登場した。
1800/09/07
四代目O5-1アルファスの死亡、並びにノートルダム大聖堂の廃棄を元に、五代目O5-1ロイターによる異常物品の確保、収容、保護、実験システム等多数の要素の一新が行われ、名称を今日の「SCP財団」と改められた。
発見経緯
1855年、SCP-001-JP関連の文書が財団の文書保管庫の奥の奥に、いくつかの異常物品の記録と共に発見された。
ただし、それらの文書は劣化が激しく、修復作業に更に10年の時間が消費される羽目に。だがその苦労の見返りとして、かつて収容施設として使用されていた大聖堂内に未確認の異常物品とSCP-001-JPが存在している可能性が高い事が判明。
1866/04/21、機動部隊によるセビリア大聖堂の捜索が決行。その結果、収容施設内からいくつかのオブジェクトが確認されると共に、SCP-001-JP-2の存在が明らかとなった。そのため、文書内に記録されていた他の大聖堂でも調査が行われ、未確認のオブジェクトとSCP-001-JP-1、SCP-001-JP-3が発見され、収容に至った。
ただし、SCP-001-JP本体に関しては現在も発見されていない。
また、文書には今も収容されているオブジェクトの記録もあったため、彼らに対してインタビューが行われた。
みんな大好きクソトカゲこと
SCP-682。
奴は「過去何度か引き裂いた」と言う。
また「それは財団を恨んでいる」と警告する。
SCP-076-2、「アベル」。
彼は「お前達の方がよく知っているだろう?」「お前達はまだアレを使っているのか?」と言った。
夢に干渉する
SCP-990「ドリームマン」と、
SCP-239「小さな魔女」。
シガーロスちゃんは以前、大怪我をした人と会い、透明化の魔法を教えていた。
また、ドリームマンはその人に「あなたがSCiPになるかもしれない」と予言していた。
更にドリームマンは「"悪い人間"はいなくならない、
それは何度繰り返しても変わらない」と言う。
断言はしない。だが、思い当たる節はあるだろう。
財団はソレを使い捨てにする。ソレらは財団を恨んでいる。
アンニュイ・プロトコルこそ発揮されたものの、異常が日常へと変化させられた人々は、真実を知った時どう感じるだろうか?
意味もなく化け物達に殺された人々はどう思いながら死んでいったのだろうか?
ヤツメウナギが平らげたクリシュモナジー博士とマナバ博士、記憶処理剤に変貌させられた人達は、財団をどう思っているだろうか?
失敗しても何度も繰り返し生み出される彼らは、財団に何を思うだろうか?
宇宙の故郷に厄介払いとして送られたエージェント・ジョーンズは?エージェント・アッシュは?ミシマ博士は?そもそも表象群となった550人は?
何より、人間の都合で滅ぼされた旧支配種は世界をどう思っているのだろう?
まるでモルモットのようなソレらを、財団は奪い続けてきた。
否、“ソレ“だけではない。財団は多くの人から奪ってきたのである。
だが、彼らが奪い返しにこない保証がどこにあるのだろうか?
補遺
SCP-001-JPに関する文書の復元を行う際、その文書に添付されていた一件の写真のデータの復元にも成功しました。ただし、この画像データの閲覧は即時のタイプⅤ反ミームコンテンツへの曝露を引き起こし、不可逆的な侵襲を発生させます。対抗措置ミーム001の摂取を行っていない場合は、速やかに担当者へ報告し、ミームの接種を行ってください。
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SCP-001-JP、或いはD-001の一部と推測される写真。
余談
- このオブジェクトは、日本支部5周年記念コンテストであるワルコンの応募作品であり、4位に入賞したものである。
- 上記のD-001の画像だが、ペニーワイズがSCPを紹介するシリーズでお馴染みのitPierrot氏の写真を改変したものである。
- 元記事では独自のCSSテーマが適用されており、独特の雰囲気が醸し出されている為一度足を運んでもらいたい。
追記・修正は奪われる苦しみを味わってからお願いします。
- ローマ数字は環境依存文字だしタイトルはIIのほうが良くない?まあ一部記事はローマ数字使ってるけど -- 名無しさん (2018-12-03 16:53:28)
- ↑元のページ名がローマ数字を使っていたのでそれに習いましたが不味かったですかね……?問題が大きいようなら変更します -- 名無しさん (2018-12-03 16:54:49)
- ↑正式なタイトルを再現することは望ましいけどそれに環境依存文字が含まれるなら修正するのはやむを得ないと思う 文中ならともかくタイトルがバグるのはあまり望ましいとは言えないよ -- 名無しさん (2018-12-03 17:08:20)
- 最後の画像が暗くてよく分からない・・・ すみませんが誰か教えてくれませんか? それとも敢えてよく分からない画像にしてるんですか? -- 名無しさん (2018-12-03 17:28:42)
- 項目名をⅡ(ローマ数字)からII(大文字のi二つ)に変更しました -- 名無しさん (2018-12-03 17:43:46)
- 最後の写真は写っているものではなく、そのキャプションがポイントなのでは。「或いはD-001」の部分。 -- 名無しさん (2018-12-03 18:50:51)
- 要約:(このヘッドカノンにおける)SCP財団創立から今に至るまでのDクラス達の恨みが地縛霊的な物になってて、自分達から奪われた人としての色んなものを痛みを伴う形で奪い返そうとしてるよ!あと魔女ちゃんの話を見る限りもしかしたら透明人間として実在してる可能性もあるよ! -- 名無しさん (2018-12-03 18:54:18)
- 親リンクが-JPと付いていないのは合ってるの? それと記事自体への出典元が無いです -- 名無しさん (2018-12-03 23:36:59)
- D-001がペニーワイズさんと知るとジョージィはオブジェクトなのかなと思ったり -- 名無しさん (2018-12-04 11:38:13)
- 笑う人たち亜種みたいな解釈でよろしいか? -- 名無しさん (2018-12-04 21:24:20)
- これ、この001-JPが「ひとり」じゃないとしたら、この収容プロトコルってエサをやってるようなものなんじゃ…… -- 名無しさん (2018-12-05 01:26:40)
- 餌やらないとどうなるか、今度は8900じゃ済まされないかもしれないからね -- 名無しさん (2018-12-05 20:49:59)
- 相手が財団を恨んでるとか普通にインタビューに答えてるクソトカゲになんか笑った -- 名無しさん (2018-12-12 23:01:07)
- ペニーワイズさん巡回済み -- 名無しさん (2018-12-17 22:59:19)
- 元記事筆者の退会に伴い記事は削除されました。だからSCP記事のアニヲタ解説は楽しいけどリスキーなんだよな……元記事が消える可能性が常に付きまとう。 -- 名無しさん (2019-02-18 12:41:42)
- 逆に言うともう削除された記事の解説が読めるって良いことだと思う -- 名無しさん (2019-02-18 14:22:12)
- ↑そういう考え方もありか……。 -- 名無しさん (2019-02-18 15:13:35)
- 惟鯨も剥奪も大好きだったからこっちでまた読めて凄く嬉しい -- 名無しさん (2019-08-22 08:50:07)
- まとめると、Dクラスをはじめとする財団の被害者(SCP-001-JP)が、奪われたあれこれを奪還しようと異常現象(-1,-2,-3)を起こしてるってことか? -- 名無しさん (2020-02-17 12:58:24)
- 財団は冷酷だが残酷ではない、だがそんなことは犠牲にされた側にとっては、『世界』とやらのために切り捨てられた者達にとっては何の免罪符にもなりはしない。 -- 名無しさん (2020-12-03 03:49:32)
- これはつまりどういうことでしょうか。何ながんだか分かりせん。dクラスが恨みを持っているのはわかりますがそれがどう影響するんでしょうか。理解力がないので分かりません。誰か教えていただけないでしょうか。また、ページの最後の写真が見えにくいのですがあれは何が写っているのでしょう。 -- ??? (2021-07-11 21:07:22)
- ↑1 -- 名無しさん (2021-08-06 19:08:58)
- ↑1 今まで財団に切り捨てられたDクラスや他の職員やなんやらの残留思念的な何かが財団に奪われたものを取り返そうとしてる(小さな魔女のコメント的に実際に透明化した実体がいるのかもしれない) 最後の写真はSCPのリアイベで売ってたDクラス仕様のつなぎを撮って加工したもの。消費されたDクラスの匂わせ的な -- 名無しさん (2021-08-06 19:13:27)
- 必要な犠牲を謳う者は自ら進んで犠牲の先頭に立つことはない。被害を被るのはいつだって末端の人間なのよね -- 名無しさん (2022-07-22 04:04:11)
- ↑4例えが少しニッチだけど、つまりは「憎悪・復讐対象がニンジャではなく財団になったナラク・ニンジャ」だと思えば割とわかりやすいかもしれない 復讐対象の犠牲になっていった無数の人達の無念と怨嗟の集合体だという意味でも余計に -- 名無しさん (2023-02-16 11:37:19)
最終更新:2023年06月03日 14:33