来る(2018年の映画)

登録日:2019/01/11 Fri 07:50:45
更新日:2024/04/12 Fri 13:14:17
所要時間:約 10 分で読めます





あの中島哲也監督の最恐エンタテインメントが、






●概要

2018年12月7日に公開された日本のホラー映画で、監督はあの「告白」と「渇き。」などの作品でとてつもない強烈なキャラクターを数多く生み出した中島哲也監督。

原作は澤村伊智「ぼぎわんが、来る」であるが、ストーリーラインは準拠ながら原作にある民俗学的要素が薄まり、代わりに“怪異”の得体の知れなさといわゆる“毒親”による家庭内での心の闇、そして何より、日本最強の霊媒師を集結、国家予算も使った盛大な除霊劇を描いた、今までのJホラー要素と中島監督の作風などをミックスさせたエンタメ要素を盛り込んだ“濃い”ホラー映画となっている。
序盤から場面ごとに「重々しく、どこか嫌悪感溢れる」空気が流れ、ぶっちゃけ氏の前々作及び前作の要素を受け継いでいるが、映倫区分はPG12指定と優しめになっている。

岡田准一を主演に迎え、小松菜奈、松たか子の中島作品の新旧ヒロイン、そして黒木華、妻夫木聡、青木崇高、柴田理恵と豪華かつ印象深いキャスト陣が来た。

公開されるや否や癖の強い作風で、賛否両論を巻き起こしたが、キャスト陣の強烈なキャラと後半の霊媒師集合に「霊媒師版アベンジャーズじゃねえか」とか「心霊版シン・ゴジラとかどう考えてもホラー映画らしからぬパワーワードが観客から続出し、話題を呼んだ。


●あらすじ

妻・香奈との間に娘・知紗がうまれ、順風満帆な家庭生活を送る秀樹だが、後輩の不可解な咬み傷をきっかけに身の回りで奇妙な“現象”が立て続けに起きる。
悩む秀樹は友人に紹介してもらったオカルトライターの野崎とその恋人・真琴と共に“怪異”に挑む。
しかしその“怪異”は凶暴さをむき出し、多数の死傷者を増やす。
凶暴な“怪異”に悩む面々の前に、真琴の姉にして日本最強の霊媒師・琴子が登場。それを機に全国から有数の霊媒師達が集結し、決戦の日・クリスマスで“怪異”を迎え撃つーー

●登場人物


○田原家の依頼を受けた者

■野崎和浩(演:岡田准一)
無精髭とひらパー兄さんにならない程度のワイルドな風貌のフリーのオカルトライター。
別れた妻と知り合いだった津田の紹介により秀樹に依頼されて“怪異”に挑む。
主役ながら出番が中盤からで、後述の霊媒師達のせいか陰が薄い。
ちなみに演者は21年前棒に気を込めて物理で除霊する少年霊能力者、12年前不治の病で他界後少しだけ現世に呼び戻された青年を演じていた。


■比嘉真琴(演:小松菜奈)
ピンク髪のキャバ嬢霊媒師。吉原のマンションに住んでいる。野崎の恋人。
決して役所広司が父親ではない…っていうか演者本人の気合い入ったメイクとタトゥーにより初見で「誰⁈」となること間違いなし。
秀樹の依頼で野崎に協力し、田原家と親しくなるが…
霊媒師としての能力は姉には及ばず、“怪異”に対して後手に回ってしまうことが多々ある。
見た目は派手だが子供好きで、知紗と仲良しになる。小松菜奈が幼女とお風呂入るのは本作だけ!


○田原家

■田原秀樹(演:妻夫木聡)
田原家の夫。
愛娘の誕生を誰よりも楽しみにし、生まれた愛娘をブログに書くほど溺愛するイクメンパパ。
幼い頃、幼馴染の失踪及び祖父の出来事から、昔から“怪異”につけ込まれており、知紗の誕生の際、後輩の高梨の負傷から始まる怪奇現象から香奈と知紗を守るため、野崎と真琴とともに解決しようとするが…
ちなみに妻夫木聡は中島作品に出るのは3回目であり、元子役と軽薄で極悪な刑事を演じていた。


■田原香奈(演:黒木華)
田原家の妻。
どこか憂いを秘めており、愛娘・知紗の育児生活に疲れ、育児ノイローゼ気味に陥っている。
そんな状況下で怪奇現象も来てしまい、さらに頭を悩ますが、解決のためにやってきた野崎と真琴と親しくなり、明るさを取り戻すようになる。


■田原知紗(演:志田愛珠)
田原家の幼い一人娘
オムライスが大好きで、異変の際にやってきた真琴と仲良しになる。


○田原家関係者

■津田大吾(演:青木崇高)
秀樹の大学からの知り合いで、自称“親友”
民俗学者であり、秀樹達を襲う“怪異”について相談を彼から受け、彼に野崎達を紹介している。
野崎の別れた妻とは知り合いであり、彼女と別れた野崎を心配していた。
原作の唐草に相当するキャラ。
ちなみに二重の極みは使えないし、中島作品の前作のヤクザではない。


■高梨重明(演:太賀)
野崎の会社の後輩で、社内のムードメーカーかついじられキャラ。
“怪異”の最初の被害者であり、「ちささんの件で」という電話を受け取った後、秀樹の前で謎の咬み傷を受ける。
その後、病院に入院するが、秀樹が見舞いに来た時、常時喉が乾くほど衰弱しており、秀樹に自分の心の闇をぶつける。


■店長(演:伊集院光
香奈がパートで働くスーパーの店長。
シングルマザーに理解がない男で、知紗のことで頭を悩ます香奈に嫌味を言い、彼女をますます追い詰めてしまう。


○霊媒師

本作の目玉とも言えるやつら、田原家の“怪異”に立ち向かうために集結、国家予算も使ったお祓いを実行する。
どいつもこいつも肝が座っており、「こいつらのせいで中盤から映画変わった」という評判をいただいた。

■比嘉琴子(演:松たか子)
真琴の姉にして、日本最強の霊媒師であり作中最強キャラ候補の一人。
前髪ぱっつんでロングヘア、そしてサングラスの下の左目のキズ、そしてパンツルックとレザージャケットでターミネーターばりの強キャラ感を醸し出しており、終盤最強フォームかというくらい巫女装束が似合いすぎる女。ラストも相まってターミネーターっぽいし、続編が製作されたら「I'll be back」しそう
霊力は真琴を1とするとこちらは100という規格外なモノであり、タバコの煙で霊障を和らげる男一人を沈黙させる強パンチを繰り出すことから窺いしれる。有能なあまり、警察のお偉いさんに無茶を要求出来るほどの実力者である。除霊に使えるものはなんでも使うスタンスで、ファブリーズも使う
超然としており、冷静かつ無慈悲な女に見えるが、ラーメンをズルズル啜ったりビール飲んだりスマホでKOFで遊ぶ(使用キャラは不知火舞)姿にギャップがあり、真琴のことを「バカな妹」といいつつも可愛がっていることからただ完璧なだけではない人間味も感じられる(そこがつけ込まれる弱さではあるが…)
様々な依頼を受けており、多忙な身でありながら、田原家の異変に参戦、クリスマスに霊媒師を集結させ、“怪異”との決戦に挑む。
かつて男子中学生を「どっかーん!」と除霊したかは不明


■逢坂セツ子(演:柴田理恵)
琴子の知り合いのタレント霊媒師。オカルトブームが去ったため人気は落ち目だが、その実力は本物。作中最強キャラ候補の一人
琴子の紹介で秀樹と野崎の前に現れ、中華料理店で打ち合わせしているところに、“怪異”の襲撃を受け、片腕を食いちぎられてしまう。
原作では(アマチュア霊媒師の主婦であるため)ここでフェードアウトするが、隻腕のまま復帰、前哨戦と言わんばかりに田原家の“片付け”をし、野崎に「ここからは闇になります。信じられるのは「痛み」だけです」と助言し、最終決戦に合流する…!
上映後、どこかワイルドな風貌も手伝って「柴田理恵がかっこよかった」とか作中随一の人気キャラになっている模様。


■ハイサイ霊媒師組(仮)
琴子の召集を受け、沖縄から旅行のノリでやってきた霊媒師のおばちゃん集団。タクシーに乗って「あたしらバケモン退治に来たのよ(意訳)」と軽いノリで運転手と話していたら“怪異”に襲われタクシー転倒、そのままトラックにぶつかるという画太郎の漫画みたいなオーバーキルを食らう。タクシーの運転手さんとばっちりすぎる。


■新幹線組(仮)
新幹線で琴子の元へ向かう霊媒師のおじいちゃん集団。関西から来ているようだ
沖縄のおばちゃん集団が殺されたのを悟り、それぞれ別ルートで琴子の元へ向かう。
この時の「誰か一人でも辿り着いたら御の字やろ」というやり取りとカプセルホテルで法衣に着替えるシーンはいろんな意味で必見


■女子高生巫女組(仮)
祭壇で準備しているところに自撮りしたり、お札をペタペタして遊んでいる女子高生集団で、「なんだ…中島監督作品にありがちな思慮分別ない子供か…」と思いきや、実は琴子が呼び寄せた巫女集団であり、さっきまでの軽いノリと打って変わったシリアスな面持ちで最終決戦に挑む。
「来るよ。」と決戦の予兆を感じ取るシーンは必見。


●余談


原作小説は“怪異”の正体「ぼぎわん」について民俗学的視点から暴く要素が見られたが、本作は前述の通り民俗学的要素は薄まり、“怪異”自体が「ぼぎわん」であるかどうかぼかされており、観客に“怪異”の正体がなんだったのか委ねられている(故にタイトルが「来る」のみであると推察できる)

ご覧の通り重い部分のあるホラー映画だが、ザキヤマことアンタッチャブル山崎弘也氏、今くるよとのコラボCMが話題になり、ポスタービジュアルの岡田准一の立ち位置を乗っ取るなど腹筋に強パンチを食らわせた。

岡田准一主演ということで、やはりというべきか恒例のひらかたパークにて公開記念展示が行われた。
で、例のごとくパロディポスターが作られたが、そのキャッチコピーとタイトルパロディは…


あの中書島駅から8駅の最寄りの遊園地が




という、ひらパー兄さんが来場者数10億120万人と盛ったものだった。監督の名前にかけてわざわざ中書島駅を引っ張ってくるあたり相変わらずのキレッキレぷりである。




こわいけど、面白いから見てください。

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最終更新:2024年04月12日 13:14