グリード(STAR WARS)

登録日:2019/12/16 Mon 10:45:00
更新日:2024/01/18 Thu 23:22:35
所要時間:約 10 分で読めます







《お出かけかい? ソロ》



グリード(Greedo)とは、スター・ウォーズ・シリーズの登場人物。


【種族】

《おれに渡せば命は助けてやる》

種族は、タイリアス星系に属する惑星ローディアの原住種族ローディアン
緑色のごわついた皮膚と、真っ黒い眼球、前方につきだした口、耳とは別にある頭の上につきだした感覚器官、指先の吸盤、モヒカンのような毛髪、という一目でわかる特徴をしている。

ローディアンは一般的に闘争心が強く暴力的。狩猟民族の性質が強いらしい。
さすがに現在は惑星ローディアも銀河共和国に加盟しており(クローン大戦期はオナコンダ・ファーが元老院議員を務めていた。戦争中に暗殺される)、首都一帯は落ち着いているものの、むかしは激しい氏族間戦争で沸き立っていたらしい。
その影響もあってか彼らの戦闘能力はそれなりに高く、マンダロリアンには及ばないものの強力な戦闘民族として、多くのローディアンが傭兵・賞金稼ぎとして抜擢されるようになった。
一つには、狩猟文化を根底に置く彼らは、戦闘や破壊の腕前を競う一面があり、それが彼らの戦闘技術を高めるのだという。

もちろん、彼らのすべてが乱暴者というわけではなく、上述のオナコンダ・ファー議員はアミダラ議員からも尊敬される優しい人柄だった(パドメの父親ルーウィ・ネイベリーがオナコンダと親しかったため、叔父姪のような関係だった)し、ジャバ・ザ・ハットの宮殿でダンサーをしていたグリアータ・ジェンドワニアンは、仲間たちとともに見事な踊りを披露していたし、ウーラが殺されてショックを受ける優しい性格でもあった。

ただ、長年の戦争による荒廃や、狩猟のしすぎによる大型動物の減少、外宇宙からの技術流入による重工業の発展により、環境破壊・食糧危機という別の問題も発生した。
通商連合の交易ルートを通じてやっと食料供給を賄っているありさまであり、クローン大戦期にはそれを突かれて大騒ぎになったことがある。


【人物】

《ジャバは貴様の首に賞金をかけた。へっへっへ……おれがいただくぜ》

さてグリードに入る。
こいつはオナコンダ・ファーやグリアータ・ジェンドワニアンとは違い、暴力的なほうの「一般的な」ローディアンだった。
しかも偉大な戦士といったタイプではなく、小物相手に威張り散らしたり、身の程知らずに大物に喧嘩を売ったり、といった「チンピラ」タイプである。

映画初登場はEP4で、ハン・ソロを恐喝したところ見事に罠にかかり秒殺されたことで有名になった。
……といっても、当時の登場時間は一分あるかないかで、死後評されたような「ザコ」としか映らなかった。
その後のシリーズ展開にて、EP1で幼少期の姿が、CGアニメ「クローン・ウォーズ」で青年期の姿が描かれたが、いずれもたいした奴ではない。
(ちなみに、アナキンの友人には同年代のローディアンのウォルドがいるので、混同しがち。アナキンが優勝した場面などで大喜びしているのはウォルドのほうで、グリードはカットシーンのみ)

コイツの名前がそこそこ有名になっているのは、スター・ウォーズ世界でそこそこ目立つローディアンの一番手ということに加えて、ソロに殺害されたシーンがいろんな意味で物議をかもしたからであった。


【性格】

《ジャバは怒ってるぜ。帝国軍を見ただけで、密輸品を捨てたとな》

EP1時点からアナキンと取っ組み合いをするなど乱暴者として通っており、同族のウォルドの言葉からも、狼藉ばかり繰り返していたらしい。
しかも悪口や陰口といった陰湿な行動から始まること、陰湿でありながら表立って行動することなどから、嫌われやすく敵を作りやすくしかも行動が粗忽。
それでも優れた勝負勘や射撃の腕前、戦闘能力があるならいいのだが、そっちの腕前もたいしたことは無いらしい。
加えて、なぜか自分では大物だと信じているようで、尊大なのに腕は三流という、いわば絵にかいたようなチンピラ

こうした彼の行動はEP4でも見られ、ソロに対して「ジャバの怒り」をかさに来て粗暴に振る舞い、金と船をよこせと迫ったあげく、挑発に乗ってわけもわからないうちに殺されてしまった。
あの最期の場面はいろいろ物議をかもしたが、どのバージョンでも「軽はずみにソロを脅したら殺意を固めたソロに乗せられ、わけのわからないうちに死んだ」というグリードの軽薄さだけは一貫している。
ああ見えてもダース・ヴェイダーとは同い年だというのに。享年はたぶん四十代だというのに。

結局、死後にソロからは「ザコ」呼ばわりされ、ジャバからも軽んじられていたことが示唆されるなど、なかなか悲惨な目に遭っている。


【来歴】

◆前歴

《絶対やった》

「グリード」の名前は父親からもらったものらしい。つまり父も同じ「グリード」だったようだ。腕利きの賞金稼ぎだったらしい。
彼らはテツー氏族に所属していたが、当時彼らはチャッツァ氏族(首領:ナヴィック・ザ・レッド)との抗争に敗れて父グリードも死亡。
残された妻のニーラは、一族とともに惑星ローディアから脱出した。このとき彼女には子供が四人いた。グリードは三番目で、このころ三歳だったという。
ちなみに、兄はノック、ティークー、弟にはキーダックなる人物がいる。

一族はその後もナヴィック・ザ・レッドの落ち武者狩りに遭い、転々とするうちにグリードの家族はいつしかタトゥーインへと移住していた。
ここで成長したグリードは、やがてローディアンらしい粗暴さを発展させていく。要はワルガキに育ったということだ*1
実はEP1のカットされたシーンに登場しており、ブーンタ・イヴ・クラシックで優勝した、当時九歳のアナキン・スカイウォーカーに対して「お前の勝ちはインチキだ」と喧嘩を吹っ掛け、取っ組み合いになったことがある。
このときはクワイ=ガン・ジンが引き離して終わったが、同族でアナキンの友人のW・ウォルドからは《面倒を起こすのはやめろ。今に痛い目に遭うぞ》とボヤキ混じりの諌言を受けている。


◆クローン大戦期

《二度と追い回せねえよう、カタをつけてやる》

しかし結局彼が素行を改めることは無く、青年期に入って肉体が成長しても、彼は粗暴なチンピラとしてジャバ・ザ・ハットの宮殿に出入りするようになっていた。
大戦期にはもう公式な犯罪者リストに資料が載っており、少なくとも一回は捕まった模様。

クローン大戦は銀河共和国を二分する大乱ではあったが、ジャバが介入を嫌がったこともあり、その影響はタトゥイーンでは限定的だった。
ただ、なにせタトゥイーンは暗黒街の首都というべき惑星であり、数多くの賞金稼ぎや傭兵が、それぞれの陣営に引っ張られていった。

このときグリードも少しだけ関わっており、惑星パントラの書記長N・パパノイダ男爵の娘、チェ・アマンウェとチー・イクウェイを誘拐したことがある。
もちろん娘を奪われた家族が放っておくはずがなく、パパノイダ父兄が救出に駆け付ける。
グリードはジャバが助けてくれることを期待していたようだが、ジャバは彼の情報を売り渡してしまい、結局人質を見捨てて逃亡することになった。
また、グリードは最初家族を背後から捕捉していながら、あっさり返り討ちにあったりしている。


◆帝国期

《謝れば船を渡すだけですむぜ》

やがてクローン大戦は銀河帝国の勃興という形で幕を下ろし、幼なじみだったアナキン・スカイウォーカーは奴隷からジェダイ、そしてシスのサイボーグへと目まぐるしく変わっていったが、もういい歳になったはずのグリードはまだチンピラをやっていた。

ところで、自尊心だけは一丁前なグリードは、名だたる賞金稼ぎたるには自分専用の宇宙船が欲しいと願っていた。
そんな折、かつて住んでいたこともある、惑星ナー・シャダーを訪れて他の賞金稼ぎと組んでいたころ、船の部品を盗もうととある旧式宇宙船に忍び込んだ。
そのボロ船こそが「ミレニアム・ファルコン」で、当然見つかったグリードはハン・ソロチューバッカに見つかって制裁されてしまう

その事件からしばらくして、グリードは耳よりの情報を手に入れる。
ハン・ソロが麻薬の密輸に失敗した、ジャバ・ザ・ハットは賠償を取り立てたいというのである。
勇躍したグリードはジャバに請け負い、モス・アイズリーの酒場でついにソロを捕捉して銃を突きつける。
ソロは「弁償するつもりはあるが現ナマはない、当てはあるから借金は必ず返す」と請け負ったが、グリードは「金も船も俺によこせ」と強要。
ソロが真顔になったのにも、挑発されて乗せられたのにも気づかず、(威嚇射撃をしようとしたところに)本気の銃撃を浴びて、いきなり即死した

「まず俺を殺せ」
《そうするよ。いっぺん殺してやろうと思ってた》
「やれるならやってみな」

BONG!!


◆死後

このグリード殺害事件はたちどころにジャバの知るところとなり、怒った彼は直接ソロのもとに怒鳴り込んだ。
しかし、結局ジャバにとっても貢献度はグリードよりソロのほうがはるかに大きく、結局彼の求める猶予を受け入れる。
このときジャバは一応《かわいそうなグリードを、なぜ殺した》といってくれはしたが、その後ソロが「ザコなんかよこすな」と言い返すと、グリードがザコということはまるで否定せずに話を進めていった。

ところで彼の死体にはもう二つ顛末がある。
いずれも現在はレジェンズ設定に分類されているが、これがなかなかカオスで、いかにも暗黒街の都タトゥーインらしいエピソードなので記載する。

一つは、死体。
彼が殺された酒場の主は、前からグリードを嫌っていたのだが、その死体を回収するとバラして酒造ドロイドにぶち込み、新作のリキュールを作ったという。
あんなエイリアンの肉片から作った酒かよ……といいたいが、これがなかなかうまくできたらしい。

もう一つは葬式。
死体酒の一件で、グリードの死体は頭部しか残らなかった(しかも嫌われていたから針を突き刺されたらしい)のだが、これがなぜか回収されて、なぜか著名な賞金稼ぎたちの手で、なぜか丁重に葬られた。
なんでも、生前は身のほど知らずのチンピラとして嫌われていたのだが、ソロに殺された顛末がなぜか美談化され、「勇敢に戦った死んだ男の姿」として伝わったらしい。なぜだ。
葬列者の中にはボバ・フェットのような大物もいたそうな。


【余談】

EP4で彼がしゃべっているのは設定上はハット語だろうが、1976年の映画撮影当時はケチュア語*2を喋っていたらしい。

なお、グリードがソロに知らないうちに翻弄されて撃ち殺された場面は劇場公開版を含めた初期作品では、
グリードが「殺してやろうと思ってた」、ソロが「やれるならやってみな」と挑発しあう
→なんの前触れもなくグリードが爆発、黒焦げになってダウン
という流れであったが、1997年の「特別篇」以降は上記のようにグリードが先に発砲し、ソロが撃つという流れになっている。
この変更は「ハンが先に撃った(Han shot first)」というファンどころか関係者まで巻き込んだ大論争に発展し、それ以降もDVD版、Blu-ray版、Disney+版(※日本では現時点でBlu-ray版と同じ)と、公開から40年以上経てもこの発砲場面は繰り返し修正が行われている。
特にDisney+版では、発砲直前にグリードの「Maclunkey!」という新規ボイスが追加され話題を呼んだ。





《謝れば、俺の項目の追記・修正だけですむぜ》
「まず俺の項目からやれ」
《そうするよ。いっぺん全消ししてやろうと思ってた》
「やれるならやってみな」

MACLUNKEY!!

BONG!!



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最終更新:2024年01月18日 23:22

*1 以上の前歴は現在「レジェンズ」分類である。

*2 南米大陸の先住民の間で話される、実在する言語。かつてのインカ帝国の公用語であり、現在でもペルーやボリビアなどではスペイン語と並ぶ公用語でもある。