黒炭家(ONE PIECE)

登録日:2020/03/21 Sat 10:36:00
更新日:2024/03/01 Fri 14:31:00
所要時間:約 9 分で読めます






※この項目は本編のネタバレを含んでいます











権力闘争の何が"罪"だ!!? トップに立てば法を作れる 罪など罪でなくなる!!



黒炭家とは、漫画ONE PIECE』にて登場する集団名。
存在が明らかになったのは光月おでんの過去篇から。


●目次

【概要】

ワノ国の現支配者・「将軍」黒炭オロチの血縁者達。
黒炭家はおでん・オロチの祖父の代の頃までは、光月家に仕える大名「霜月家」に匹敵する有力な一族の1つだったらしいが、現在は見る影もないほどに没落している。
これはオロチの祖父(名前は不明)が次期将軍の座をモノにするべく行った謀略の代償であり、当時の光月家に跡継ぎが中々産まれなかったという事情がすべての始まりだった。
当時の光月に仕える五つの家(霜月、黒炭、雨月、天月、風月)の大名たちはそれぞれ自分こそが次期将軍にならんとしていたが、オロチの祖父は政争の一線を超えて対抗馬となる大名達を事故や病気に見せかけて暗殺していった。
こうして目論見が成就するかと思われた矢先、光月家に待望の世継ぎ(光月スキヤキ)が産まれたことで陰謀は頓挫。
更に謀略が明るみに出たことでオロチの祖父は切腹し、黒炭家は城や領土など全てを失い取り潰しとなり、一族関係者は軒並み露頭に迷う羽目になってしまった。


こうして非常に不名誉な形で没落した黒炭家と離散した一族の存在についてはワノ国の民衆に広まり、「大罪を犯した黒炭家の者である」という理由(だけ)で
黒炭家の一族出身者は、「悪は徹底的に滅ぼすべきである」「自分たちの行いは正義である」と加熱した一部の民衆達から苛烈な迫害・リンチを受け、命を落としてきた。 オロチなどは事件当時は生まれてすらいなかったにも拘らず、幼少期から命を狙われていた模様。 
つまり暴走した正義感のもと「加害者(犯罪者)はその家族も同罪である」と言わんばかりの極端な決めつけ・レッテル貼りで無実の人たちまで死に追いやったわけだ。

霜月康イエら大名達はオロチが黒炭家と知っても「なぜ隠していた?」と疑問に思うも動揺していなかったように、これらの迫害は将軍家や他の大名が意図したものではない水面下で行われた一種の集団ヒステリーのようなものであった様子。
オロチの祖父が斬首ではなく切腹であることからも、ワノ国の大名たちの中ではそれで落とし前は付けたという認識であったと思われる。
将軍家や大名達は民衆の行いを全く把握していなかったか、当時の大名たちが隠蔽し子や孫に詳細を伝えなかったなどが考えられる。
把握していなかった理由は不明だが、黒炭家の者達には「自分達の当主が私欲のために他の大名を謀殺した」という負い目があり、お上に訴えようにもできなかったのかもしれない*1
現にオロチですら謀略を罪として認識していた当時は「仕方がない」と諦めていた。


本編ではワノ国での迫害、村八分から生き延びた残党が暗躍。
遠大な策略を駆使してワノ国を簒奪し、百獣海賊団と結託することで国内を地獄絵図に変えて暴虐の限りを尽くしている。
その一方、被害者と思われたワノ国そのものが地獄絵図の引き金(だから自業自得な部分もある)とも言えるのがまたやるせなさを増す。
そして長年の暴虐の末に、金色神楽での麦わらの一味&対黒炭オロチ反乱軍vs百獣海賊団の一大決戦の末にオロチの首は斬首。
トップに位置していたオロチの死亡に伴い『勢力』としての黒炭一族は完全に滅亡した。


【残党】

生き残った者達は過酷な環境で育ったこともあって軒並み性格の捻じ曲がった曲者や悪党揃いという有様。
謀略と政略に長けた一族だったのか、一族出身者の多くが政略や謀略に長けた何らかのスキルや悪魔の実を得ている一方で直接的な戦闘力は低めな傾向にある。


黒炭(くろずみ)オロチ


この国の奴ら全員が!!「黒炭家」を虐げた罪人達だ!!皆いつ死んでくれても構わねェ!!

おれが「将軍」の座についたのは!

この国を滅ぼすためだ!! 復讐するためだ!!!

CV:岩崎ひろし

黒炭家本家の血を引く黒炭家の現当主。
動物系幻獣種(ゾオン      )の悪魔の実「ヘビヘビの実:モデル“八岐大蛇”」の能力者。
ワノ国で幼少期から迫害を受けて育っていたが、ことの次第を詳しくは知らず、それ故に祖先が悪事を働いた結果なら仕方ないと受け入れ、その上で復讐心は持たずまっとうに成り上がることを望んでいた……が、ひぐらしとの邂逅と詳しい事情を知ったことで決起。
暴走した正義感で不当に自分たちを虐げたワノ国の人間と国を滅ぼす復讐者として暗躍し、カイドウと手を組みワノ国を簒奪した恐るべき独裁者。
――否、「破壊者」
それ故に国を治める支配者でありながら国民全員を「バカ」「ゴミクズ共」と忌み嫌い見下している。
詳細は個別項目を参照。




【故人】

黒炭(くろずみ)ひぐらし


おまえがわしのいう事を聞くならば… "力"を与えよう 将軍になる為の力を!!

CV:江森浩子

当初「黒炭家の関係者」を名乗っていた山姥のような不気味な老婆。
頭にロウソクを巻いた祈祷師のようなボロボロの装束を身に纏い、笑い方も凄まじく不気味だが、超人(パラミシア)悪魔の実「マネマネの実」の前能力者でもある。
迫害による貧乏暮らしを送っていた若い頃のオロチの前に現れてオロチの素性や黒炭家断絶の真相を語り、オロチに悪魔の実を与えてワノ国の国民と光月家への復讐心を焚き付け、国の簒奪を唆した『ワノ国編』における全ての元凶
詳細は個別項目を参照。



黒炭(くろずみ)せみ(まる)


慌てる事ァねェよオロチ様…「バリバリ」の術を信じなせェ……

"バリア"は何者も寄せつけぬという"理屈"じゃ お前の強さは無意味だおでん!!

悪魔の実:バリバリの実(超人系)
年齢:不明
身長:不明
誕生日:不明
肩書:琵琶法師
血液型:不明
趣味:不明
好物:不明
笑い方:不明
CV:山口太郎(ドボンも担当)

ひぐらしと共にオロチに接触した琵琶法師の老人。
口数少ない為人物像は分かりづらく、ひぐらしとは対照的に過去の経歴は不明。
一応オロチの取り引きで「バカ殿」として振る舞うおでんを見てオロチやひぐらしと一緒にゲラゲラ笑っているなど性格はかなり悪辣である事は察せられる。

実は超人(パラミシア)悪魔の実「バリバリの実」の前能力者。
能力発動時にはあのバルトロメオと同じポーズ(両手でそれぞれ指を結ぶ)を取っている*2
せみ丸によるとバリアは概念的な防御らしく、おでんのような超人であっても単純な力技では破壊不可能なことも明かしている。
要するに「なんでも防げるバリア」が文字通りの形で現れているのだ。

劇中ではオロチの側近として位置取り、バリアによってオロチを狙う敵の攻撃を防ぐボディーガード的立ち位置に就いていた。
オロチによればおでん帰国までの間幾度もワノ国の大名達が悪政を敷くオロチの命を狙ってきたらしいが、一向にオロチが倒れなかったのは百獣海賊団の存在もさることながらこの人物の影響も大きい。

なお、現代では「バリバリの実」はバルトロメオが能力者となっているため既に死亡している模様。
ロジャー処刑時(新世界編より24年前)では健在だったため、時系列的にはロジャー処刑後に死亡したと推察される。
しかしカイドウがひぐらしの殺害に成功していることから、なんらかの方法でバリバリの実を無力化され、彼もまたカイドウ一派の手にかかり同時期に命を落とした可能性もある。

名前の由来はおそらく平安時代の歌人の「蝉丸法師」。「平家物語」を語り継いだ琵琶法師の元祖と名高い人物である。



【余談】

黒炭家の面々が謀略の手段としてえげつない悪魔の実の有効活用方法を見せたせいで、
逆説的に「悪魔の実の能力を得た犯罪者(海賊)を収容するインペルダウンの重要性」「安易に悪魔の実の能力者を殺してはいけない理由付け」の答えを見せる結果になっている。

また敵が報復者というパターンは魚人島編の新魚人海賊団が先例。しかし単に周囲の偏向教育によって人間への敵意や憎悪を植え付けられたにすぎない彼らと異なり実際に迫害を受けている。 
「黒炭と名が付けばガキでも罪人になるらしい!!」との言葉通り、黒炭家というだけで無関係な人たちまでもが犠牲になった過去を考えると「お前らも無関係なのに虐げられる苦しみを味わってみろ!」と言わんばかりの超圧政も哀しみを感じさせるところだ。

最終的には勢力としての「黒炭家」は滅び、ワノ国編終幕時には「燃えてなんぼの 黒炭に候」で幕を閉じた。
しかしこれに関して読者間でも「根本的な解決には至っていないのではないか」という声が少なくない。
たしかに大元はオロチの祖父の謀略であること、上記の黒炭家ひいてはオロチが圧政を強いたことでワノ国がメチャクチャになったのは紛れもない事実であるが、「犯人の切腹」「お家の取り潰し」で落とし前をつけてなお、「黒炭と名がつけばガキでも罪人になるらしい」として必要以上に痛めつけたワノ国そのものにも原因があるといえる。
何せオロチですら当事者の切腹と家の取り潰しまでならば「仕方ない」と諦めていた程であり、ここでワノ国の住民が暴走していなければ作中の「黒炭家」勢力は存在していなかった可能性が高い
類似事例としてはイゾウ・お菊兄弟も親の罪で冷遇された過去があり、彼らはおでんがいたから救われたに過ぎない。
噺家のエンタメで済めばいいが、万が一ほかに黒炭家の血を引くものがいると判明することがあれば…正直ワノ国の体質を変えなければ近かろうと遠かろうと新たな悲劇が、最悪「別のオロチ」が発生するのは容易に想像できる。
人によっては問題のはぐらかしと見るのも妥当ではある。
とはいえ、それも可能性の話。あくまでも迫害をしていた人たちは一部であり、未来はいい方にも向かっている。
ワノ国の今後の真の平穏を願うばかりである。

追記・修正よろしくお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ONE PIECE
  • ONE PIECE用語項目
  • ONE PIECE登場人物項目
  • 大名
  • 百獣海賊団
  • 黒炭オロチ
  • ワノ国
  • ワンピース
  • 迫害
  • 謀略家
  • 黒炭家の陰謀
  • 卑劣漢
  • 全ての元凶
  • 黒炭家
  • マネマネの実
  • バリバリの実
  • ネタバレ項目
  • 残党
  • 復讐
  • 曲者揃い
  • 黒炭ひぐらし
  • 黒炭せみ丸
  • 考えさせられる話
  • ロックス
  • 差別
  • 被害者にして加害者
  • 人間のクズ
  • 人間のクズの温床
  • どっちもどっち?
  • 人間のクズの温床←本当にそうか?
  • 御家再興
  • 人間臭い
  • 初登場がワノ国編
  • 正義マンの被害者

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月01日 14:31

*1 訴えたが「『黒炭の者』の言うこと」と握りつぶされた可能性もある

*2 バリアを張る時に指を結ぶポーズが必要なのはアニメ版の追加設定だが、密かに逆輸入したのか原作時点で裏設定的に落とし込んであったのかは不明