ヘキサギア

登録日:2020/03/29 Sun 11:11:38
更新日:2024/03/21 Thu 21:06:59
所要時間:約 65 分で読めます









可能性に満ちたこの美しい星の行く末を見届けよう。



薄く灰の降り積もるこの世界で"おまえ"というガバナーが活躍できることを期待してこの言葉を贈る。




-「破壊も創造もすべておまえが決めろ…」-


※ヘキサギア公式サイトより抜粋







ヘキサギア(HEXA GEAR)」とは、コトブキヤが展開するオリジナルプラモデルシリーズの一つ。
2016年9月に情報が初公開され、約1年後の2017年8月末に第一弾がリリースされた。








【概要】

ギガンティックアームズで試験的に導入されていた六角型汎用ジョイントシステム「ヘキサグラムシステム」を全面に推し出した組み換え遊びに特化したシリーズ。
キャッチコピーは冒頭にもある「破壊も創造もすべておまえが決めろ…」

同じくコトブキヤのオリジナルコンテンツであるフレームアームズ(FA)がプラモデルなのに対して、こちらはブロックトイに分類されている(使用されているプラスチック素材などは大きくは変わらない)。
そちら同様組み換え遊びを重視し、ユーザーの独自設定を妨げない自由度の高さを備えているが、
そのキャッチコピーやスクラップ&ビルドというコンセプトに違わず、組み換えの自由度はFAと比べても非常に高く、またFAとは様々な面で差別化が図られている。


【特徴】

FAが1/100スケールなのに対してヘキサギアは1/24スケールで展開されており、また人型ロボだけでなく動物型メカやバイク、二足歩行ビークルなども展開されている。
動物型のモチーフは四足獣、昆虫、恐竜……と多岐に渡る。
人型ロボは旧式化した前世代機とよりヒト型に近くなった新鋭機の二種に大別されているが、前者はFAと比べて頭身が低く、どっしりとしたデザイン。後者は曲面を多めに使った細身のデザインとなっている。
いずれにせよ、後述する「ガバナー」を搭乗させられることが大きな差別化要素となっている。

各パーツは従来の3mm穴/軸と5mm軸、各種ヘキサジョイントによって組み合わさり、
ヘキサジョイントはアダプターパーツで3mm穴/軸に変換可能……と、
従来のコトブキヤオリジナルコンテンツと比べてもその拡張性・改造の自由度は群を抜いている。
当然FAやMSGパーツも使用可能であり、複数のヘキサギアの混成、FAとのミキシング、
果てはフレームだけヘキサギアで外装は全てFA/MSGなど、ユーザーの解釈と発想如何でいくらでも改造を利かせる事が出来る。
FA譲りの「ユーザーが『こう!』と言えばそうなる」「設定上一点ものでも見た目だけ似せた模造品or見立て改造の素材なら問題ない」の原理も健在である。
本来は脚の装甲版だったものをレーザー砲にしたり、ワンオフ機の頭部を両肩アーマーにしたりしても何ら問題はないのだ。
コトブキヤ版権プラモデルの例に漏れず改造のし易さや俺設定の盛り込みやすさを重視した世界観はしっかり構築されているというわけである。
ちなみに1/24というスケールをガン無視して(概ね1/12サイズの)美少女プラモデルを乗せられるように組み換え・改造しているユーザーも多い。というか公式でも割とそういう作例が出てくる。沼は繋がるのだ。

ヘキサギアを構築し、また搭乗し戦う兵士は「ガバナー」と呼称され、これらもヘキサギアと同スケールで立体化されている。
全長約7cmとかなりの小型スケールながら表情豊かな可動が利くため、これ単体でも結構遊び甲斐がありバリエーションも豊富である。
またその性質上、公式もまた各ユーザーを「ガバナー」と称する。このガバナーとヘキサギアの組み合わせこそがシリーズ最大の特徴といえる。

組み換えを遊びのメインに据えるコンセプトの都合上、PSパーツは外装に集中し、強度を求められる可動部やフレーム部分はABSやPOM、場合によっては金属軸の組み立て済みパーツを採用する事で剛性を確保……と、ブロックトイとして割り切った構造になっている事が特徴。
このため黎明期のコトブキヤプラモにありがちだった剛性の低さはヘキサギアではよっぽどの事がないと問題にならないが、フレームまで含めたフル塗装はかなり難儀することになる。
特に初期ガバナーの大半はABS、PVC、POMの複合で、塗装するには少々骨が折れる。
世界観上ウェザリングが非常に映えるので、無塗装で汚しだけしているガバナーも多い。

公式サイトにはユーザーが製作したキットの投稿フォームがあり、日本のみならず海外からも寄せられた作品たちをも覗くことができる。
自身の作品を投稿したり、逆に投稿された作品を眺めてインスピレーションを高めるのも良いだろう。
投稿フォームにはいくつかのレギュレーションが定められており、
設定に関する制限が一切ないフリービルドと、ヘキサギア世界の末端としてのロールが求められるミッションの二つがある。
フリービルドは設定はおろかスケールすら自由であり、ヘキサギアを基本とするならFAガールやメガミデバイスとのミキシング、
果てはメガハウスのデスクトップアーミーやトミーテックのリトルアーモリーといった指定の他社パーツすら使用可能である。
実際に参考例としてスタッフにより、FAガール・アーキテクトとレイブレード・インパルスのミキシングが投稿されている。
但し許可された特定のもの以外の他社パーツは使用不可であり、また版権作品を模したものや版権キットを使用した物も禁止である。*1
あくまでヘキサギアの世界の設定に縛られないというだけでルール無用な訳ではない事には注意。
もちろん公式サイトへの投稿を念頭におかないのなら話は別である。

詳しくは後述するが、世界とストーリーはFAなどと比べてもかなり退廃的で、世紀末感が漂う重厚かつ泥臭いものとなっている。
『地球に住む人類VS暴走した月のAI』というどちらかといえば単純明快な対立構造が描かれていたFAに対し、本作は


『「人が人である自由」というお題目を掲げ、汚染物質を撒き散らしながら戦う人間』

VS

『地球環境保護の為に全人類を電子化させようと、民間人の住む市街に侵攻を開始するAIとそれに共感した人間(と元人間)』


という、どちらの行動にも問題がある図式になっている。
このように単純な正義と悪の対決にならない構図が作られているのは、プロデューサーの亀山直幸(YUKI)氏が企画中に癌に侵されて生死の境を彷徨い*2
その治療中に出会った癌患者一人一人が違った死生観を持っていたのを間近で見て来た事で、
死への向き合い方に正解も間違いも無いという結論に至った、という経験が元になっている為である。

なお本作の世界観に於いて国家が消滅し、実在の地名が登場しないのは、現代の国・地域が抱える問題のあれこれを劇中にまで持ち込ませないためである。
このため、今後も現実の国家・地域・民族に直接関わる事柄が劇中に登場する事は無いと考えられる。
言うまでもないがこれらの設定を特に気にせず遊んでいる人も多い。というか設定がかなり長大であり、全部読み解こうとすると結構ボリューミーである。

【ミッション】

模型としても俺設定としても非常に自由にできる本作であるが、
その中でも例外となる、公式曰く「一種の縛りプレイ」となるのがこのミッションである。
上記の2つある投稿フォームのもう一方で、フリービルドとは異なりこちらには使用可能パーツや自作品に付けられる設定に多くの制限が課せられている。
というのも、ミッションは『LA若しくはVFのどちらかの陣営から発令された特殊な任務にガバナーが参戦する』という形で開始され、
一定の投稿期間を経て公式サイト上にミッションの結果が小説という形で発表され事で終幕となるのだが、
小説には投稿された作品が登場して実際に戦闘を行った様子が語られ、登場した作品はヘキサギアの世界に存在するものとして公式に認められる
このため、既に決められている設定やヘキサギアの世界観を損なわない様にする必要があるのである。

また、演出上仕方のない事として、全作品がSSに出演できる訳ではないこと、
ストーリー上の出番や活躍振りに作品ごとの差が出ること、それらの闘いの結果自作品が破壊される事もあることは繰り返し周知されている。
とにかく、こちらに投稿しようと考える者は、必ず公式サイトのレギュレーションをしっかりと確認すること。

公式サイトには半ばミッションの為に用意された設定資料が掲載されており、各種の重要な設定の数々が非常に綿密に語られている。
かなりの文量があるが、しっかり読み込めばよりヘキサギアの世界の理解を深めることができるだろう。

一度開催するとストーリーが長大になる事や、コロナ下でプラモ人口が激増したことで前述のように設定に縛られず遊んでいるガバナーも増えたためか、2020年以後は実施されていない。

【ストーリー】

エネルギー枯渇と環境汚染が深刻化し、人類が衰退しつつある近未来。
新たに開発された半永久エネルギー機関「ヘキサグラム」が齎した恩恵により、人類は二度目の産業革命を迎えた。
その衝撃は凄まじく、人類は再度繁栄に向かったばかりか従来の国家という枠組みさえ解体せしめ、
それらに代わって巨大企業が都市と人々を治めるようになっていた。
しかしヘキサグラム製造の影響により世界各地で環境汚染は急速に進行・深刻化して行く。
ここに至り、人類再建の為に開発されたAISANATは、「地球環境再生の為には、全人類の電子化こそが急務」という結論に至り、
『プロジェクト リ・ジェネシス』の実行を開始する。
SANATは世界最大の軍産複合体MSGを手中に収め、続いて実働部隊ヴァリアントフォースを結成する。
その一方でSANATに反対する人々も結束し、企業連合リバティー・アライアンスを名乗り対抗、両者の戦争は徐々に泥沼化して行く。

混迷の時代となった世界で、人々は行方不明となった一人の科学者の言葉を唯一の手掛かりとして、その足跡を追う。

「破壊も創造も、すべておまえが決めろ」



【用語】


ヘキサギア

汚染進行により大きく減少した人手を補うために開発された機械。
元々は作業用重機の工業規格の名前であり、転じてヘキサギアが使用された機械そのものそうを呼ぶようになった。
更に、この時代では専ら軍用ヘキサギアを指す。

重機としてのヘキサギアは元々は持ち込める資材が限られる宇宙開発目的に開発されたため、
汎用性・多用途性を持たせるためにブロック毎に容易に分解・組立ができるようになっている。
軍用ヘキサギアも同様で、輸送用トレーラーの荷台程度の設備と環境ですら分解・再構築が可能とされる。

バルクシリーズの様な人型機は、当初こそ人間譲りの何処にでもどんな任務にも適応する多用途性や、
高い防御力とパワー・火力によって戦場を席巻していたが、
防御力と引き換えに機動力は非常に鈍重で、高火力武器の小型化によって防御力がアドバンテージにならなくなり、
機動性を確保するための改造や追加パーツの採用は高コスト化を招く結果となったため*3
時代の主流はヘキサグラムを利用した人工筋肉による高い機動力を持った第三世代型に移行していく事となる。
それでも一部の愛好家は長らく慣れ親しんだ第二世代型にこだわり、ハード・ソフトの両面でアップグレードを繰り返して乗り続けている。

第三世代型ヘキサギア

現在最新型となるヘキサギア。またの名を「ゾアテックスヘキサギア」。
制御AIにゾアテックスを搭載させたモデルを指す。また戦闘能力よりも機動力を重視したビークルモードへの変形を可能とするものも多い。
第二世代型と比べて軽装甲で、機動力を重視した傾向にある。
大抵の場合装甲に覆われたコクピットのようなものは備えられておらず、ガバナーは座席に剥き出しで跨っているだけのものがほとんどとなる。
これは極限まで機動力を高める事と小型かつ高威力の火器の出現、
アーマータイプの性能向上によりガバナー保護はアーマータイプに依存するという方針に移行したため。

2.5世代型ヘキサギア

便宜上の区分。
バルクアーム・グランツなど一部の機体が属する。
操縦系にガバナーと機体を神経接続する事で追従性・反応性を高めるBMIと呼ばれる機構を採用している。
人型機でありながらも装甲よりも運動性を重視した設計や形態変形機能を持つものなど、後の第三世代型に通じる特性を持つ。
所謂「過渡期」に当たる存在。

第二世代型ヘキサギア

戦闘用としては初期型となる、現在では旧式となったヘキサギア。
従来の戦車や戦闘ヘリといった兵器の延長に近い存在。
どちらかと言えばスピードよりも防御力を重視している傾向がある。
人型モデルの傑作「バルクアームシリーズ」や、大型作業用ドロイドに近い「スケアクロウ」等もここに分類される。
旧式化はしているが整備環境など第三世代ヘキサギアの運用実績の乏しい組織集団でも運用できるという点は評価されており、あえて本世代をベースにした新型高性能機も開発されているという。

第一世代型ヘキサギア

従来の重機の動力源をヘキサグラムに置換しただけの代物。
ヘキサギアの世界では、設定上はMSGギガンテックアームズ「ムーバブルクローラー」もこの第一世代型ヘキサギアという事になっている。

ヘキサグラム

この時代に於いて最も多く使われるエネルギー資源にして半永久機関。
化石燃料が枯渇したこの時代では、大型施設からスクーターに至るまでほとんどの機械がヘキサグラムで稼働している。

結晶炉で生成される「エレメント」と呼ばれる物質を薄い六角柱状に形成したもの。
具体的な原理などは不明だが、ナノマシンの集合体の様なものと見られる。
プラモとしては、六角穴にはめ込まれる中央に3mm穴の空いたナットのようなPCジョイントパーツがそれである。
ガバナーとのスケール比からして、大き目の皿か軽自動車のホイールキャップとほぼ同じくらいのサイズとみられる。

小ささやその割の出力の高さもさることながら、最大の長所は「再生型エネルギー」の別名の通り、
「出力・停止・再生を繰り返す」、つまり一定のエネルギーを消費するとしばらくの間機能を停止し、
その後時間をかけてエネルギーが復活しまた使用可能になるという点。
平たく言えば、『放っておけば使ったガソリンがタンク内に勝手に湧くエンジン』である。
複数機を同時に装備し、交互に使用すればそれこそ稼働時間は無限となり、実際にそのようにしているマシンは多い。

「動力機関と燃料の性質を兼ね備える」、
「機械に装填するとその機械の形状・性質を把握し自ら最適化する。ヘキサギアやアーマータイプに使用すれば人工筋肉に変形する」
「ブロック同士を結合させる*4」……等様々な性質も持ち、
その新たな活用法は現在もなお研究されている。


結晶炉

ヘキサグラムの原料となるエレメントの生成施設。
建設には地質的に向いた土地というものがあり、その建設場所は荒野だったり市街地だったり海中だったりと様々。
エレメントの生成と同時に深刻な土壌汚染、続いて有毒な瘴気を発生させるため、
建設地の周囲は植物の育たない不毛の地と化してしまい、アーマータイプ無しでは活動できない無人の地域となる。

現在はそのほとんどをVFが保有しており、LAが保有する結晶炉は少数である。
ヘキサグラムが文明の要であるこの時代に於いて、それを生産可能な結晶炉はどちらの陣営にとっても最重要拠点であるため、
どちらもトップクラスの厳重な警備を敷いている。


ジェネレーターシャフト

一言で表せば「SANATと電子化された人類やその歴史が保存されているサーバー」。
その形状は「天高く伸びる塔」とされ、キービジュアルなどに描かれている柱状のものがそれである。
現在もなお増設と拡張が続いており、将来遂に地球が失われる事態になった際は宇宙船となり、
建造中のスペースコロニーと合体して旅立つ事を目指している。
エネルギー源はヘキサグラムであり、SANATとVFはヘキサグラムを生産・回収してはシャフトの運用と維持に充てている。


SANAT

「サナト」と読む。
ある技術者によって開発された、人類を救済するためのAI。
地球環境保全の為に人々にヘキサグラム製造をペースダウンするように要請するが全く聞き入られず、
結果として人類を保護し未来へと存続させるには情報体に変換する事こそが最適と判断、プロジェクト リ・ジェネシスを発動す

強力なハッキング・クラッキング能力を有しており、既存のネットワークに繋がれた電子機器は瞬時に掌握する事ができる。
そのため、SANATの支配から逃れるためにはKARMAを使用するか、ネット接続を諦めてオフラインにする必要がある。

……とまぁこんな感じのお堅い設定なのだが、2019年に開催されたヘキサギア用ジオラマ展示の注意書きに亀山Pのお遊びでSANATを擬人化した女の子を描いたのが運の尽き(?)。
その後亀山Pが趣味で描いたこの子の登場頻度が増えて行き、SANATの設定とは切り離されたゆるキャラ「サナちゃん」として完全に独立することになった。
遂にはサナちゃん本体がプラモデルとして発売決定するまでに至っている。ヘキサギアカテゴリー内で世界観をすべおましてくるゆるいサナちゃんの姿は必見。

プロジェクト リ・ジェネシス

SANATの掲げる人類の保存と維持を目的とした計画。
その心は、「全人類の情報体への変換」。つまり人間をデータ化させ不滅の存在としようというのである。
最終的な目的は宇宙空間にアーコロジーを建設し、そこで身体を再構築し人類史を再スタートさせる事にある。

実行に際して「プロジェクト リ・ジェネシス憲章」と呼ばれるガイドラインが定められており、
ヘキサグラムの生産を一定に留める、地球環境を過度に汚染する兵器の使用を制限する、
人型の機械にゾアテックスを発現させようとしたり逆に人型を逸脱した機械に情報体をダウンロードする事を禁ずる……等といったものがある。
特に最後のものを違反した者はそのデータの削除(=事実上の死刑)に処せられる。
また憲章によると、希望者の情報体化は優先順位こそあれど誰であれ拒まず、また情報体化を強制する事はしないと定められている。


KARMA

読みは「カルマ」。
LA側のヘキサギアに搭載されている成長型AI。
ガバナーとの交流により徐々に進化・成長して行き、
無機質な受け答えしかしない個体もあれば、状況によりジョークを言う様になったりもする。

SANATの干渉を無条件でシャットアウトする事が出来る唯一のAIであり、またKARMA同士で独自のネットワークを構築する事が出来るため、
その性質からヘキサギアの制御にとどまらず、施設や都市の管理などにも使用されるようになった。
KARMAとは「業」という意味であるが、これは開発者の「どの様に使おうが結果は自業自得・因果応報」という考えから。


ゾアテックス

AIに自身を獣だと認識させる技術。
ゾアテックスを発動させたAIは、ヘキサギアの能力と合わさる事でまさに獣の様な素早さと荒々しさを発揮するようになる。

戦闘時、通常のAI兵器であれば戦況や彼我の戦力差を数値化し、計算の末に最も確実に勝利ないし生存する道を選択するが、
ゾアテックスを持つ兵器は計算などというまどろっこしい事はせず、
攻撃衝動と野生の勘に任せて、例え状況的に不利であっても獰猛に敵機に襲い掛かるようになる。
これにより戦場は高いランダム性を持つようになり、AI兵器の戦場の趨勢は単純な数と性能差で決まるものではなくなった。
一方であまりに獣性が高まり過ぎると制御が困難になるため、乗りこなすにはガバナーとの信頼関係が重要となる。

なお、ゾアテックスは人型の兵器に付与しようとするとどうしてもエラーを吐き、発現させられるのは非人型の機体に限られる*5
一応「真偽不明な情報」として人型のバルクアームαでゾアテックスを無理矢理発現させた例もあるとされ、
またゾアントロプスも人型でありながらゾアテックスを発現させている可能性が高いと分析されており、全く不可能ではないとも考えられる。
ただし、前者はあくまで真偽不明の情報とされ、また後者もあくまで分析結果の話である。
またバルクの例では都市の一区画が壊滅する事態を引き起こしたとされ、やはり人型にゾアテックスを発現させるのは並大抵ではない模様。

元々はアースクライン・バイオメカニクスの独占技術だったが、
ボルトレックスの研究開発拠点壊滅に伴いMSG側に技術が流失、専門性は失われている。


ガバナー

本来は「支配者」「調整者」などといった意味であるが、
本作中ではそれが転じて「広範かつ高度な知識と技術を持ち合わせた、ヘキサギア運用のエキスパート」を指す。
キットとしては、ヘキサギアに登場させる70mm大の稼働フィギュアを指し、公式もまたユーザーを指して「ガバナー」と呼ぶ。
公式の文書に登場する「ガバナー」は概ね「ヘキサギアのパイロット兼エンジニア」の意味と受け取って問題ない。
「参加者全員がモブ」とでも言うべきヘキサギアの世界にあって、
ガバナー(=ユーザー)は一人一人がヘキサギアの操縦・改造のプロフェッショナルであり精鋭である。


アーマータイプ

LA・VFの歩兵やガバナーが使用するパワードスーツ兼生命維持装置。
旧式の携行火器程度は防ぐ防御力と汚染地域での活動を可能とする密閉性を持つ(一部例外あり)。
ヘキサグラムとそれが変形した人工筋肉の恩恵により、半永久的な活動時間と常人を凌駕するパワーが齎される。

どちらの陣営にとっても軍の正式装備であるため外向けには流通しておらず、基本的に民間人には手の届かない代物である。
……が、何者かが横流ししたり軍を離れる際に持ち出したりで、正規軍人でなくても所有する者もちらほらいる。


情報体

SANATに賛同し、人の身体を捨てて電子データと化した人間のこと。
パラポーン(要はアンドロイド)にダウンロードする事で地上で活動可能となり、
死亡し(破壊され)てもジェネレーターシャフトに戻るだけなため本質的に消滅する事はない。
それどころか経験を蓄積し続ける事で破壊される度に強くなって行く。
憲章には情報体化は希望すれば誰でも可能と定められているが、
同時に上げた功績や能力によって優先度も定められているため、誰もが直ちに、とは行かない模様。
ただし、「人類の未来の為に戦う勇敢なる者」に位置付けられるVF兵士は最優先で情報体化する事が出来る。


レッケージ

廃棄・放棄された、ヘキサギアや兵器を含むあらゆる機械・部品などが集積される隔離地域。
メタ的には「モデラ―一人一人のジャンクパーツボックス」を世界観に落とし込んだものであろう。
中にはまだ生きているもの、修理可能なものも含まれており、レッケージを漁る者同士でそれらを巡って奪い合いに発展する事もよくあるとされる。
ゾアントロプスが所有するバンディットホイールも、ここで発掘したパーツを組み合わせて作り上げたものとされる。



登場組織


リバティー・アライアンス

「LA」と省略されることも多い。
「人が人である自由」を掲げ、全人類のAI化を目指すSANATに対抗すべく各地の企業が連合したもの。
SANAT側勢力に比べて規模で劣り、また構成員の戦死によって更に戦力が低下していく状況にあるため、どちらかと言えばやや形成不利である。
SANATの掲げる「プロジェクト リ・ジェネシス」をAIの暴走と看做し、その本体であるジェネレーターシャフトの破壊が目標である。

公式のストーリーやメカニック解説は多くの場合LA目線で描かれるため、メカ造形と相まって主人公陣営の様にも思えるが、
一方で、ヘキサグラムの生産による環境汚染に無頓着な節があったり、
強力な情報体に対抗するために人体の改造に手を出し強化兵士を作り出すなど、決して清廉な組織とは言い難い。
またあくまで「SANATに対抗する」ために企業が連合しているだけの組織であるため、
失った四肢の義肢化やサイボーグ化に肯定的な者・否定的な者、宇宙開発に積極的な企業人類は地球と共に滅ぶべきと考える企業など、
思想的には一枚岩ではないどころではなくバラバラである。

イメージカラーは白と青、どちらかと言えばヒロイックな造形が特徴的。

アースクライン・バイオメカニクス
LA参加企業の一つ。
ロード・インパルスとボルトレックス、そしてゾアテックス技術の開発元。

白亞理研
LA参加企業の一つ。
薬品・バイオ技術に秀でており、強化兵士の開発元。
「失敗により多数の犠牲者が出ている」「数少ない生き残りも人格に変調をきたしている」といった強化兵士の仕様のヤバさから、
ユーザーからは彼らもまたきな臭い連中と見られている。

マクスウェル・ギアーズ
LA参加企業の一つ。
ヘキサギア製造のサードパーティー企業。
バルクアーム・グランツやハイトレーガー等、独自に開発したヘキサギアもいくつか送り出している。


ヴァリアント・フォース

専ら「VF」と略される。「MGSヴァリアントフォース」とも。
プロジェクト リ・ジェネシスとSANATの実働部隊。
情報体となったパラポーン兵の印象が強いが、実際には意識と記憶をバックアップしただけの生身の人間の兵士の方が多数派であるという。
軍産複合体MSGの補助により豊富な物資を有しており、保有ヘキサギアも強力なものが多い。

イメージカラーは緑と赤、悪役っぽい凶悪な造形をしている傾向にある。

軍産複合体MSG
単に「MSG」とも。
世界一の規模の軍産複合体であるが、SANATの行動開始直後に制圧され、SANATの威力を知らしめると共に人類を驚愕させた。
世界一の軍産複合体というだけあって豊富な種類の兵器を保有・製造しており、VFが鹵獲したヘキサギアにMSG製の武装を後付けして強化する例も多い。

元ネタは間違いなくM.S.G.(モデリングサポートグッズ)……というかコトブキヤそのものであろう。


ヘテロドックス

LAでもVFでもない第三勢力。
中立の企業や都市、そこに住む一般市民、金次第でどちらにも与する傭兵、
或いはどちらとも組まない独立勢力などが該当する。
何等かの理由でSANATやMSGと決別した「はぐれ情報体」がヘテロドックスとなるケースも少数ながら確認されている。



【ラインナップ】


基本的に発売順に記載。
一部を除き、各キットには「アーカイブカード」と呼ばれるハガキ大のイラストカードが付属する。
メカデザインを担当したイラストレーターMORUGA氏(なお熱心なゾイドファンでもある)の手になる精緻な書き込みのイラストを集めるのもヘキサギアの楽しみの一つである。



【ヘキサギア】


商品展開されている各ヘキサギアは、中にはワンオフもあるが基本的には量産機である。
そのため、敵陣営の機を鹵獲した、損傷し放棄されたものを回収し修復した、LAとVFの衝突前に大量生産・配備されていた機種である……といった理由で、
開発・製造陣営と運用陣営は必ずしも一致しない。
LA所属企業製でありながらVF仕様機が先に商品展開されたボルトレックス、モーターパニッシャーなどはその典型である。
前述の通りデザイナーはMORUGA氏だが、バルクアーム等第2世代のヘキサギアはコトブキヤ社内のデザイナーF氏が担当している*6

なお第三世代型ヘキサギアは多くが獣をモチーフとしているが、具体的に何の動物を模しているかという設定は一部を除いて存在しない。
カブト・クワガタや九尾の狐がモチーフなのが明白なブロックバスター系やウィアード・テイルズのような例外もあるが、
基本的には「ある生物に見えるが、またある生物にも見える」というデザインが心掛けられている。





【ガバナー】


こちらのデザインは全てMORUGA氏が担当。
一部のキットは材質や可動域を見直した「Ver.1.5」が発売されている他(それに伴い旧版は生産終了している)、それらは設定にも反映されている。







【オルタナティヴモデル】


シリーズの中でも特にシンプル・コンパクトで組み立てやすさを重視した小型キット群のこと。
何れのキットもガバナー並みの価格になっており、初心者にお勧めしやすいキットとなっている。
反面成型色は少なめで、グレー系メインのカラーリングも合わせM.S.Gに性質が近い。





【その他】


上記のいずれにも当てはまらない、あるいは分類の難しいものを述べる。
なおキット以外にも、クリアファイルや缶バッジといった雑貨がリリースされている。






【余談】


  • 本作はコトブキヤの社運をかけたプロジェクトとしてフレームアームズ・ガールの儲けを注ぎ込んだらしく、失敗したら会社が傾くとのこと。この会社バカなの?
    社長曰く「大丈夫大丈夫、もしコケてもアニメFA:Gで上げた利益が吹っ飛ぶだけだから(意訳)」との事だったそうだが、無事にコトブキヤの人気コンテンツの一つとして成長を続けている。

  • 企画開始段階ではアグニレイジ発売までは予定していたらしく、仮に売り上げが振るわず打ち切られる事になった場合でも、そこまでの商品展開のみで世界観を構築できるようにしたとのこと。

  • 初期に発売したキットはCADで描画された3Dモデルをそのまま用いている都合で、やたらと説明書が見にくい。特に判り辛いレイブレード・インパルスとボルトレックスに至っては修正版がわざわざ公式サイトにアップロードされたレベル。バンディットホイール以降のキットはカラー刷りのイラストになった事で視認性が上がった。

  • 往年のモデラーの中にはかつてトミー(現タカラトミー)が展開していた24ゾイドと組み合わせて遊んでいる方もいる様子。というかスケールが同じなのでそりゃ相性抜群である。やっぱりコトブキヤはゾイド命の会社だったんだ!






逼塞するアニヲタwikiは荒らしとの戦争に臨み、己の形をも順応させていく。
屹立する項目と、それを取り囲むwiki籠り。
雲を突き抜けて聳え立つ秀逸な項目の威容。
残された書きかけ項目に閉塞する人々と、ページに滲む透き通った反転文章の影。
廃墟を駆け抜けるサルベージの群。

そしてアニヲタの集いの構築に深く関わった冥殿は、最後に自らが手掛けたサイトをある人物に託して姿を消した。
最後に彼の残した言葉だけが記憶にあり、人々はその言葉を追って彼の足跡を辿り始める。

-「追記も修正も、すべておまえが決めろ」-


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最終更新:2024年03月21日 21:06

*1 コトブキヤ製品であってもHMMゾイドやメガミデバイスのコラボキットは使用不可となっている。

*2 現在は無事快復している。

*3 実際のプラモデルの作品にMSGパーツの追加や置換を繰り返すとプラモ本体に加えてMSGの費用も積み重なる事の再現である。

*4 勿論プラモデルのジョイントパーツとしての性質の再現である

*5 「二脚」であるだけなら発現させられる模様。ラプトル型のボルトレックスもゾアテックスを使用できる。

*6 F氏は「サムライマスターソード」等、近年発売のM.S.Gのデザインも担当している

*7 第一次世界大戦の頃に登場した菱形戦車にも、砲と機銃を装備した「雄型」と、機銃のみの「雌型」の二種類が存在し、これが元ネタと考えられる。

*8 M.S.G.ワイルドハンドと同一である。

*9 デコマスや実際のキットで赤成型になっている奴

*10 実際にこれらを接続できるジョイント構造になっている