ワスプ(TFアニメイテッド)

登録日:2020/04/05 (日曜日) 10:44:13
更新日:2024/04/15 Mon 15:40:31
所要時間:約 3 分で読めます





復讐してやるぞ、バンブルビー。



「ワスプ」とは「トランスフォーマー アニメイテッド」に登場するトランスフォーマーの一体。

日本語吹き替え:野島健児、加藤賢崇



○概要

かつてバンブルビー、アイアンハイドらと共にセンチネル・プライムの元で訓練を受けていたオートボット士官候補生の一人。
バンブルビー、クリフジャンパーと同型のプロトフォームから誕生しており、体格及びビークルモードは全く同じである。

性格はニヒルで嫌味。ただし全く人付き合いができないわけではなく、アーマーハイドと親しく触れあう描写もある。
その一方で同型かつ同期のバンブルビーを見下しており*1、彼に嫌がらせを何度か行っていたため、バンブルビーはワスプに対して不満を募らせていた。



ある日、バンブルビーは何者かがディセプティコンと連絡を取り合う声を偶然聞いてしまう。更にその施設からワスプが出ていくのを目撃し、彼に対する不満もあって「ワスプはディセプティコンのスパイではないか」と疑うようになる。
当時士官候補生たちの中では孤立気味であり、唯一親しげに接してくれるアイアンハイドをスルーしていたバンブルビーは、同じ士官候補生のロングアームに相談を持ちかける。
そしてロングアームの協力のもと、ついにワスプがディセプティコンのスパイである証拠を発見し、ワスプはオートボットのエンブレムをセンチネルに剥がされ拘束された。



…が、実はバンブルビーが協力者として選んだロングアームこそがディセプティコンのスパイ・ショックウェーブであり、ワスプは彼の策略によって濡れ衣を着せられ投獄されたのである。
視聴者目線でもワスプが怪しく見えるよう巧みにミスリードされつつも、よく見ると彼が不審な行動を取った現場では必ずロングアームも居合わせていたのが伏線となっている。日本語版ではエピソード冒頭で速攻バラされるけど。
冤罪によって全てを失ったワスプは、バンブルビーへの復讐を決意。脱獄に成功し地球へと向かう。

なお、精神的に追い込まれたからなのか、本編の時間軸では目の色が青から紫に変色しており*2、声のトーンが高くなったばかりか、いちいち「ワスプ、○○する」と口に出すなど幼児退行を起こしてしまっている。


○地球に来てからの行動

無事に地球のデトロイトにたどり着いたワスプは、予定通りにバンブルビーへの復讐を開始する。
同型であることを利用して、自分を黄色、バンブルビーを緑色に着色して頭部カバーを交換する*3ことで入れ替わり、追っ手の目を欺いたのである。
しかし、バンブルビーとアイアンハイドしか知り得ない情報によって正体が発覚。再び追われる身となってしまった。

この時点でバンブルビーを含めたチームオプティマスの面々は、ワスプが冤罪であることを知っており、謝罪及び説得を試みるようになるのだが、
  • ワスプ当人は彼らに対して敵愾心しかない。
  • ワスプを追ってやってきたセンチネルたちは事情を把握しても自分たちの非を認めるどころか、「危険な逃亡者」として彼を捕まえようとワスプを刺激する。
  • 何よりバンブルビーの謝罪にあまり誠意が感じられない*4
  • ダメ押しにアイアンハイドがデリカシーなき差別的な発言でワスプに癪どころか逆鱗に触れた。*5

といった悪条件が重なってしまい、和解はまず不可能という状況であった。


逃亡生活の果て、ワスプはスワープによってダイノボットアイランドに連行され、二代目蜘蛛ねーちゃんことブラックアラクニアと出会う。
宇宙蜘蛛の毒によって半有機生命体となり、オートボットでいられなくなってしまった彼女は、ワスプに共感しているそぶりを見せることで、彼を誘惑する。
そして…


ぶ〜ん!

ぼくちん、ワスピネーターだぶ〜ん!



ブラックアラクニアはトランスワープ発生装置を使って、ワスプと猫ぐらいの大きさのハチを融合。こうしてミュータント、ワスピネーターが誕生した。
以後、吹き替えは野島健児ではなく、ビーストウォーズシリーズでワスピーターを演じた加藤賢崇が担当する。
声も基本的にワスピーターそのものである。

オプティマス、センチネルの二人を同時に圧倒するほどの強大な力を得たものの、幼児退行は更に酷くなっており、「ワスピネーター、メガかっこいい!」など、語彙力の低下が目立つ。
ここに至ってようやくバンブルビーは正面から謝罪の言葉を口にするも、もはやワスピネーターが耳を貸す事は無かった。
しかし、ようやく物理的な復讐ができると思った矢先、謎の不調が彼を襲った。
実は、ブラックアラクニアは「自分が元の機械生命体に戻るために、ワスプを一度自分と同じ半有機生命体にして、実験台にする」ことが目的だったのである。
体の不調は、実験の失敗によって発生したトランスワープエネルギーの暴走によるものだった。
「実験に失敗はつきもの」とばっさり切り捨てた彼女の本性を知ったワスピネーターは、怒りの矛先をブラックアラクニアに向ける。

蜘蛛ねえ……ぼくちんを騙したんだなぁ〜!

一緒に所帯を持とうと思ってたのにぼくを元に戻せ~!訴えてやる〜!

しかし、攻撃するよりも早く、蓄積されたトランスワープエネルギーが爆発。ブラックアラクニアが自身とワスピネーターを蜘蛛の糸で包んだことで被害は最小限ですんだものの、二人はいずこかへ転送されてしまった。
特に、爆心地の中心であったワスピネーターは、 見事にバラバラになってしまう。

ワスピネーター、まだまだ頑張るぶ〜ん…。

ワスピネーター、負けないぶ〜ん…!

そして右手に頭部を掴んだまま、左腕と羽と下半身を失った胴体で這いずり、何処かへ去っていった。

その時同時に飛ばされたブラックアラクニアをどこかで見たことがあるようなゴリラサイチーターネズミが覗いていた。

ネズミ「誰ッだお前?」

チーター「誰ッだお前?」

ブラックアラクニア「あぁ、そんな…ウッソォォォォォォォ!!」

ラットル「誰ッだお前?」

チータス「言わないと校長先生怒るよ!」



○まとめ

本作における、オートボットとディセプティコンの抗争の最大の被害者である。肉体的にも精神的にもここまで追い詰められたのは彼しかいない。
確かに彼自身、問題のある性格であり、士官候補生時代のバンブルビーやアイアンハイドへの行為は決して許されるものではないし、バンブルビーへの復讐も「間違った努力」と言える。
しかし、本編で彼が受けた仕打ちは、彼の罪に対しては明らかにオーバーキルと言わざるを得ないだろう。
そして今回の一件で罪を自覚したお調子者のバンブルビーと悪い意味でエリート気質なセンチネルが反省して成長してくれたらまた話は変わるのだが、残念ながら否である*6

「オートボットの一員を目指すも冤罪によって志を絶たれ、行動は一切報われず、誰一人として理解者がおらず利用されるばかり。あげくの果てに怪物と化してどことも知れぬ場所に追放され、死ぬことも許されない」というその姿は、
「雇用契約によって千葉トロンの配下になり、基本的にはやられ役だがやればできる子。一時的とは言え原始人たちから王として崇められ、そのゆるさ・不死身っぷりをギャグとして視聴者を癒し、過酷な戦いを最後まで生き延びることができた*7ビーストウォーズシリーズのワスピーターとはどこまでも対照的かつ皮肉めいたものである。
ここまでくると『二代目ワスピーター』というよりも、ワスピーターのアナザーと言ったほうが正しいかもしれない…。
心身ともに変わり果ててしまった彼ではあるが、せめて新しく辿り着いたゴリラ達がいる世界では平和に暮らせることを願いたい。

彼はスパイとして「ディセプティコンの一員」だという濡れ衣を着せられたが、皮肉にもワスピネーターはディセプティコン所属扱い*8であり、後々かつそれが要因ではあるが当たっている。

なお、玩具はワスピネーターのみが発売されており、前身であるワスプの方は商品化されなかった。まぁアニメイテッドはキャラが多いので商品化しなかった者も多いのだが。


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最終更新:2024年04月15日 15:40

*1 これに関してはバンブルビーの不真面目な気質が災いして教官のセンチネルを怒らせ、どばっちりの連帯責任で訓練自体は真面目にやっていたワスプも一緒に罰則を食らう場面がしょっちゅうあったのも大きいが

*2 基本的にオートボットが青、ディセプティコンが赤。

*3 顔は変えられないためバトルマスクで隠していた

*4 二言目には「悪いのはロングアーム」と言うので、自分の罪から逃げようとしているように見えてしまう。ついでにワスプから距離を取ったりオプティマスの背後に隠れたりと、態度もあまりいいとは言えない。あまりにもロングアームロングアーム言い続けたせいで最終的にオプティマスにすら「ちゃんと謝らないと」と言われてからようやく面と向かって謝罪するが、その時ですら話の流れから半笑いで誤魔化すようにして「色々ゴメンね♪」と軽いノリで片付けようとする始末

*5 ワスプは確かにいじめっ子ではあったものの、アイアンハイドを見下したシーン自体はバンブルビーやアーマーハイドにもあるし、ワスプのいじめっ子気質を嫌いながら、いじめっ子の延長線に成りかねない性格の悪いセンチネルにはまるで批判がなく、センチネルの悪いところには楯突かない時点でアイアンハイド自身も『弱きを助け強きを挫く』は当てはまるとはいいがたい。しかも、逃亡時に『ワスプはいいやつだった!』のワスプ当人の捨て台詞には、同じエリートガードを志した同志だったじゃないかの遠回しの意味なのだが、アイアンハイドの不器用さゆえかこの発想はないばかりか、『それは違う!キミは僕やバンブルビーに意地悪ばかりしてきた!裏切り者ではないけどいいやつでもなかった!』と、ワスプ側の冤罪への慰めは一切なく完全に私怨にとらわれており、私怨で敵愾心を捨てようとしないワスプに対しブーメランになっている。その上、ワスプと同じく意地悪したアーマーハイドには触れていない。せめて『裏切り者ではないのは認めるから、二度と意地悪しないって約束して欲しい』と更生と和解の余地があれば、蹴ったワスプの責任だが、その発想がなかったあたり、アイアンハイドにとってワスプは死ぬまで悪人と結論ありきな時点で、最初から許す気はなかった可能性もある。

*6 センチネルに関しては今回の騒動でエリータ1と再会したせいか不仲が続いていたオプティマスと和解はできたのだが、彼以外に関しては相変わらず傲慢なまま

*7 リターンズの最終回では「頭がスラストのハチ」になってしまい、ラットルにデコピンで吹っ飛ばされて退場したが、後にアメコミでワスピーターとスラストのボディが混ざりあった「スラスティネーター」へと変貌を遂げたことが発覚した。

*8 ディセプティコンのマークも描かれている。