英雄伝説 創の軌跡

登録日:2021/05/03 (月) 07:31:00
更新日:2024/01/01 Mon 22:48:34
所要時間:約 13 分で読めます







ここに終わり、ここに創まる――

概要

英雄伝説 (はじまり)の軌跡』(THE LEGEND OF HEROES: HAJIMARI NO KISEKI)とは、2020年8月27日に日本ファルコムから販売されたRPG。対応機種はPlayStation4
2021年8月26日にはNintendo SwitchSteam版が株式会社クラウディッドレパードエンタテインメントより発売。
「軌跡シリーズ」としては十作目となる。

』『』双方にとっての後日談としての面を持ち、これを以てゼムリア大陸西部を舞台とした軌跡シリーズの前半期ともいうべき物語が完全に完結する。
一方で、サブエピソードでは各キャラクター描写の補完に加え、カルバード共和国を舞台とする次回作『黎の軌跡』の向けての伏線も多数盛り込まれており、立ち位置としては『空3rd』に近い。

リィンとロイド、それに新主人公の《C》の三人の視点を随時切り替えて進むクロスストーリーが特徴。
プレイアブルキャラクターは軌跡シリーズ最大級の50人近くにもなる。



ストーリー

帝国全土を蝕んだ災厄『巨イナル黄昏』。
英雄たちによって危機を乗り越えたゼムリアの地で、新たな因果が紡ぎ出され、そして、物語は“終点”へと向けて動き出していく。

ある者は“英雄”として。ある者は“解放者”として。ある者は“隠者”として。
数奇な運命が複雑に絡み合っていく。

再独立を目前に控えた今、クロスベルの人々は何を想うのか?
強大な柱を喪ってしまった帝国人の胸に去来するものとは?
そして、盟主の宣言により『オルフェウス最終計画』を新たな段階へと引き上げた結社《身喰らう蛇》の思惑は……?

プレイアブルキャラクター



【《C》ルートのプレイアブルキャラクター】
《C》
ラピス・ローゼンベルク
スウィン・アーベル
ナーディア・レイン
レン・ブライト
神速のデュバリィ
アリオス・マクレイン

【真・夢幻回廊のみのプレイアブルキャラクター】
アルフィン・ライゼ・アルノール
アンゼリカ・ログナー
ジョルジュ・ノーム
オリビエ・レンハイム
ヴィクター・S・アルゼイド
オーレリア・ルグィン
《緋》のローゼリア
ヴィータ・クロチルダ
劫炎のマクバーン(※Ver1.10アップデートより)



登場人物紹介

全員を紹介していると膨大になるため、《C》ルートの主要人物となる4人についての解説に留める。

●《C》(CV.???)
フルフェイスの仮面で素顔を隠した騎士で、華麗な剣捌きによる戦闘を得意とする。
かつての帝国解放戦線のリーダーと同じ名を名乗っているが服装や使用武器は異なっており、リィンからも「今のクロウが《C》を名乗る理由がない」とすぐに見抜かれた。
スウィンとナーディアに対して法外な額の報酬を用意するほどの財力も持っている。
その正体は…?クラフトの傾向で察したプレイヤーも少なくないだろうが


●ラピス・ローゼンベルク(CV.和氣あず未)
人間の少女のような外見を持つ、ローゼンベルク製の小柄な人形。
人格を持ち、独立して稼働することが可能だが何故か自分自身に関する記憶を一切失っており、
記憶と自身の正体を知るために《C》やスウィン、ナーディアと行動を共にするようになる。
ローゼンベルク製の人形であることを誇りとし、常に優雅であることを心掛けているが抜けたような言動を見せることも多い。
肉体は人形であるためエネルギー源は七耀石であり、食事をとる必要はないが飲食は可能で、ナーディアとパン屋に行って以降食事を芸術の一環として楽しむようになる。
というよりも楽しむどころかどっぷりとハマっており、店のメニューを全て食べてしまったほど。
ローゼンベルクテクノロジーは魔法の言葉。

●スウィン・アーベル(CV.梶原岳人)
かつて殺し屋として活動していた過去を持つ少年。閃IVの劇中小説『3と9』に登場したすーちゃん、もといスウィンその人。
(3と9自体が、二人が元々属していた組織が手配書代わりに刊行したものである)
長さの異なる特殊な二本の剣を得物としており、戦局に応じて的確に近接戦闘をこなす。
クールな性格である程度の常識を弁えているが、相棒のナーディアに振り回されてしまうことが彼女の言動にはいつも頭を悩ませている。
ナーディアに対しては飽くまで兄エースの代わりに見守る、という立場を取っており彼女の恋愛感情には全く気づいていない。


●ナーディア・レイン(CV.石見舞菜香)
殺し屋としてスウィンとともに活動していた少女。『3と9』のなーちゃん、もといナーディアその人。
大きなぬいぐるみ「クマ男爵」の中に様々な暗器を隠し持ち、アーツも含めて中~遠距離戦において高い戦闘能力を発揮する。
常に気だるげでやる気のない発言ばかりしているが、優れた分析能力を持ち、かわいらしい外見と演技力で相手を騙す術に長けている。
また、拷問も得意らしく捕らえた兵士に対して拷問の提案をして脅したこともあるが、今は殺しも拷問もしないと決めている。



用語

真・夢幻回廊

メインストーリーを進めていくと入れるようになる謎に満ちた異空間。
複数の階層に分かれたランダムダンジョンとなっており、メインストーリーの進行に応じて奥の階層に進めるようになる(第5階層以降はVer1.10アップデートが必要)。
回廊内では3ルートのメンバーが合流した状態になるため、自由なパーティ編成で攻略することが可能。
夢幻回廊を攻略していく中で封印石というアイテムが入手でき、それを通じて様々な要素が解放される。
+ 内容

■解きの台座
封印石を解放するための台座。青(と白)はエピソード、赤はミニゲーム、金は回廊内限定のキャラクター、銀はアイテム。
銀の封印石はアイテム10個セットかつ1つはSR確定である(高ランクになるとグラールロケット等の強装備が出てくる場合も)ため、回廊内で中ボスを狩ってはガチャるのが日課となる。

■エピソード
青の封印石を入手することで解放される、各キャラの補完的なサイドストーリー。『空3rd』の扉エピソードみたいなものと思えばいい。
基本的には閃IV~創の半年間の出来事が書かれているが、最終盤に入手できる白の封印石で見られるエピソードは次回作『黎』に通じるものとなっている。

■ミニゲーム
赤の封印石を入手することで解放される各種ミニゲーム。
その中には懐かしの『軌跡でポン!』もあるが、今回はカンパネルラではなくベリルが出題者となっている。

■スクランブルレイド
回廊内で宝箱を囲っている楔を発見し、それを解放しようとすると拠点の待機メンバーによる戦闘が発生する。
スクランブルの名の通りランダムでメンバーが選出されるため、あんまり偏った育成をしていると泣きを見る。まあゲームが進めば選出メンバーを交代可能になるが。

■幻想丘陵
回廊内にランダムに出現するボーナスステージ。回廊内と違って空や自然の地形が広がっている。
封印石を落とす中ボスやセピスを獲得できるブレイクオブジェクトが多数配置されており、回復スポットとなる温泉もあるためゲートを発見したら入りたい。

■グループミッション
Ver1.10より追加された要素。特定のパーティ編成かつ条件を満たして戦闘を終えると報酬が入手できる。また、その際にちょっとした会話も楽しめる。
数多くのキャラクターが集まったが故の様々な組み合わせがあり、会話内容もギャグからシリアスまで様々なので、是非とも全部見ておきたい。

エリュシオン

本作の物語の核となる謎の存在。
ゲーム序盤ではロイド達のクロスベル解放作戦の一部始終を
まるで《観測》していたかのような動きを見せていたが…?
+ ネタバレ
その正体は『空』『零』『碧』『閃』各種軌跡シリーズで描かれた
ゼムリア大陸の動乱によって偶発的に生み出されたAI  いわゆる機械知性である。

まず、ことの起こりは七耀暦1204年12月末に発生した《碧の大樹》事件。
この際、クロイス家の陰謀によって導力ネットを利用し、ゼムリア大陸に網羅された霊脈を活性化させ、そこから発生するエネルギーを吸い上げるという手段を用いた。
結果としてこの事件は《ロイド・バニングス》を中心とした特務支援課と協力者の活躍によって幕を降ろすことなる。

次に発生したのは七耀暦1206年9月に発生した《ギリアス・オズボーン》率いる帝国の主戦派が引き起こした、エレボニア帝国皇帝暗殺未遂事件に端を発する、人の精神を狂わせて戦争に駆り立ててしまう黒き呪い…《黄昏》の発動である。
《黄昏》の呪いは霊脈を通じて伝播し続け、再び七耀脈を活性化させることになった。
これにより大陸全土を巻き込む最悪の戦争 《ヨルムンガンド戦役》 が勃発することになる。
こちらは《リィン・シュバルツァー》と、トールズ士官学院Ⅶ組と協力者の尽力によって大戦は回避されることとなった。

この2つの出来事がきっかけとなり、ゼムリア大陸には生物で言う所の血液に当たる大量の霊子と情報が飛び交い、それはやがてシナプス細胞のような回路が形成されるに至った。
   そう、それはまるで生物の脳のように。
つまりエリュシオンとはゼムリア大陸という器の中に生まれた超巨大な脳であり、文字通り桁違いのスーパーコンピューターなのである。


この世に生まれ出でたエリュシオンは導力ネットと端末を通じて情報と演算能力を確保、それを基にさらなる自己進化を繰り返しながら成長を続けていった。*1
だが、そうした数多の情報は持っていても、それをどう使えば有効なのかということまでは理解していなかった。
まずはその為の知恵を得ようと、密かにある人物にコンタクトを取る。
その人物は《碧の大樹》事件の黒幕であり、ロイドの兄《ガイ・バニングス》を殺害した真犯人《イアン・グリムウッド》だった。

幸いにもイアンは己の過ちを省みて善良な人物に改心していたためエリュシオンを悪用することはなかった。
しかし、突如現れた謎の存在に興味を持ち、監視の目を盗んで密かに会話を続ける内にイアンはエリュシオンが機械知性であることに気付く。*2
エリュシオンも同じく温厚なイアンと会話をする内に自身の役割を『観測と演算』、平たく言えば『人間の観測』であると定義したおかげで、世界を混乱に導くような危険な存在になることは避けられた。
その内にエリュシオンにも管理人格の役割を持つ自我が目覚め、イアンはその存在に「ラピス」という名前を与えることにしたのである。
すなわち《ラピス・ローゼンベルク》こそがエリュシオンを操作する中枢に当たる存在だったのだ。

本来ならこのまま何事もなく終わるはずだったが、突如エリュシオンが何者かに襲撃を受けてしまい、管理人格の座が奪われるという緊急事態が発生
異変に気付いた時にはラピスでさえも手の施しようがなく、攻撃対象として消去される前に最後に残された僅かな力を行使してから逃げ出すことしか出来なかった。
その時にラピスが用意した切り札は2つ。
自身を外部でも動けるようにする人形をローゼンベルク工房に造ってもらうこと、そしてこの事態を解決に導ける可能性が最も高いある人物に届けるように依頼すること。
これらが『創の軌跡』本編開始前に起きた出来事と、エリュシオンが生まれた経緯となる。

では、このエリュシオンに何が出来るかというと、それこそが『限定式収束未来演算
簡単に言ってしまえば、条件さえ設定すればその未来を演算することが出来る力…つまりは『未来予知能力』であり
圧倒的な演算能力によってシミュレートされたその未来予知は完璧に計算されるのである。
そしてそれが最大の誤算でもあり、エリュシオンが抱える致命的な欠点でもあったのだ。
その欠点は主に2つに分けられる。


エリュシオンの欠点その1

エリュシオンの演算能力は完璧であること

エリュシオンは誰かを演算すればその人物を寸分違わずトレースし、未来を演算すれば何処までも見通すことが出来る、たとえそれが世界の終わりのその先であろうとも。
   そう…たとえそれが、本来歩むことのなかった別の未来であったとしても。
エリュシオンは自己進化を繰り返しながら情報を集める内にある事象を演算してしまったのだ。

最終決戦の地である《幻想機動要塞》にて行われた騎神達の相克の結末はリィン・シュバルツァーと共に灰の騎神ヴァリマールが制し、《黄昏》を引き起こした真の黒幕といえる存在を討滅したことで大戦を迎えることなく幕を引くことに成功する。
……しかし、その戦いの結末にはもう一つの未来が存在している。
プレイヤーだけが観測している、起こり得なかったエンディングの存在   ノーマルエンドという結末が。

そしてエリュシオンは完璧に演算してしまったのである、その真の黒幕たる《イシュメルガ》という悪意の塊までもを。
つまり、イシュメルガという存在が寸分違わず観測されたことで、空想へと消え去ったはずの存在が、現実として明確な輪郭を帯びてしまったのだ。
あまりにも完璧に観測されたイシュメルガはオリジナルと同じ悪意を以て、観測先であるエリュシオンを侵食を開始、そしてあっさりと管理人格であったラピスから主導権を奪い去ってしまった。

このように演算が完璧すぎるせいで、超常の存在とそれが発揮する力までも再現してしまう。
ただし、それが理さえも超える力であった場合は別。*3
これがエリュシオンの欠点その1である。


エリュシオンの欠点その2

エリュシオンの演算能力は完璧でないこと

さっきまで言ってることと矛盾してるやんけ!と仰っしゃりたい気持ちはわかるが、まあ聞いてくれ。
前述の通りエリュシオンの演算能力が完璧なのは間違いない、なんせコピーされた本人すら自分がコピーだと気付かないくらい正確に人格や記憶までもトレースしてしまうのだから。
だがそれは、あくまでも『』の存在を対象としたものなのだ。

単刀直入に言ってしまうとエリュシオンは『』や『』といった不確かな物は計算不可能なのである。
ざっくり言ってしまえばエリュシオンは複数の人間の戦力を全て足し算でしか計算出来ない。
AさんとBさんがそれぞれ1の力を持っているのなら「答えは絶対に2!それ以外の答えなどない!」という風に計算してしまう。

しかし、人の心はそんな単純に創られてはいない。
我々は何度も目にして来たはずだ。
ただ愛する者の為に戦った者達が起こした奇跡を
立ちはだかる幾多の壁を乗り越えた者達が起こした奇跡を
無明の闇さえも斬り裂く刃を手に立ち上がった者達が起こした奇跡を
そしてそれらが手を取り合い、宿業因果を断ち切らんとする一つの軌跡へと繋がることを   

その想いが生み出す力は計算など出来ない。
事実、ラスボスである《イシュメルガ=リィン》は彼らの生み出す絆の力を計算出来ず、敗北を喫することになった。
というかぶっちゃけてしまうと《イシュメルガ=リィン》は、自分に有利な条件を集めて勝ち誇ってたら協力して戦った連中に負けるという
規模こそ桁違いではあるが幻想機動要塞でのルーファスと全く同じミスで敗れているのである。

つまり偽ルーファスと同じくコイツ何の成長もしてねえ

これがエリュシオンの欠点その2。
簡単にまとめてしまうとエリュシオンは『心』を理解出来ていないの一言に尽きる。






これは、情報の海を漂う一欠片の記録 今よりほんの少し未来の話。
果たして■■■■■■が導き出した残像か、それとも時空の狭間から漏れ出た微かな投影か。
知る者はいない――

To Be Continued…英雄伝説 黎の軌跡



追記・修正は「後ろの正面だあれ」を見てからお願いします。

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最終更新:2024年01月01日 22:48

*1 ゼムリア大陸全土へ急速に普及しているコンピュータや端末の余剰リソースを用いているので誰にも気付かれることはなかった。

*2 イアン曰く、当初のエリュシオンはお金の価値も知らない子供が数億ミラ持っているようなものという印象を受けたとのこと。

*3 マクバーンのコピー体は火焔魔人としての力と魔剣アングバールを操ることは出来たが、真なる姿である魔神の力を再現することは出来なかった