ズィー・ジオン・オーガニゼーション/メタトロン

登録日:2021/06/26 Sat 23:01:26
更新日:2023/06/24 Sat 17:23:59
所要時間:約 8 分で読めます






マザー・メタトロン、メタトロン機関…こういう表現で、古い殻は忘れたいが?




メタトロンとは、ガンダムシリーズに関係する小説作品『ガイア・ギア』に登場する組織。

概要

宇宙世紀0100年代以降における反地球連邦組織。作品の主人公であるアフランシ・シャアが総帥として率いることになる組織でもある。

小説版では「ズィー・ジオン・オーガニゼーション」という組織からメタトロンという組織に改名されている。スペースノイドの英雄であるシャア・アズナブルの信者的組織でもあって、ジオン残党系の組織ではない。
ラジオドラマ版では、初めからメタトロンとして動いている。

秘密警察を用いて人狩り行為を行う地球連邦の腐敗への抵抗と疲弊した地球の保護活動を主目的としている。
最終的には復活したシャアのカリスマによる大衆からの支持によって連邦政府の立場を崩し、新たな地球連邦を構築することを目指した。
巨大戦艦や超高性能な兵器の開発が可能であり、地下組織でありながらもジオン残党軍を初めとする宇宙世紀の歴代の反連邦組織の中でもその力はかなり上の部類に入る。

『ガイア・ギア』よりも後年の時系列を描いた作品『G-SAVIOUR』では地球連邦政府は存在していないため、現時点では宇宙世紀最後の反連邦政府組織という扱いになる。

略歴

※ガイア・ギアという作品は小説版とそれを元にして宇宙世紀のパラレルとして年表などが制作されたラジオドラマ版があり、それぞれ展開や背景設定に違いが生じている為、以下項目毎に分けて説明する。

◇設立

小説版では、ズィー・ジオン・オーガニゼーションは主人公のアフランシ・シャアが誕生する以前から既に組織として活動をしており、その創設期については作中で設定が開示されていない。
名前にジオンを冠しているが、ズゥイ・ジオンを志したコードネームであり、シャア・アズナブルが率いていた新生ネオ・ジオンなどのジオン系の組織と異なる別の組織であると、劇中でミランダ・ハウにより説明されている(ただし、ジオンの信奉者や「ジーク・ジオン」の掛け声を使う者はいる)。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場するケネス・スレッグが小説終盤において、100年後にシャアやアムロやハサウェイが復活するような組織の創設に意欲を見せる発言をした。
この発言を基にして、上野俊哉が月刊ニュータイプ誌上において、カトキハジメと共同で制作していた連載企画『GUNDAM FIX』の第22回で、メキシコのチアパス州で当時活動していたサパティスタ民族解放戦線の指導者マルコスと絡めて、ケネス・スレッグがクロスボーン・ヴァンガードやメタトロンをつくることを決意したと断定的に書いてしまったのだが、これは上野俊哉による推測にしか過ぎず、明確な設定ではない。
そういった経緯からこの上野の主張は、真偽さだからぬ異説を扱うという趣旨のガンダムエースの企画『データガンダム』で、一説として採用されているに留まっている。

◇活動開始

ホビージャパン誌上の設定では、宇宙世紀0110年にアナハイム・エレクトロニクス社から第五世代MSに相当する高級機のゾーリン・ソールを譲渡されたとされる。
こちらの設定は月刊ニュータイプ連載版の小説の設定からホビージャパンが独自に設定付けたもので、最初からメタトロンが開発したマン・マシーン設定であるラジオドラマ版やMSに関する設定の痕跡が無くなっている文庫版との整合性はない。
以上のように、月刊ニュータイプ連載時の小説を元にして模型誌が独自に設定付けた準公式設定があったのだが、映画版『閃光のハサウェイ』のスタッフトークによれば、ゾーリン・ソールが第五世代モビルスーツとして認知しているとの発言もあった。
そして、『機動戦士ガンダムF90 FastestFormula』では、ゾーリン・ソールが秘匿されたデータとして登場するなど、上述のホビージャパンによる準公式設定が、同じく準公式設定の漫画作品が採用されるのはこれが初めての事例であった。

宇宙世紀0152年、地球ではザンスカール帝国による地球侵攻作戦とそれに反抗するリガ・ミリティアや一部地球連邦勢力によるザンスカール戦争が勃発した。
ラジオドラマ版の設定では、そんな宇宙世紀の本伝と同時期の時代にメタトロンの関係者はシャアの復活を目論む「シャア・コンテニュー・オペレーション」を始動。
ザンスカール戦争が終結してしばらく経過した宇宙世紀0155年、メタトロンは本格的に反地球連邦組織として行動を開始する。

反連邦組織としてのメタトロンの確立にはアザリア・パリッシュが動いており、彼は実質的な組織の指導者となる。

宇宙世紀0184年にシャア・コンテニュー・オペレーションは成果を出し、シャアのメモリークローンを秘密裏に地球へ移送。
このクローンの個体は「アフランシ・シャア」と命名され、南太平洋の地域で密かに育てられることになる。

◇アフランシ・シャアの登場と末路

小説版では、青年へと育ったアフランシ・シャアを迎えたメタトロンは、彼をシャアの再来として総帥に仕立てる。三一の二乗に乗艦して迎え入れられたアフランシはズィー機関の終息を宣言し、三一の二乗を「マザー・メタトロン」に改名して組織名もメタトロンに変更する。

しかし、組織が迎え入れたアフランシはシャア・アズナブルを演じることを拒否し、メタトロン上層部との溝が出来てしまう。
そのような事情に加えて、連邦内で独自行動を見せるマハを危険視した連邦と反連邦活動に疲弊したメタトロンの上層部の利害は一致し、連邦と反連邦組織が密約を結ぶという複雑な事態に発展する。
メタトロンはアフランシの抹殺や拠点のマザー・メタトロンの連邦への譲渡と引き換えに、連邦軍に加入することになった。

メタトロンと対立する最中で地球逆移民計画を進めていたマハは、最終的にはアフランシ率いるメタトロンの部隊との激突で壊滅的な被害を追う。
小説版ではダーゴル大佐は死亡してアフランシは戦場から離脱して逃亡、ラジオドラマ版ではアフランシがノイヴァシュタイン城においてマハの敗北を薄々悟ったダーゴル大佐と相対した所で物語は終わっている。

組織

◆構成員

スペース・コロニー開拓時代の尖兵になった人々、シャアの絶対理想に共感した信奉者、マハに反感を抱く地球上の不法居住者やジオン公国の信奉者、それ以外の思想主義者も参加している。地球連邦内にも内通者が存在しているなど、連邦の関係者すらも取り込んでいる。

一方で、組織の大半の構成員は政治思想がなく給料に釣られて参加したような者も多かった。
そのような構成員が多かった影響で戦闘ではそこまで抵抗する者もおらず、敵対するマハのメンバーにもその惨状は把握されていてラジオドラマ版では「所詮は失業者を救済するための秘密組織」とまで言われている。
地球上の不法居住者から参加した人員には、地球に留まり続ける正当性を維持するために内心ではメタトロンとマハの対立構造が続くことを願っている者すらいた。

つまりはメタトロンという組織の内情では多種多様な思惑を持つ人員が入り乱れすぎており、派閥の形成や上層部の保守化や疲弊に繋がった。

アフランシは、明確な政治的思想を持たない社会的に不良な人物をメタトロンに加入させている。
そのような人物は組織内では浮いてしまう存在だが、アフランシは主義者の塊のような集団故にそういった人材が活性化に必要だと考えていた。

◆支部組織

ラジオドラマ版のみ、「ユーロ・メタトロン」というヨーロッパ地域で活動する傘下組織が登場する。
こちらは起動兵器などは所持しておらず、諜報活動などを主な任務としている。
メタトロンの地球降下後に戦力として合流しているが、一方でダーゴルのクーデター発生時には離脱者が相次いだ。

シャア・コンテニュー・オペレーション

スペースノイド独立運動の偉人として伝説となったシャア・アズナブルを再生し、再び独立運動のリーダーとして擁立させるという「シャア存続計画」とも呼ばれるプロジェクト。
計画の成功の前段階としてスペースコロニー各地の反地球連邦活動を行っている勢力の集結やモビルスーツなどを確保し、再来したシャアを迎えた時には巨大な組織が構築されるという考えだった。
計画は順調に進んでいたかに思えたが、育成環境などの違いもあって最終的にはメタトロン上層部の考えていたような「シャアの再来」とはならず、アフランシは「シャア・アズナブル」ではなく「アフランシ・シャア」という人格を確立させてしまった。

計画のバイオテクノロジーに関しては、セルチップに莫大なシャアの記憶を情報として詰め込んだクローンを作りだした。
クローンの技術については、小説版とラジオドラマ版では以下のように性質が異なる。

小説版

シャア・アズナブルの体細胞を分割、活性化させることでアフランシ・シャアを生み出した。
セルチップには、恐竜の絶滅やらマシーンの生成など太古の時代から現代までの文明の記憶、数千数万の人間の顔などあらゆる記憶が封入されており、しかもシャア・アズナブルに関しては意思も入っていて時折アフランシ・シャアに対して呼びかけを行うなどの行動も見られたが、これがどういった技術なのかというのは劇中で説明されていない。
やはり、シャアの細胞を使って生み出されたクローンだけあって、その容姿はかつてのシャアと酷似していると触れられている。

ラジオドラマ版

ダイクン家の血筋の人間から提供された卵子を用いて記憶をコピーした「メモリー・クローン」というクローン技術。
ラジオドラマ版では、ミランダ・ハウがこの計画の責任者とされており、アフランシは彼女に懐かしさと親しみを覚えるなど、まるでアフランシの代理母であるかのような描写である。

容姿についてはシャアと比較するとある程度似ているというレベルで瓜二つではなく、声優もシャアを演じていた池田秀一ではなく横堀悦夫が担当した。立ち居振る舞いは記録に残されているシャアに似ているようだ。
記憶は新生ネオ・ジオン時代のシャアの声が響いている描写があるため、少なくとも第二次ネオ・ジオン抗争までの記憶はしっかりと持っているようだ。

地球でシャアのクローンを育てた理由については「地球育ちのシャア・アズナブルに独立運動を起こさせる」という意図があったとされている。

こちらでは、マハのダーゴルに計画を「愚かなロマンチストのやりそうなこと」と表現されていた*1が、こちらのアフランシはかつてのシャア・アズナブルの理想を実現させようと邁進していくのであった。

メカニック

□モビルスーツ及びマン・マシーン


□艦船

  • 三一の二乗/マザー・メタトロン
  • エア・フォース1
  • エア・フォース2
  • エア・フォース3
  • マリオン・スラグ
  • スパシアス号
  • ヴァルキュリャ

□その他

  • エレカ

主な所属人物

◯指導者層

  • アフランシ・シャア
  • アザリア・パリッシュ
  • グレン・コールディル

◯メンバー

  • ミランダ・ハウ
  • ケラン・ミード
  • ジョー・スレン
  • メッサー・メット
  • レエ・セイアス
  • サエス・コンスーン
  • レーザム・スタック
  • ブノア・ロジャック
  • エミール・ルーサ
  • キムリー・ブラウス
  • ケンセスト・ベイレン
  • ニアス・ケイン
  • ハタナ・ノムソザキ
  • ヘイラル・ハルメス
  • ボーズ・ガルチェ
  • メスラー・デッケン

◯引退者

  • ジャック・ブルーム(ラジオドラマ版のみ)

追記・修正は100年前の歴史上の人物のクローンを復活させてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 宇宙世紀
  • ガイア・ギア
  • アフランシ・シャア
  • メタトロン
  • マザー・メタトロン
  • 秘密結社
  • ズィー・ジオン・オーガニゼーション
  • ズィー機関
  • ジオン残党ではない
  • シャア・コンテニュー・オペレーション
  • 地球連邦軍
  • 架空の組織
  • 反地球連邦
  • アザリア・パリッシュ
  • ユーロ・メタトロン
  • シャア・アズナブル
  • 三一の二乗
  • シャア存続計画

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年06月24日 17:23

*1 ただし、ラジオドラマ版のダーゴル自体は次世代の人間を信用していない性格から計画自体には肯定的な可能性を感じていた