ジオン残党軍

登録日:2022/09/05 Mon 01:31:38
更新日:2024/04/14 Sun 12:37:01
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今更ジオンが何しようってんだよぉ!




ジオン残党軍とは『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する、ジオン公国軍に関連する組織及びその総称。
「ジオン残党」や「ジオン軍残党」とも呼ばれるが、本項目名はジオン残党軍としている。


【概要】

一年戦争後のジオン公国軍において投降を拒否した者や諸事情で不可能だった敗残兵、ジオンの思想に共感して戦後にテロ活動を始めた者は「ジオン残党」と呼ばれる。
部隊などの少数の勢力の場合もあれば一種の私設軍隊や独立国家的な大規模な軍隊もあり、残党としての形態は多岐に渡る。

ジオン残党の活動拠点も組織によって異なり、小惑星などに拠点を構える組織もあれば戦艦やコロニーの残骸に潜む組織もあった。
地球上の残党は廃村や地域の街などに潜伏することがあり、地元住民との共同生活を送ることになった者もいる。
連邦軍は増え続けるコロニーの数を正確に把握できていなかったこと、さらに残党の拠点の地元住民が残党の存在を隠蔽することに協力した場合まであり*1、捜索を困難とした。

このようなジオン残党組織の目的及び目標は、ジオンの旧政権の復興やスペースノイドの地位向上を掲げるノリが基本。
なかには本当にミネバ・ラオ・ザビ(つまりザビ家最後の生き残り)を保護していた勢力もある。
実際には後述する事情もあって組織によって目的の詳細は異なることも多いのだが、対連邦・反連邦という点においては基本的に一致していると見て良いだろう。
また、ジオン再建やスペースノイドの地位向上などは本音としては信じていない或いは信念が薄れたということで、
略奪や連邦軍とのマッチポンプで生活費を稼ぐ目的の「野盗」「連邦軍の傀儡」的な集団もいた。

一年戦争後もジオニズム思想の普及や反連邦の思想は途絶えておらず、大小様々な多くの「ジオン」を掲げる残党勢力が世界に現れては消えた。
残党全体で見ればその活動期間はU.C.0080年代から0120年代までの間にも及び、残党による武装蜂起やテロ行為は宇宙世紀における様々な社会問題を引き起こす*2*3
連邦軍は様々な新型兵器や部隊によってこれを迎え撃ったが、その一方でこのような残党に対して予算確保のための好材料として利用する連邦軍や企業の派閥もあり、
黙認やマッチポンプ的な支援を行う共依存も発生した。*4
この辺に関しても戦後による地球や連邦のボロボロ具合など様々な理由がある。

【派閥】

実はジオン残党は別に残党系列の組織同士が仲が良い訳ではない。
これはジオン公国自体がザビ家の派閥争いが激しい集団だったためであり、残党組織が公国軍時代に指揮を受けていた人物の影響を受けて派閥を引き継ぐためである。
一年戦争から時間が経過すると必ずしもザビ家やジオン公国の再建を目的としていないグループも出てきたため、それが一層緊張状態を生んだ。

状況によってはジオン残党同士での戦闘をしてしまうという、対連邦の戦略面から見れば本末転倒な事態もあった。
正直に言えば、もう少し内輪揉めしないで一致団結していれば多少は結果が変わったであろうという状況も少なからずある。(第一次ネオ・ジオン抗争のグレミーの反乱等が良い例)
もっとも、地球連邦がティターンズとエゥーゴに別れてドンパチしてたり、遙か未来のザンスカール帝国が最終決戦の土壇場で一部将校が反逆したのを始めとしてガンダムシリーズの巨大勢力はだいたいそうだが。*5

ただし、ジオン残党が全員が全員仲が悪かったかと言うとそれもまた事実とは異なり、残党同士で派閥を超えての交流や技術提供などの協力は確認されている。
度重なる敗戦による人材の消失による余裕の無さや新世代のジオン残党が増えてくる頃になると、派閥を乗り越えて同一の集団で戦うことも増えていた。
そもそも残党の上層部はともかく、一般兵で言えばそういった細かい派閥の思想の違いを考えてはいなかったり、
或いはとりあえず加入した残党の派閥に自動的に組み込まれたという者も多数いたと思われる。
アンチジオンだったティターンズの敗残兵や連邦から離脱した兵士、反連邦思想を持った民間人等も取り込んでいる組織もあるため、
戦力強化のためならば思想や経歴、過去、出身はひとまず水に流して仲間に加えるという判断が出来るジオン残党組織も多かったようだ。

ジオン残党の派閥は主に以下のように分類できる。

  • ギレン派
  • キシリア派
  • ドズル派(ミネバ派)
  • ダイクン派(シャア・ダイクン派)

ただし、ダイクン派は他の残党派閥と違って反ザビ家であることから反ジオン兼反連邦思想の構成員が多く、
この派閥から生じるジオン残党はジオン復興やジオンの名前を掲げていない組織も少なくない。
そのため「ダイクン派を純粋なジオン残党と解釈して呼んで良いのか?」と見る声も。
もっともそのダイクン派もやったことの差はほとんどないのだが(環境保全や地球人類は戦争する愚かな人類などと訴えながら、やることは他と同じく環境破壊や大量虐殺ばかり、あげく条約も平気で破るので、他のジオン残党よりさらに酷い、と見る向きも)

【運用兵器】

残党組織には豊富な資金源や物資などないのが基本なので、旧式や型落ちの物が大半を占めており「動く戦争博物館」と皮肉される程度には骨董品の山。

実例として、『機動戦士ガンダムUC』におけるトリントン攻防戦では、
連邦軍の機体がはっきり「型落ちしか回されてない」と描写された上で*6ジムⅡネモ、ガンタンクⅡ、ガンキャノン・ディテクター、アクアジムバイアラン・カスタムといった一年戦争&グリプス戦争期のMSやその改修機だったのに対し、
その点について特に言及の無いジオン残党の機体は、「袖付きが供与してくれた」という特殊な事情があるゼー・ズール以外は、
ギラ・ドーガならまだ良い方で、地上軍は、グリプス戦争期のマラサイや第一次ネオ・ジオン抗争期のガルスシリーズやカプール、
はたまたザクⅠ・スナイパータイプ途中で迷子になったグフ重装型ドム・トローペンやザクキャノン
ゾゴックドワッジディザート・ザクザクⅡ改ゲルググズゴックのような一年戦争期の型落ちMSが主力であった。
なんなら袖付きに至っては、一年戦争時のゲルググは勿論、ザクやガトル戦闘機の破損パーツやバックヤードのパーツを無理矢理組み合わせて一年戦争直後に作られたドラッツェ戦時中の急造品であるギガンや作業用ザクすら現役で稼働している。
ぶっちゃけMSVのファンサ

また連邦軍の予算確保のためのマッチポンプ的な残党もいたことを考えると、
万が一の間違いが起きる可能性を低くするためにあえて旧式の運用をしていた勢力なんかもあったのかもしれない。
残党側は運用兵器の満足なアップデートが見込めない一方、正規軍の連邦軍側は定期的に新型MSが供給されるので、時間が経過すればするほど兵器の格差は広がっていった。

それでも残党は残党になれるだけあるMSの操縦技術を持ち、連邦軍側も度重なる戦乱で人材の質が低下していたため、
パイロットの技量で現行機との性能差を何とかするという戦略が目立った。
また、連邦軍側も基地によっては予算節約のためにトリントン基地の例のように旧式のMSの運用を強いられていた勢力もあるため、
地域や戦況次第では兵器の質に大した格差が発生していないこともあった。

旧式や型落ちばかりが使われていた訳ではなく、U.C.0080年代~0090年代には残党軍が独自ラインでの開発や制作を依頼したことによる新型機の運用も見られるようになった。
これはネオ・ジオンなどの勢力の運営体制が安定し、資金源の確保やMSの研究といった行動が進んだことや、アナハイム・エレクトロニクス社との関係が深まったためである。
また、最新MSの供給を受けていたティターンズやエゥーゴ、元連邦の隊員が兵器と共にジオン残党に合流するケースが増えていたことも大きい。

ジオン公国軍MS

殆どのジオン残党勢力では引き続き旧公国軍のMSが運用された。
投降や共和国への帰還を拒否・或いは不可能になって残党化した際に愛機として運用していたMSをそのまま持ち出したり、
バックヤードになった機体を抗争末期や戦後に受領したパターンが大半だと見られる。

本国からの支援も打ち切られ、新たに1から機体を生産する余裕はまず無かった。
「新造」された機体が、強奪したガンダム試作2号機と別勢力であるアクシズから譲渡されたノイエ・ジールくらいしかいなかった、0083のデラーズ・フリートがいい例である。
明確に「海兵隊時代(=正規軍としてのジオン所属時)に回された機種」と説明されているシーマ艦隊指揮下の面々、
文字通り「こっそり隠されていた」ヴァル・ヴァロなどはわかりやすいか。

性能面では基本的に連邦軍のMSに劣り、パーツの調達すらままならないために整備も覚束ず、
地上軍は熱帯や砂漠での劣悪な環境での運用を強いられやすかったことから極めて稼働状態が不安定な機体が多かった。
鹵獲した連邦のMSや、共食い整備の要領で味方のMSの残骸などを利用し(またはそれらをレストアして)、独自改修で頑張ったMSもある。*7
また、ドラッツェのように別の機種扱いされるレベルの魔改造を施された機体や、ノイエ・ジールのように一年戦争中に開発が始まったものを戦後になって完成させた機体もある。

一方で、この手のMSを操縦している残党は後年になるとベテランが多かったため、機体性能に反した奮闘を見せる光景も少なくない。

ネオ・ジオンMS

ハマーン率いたネオ・ジオン及びシャアが統率した新生ネオ・ジオンの機体は主に宇宙に潜伏する残党勢力が多数保有している。
ガルスJのように地上活動していた機体を改修して地上軍に合流したものも存在。

ガザDやガザC、ガルスJ、ガ・ゾウム、ドライセンにバウ、UCで速攻で落とされたリゲルグにズサ、ドーベン・ウルフなど結構な種類が残存している。
映像描写されたラプラス事変では時系列としてはネオ・ジオン抗争の直近だったこともあり、各機体はミサイルやビーム兵器を始めとした装備も充実しており、
最新型のジェガンとも渡り合える。

第一次期は連邦軍とそれほど本格的に抗争せず、終盤で内輪揉めでトップ同士が強力なワンオフ機同士で競り合って自壊したのもあってか、量産機は結構な数残っていた様子。
比較的早期に終結した第二次期のギラ・ドーガも相当数残っており、パラオでも数機が迎撃に出ているのが確認されている。

連邦MS/ティターンズMS

宙域や地上に遺棄されていたり、撃破した機体を回収し改修、または奪取した連邦軍機やティターンズ兵が逃亡時にジオン残党に合流した際の機体や
ダカールなどで接収された機体や連邦軍側から廃棄されて行き場を失ったMSなどがジオン残党勢力に流出している。
U.C.0080年代時点では、ティターンズのMSは本体はガンダリウム合金・ムーバブルフレームが使われており、
整備も余程異端な物でもない限りは破壊&鹵獲した連邦軍MSの物を使用可能、武装ではビーム兵器も使用可能と最新鋭モデルだけのことはある性能だったため、
戦力としては大きな存在であり、場合によってはガンダムタイプの機体までも確保された。
また、ティターンズ兵自体もエリートパイロットとジオン残党からすれば取り込むことで得られるメリットも大きく、ティターンズ兵を受け入れる残党組織も数多くいた模様。
当時のシャア(クワトロ)はそこまで考えてなかったとはいえ、ある意味最強レベルの「大物ジオン残党」にせっかくの試作機を全部オシャカにされたMk-Ⅱの実験責任者は泣いていいんじゃなかろうか。開発主査の人*8は直後に死んだけど。
レジオンなどのティターンズ兵が多く合流したジオン残党においては、ティターンズMSを再生産するという戦略も取られた。

特にハイザックは大量生産された末に連邦軍の反ティターンズの方針で各勢力に譲渡が起こったため、ジオン残党や反連邦組織にも数多く流出した。
運用初期のハイザックはジオン残党からは連邦製ザクとして憎悪を抱かれていたのだが、機体構造が技術者に評価されたことや、
操縦性が素直であり若い兵士にも向いているなどの要因で広く愛用された。

更にティターンズMSはジオンMSと同じモノアイカメラを採用しているMSが多かった*9ので、見た目的にもジオンMSと並んでもそんなに違和感もなかった。
皮肉にも?「連邦の手先のザク」としてデザインされたのが、「どう見てもザクである」とジオン兵に受け入れられる要因になったケースもあったのかもしれない。

エゥーゴMS

グリプス戦役後に体制側となったエゥーゴやその協力組織のカラバではあるが、元々は反連邦を掲げていた経歴からジオン系軍人も多数合流していた。
そして戦後の連邦への合流や組織の形骸化が起きたことに反発心を抱いたり、
ティターンズ打倒の目的を果たしたことでジオン系軍人を中心にエゥーゴから離脱したメンバーも少なからずいる。
そんな彼らは離脱後にジオン残党への合流や新たな反連邦組織の設立を行っており、結果としてジオン残党に横流しにされたエゥーゴのMSもあった。
エゥーゴに協力していたアナハイムが密かにジオン残党勢力に流したMSもあると言われている。

新開発したMS

上述したようにジオン残党の中でも特に巨大な勢力はMSを開発する施設・人材や発注を依頼する資金源に余裕があり
あと当時MS・MAについて事実上独占企業だったAE社にとっても「技術研究をする理由をつけられる」「正規軍とそれ程変わらない規模や資金力があるネオ・ジオンや袖付きは確実にMSの需要や卸した代金を用意してくれる、一種の上客」という割と大きな利点があって
結果的に新型機を用意できた。
新型機と言ってもその種類や系列は多種多様だが、下記のように4つの系列に大雑把に分けることが出来る。

  • アクシズ及びネオ・ジオンが独自開発したMS。ガザシリーズなどが代表例。
  • アクシズ及びネオ・ジオンが独自開発したMSを、旧ジオン軍を意識した仕様に改良・発展させたジオンマーズ系MS。一部設計は下記のRFシリーズに繋がっていく。
  • 新生ネオ・ジオンや袖付きがアナハイムに発注したMS。ギラ・ドーガおよびここから派生した各機種など。
  • オールズモビルやその支援をするブッホ・コンシェルンが製造したRFシリーズ。1年戦争時代のジオンMSを最新仕様で再現したもの。

【ジオン共和国との関係】

一年戦争の終戦協定締結後にジオン公国を後継する形で建国されたサイド3におけるジオン共和国とジオン残党の関係性はなかなか複雑である。

ジオン共和国軍はジオン公国軍の戦力を受け継いでおり、旧ジオン公国軍人なども所属していた。
一方で戦後のジオン共和国の政治体制は(当然の体制ではあるのだが)ジオン公国の運営や政治理念とは大きくかけ離れており、
悪い言い方をすればどっかで聞いたような連邦の衛星国でもあった。
グリプス戦役時代にはティターンズから戦力の援助を要求され、ジオン系軍人がいるエゥーゴと戦わせられる者もいた。

この状況は旧軍部や過激派ジオン残党からの強い反発を招くことになり、共和国政府を「売国奴」や「傀儡国家」と侮蔑する者もいた。
質の悪いジオン残党の中にはジオン共和国の崩壊を狙った者もおり、一年戦争から時間の経過していない時期には大規模なテロ作戦が計画されている。
第一次ネオ・ジオン戦争期には、サイド3が連邦からネオ・ジオンに譲渡されたことで
一時的にジオン残党の支配を受けている他一部の共和国軍兵士がネオ・ジオンに合流している。

U.C.0090年代には一時的にネオ・ジオンに譲渡という決断をされたことに対する住民の連邦への反発心や、
迫る自治権返還に焦った一部の右派政治家によってジオン残党への援助が活発化した。
特にジオン共和国の外務大臣だったモナハン・バハロが暗躍し、袖付きを中心に多くの反連邦を掲げた犯罪組織が生まれた。
U.C.0100年の自治権の返還の際には共和国軍の一部勢力が武装解除を拒否して脱走、以降もサイド3周辺で活動するジオン残党が発生した。

むろん、実際にはジオン共和国の住民全員がジオン残党に肯定的だったわけではない。
ジオン残党の暴走に頭を悩めた政治家やハマーンの支配に対して抵抗する者もいるなど、ジオン残党に反発する勢力も少なからず見られた。
サイド3の住民は反連邦思想こそ強い傾向にあったのは確かだが、あくまでも「不満」程度の話で「暴力活動」に発展した住民ばかりではない。

【歴史】

一年戦争直後

ア・バオア・クー攻防戦においてザビ家は完全に崩壊し、ジオン公国及びジオン公国軍は敗北が決定的となった。
終戦協定が結ばれて一年戦争は終結を迎えたが、ジオン軍の部隊や兵士には投降やサイド3への帰還という現実を受け入れられなかった者もいた。
或いは活動場所や戦中の経歴によっては撤退や降伏という行動が不可能となり、嫌でも逃走やゲリラ生活を強いられる者もいた。
終戦直後の時点で、投降を選ばずにア・バオア・クー内での抵抗を続けていた部隊も確認されており、彼らが最初期の「ジオン残党」であるとも言える。

ア・バオア・クー攻防戦を離脱したジオン残党軍はカラマ・ポイントにて協議の末に小惑星アクシズへ逃亡するグループと地球圏にて潜むグループに分かれた。
このように様々な思惑を持つジオン兵は、各地へ潜伏や敗走兵同士の合流による集団化によってテロリストや私設軍隊へと発展し、
このような勢力が「ジオン残党」と呼ばれるようになった。
ジオン残党は宇宙で連邦軍や戦後のジオン共和国を狙ったテロ活動を行っていき、連邦軍もその対処に追われていた。

そして、U.C.0083年にエギーユ・デラーズ中将の下に団結したデラーズ・フリートが一大反抗作戦「星の屑作戦」を決行し、「デラーズ紛争」が始まった。
デラーズの暗殺や戦力の壊滅で紛争は終わるが、連邦側は北米大陸の穀倉地帯にコロニーを落とされるなど大きな損害を負った。
この結果を受けて連邦内部ではジオン残党狩りを進める過激派の特殊部隊としてティターンズが発足することになるが、
ジオン残党とは別方向に問題児だった部隊の存在は更なる混乱を招いた。
この一方で小惑星アクシズへ逃亡したジオン残党一派は潜伏生活を送りながら力を蓄えていくことになる。

グリプス戦役~ラプラス事変

U.C.0080年代~0090年代前半は巨大なジオン残党が相次いで現れた時期だと言えよう。まあ全部ネオ・ジオンだが。

U.C.0087年にティターンズとそれに反発するエゥーゴによる連邦内部での抗争「グリプス戦役」が発生。
ジオン残党勢力「アクシズ」はこの紛争にて両者に干渉する動きを見せ、
終戦後に敗走したティターンズやエゥーゴ(更に言えば抗争中に敗走したニューディサイズ)の一部勢力を取り込む。
戦力が拡大したアクシズは「ネオ・ジオン」として地球連邦に挑んだ「第一次ネオ・ジオン抗争」を起こすが、
内乱による混乱やトップ(摂政)のハマーン・カーンの死によって敗北した。
ハマーンの死を受けてネオ・ジオンの残存戦力の間では派閥争いが発生し、残党は更なる分裂と抗争を経ることになる。

それからしばらくしたU.C.0093年、エゥーゴに所属しながらも行方不明になっていたシャア・アズナブル新生ネオ・ジオンを率いて登場。
シャアは「第二次ネオ・ジオン抗争」として連邦政府と争って地球に被害を与えるが、最終的には「アクシズ・ショック」の発生でシャアは最終目標は達成できずに行方不明となり、
新生ネオ・ジオンも敗走を強いられた。
この戦争の敗戦と英雄的人物だったシャアを失ったことにより、ジオン残党は反乱軍と呼べる規模の勢力と士気を保てなくなり、以後のジオン残党は「テロリスト」扱いに成り下がる。

第二次ネオ・ジオン抗争から3年後のU.C.0096年にはフル・フロンタルが率いる袖付きと呼ばれるネオ・ジオン残党が本格的に行動を開始する(ラプラス事変)。
この事件でネオ・ジオン系の戦力は完全壊滅、事件の鍵を握るとされた「ラプラスの箱」の開示も世界に大きな影響を与えることはなく終わった。

ラプラス事変後~オールズモビル戦役

ラプラス事変を経たジオン残党勢力は消耗に次ぐ消耗を経て完全に影響力を失った。
U.C.0100年にジオン共和国の自治権返還が行われると、共和国解放戦線の発生などの騒動こそは起きるが士気は一層低下した。

U.C.0100年代にもジオン系の組織は多く存在しており、小規模のテロ活動や違法売買こそ行っていたが、これといった戦乱を起こすことなく終わった。
ジオンとは関係のない反連邦組織「マフティー」が登場するなど、確実に反連邦勢力の情勢は変わりつつあった。
やがて連邦軍はネオ・ジオンの残党討伐を禁じて生存権を認めるなど完全に敵視を止めていたが、一部の過激な軍人はこの命令を無視して残党狩りを行った。

U.C.0116年には地球圏で、ジオン残党のテロネットワーク「オールズモビル」が決起。中心組織であるネオ・ジオン残党「レガシィ」や、それに呼応した「NSP」、エゥーゴ残党「エグム」など、ジオン系組織が地球圏各地で武装蜂起した。

U.C.0120年代には火星方面に長期間潜伏していた「火星圏のオールズモビル」こと「火星独立ジオン軍」によって「オールズモビル戦役」が発生。
火星独立ジオン軍は第一次オールズモビル戦役で壊滅したものの、地球圏や地球方面で再編された残党が決起。
第二次オールズモビル戦役で再度の地球侵攻まで行うものの、その後オールズモビルは壊滅している。

U.C.0123年にはオールズモビルの裏で暗躍してたブッホ・コンツェルンが率いるクロスボーン・バンガードによる「コスモ・バビロニア紛争」が幕を開く。
クロスボーン・バンガードは一切ジオンとは関係がなく、この時代になってついにジオンとは関係のない新たな反連邦勢力と連邦軍の戦いが始まり、ジオンの亡霊はほとんどいなくなったのだ。

コスモ・バビロニア紛争、それに続く木星戦役が終結を迎えた後のU.C.0136年には、小惑星帯で活動していたジオン残党の根拠地「E衛星」が地球圏に帰還している。
しかし、彼らは連邦軍との戦いではなく、自らが進めていた「E計画」の産物の暴走によって壊滅している。その結末は、皮肉にもかつてジオン・ズム・ダイクンが唱えたニュータイプ論を根本から否定するものでもあった。
この事件をもって、一年戦争終結から続いていったジオン残党勢力は歴史上から完全に消え去った

ところが、ジオン残党という脅威が消えた世界に待っていたのは明るい未来では決してなかった。
ジオン残党の代わりに現れるのは狂人が率いる木星からの侵略者残虐な性質を持つ宗教国家傲慢な地球帝国の建国を企む秘密警察
かくして宇宙世紀はむしろより一層衰退していくことになる。

遠き未来

一年戦争やその後の残党との戦いを知る世代が消えていき、反連邦勢力としてジオン残党を主張する組織も確認されなくなっていった。
ただし『機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST』によると、宇宙戦国時代開始の余波を受けてサイド3は荒れ果て、
「ザビ・ジオン」や「ハイ・ジオン」という自称ジオン公国の後継国家を主張する勢力に分裂。
ザビ家の末裔を僭称する人物が現れるなど、かつてのジオン残党とはまた違った形でジオンを自称する武装勢力が確認されている。

更に言えば、抗争の結果ビーム兵器が貴重品になるほどの技術衰退が発生
各地でMSの残骸やジャンクでツギハギの機体を作ったり、またはレプリカ機体やそれらのパーツを運用する勢力やならず者集団、
傭兵が各地で爆発的に増えた。何故かフルアーマー百式改やら、パラス・アテネやら、ジ・Oやら極端に数が少ない機体やそれらのパーツも確認されたが。
その結果、宇宙では数十年の時を超えてザクⅡやドム、ギラ・ズールやガルスJ、マラサイ、ハイザック、果ては水陸両用のズゴックやゾックまで*10もが各地で確認される異常事態になっている。


連邦軍とジオン残党の戦いが幾度となく起こったこと自体は100年経過しても語り継がれており、
「ジオン残党はシャアを祭り上げて無理矢理第二次ネオ・ジオン抗争を起こさせた」という解釈が一般的になっていた。
この歴史解釈から察するに、第二次ネオ・ジオン抗争におけるシャアの悪行は全てジオン残党が悪いという形で市民からは認識されたようだ。
(まあ、クワトロのダカール演説とか、CCAでの就任演説でティターンズを反連邦呼ばわりしていたのを考えれば納得できないでもないのがまた)

人狩りの激化などによって反連邦の風潮が強まる中、U.C.0200年代になると90年以上活動していた秘密結社「ズィー・ジオン・オーガニゼーション」が本格的に表舞台に姿を現す。
ジオンの名前を持つこの組織は実際にはジオン残党と直接的な関連性はなかったが、シャアのクローン「アフランシ・シャア」が生み出される。
ところがアフランシは組織名を「メタトロン」に変更してジオンの名前を消し、その後メタトロンも消滅したことでジオンの名前を使う組織は歴史から消えるのだった。

【主なジオン残党組織】

インビジブル・ナイツ

登場作品 機動戦士ガンダム戦記(PS3)
構成員の派閥 元ジオン特殊部隊(派閥等は不明)

現時点で判明しているうち最初に決起したジオン残党軍。
一年戦争中から月面からのマスドライバーによる爆撃作戦「水天の涙」を進めていた特殊部隊だが、作戦途中で終戦を迎えてしまった。
終戦から1年後の宇宙世紀0081年、デラーズ・フリート他の支援の元で「水天の涙」を改めて実行すべく行動を開始。
肝心の月面基地が連邦軍に制圧されてしまうトラブルこそあったものの、再占領して第2射の発射を目論む。
漫画版では最終的には発射こそ成功したものの弾頭は空中分解し、首領のエリク・ブランケ少佐は捕らえられて死刑を宣告されている。

そもそもこの時点での決起はあまりに早すぎであり、連邦がドッシリ構えているマスドライバーを自力で強奪するなどほぼムリゲーに近かった。
作中でもデラーズから「負けるとはわかっているが、支援せんわけにもいかん」と憐れまれているほどである。
要するにインビジブル・ナイツとは、行えば必ず潰える蜂の一刺しでしかなかったのである。

なお連邦側でプレイすると自軍小隊の倍以上の戦力が投入されるのはツッコんではいかん

ザメル砲部隊

登場作品 機動戦士ガンダム ファントム・ブレット
構成員の派閥 旧ジオン公国軍(派閥等は不明)、元教授
宇宙世紀0082年に月面で活動していた小規模な残党組織。
墜落していたムサイ級巡洋艦「キャメル」から回収したザメルの680mm砲を、通常のMSでも(3機がかりで)運用できるように改造し、フォン・ブラウン市などの月面各所に対する弾道射撃を実行。
支援組織こそあれわずか3名の弱小勢力ながら、自身の位置を月軌道上と見せかけつつ、砲撃テロを複数回成功させていた。
しかし、リバモア工場への砲撃を受けたアナハイムによって哨戒任務へ貸し出されたガンダム試作0号機と偶然に近い形で接触し、戦闘の後に鎮圧されている。

真・ジオン公国議会

登場作品 機動戦士ガンダムMSV戦記 ジョニー・ライデン
構成員の派閥 旧ジオン公国軍(派閥等は不明)

ジオン軍内でMS開発に携わっていた技術者「Dr.Q」が率いる勢力。地球圏内の宇宙空間を航行する「工場船102」を拠点としているが、地球上でも構成員が活動している。
「徹底抗戦せずに地球連邦に降伏した」と、ジオン共和国とその国民を敵対視しているのが思想的な特徴。
超高性能なフラッグシップ機「パーフェクト・ザク」が完成を見た宇宙世紀0082年に決起し、駐留する連邦軍部隊を排除しつつサイド3を襲撃するが、
これを良しとしない別の残党勢力(名称不明)に属するシン・マツナガジョニー・ライデンによって頓挫させられている。

キンバライド基地

登場作品 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
構成員の派閥 旧アフリカ方面軍

オデッサ作戦後にアフリカ方面へ退却した部隊がダイヤモンド鉱山跡を利用し構築。
最低限の設備しかなく自給自足の生活をする事になったが、基地司令官ノイエン・ビッター少将らのジオン再興の志の下、基地の戦力が保たれた。
宇宙世紀0083年10月、デラーズ・フリートのアナベル・ガトーとガンダム試作2号機をHLVで宇宙へ帰還させるため、基地に残されたモビルスーツ10機でアルビオンと交戦。
基地司令官は戦死、モビルスーツも全て撃破されたが、HLV打ち上げに成功。この成功を確認後、司令官の最後の指令に従い残存兵は連邦軍に降伏した。

デラーズ・フリート

登場作品 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
構成員の派閥 ギレン派ジオン残党

ギレン派だったエギーユ・デラーズがア・バオア・クー離脱後、地球圏に残存していたジオン残党を結集して結成した軍事勢力。
ガンダム開発計画の情報を得てガンダム試作2号機を強奪し、核による連邦観艦式攻撃で連邦の対宇宙戦力を壊滅させ、
「星の屑」作戦によるコロニー落としで北米大陸に大ダメージを与えた。
しかし、連邦軍の物量やシーマ艦隊の裏切りなどを受けて最終的には壊滅したが、「デラーズ紛争」と呼ばれる事件はジオン残党と連邦軍の本格的な戦いの幕開けでもあった。
なお、星の屑作戦中に小隊から単機程度の残党が合流した他、生き残った構成員はアクシズに回収されている(一部は火星に行って後述のレジオンの母体となる)。
また、「星の屑」による穀倉地帯壊滅〜食料のコロニー依存化によって、結果的に第二次ネオ・ジオン抗争時に新生ネオ・ジオンが連邦との交渉の席に着けたのは、
彼らの行為が純粋にスペースノイドの地位向上に繋がったと言っても良いだろう(まぁその前に一回弾圧強くなってるが)。

ネオ・デラーズフリート

登場作品 機動戦士ガンダム0083 REBELLION
構成員の派閥 デラーズ・フリート残党

デラーズ紛争後に自称アナベル・ガトーに率いられて出現したデラーズ・フリートの残党。と思われていたが、実は全く無関係のジオン残党部隊だった。デラーズの決起に乗り遅れたとのことである。
構成員は「ジーク・ガトー」と叫んでいるなど、デラーズ・フリートやジオンの残党と言うよりは「ガトー崇拝テロ団体」と化していることが特徴的。
またまたコロニー落としを企んでおり、ジオン共和国の警告と説教を無視して独立部隊として行動を開始した。なお、この際に共和国軍の一部も便乗している。
0083の漫画版『0083 REBELLION』のみに登場しており、映像作品には未出演(というかパラレルだから正史ではない)。

狼の鉄槌

登場作品 GUNDAM LEGACY
構成員の派閥 キシリア派ジオン残党?

U.C.0084年に騒動を起こした残党部隊。
構成員は「闇夜のフェンリル隊」、「グラナダ特戦隊」の元隊員などキシリア麾下だった特殊部隊の元メンバーが多いが、元外人部隊のジェイクなどの参加も確認されている。
その目的は「腐りきった同胞への鉄槌」と称して連邦軍から強奪した気化爆弾でジオン共和国にテロ攻撃を仕掛ける「シルバー・ランス作戦」で、
裏では「ジオンの脅威」を演出しつつジオン共和国を弱体化させてティターンズの更なる躍進を目論むジャミトフ・ハイマンによって仕組まれたものだった。
その為、ティターンズはテロの計画の察知しながらもこれを黙殺していた。

最終的に上層部の事情を知らない現場の連邦正規軍兵士、ジオン共和国軍、共和国軍人及びテロメンバーと接点のあった民間人、
そして命令を無視して駆けつけた数人のティターンズ隊員の奮闘によって計画は阻止、メンバーは全員逮捕されてジオン共和国に移送された。

レジオン

登場作品 A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-
構成員の派閥 ギレン派ジオン残党
ティターンズ残党
デラーズ・フリート残党

火星に逃走したギレン派のジオン残党で、自称ザビ家の末裔とされるアリシア・ザビという少女が率いる残党。
残党勢力だがジオンやギレンの後継者としての意識はなく、女性中心の国家としてのレジオンの建国を目論んでいた。兵器もジオンMSではなくティターンズMSが中心。
ティターンズ残党を取り込んだことで対立していたジオンマーズから火星の支配権を奪うが、取り込んだティターンズ残党から反抗される事態になった。
また、レジオン建国戦争以前の首領であった「オメガ・ザビ」は、建国戦争後に火星に縛られるのを嫌って(アリシアとの不和もあり)、
レジオン中核部隊と共に装備を奪って艦隊ごと地球圏に離脱。新生ネオ・ジオンに合流したとされる。

ファラク

登場作品 機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ
構成員の派閥 派閥等は不明

旧サイド4宙域で同じジオン残党の士気向上を目的としたテロ活動を行っているジオン残党組織。戦力はムサイ1隻とティベ3隻とモビルスーツ20機、首領はロギ・リニトラム。
蛇の意匠を部隊章やMSへのペイントマークにしていることが特徴。
同じ宙域で活動をしていた宇宙海賊『シュテンドウジ』と全面抗争となった末に敗北した。

ヘルズゲート

登場作品 機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ
構成員の派閥 オデッサ作戦後の敗走兵
中東に位置するジオン残党軍の一大拠点。内部にはMAも建造できる機動兵器開発施設やHLV打ち上げ施設を有する。首領はカノラ・ゾンクシー。
ドム・バラッジなどを開発・運用しており、非人道的な処置を施したパイロットによって操縦されるMS「グール」やMA「ゲンブ」なども開発した。

ロンメル隊

登場作品 機動戦士ガンダムΖΖ
構成員の派閥 旧アフリカ方面軍

アフリカ地域に潜伏するデザート・ロンメル中佐率いるジオン残党。
ドワッジやそれの改修機、ディザート・ザク、ザク・タンカー等を運用している。
ミネバ・ラオ・ザビが首領を務めるネオ・ジオンと合流すべく、ガンダムチームと交戦。
デザート・ロンメルが砂漠戦のエキスパートなこともあってか、砂漠戦を得意としていて、ガンダムチームを苦戦させるが、機体性能の差は覆せず最終的には全滅する。

アクシズネオ・ジオン

登場作品 機動戦士Ζガンダム機動戦士ガンダムΖΖ
構成員の派閥 ギレン派ジオン残党(デラーズ・フリート残党)
キシリア派ジオン残党
ドズル派ジオン残党
ティターンズ残党
ニューディサイズ残党
親ジオン系エゥーゴ構成員
旧公国地球方面軍
ジオン共和国離脱兵

一年戦争後に小惑星アクシズに逃亡したジオン残党グループによって設計された武装組織。詳細はリンク先参照。
ザビ家の遺児であるミネバ・ラオ・ザビを抱えており、更には途中で合流したジオン残党やデラーズ・フリート構成員らに加えて、
ティターンズ残党やニューディサイズの一部勢力、エゥーゴのジオン系メンバーなどを取り込んでいる他サイド3譲渡時には一部のジオン共和国兵も参加している。
グリプス戦役後の混乱を狙って地球連邦政府に戦いを挑むが、グレミー・トトの内乱などによって最終的には壊滅状態に追い込まれた。

新生ネオ・ジオン

登場作品 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
構成員の派閥 シャア・ダイクン派
ネオ・ジオン残党(一部)
エグム(元エゥーゴ)
レジオン中核部隊
ティターンズ残党

グリプス戦役で行方を消していた元エゥーゴ指導者のクワトロ・バジーナこと「赤い彗星」シャア・アズナブルが設立した私設軍隊。詳細はリンク先参照。
サイド1の難民用コロニー「スウィート・ウォーター」を占領し、住民の支持を得てシャアによる独裁体制を敷いた。
歴代のジオン残党としては異色の反ザビ家の方針であり、旧ネオ・ジオン残党最大派閥であるダンジダン・ポジドン少将の一派やエゥーゴのシャア・ダイクン派だけではなく、今までジオンに賛同してこなかった多くの反ジオン系スペースノイドの支持も得た。

袖付き

登場作品 機動戦士ガンダムUC
構成員の派閥 新生ネオ・ジオン残党
ネオ・ジオン残党
ミネバ派(ドズル派)ジオン残党

シャアに酷似した謎の男であるフル・フロンタルが率いる新生ネオ・ジオン残党。詳細はリンク先参照。
ミネバ・ラオ・ザビの存在を抱えているため、新生ネオ・ジオンよりもザビ家派としての色が濃い反面、
「ミネバの身柄を持っている」部隊、さらには「ミネバ本人」と「袖付き全体のリーダー格」との方針統一が必須となる欠点が隠れていたのが後に足元をすくうことになった。
先の戦争での消耗の影響なのか新生ネオ・ジオンより余力はないらしく、
兵器事情は非アナハイム製が増えたりゲルググやギガンといった一年戦争期の機体が最前線に駆り出されるなど苦しい。
その割にはネオ・ジオングなんてのも用意していたが(ただし、これは設計はフロンタルが行ったものの、機体そのものはアナハイムから提供されたものである)。

シンブ根拠地隊

登場作品 機動戦士ガンダムUC小説版/バンデシネ版
構成員の派閥 旧公国地球軍
ヨンム・カークス(バンデシネ版ではキャンドル)が率いる残党部隊。
小説とバンデシネでは一部の設定が異なる。
小説ではダカールでのテロの後に取締りが強化、基地と機体を放棄しようとした所をスベロア・ジンネマンらから協力を打診され、
隊を率いてトリントンを襲撃、ラー・カイラムを追い詰めるが、トライスターやユニコーンガンダム2号機バンシィの襲撃でカークスを始めとした隊員は全滅した。

バンデシネ版ではシンブ州に潜伏するジオン残党として登場。
小説版の機体*11に加えてOVAの機体が追加されたことで戦力数が向上している。
また、結末も異なり、キャンドルのために犠牲になったキャンドルと、バンシィに特攻したマラサイのパイロット、ハビエール以外は全員撤退している。

カークス隊

登場作品 機動戦士ガンダムUC
構成員の派閥 旧地球方面軍
アジア方面軍

ヨンム・カークスが率いる残党部隊でアニメ版におけるシンブ根拠地隊の役割を担当。
ただし、戦力はシンブ根拠地隊と比べて、純粋に数だけでなくネオ・ジオンやティターンズ製の機体が増えている他、袖付きから提供されたゼー・ズールも運用している。
こちらはシンブ州に基地はなく、代わりに何処かの島の洞窟を改造した基地を運用している他、構成員もカークスとその部下だけでなく、
各地に潜伏している残党*12にも協力を打診。全員で襲撃を行うが小説版同様に壊滅。
生き残ったメンバーはカークス隊の基地に潜伏するが、トリントンやダカールの混乱に乗じてジオン残党、連邦の機体を奪った海賊と交戦している。
なお、トリントン襲撃に参加した残党の中には、元連邦軍特殊部隊の一員で、今はイフリート・シュナイドのパイロットであるフレッド・リーバーもいた模様。

ジオン共和国

登場作品 複数作品に登場
構成員の派閥 サイド3国民

ジオン公国の崩壊後のサイド3にて成立した事実上のジオンの後継国家となる共和国。
上述したように残党との関係性は時によって変わっているが、共和国内の右派が袖付きやその残党の支援を行っている。

黄金の鷲

登場作品 機動戦士ガンダムF90 FastestFormula
構成員の派閥 ジオン共和国軍?

旧ジオン共和国のモナハン・バハロが仕立てたテロ組織。
袖付きに関与していたようだが、袖付き壊滅後は麻薬取引や奴隷貿易という活動をする犯罪組織になっている。使用機体はネモ、ハイザック、マラサイ、ズサ、バウ等。
残党なりの政治理念や連邦への反抗心すらない腐敗を極めた残党と言えるだろう。

共和国解放戦線

登場作品 機動戦士ガンダムF90 FastestFormula
構成員の派閥 ジオン共和国軍過激派

ジオン共和国の自治権返還の際に武装解除を拒否して脱走したジオン共和国残党。ギラ・ズールが主な使用機体。
サイド3や外宇宙で活動しているらしいが、名前的にはジオン共和国の再建を目論んでいると考えられる。
0116年にレガシィに呼応して蜂起した。

ジュピター・ファントム

登場作品 MSV90
構成員の派閥 新生ネオ・ジオン残党

アクシズ・ショック後に木星圏に逃亡した新生ネオ・ジオン残党が設立した。
資源補給として重要な役割を持つ木星圏を拠点にすることで連邦の資源補給ルートを潰すという戦略を取っている。ドゥガチブチギレ案件の一つかもしれない
ジオンの名前を捨てていることが印象的ではあるが、具体的な指導者や組織の最終目標は不明。
他誌の雑誌企画『INNER GUNDAM SPACE OF AGETA』に登場するジオン軍残党「ゲルジオン」とは活動時期も場所も戦略も一致していることが良く指摘される。
なお、ゲルジオンは実際に補給ルートを60%も制圧してしまい、 地球圏をエネルギーが尽きるまであと3か月 まで追い込んでいる。

インド地方のネオ・ジオン系反連邦組織

登場作品 1/100 ネオガンダム付属冊子 モビルスーツハンドブック
構成員の派閥 ネオ・ジオン残党

U.C.0119年にインドで内乱を起こしたとされる旧ネオ・ジオン系列の反連邦組織。組織名は出てきていない。
バズ・ガレムソン率いる部隊に鎮圧されたという。

ジオンマーズ(火星独立ジオン軍)/オールズモビル

登場作品 A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-
機動戦士ガンダムF90
機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122
構成員の派閥 キシリア派ジオン残党
ティターンズ残党
新生ネオ・ジオン残党

一年戦争後に火星に逃げ延びた親キシリアのジオン残党組織。詳細はリンク先参照。
ギレン派だったレジオンとの火星支配の抗争を経て火星独立ジオン軍へと姿を変え、30年以上に渡って火星で潜伏していた。地球圏のオールズモビルであるレガシィに対し、火星圏のオールズモビルである。
二度に及ぶオールズモビル戦役にて完全に壊滅し、これによって大規模なジオン残党は宇宙世紀から消えた。
宇宙世紀の時系列上、現時点で最後のジオン残党勢力である。

レガシィ

登場作品 機動戦士ガンダムF90 FastestFormula
構成員の派閥 ネオ・ジオン残党
NSP
共和国解放戦線
他多数

かつて第一次ネオ・ジオン抗争において、ハマーンの懐刀として先遣部隊を率いてダカールを無血開城させた男「ライン・ドラグン」が、
フロンタル戦死後のネオ・ジオン残党やその他多数の反連邦組織をまとめ上げた艦隊。
フロンティアⅠを前期RFシリーズMSで襲撃し、民間に甚大な被害をもたらした。
地球圏のオールズモビルの中心組織であり、同じくオールズモビルであるジオンマーズとは同盟関係にあるが、0116年にハウゼリー・ロナの扱いを巡る方針の相違で対立関係になる。
ライン・ドラグンは巨大ヴェスバーを有するトリムールティを奪取し、地球の特別保護区を人質とすることで、かつてハマーンが結んだサイド3を譲渡する条約を履行させることを目的としており、自分達がネオ・ジオン(の正当後継)であると自認している様子。

ゼブラゾーン宙域のジオン残党

登場作品 機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91
構成員の派閥 新生ネオ・ジオン残党

月の裏側の暗礁宙域ゼブラゾーンの廃コロニーに逃げ延びて密かに暮らしていたジオン残党。
ギラ・ドーガこそ保有しているが軍事勢力としての意図は持っておらず、ルール上は連邦軍の保護対象にすらなっている。
一部の心無い連邦軍人の被害を受けた者がおり、更にはアナハイムやクロスボーン・バンガードの暗躍に巻き込まれてしまう。

ウラガン中隊

登場作品 機動戦士ガンダム THE ORIGIN
構成員の派閥 キシリア派ジオン残党(マ・クベ派)

マ・クベの副官だったウラガンが率いるジオン残党部隊。
一年戦争後に日本の山陰出雲へ観光に来ていたアムロ・レイの暗殺を狙うも失敗、
切札として投入したギャンクソ雑*13に再現したレプリカMS「ギャンもどき」(※原文ママ)は自壊して終わるなどあんまりな末路を迎えた。
「量産させずに自分の名と共に歴史に刻まれるべき」とすら評した愛機ギャンに盛大に泥を塗るウラガンの行動にマ・クベは草葉の陰でブチギレた。残念でもないし当然

神聖ジオン帝国

登場作品 機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス
構成員の派閥 ネオ・ジオン残党

「オフィシャルではございませんぞ!」な残党軍その1。
ハマーン時代のネオ・ジオン残党の一派で、木星圏にて謎の超巨大人型構造物巨神を発掘していた。
「巨神」は破壊するというのがジオン側の決定であったが、司令官のヒトーリンはそれに背き、自らの野望を実現するための力として利用しようとしていた。
「巨神」はミネバを核として暴走をはじめ、ほぼ自滅に近い形で組織は壊滅。ヒトーリンは木星圏まで赴いていたシャアに討たれる。

ギルボード閥のネオ・ジオン残党

登場作品 機動戦士ガンダム ムーンクライシス
構成員の派閥 新生ネオ・ジオン残党

「オフィシャルではございませんぞ!」な残党軍その2。
メイファ・ギルボード=ミネバと参謀のベルム・ハウエルをリーダーとする残党軍。
他作品のミネバに比べてジオン再興に積極的であり、戦力不足を補うためならテロリストと手を組むことすら辞さない。
だが、宇宙世紀0099年に決起した直後、その組んだ相手であるヌーベルエゥーゴ*14の裏切りにあってしまう。
死の間際、ベルムはメイファに「メイファ・ギルボードはミネバのクローンの一人に過ぎない」と伝えているが、
これもまたザビ家やジオンのしがらみから断ち切るための嘘であることが示唆されている。
なおこの世界のジオン残党はアクシズ派、ダイクン派、新生ジオン派などの 由来やスタンスが異なる複数の団体が並立しており
自分ら以外の団体がテロなどを起こすと「それは我々は関与していない(だから鎮圧するならやった団体だけにしろ)」と表明するという
ある意味現実の政治団体のようなリアルさがある。

E衛星

登場作品 機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート猿の衛星
構成員の派閥 ジオン残党(ガルマ派?)

「オフィシャルではございませんぞ!」の元ネタになった組織だが、前者2つに比べればオフィシャル度は高い。
ギレン以外のザビ家の一員と見られる高官が一年戦争中に提唱した、類人猿にMSの操縦訓練を施す「E計画」の研究が進められていた小惑星基地。
終戦後に小惑星帯へと脱出した後は目立った活動を見せていなかったが、E計画が一定の進捗を見せた宇宙世紀0136年に地球圏に帰還している。
しかし、E計画によって産み出されたクローン培養のチンパンジーの反乱によって壊滅。以後はチンパンジーが支配する「猿の衛星」と化した。
なお、その成り立ち故か構成員は科学者や技術者が主だった模様。


【ジオン残党の関与や影響が見られる組織】

ジオン残党の中には上述の残党組織には合流せず、ジオンとは異なる反連邦組織に加入・或いは設立をして独自化していった者も多い。

エゥーゴ

登場作品 機動戦士Ζガンダム
機動戦士ガンダムΖΖ
構成員の派閥 反ティターンズ派地球連邦軍
ダイクン派ジオン残党
反ティターンズ派スペースノイド

ティターンズに反発した連邦軍内の反ティターンズ派によって設立された反連邦組織。詳細はリンク先参照。
本来は連邦軍内の一派閥(指導者ブレックスも連邦軍准将)なのだが、スペースノイド閥が多かったことや反連邦を掲げ、ジオン狩りを目的とするティターンズと対立している事情から密かにジオン残党が多く入り込んでおり、
そもそも後に代表にもなったクワトロ・バジーナも定義上はジオン残党に該当する。*15
グリプス戦役でティターンズの壊滅に成功するが、頭であるブレックス准将の死、クワトロの失踪、主力部隊の壊滅、
最強のMSパイロットであったカミーユ・ビダンの精神崩壊等が重なって組織として大きく力を失い、
後に連邦主流派に取り込まれる者(ロンド・ベル隊他)とジオン残党に流れる者に分裂する。

カラバ

登場作品 機動戦士Ζガンダム
構成員の派閥 反ティターンズ派連邦地球軍
ジオン残党

反連邦ネットワーク。ティターンズという共通の敵を相手に反連邦勢力が結束した団体で、エゥーゴとも共闘している。
後に連邦軍に取り込まれていったようだが、元々の経緯からジオン系の過激派が少なからずいたようだ。
それが最も色濃く表れているのは、一年戦争における連邦側の英雄であるアムロ・レイ専用のMSが
ジオン系の構成員の感情に配慮してガンダムタイプではないという事だろう。

アフリカ解放戦線(NFL)→汎アフリカ解放同盟

登場作品 機動戦士ガンダムΖΖ
機動戦士ガンダムF90 FastestFormula
構成員の派閥 ジオン・アフリカ方向軍
NFL
カラバ右派
ティターンズ残党
青の部隊
ジオン系の機体を運用し、アフリカで武力闘争を行う勢力。
このNFLにジオン・アフリカ方面軍やカラバ右派、ティターンズ残党が合流し、汎アフリカ解放同盟になった。アフリカの自主独立を主張する。
アフリカは歴史的な経緯から連邦や白人至上主義への反発が強く、そんな土地にジオン軍や逃げ出したティターンズ残党が多くやってきたことから現地民と結びついた結果である。
0116年にレガシィに呼応して蜂起・ズゴックEを持ち出して核貯蔵庫を襲撃した。

エグム

登場作品 機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー
機動戦士ガンダムF90 FastestFormula
構成員の派閥 シャア・ダイクン派エゥーゴ
エゥーゴ離脱兵

エゥーゴの形骸化や連邦への合流に反発して離脱したエゥーゴ軍人による反連邦組織。ジオン出身のエゥーゴ構成員が多い。
シャアを熱狂的に慕う者が多かったことから新生ネオ・ジオンの設立に関して大きく支援しており、ジオン共和国の右派政治家とも繋がっていた模様。
エグムの一部派閥はフロンタルやザビ家の存在を嫌ったことで袖付きへの合流を拒否したため、袖付きの消滅後も影響を受けずにエグムが存続することになった。
0116年にレガシィに呼応して蜂起し、連邦のFF隊の足止めのために奮戦し、最後の一兵まで戦って全滅。エグムが一時追い詰められた時に、このときのリーダーであるトロワルドヨ中佐が負傷した体に鞭打ってスペースノイドに伝わる歌をオープン回線で歌ったことでエグム軍が息を吹き返したシーンは、中々ぐっと来るものがある。

カラード

登場作品 ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム
構成員の派閥 シャア・ダイクン派

反連邦運動団体NSP*16の中でも最大の勢力を持つ武装集団。

彼らの裏には新生ネオ・ジオンがおり、旧ネオ・ジオンの遺したMSを与えるなど彼らの武力闘争を支援していた。
新生ネオ・ジオンがコロニー落としを画策していることを知ると穏健派と過激派に分裂し、
連邦軍&カラード穏健派VS新生ネオ・ジオン&カラード過激派に分かれて殺し合うことになった。
最終的にコロニー落としがブラフだった*17こともあり、とあるガンダムバカの身勝手な宣言で両陣営共に戦闘がアホらしくなってなし崩し的に戦闘は終結。
事件後カラードは解散となり、過激派のメンバーはネオ・ジオンコロニー落とし実行部隊(陽動部隊)に合流して木星圏へ逃れた。

NSP(ニュー・サマー・プロジェクト)

登場作品 ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム
機動戦士ガンダムF90 FastestFormula
構成員の派閥 シャア・ダイクン派

カラード事件(アラハス事件)を経て解散した上記の旧NSPの流れを汲む反連邦組織。
熱狂的なシャア・ダイクン派によって構成されており、スペースノイドとアースノイドの民族的平等を主張する。
0116年にレガシィに呼応して蜂起した。

風の会

登場作品 機動戦士ガンダムUC(小説版)
機動戦士ガンダムUC 星月の欠片
構成員の派閥 ジオン共和国の右翼

ジオン共和国の極右政治団体。会員数は1,000人~10,000人の規模と見られている。
モナハン・バハロの暗躍で成立した団体であり、共和国の自治権放棄に反対して旧ジオンの復活を目論んでいる。
基本的に捨て駒として作られていることから士気こそあっても戦闘の技量が低い構成員ばかりで、中には政治抗争での出世の道具として利用する者もいた。

アニメ版UCでは出番がカットされたが、アニメ版の外伝作である漫画『星月の欠片』には登場しており、アニメ版の世界線にも存在している。

ドバイの末裔

登場作品 機動戦士ガンダムUC(小説版)
構成員の派閥 イスラム過激派

旧世紀に没落した中東王族の隠し財産の管理を任されていた家系の末裔で、UC96年時点での当主はマハディ・ガーベイ。
表向きは大企業の社長として連邦政府に溶け込んでいるが、裏ではムスリムの文化を破壊されたことに深い憎悪を募らせており、
ジオン残党軍とはモビルアーマーシャンブロの設計図提供やモビルスーツの派遣を受けるなど協力関係にある。

海賊

登場作品 機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う
構成員の派閥 不明(ネオ・ジオン残党と野盗集団?)
トリントン基地戦後に疲弊したネオ・ジオン残党を襲撃した海賊たち。首魁は不明だが間者が「中佐」と口にしたことから設立にはジオン残党がかかわっていると推測される。
戦力の多くはダカールやトリントンで回収・強奪した機体を用いていてジオン・連邦・ティターンズ・ネオ・ジオン等多くの勢力の機体を所有しているが、特にベースジャバーとガウ級攻撃空母の存在はジオン残党を驚愕させた。
その物量の多さで寡兵集団のカークス隊を苦戦、徐々に追い込むがかつて敵対したバイアラン・カスタムの援護とカークス隊の基地を犠牲とした自爆戦法戦力の大部分が壊滅した挙句、ガウ級も破壊。逃げ出した首魁と幹部の乗るザクⅢグフ・フライトタイプ間者の裏切りによって撃墜されたことで全滅した。

EARM(地球回復運動)

登場作品 ガンダムMSグラフィカ
構成員の派閥 不明(ネオ・ジオン残党?)

第二次ネオ・ジオン抗争後に活動が確認された小規模な反連邦組織。地球およびその衛星軌道上に活動拠点を持つ。
度重なる戦乱によって地球環境が破壊される原因を作った地球連邦政府の失政を糾弾し、連邦および連邦軍の解体を目標に掲げていた。
宇宙世紀0090年代末に連邦軍とアナハイムの共同作戦によってすべての拠点を破壊され、壊滅している。
新造されたMAレイウルスに加えて、当時の連邦軍の最新鋭機であるグスタフ・カールを運用しているなど、その実態には不明瞭な点が多い。
制圧作戦は「ネオ・ジオン残党のフロント組織である」という推測に基づき実行されたものだが、それ自体がレイウルスに用いられた新技術が自社のシェアに与える悪影響を恐れたアナハイムが流した偽情報であるともされる。

ルー・ラヴァータ

登場作品 機動戦士ガンダムF90 FastestFormula
構成員の派閥 地球上の不法居住者

マフティー動乱後から活動を開始した地球上の不法居住者による反連邦組織。連邦政府の土地強制収用に反発し、閣僚の暗殺を定期的に行っている。
ルーツも不明で行動内容もマフティー系の組織に見える謎の集団なのだが、
ハウゼリー・ロナのレポートでジオニストとしてまとめられているので何らかの形でジオンの影響があると見られる。
0116年にレガシィに呼応して蜂起した。

ズィーオーガニゼーション

登場作品 ガイア・ギア
構成員の派閥 シャア・アズナブルの唱えた絶対理想に共感する人びと

宇宙世紀200年代を舞台とした小説ガイア・ギアに登場する反連邦政府組織。詳細はリンク先参照。
組織内には、多種多様な思想を持った人間がおりその中にはジオン公国の信奉者もいる。また、「ジーク・ジオンの遺産」と伝えられている兵器を保有していた。
しかし、劇中では中枢の人間はジオン公国とは関係がなくシャアの理想に心酔した人々と明言されており、厳密にはシャア個人の信奉者でもないし、ましてジオン残党軍の組織ではない。

南洋同盟

登場作品 機動戦士ガンダム サンダーボルト
構成員の派閥 極東・中東・インド洋住民
ジオン残党
地球連邦軍

パラレルワールドの宇宙世紀に存在している地球連邦の構成国家を勤める宗教団体。
上記の通り一応連邦の一派閥なのであるが、一年戦争後に反連邦組織として連邦政府に牙を向く。
リユース・サイコ・デバイスの獲得を狙っていることからジオン残党とは敵対しているが、宗教を活かして残党を信者化して自軍に取り込んでいる。
そのため、ジオン残党内では密かに信者化した残党兵によって混乱させられてしまうという光景が起きるようになった。

ジオン側の主人公であるダリル・ローレンツは当初、ジオンの残党として南洋同盟狩りを行っていたが、僧正レヴァン・フゥに感化され寝返る。
そしてダリルの恋人(?)であるカーラ・ミッチャム*18を奪取、サイコ・ザクMk-Ⅱを量産し、真の敵たるアナハイム・エレクトロニクス殲滅へと舵を切る。

【ジオン残党は多すぎる?】

歴代宇宙世紀作品を見た人は必ず思うであろう疑問として挙げられるのが「ジオン残党の数が多くないか?」という問題。
シリーズファンの間でもよく話題になるネタで、ネット上のサジェストでは「ジオン残党 多すぎ」とか「ジオン残党 ゴキブリ」といったワードまで出てくる。
最早ジオン残党が「出てきた」を通り越して「生えてきた」とまで表現してシリーズの風物詩扱いをするファンすらいるレベル。
何ならシリーズの作中でもジオン残党の組織の解説を受けた人物が「よくもまぁ こんなに湧いてきたもんだ」と感心するシーンすらある。

一年戦争におけるジオン公国軍と連邦軍の戦力差は30対1、ジオン公国の総人口は1億5000万人とされているが…
その後に出てくる残党勢力の数を見るにどうもそれよりも規模が大きいように感じられる。
しかもジオン残党はシリーズ毎に最大の残党勢力が主人公及び連邦軍側に完敗する結末を迎えるが、数年(下手すれば1年未満)で一定の戦力が整った組織が登場する。
それに加えて残党勢力のパイロットはエースクラスが多く、相次ぐ兵士の戦死で人材不足に苦しんでいたジオン公国軍末期よりも兵士の質も高いような気もしてくる。

この問題に関しては以下のような理由が考えられる。

メタ的な理由

メタ的に身も蓋もないことを言ってしまえば、シリーズの新作が出る度にジオン関係の敵を増やしているため

社会現象にもなった『1st』における敵勢力だったジオン公国やザクといった存在は、ガンダムシリーズの敵勢力としてはトップクラスの人気と知名度を持っている。
しかし、『1st』から大きく時系列を飛ばしてジオン関係のネタを封印した『F91』や『V』に登場した新たな敵勢力は、
最終的にはジオンよりも知名度と人気を得ることが出来なかった。*19
一方で『F91』と同時期に展開された『0083』はジオンの残党をメインヴィランに置いたストーリーを展開し、大ヒットを飛ばした。
そして「ジオンがいないガンダム作品」としては宇宙世紀とは全く異なるパラレルワールドを世界観にしたアナザーガンダムシリーズが始まり、
一定の成功を収めていくことになる。

このような状況を受けて「宇宙世紀作品では(いかにも強そうでかっこよくて悪そうな)ジオンを出さないと人気を得るのは難しい」と認識する見方が強まった。
そして『1st』以降の時系列における宇宙世紀シリーズの新作を展開する際には、ジオンに関係する敵勢力を出すことが基本的になった。
率直な言い方をすればジオンネタの人気と需要が高いため、後付けでジオン残党を増やしていくことになる。

こうしてジオン残党はシリーズの人気を支えている反面、上述したような設定の違和感やジオン側の狂気さと執念が異常に強まってしまうという弊害も生まれている。

設定上の理由

設定的な意味でこの問題を考察するのならば、揶揄でも何でもなく本当にジオン残党は「増殖」している可能性が指摘されている。

まずグリプス戦役ではエゥーゴとティターンズによる内部争いが勃発したのだが、この戦争が一つのポイントとなる。
敗戦によって賊軍と化したティターンズ残党やニューディサイズ残党はジオン残党に身を寄せた者が多く、つまり連邦軍人からジオン残党に人員が流出しているのだ。
エゥーゴ側も元々ジオン系の影響力があった組織であり、後の組織の方針に反発して反連邦活動に身を染める人間が出てきている。
また、ティターンズ兵やニューディサイズは元は連邦のエリートパイロットや教官クラスの精鋭が揃えられている*20ため、
操縦技術の質も極めて高いことから残党の戦力の質を間違いなく上げていると見られる。

また、『ジョニーライデンの帰還』では連邦士官が「士気の低下した部隊が装備ごと脱走して野盗化してる」と説明があるが、そういった連邦軍人が野盗化の末ジオン残党や反連邦組織に合流したことも考えられる。

第二次ネオ・ジオン抗争においても、新生ネオ・ジオンが「反ザビ家」を掲げたことからザビ家・連邦に否定的なスペースノイドや反連邦組織、ゲリラが組織に流れてきている。
こういったジオンに縁はなかったがシャアに共感したスペースノイドがジオン残党組織として活動しているパターンもあった。

更に後年の方になるとジオンの思想に憧れる若者世代が登場し、このような層がジオン残党に合流してしまうケースもある。
第二次ネオ・ジオンのクェスとギュネイ、袖付きのアンジェロはそれである。
現実で例えるならば、大昔の独裁政治団体に共感したことで姿を模しながら反社会活動をする若者や組織に近い感じだろうか。実際にこちらも社会問題になっている。
火星独立ジオンなどの場合は、残党の子供が大人になってジオン残党として活動するという二世残党もいる。状況的に仕方ない面もあるが毒親のような…。


またジオン公国正規軍兵士が、長い潜伏期間の内に実力を付けていったというのもあるだろう。
一年戦争末期、確かにジオン公国軍の練度は落ちていた。開戦前から訓練を積んだベテラン兵士は長い戦争で枯渇し、新規徴募の兵士(学徒動員兵も含む)は訓練期間が足らず、練度が低かった。劇中ではア・バオア・クー守備隊がそれであり、キシリアが言及した「サイド3の戦力」も同様だったと思われる。
しかし、こうした新兵たちも、何年もの潜伏期間に日常的にMSを扱い、襲撃・略奪と逃走を繰り返していれば、自然とベテランとなっていく
つまり、数ヶ月しか訓練期間がなかった「大戦末期のジオン公国軍」よりも、何年も習熟期間のあったジオン残党軍の方が練度が高くなるのは必然なのだ。
上記の疑問について挙げられていた「残党勢力のパイロットはエースクラスが多く、相次ぐ兵士の戦死で人材不足に苦しんでいたジオン公国軍末期よりも兵士の質も高い」というのは、これで説明がつく。


それにU.C.0100年代以前に非ジオン残党の反連邦組織・野盗集団が設立されたとしても、連邦軍の機体や新型MSよりもジオンMSの確保と運用の方が遥かに容易だったことは想像に難くない。
つまり必然的にジオンっぽい見た目になるし、それを見た連邦軍からすればとりあえずジオン残党が暴れていると認識した可能性もある。
そもそも反連邦活動をする際には、残党のルーツでなくともジオンを名乗った方が支援や知名度拡散などの面で得があったと考えられる。
また、連邦軍の予算確保のために用意されたマッチポンプ用の仮想敵としても偽りのジオン残党が用意されていたと見られる。

要は「反連邦勢力」が一括して「ジオン残党」と表現されているため、結果として残党が多いように見えると解釈しても良いのかもしれない。
そう見ても一年戦争直後のジオン残党部隊だけでカウントしても多すぎるんじゃないかとか考えてはいけない
ついでに言えばジオン残党のデータをまとめているハウゼリー・ロナが「地球圏には100億人いるから、1万人に1人が武装蜂起をしても100万人のゲリラが出てくることになる(意訳)」と指摘しているように、根本的に宇宙世紀の人口の多さも考慮する必要がある。
人口については一年戦争のコロニー落としで110億→60億に激減し、たった13年後の逆襲のシャア時点で100億に回復して
さらに30年後のハウゼリー・ロナの時代ではそのまま100億人というよくわからん変動の仕方をしている*21


実際には……

ここまで、ジオン残党が増えているという前提で書いてきたが、実際にはジオン残党そのものはアクシズ〜新生ネオ・ジオン時代に一時期増えたにせよ、
時代の流れと共に減少していることがわかる。
ジオン残党最大勢力であるアクシズは、最初期の人員は3万人(うち2万人は民間人)で、後に他所のジオン残党は勿論、
デラーズ・フリート残党やニューディサイズ及びティターンズ残党、親ジオン派エゥーゴを取り込んでも、よくて4万人程だろう。
その残存勢力(ダンジダン派)を中心としてシャアが発足した新生ネオ・ジオンは、(艦艇やMSの数の面では)戦力的にデラーズ・フリートとどっこいどっこいである。
さらにそれらが崩壊・合流などで成立した袖付きは、もはや自他共にテロリストと認める程の規模しかない。
ジオンマーズはレジオンとの戦争で戦力をすり潰し(ただし火星の都市群アルカディアシティには数億人の住民がいるため、戦力の再編は可能)、
オールズモビル戦役までの30年間を火星潜伏に費やした。
これらを見れば、自ずとジオン残党が減っていっていることが判るはずだ。




追記・修正はジオン残党として活動している人にお願いします。

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最終更新:2024年04月14日 12:37

*1 一年戦争中でもこういった「ジオンの駐留兵に協力する・好意的に接する」や「連邦軍に非協力的な態度を取る」ケースがあったとしている作品もある。ドナヒュー隊長の尽力や規律維持の結果、ジオン兵たちが現地で受け入れられていたことが描写された『コロニーの落ちた地で…』、「ジオンに協力していた以上は(民間人でも)攻撃が許可されているはずだ」というあんまりすぎるセリフや街への発砲描写がある『アッガイ北米横断2250マイル』など

*2 例えば逃げ延びた残党軍が立ち上げたのが組織としてのルーツのハマーン期ネオ・ジオン。グリプス戦役への介入や第一次ネオ・ジオン抗争勃発はもちろん、彼らが割とうまくいったのが「ダイクンの遺児たるシャアによる旗揚げ」、つまり第二次ネオ・ジオン戦争の遠因にもなったと言える。ちなみに思想的にはともかく「単なる前歴」としてならばエゥーゴにも残党軍出身者はいたようだ

*3 一応0120年代には地球連邦側も「特命のない限り、抵抗しない残党に限って戦争は終結したことを伝え保護して、残党狩りは禁止」と規則を設けることで「残党軍関係の紛争・テロを抑止する」方針を取っているが、この時期を残党軍ありで扱った作品は「残党勢力殲滅の特命を出さざるを得なくなった」『F90』、「無視して自分がヒャッハーするためだけに残党狩りしてた危険人物がラスボス格」の『シルエットフォーミュラ91』と、ストーリー上このへんを無視した描写をせざるを得なくなっている。一応後者にはこの話を前提にした「残党たちの住む、寂れたコロニー」が出てきたが

*4 特に連邦海軍は予算獲得のためにハイゴッグのミサイルといった物資を提供するなど、明確に残党を支援していた模様。何せ予算不足のあまり、ラプラス戦争でも一年戦争時代のヒマラヤ級空母やアクア・ジム、水中型ガンダムが現役という有様なので。

*5 ただ連邦がこれらと異なるのは、例え内紛を起こしても連邦という組織そのものを崩壊させることはしなかったことである。『地球連邦』という名前が失われても、親連邦派の勢力を糾合して存続したほど。逆にジオン系組織やコスモバビロニア、ザンスカールなどは、内紛を組織全体を崩壊させるまで行ってしまうのが常であった。

*6 『0083』の出来事が終わってGPシリーズがいなくなり、単なる僻地の基地に戻ったためであろうか

*7 デラーズ紛争のキンバライト鉱山基地の機体がその例。装甲色がちぐはぐになっているのが見受けられる。

*8 カミーユの父親、フランクリン。TV、映画、小説、北爪先生の『Define』すべてで何らかの形で死んでいる

*9 メタい発言になるが、バンダイ側担当者の「なるべくモノアイ機体は『主人公から見て敵』となる勢力に固めてほしい」「カミーユやジュドーの在籍しているエゥーゴでモノアイ機は『1st』から入った子供が混乱するもとになりかねないから避けてほしい」を富野監督たちが受け入れた結果、ジオンの直系たるネオ・ジオンのみならず、連邦軍に属することになるはずのティターンズもモノアイ形式のMSばかり作ったことになったのも大きい。残党軍仕様が出てきたMSだと、マラサイはこの「密約」がなければ最初からエゥーゴの量産機=アンチ連邦勢力の機種という設定で出てきていたとか……。

*10 それもメガ粒子砲が使えるというだけで侮れない存在に

*11 ザクⅠ・スナイパータイプ、ザクキャノン、ガルスK、ドム・トローペン、ドワッジ、ザク・マリナー、カプール

*12 劇中で描写されている限りでは、グレイファントムの残骸や何処かの村、高原等

*13 それも設計図も無しに作り上げた代物。

*14 エゥーゴともジオンとも無関係なテロ組織

*15 『機動戦士ΖガンダムDefine』ではクワトロが正体を公にしようとしなかった理由の一つはエゥーゴがジオン残党と認識されてその理念を理解されなくなる事を恐れたためと説明されている。

*16 NEW SUMMER PROJECT。本来は1960年代のアメリカで起こった公民権運動の一種だが、U.C.0090年代では反連邦運動を行う団体の俗称で、特定の団体を指すものではない。

*17 真の目的は大規模な事件を起こしてシャアの行方から連邦の目を逸らすのことだった。もっとも、そのシャアはコロニー落とし以上のモノを考えていたのだが……

*18 連邦があまりにアレなことをしたため精神崩壊を起こし幼児退行していた

*19 ガンダムブーム自体が初代を頂点に徐々に下降し、ファン層も子供から大人に移り変わったのでその流れで考えると自然ではある

*20 実際にティターンズが敵だった『Z』は味方側が苦戦する場面が多く、操縦技術はシリーズ最高レベルのクワトロことシャアが死にかけたり、性能に関しては相当差があるハイザックが騙し討ちでZガンダムをあと一歩まで追い詰めたり、シリーズ最強クラスのニュータイプのカミーユでも簡単に善戦はしていないなど歴代シリーズでも敵がモブを含めて極めて強い。

*21 連邦軍ですらコロニーの数を正確に把握できていないくらいなので、この「100億人」という数字が正確に集計された上で出されたものかは怪しいところだが。単に「たくさんの人間」を意味するのが「100億」という意味かも。