飛王芳

登録日:2021/08/22 Sun 23:40:27
更新日:2024/04/24 Wed 23:11:30
所要時間:約 5 分で読めます





一曲踊っていただけますか。

マッスルおじさん。



(フェイ)王芳(ワンファン)とは『ケンガンオメガ』の登場人物。

●目次

【プロフィール】

通称:「三鬼拳 蝦蟇」
所属:煉獄
身長:184cm
体重:83kg
年齢:26歳
誕生日:4月1日(たぶん嘘)
好きな食べ物:ピザ
日本で好きな場所:高円寺(古着屋が多いから)


【概要】

拳願会と並ぶ日本最大規模の裏格闘技団体「煉獄」のA級闘士。
煉獄に所属する中国拳法使いのトップ3「三鬼拳(さんきけん)」の一人蝦蟇(がま)で、煉獄には2年前に参戦し、当時三鬼拳だった闘士を倒してその座を奪った。

四川省出身だが、劉東成とは違い、語尾に「~ネ」や「~ヨ」は付けない。
美形であるためか煉獄でも人気は高く、リングに上がった際には黄色い歓声が届いていた。



その正体は「虎の器」本人と思われたが…
ケンガンアシュラ』最終話の香港にてエドワード・呉夏忌と密会していたフード男の正体でもある。


【人物】

表向きの物腰は多少軽めであり、人格も比較的常人寄り。
比較的ノリの軽く飄々としたマイペースな性格で、似た者同士である劉とニコラ・レ・バンナとつるんでおり、お互いを「ちゃん」付けで呼び合っている。

一方で死に対する割り切り方はシビアであり冷静。
ナイダン・ムンフバトの死に対しても、臥王龍鬼との仕合の顛末に対しては苦々しい表情を浮かべていたが、割り切りも早く、ニコラほど極端に割り切るのはどうかとしつつも、「死んじまったもんはどうしようもねえって」と語っていた。
シビアな考え方を見せつつも、闘士としてリング禍のリスクは覚悟しているが、自身はあくまでスポーツマンであるという考えから、「殺し合いは割りに合わない」と公言している。

本性である「虎の器」の素顔を見せた後でも戯けたような飄々とした普段の態度は変わらないが、自身の強さへの自負からやや不遜な態度が目立つようになっている。
とはいえ呂天のような極端な性格の変化は見受けられず、ナイダン同様裏も表も対して趣向や性格は変わらない様子。
…しかし交流した「煉獄」の連中たちの事は何とも思っていなかった。

また真意は不明だが自身が「虎の器」、「二虎流」の後継者となることを望んでいる。


【戦闘スタイル】

表向きの流派


太極拳なんて、ただの健康体操だと思ってるだろ?

そういう認識は、今日で改めて欲しいね。


流派は壬氏(ジンし)太極拳」
太極拳の中ではあまり知られていない流派で、加納も認知していなかった。
しかし、並の相手なら一撃で倒せる威力を持つ若槻の左鈎突きをガードし、攻撃に逆らわずに後方に吹き飛ばされることで威力を分散させているほどの技術がある。
ただし若槻と対戦経験を持つユリウス・ラインホルトからは、「あの程度の力量、若槻には遠く及ばん」との評価を受けている。

しかし飛はあらゆる格闘技・武術の使い手が集まる裏格闘技に参戦するにあたり太極拳以外にも柔術やキックボクシング、MMA*1などの現代格闘技も習得しているトータルファイターである。
このため、東洋武術の「理合」と西洋武術の「合理性」を併せ持ち、不意打ちに近い形とはいえ若槻の攻撃を躱すと見せかけて一本背負いからの蹴りをくりだすなど、比較的隙のない試合運びができる。
ただし、メデルがこれらを「隠し玉」と呼んでいたことから、普段の煉獄の試合では全く使用していなかったものと思われる。


真の流派


お前がこれまでに見た二虎流、全部忘れていいぞ。

これが本物だ。


真の流派は二虎流
「虎の器」だけあり若槻の正拳を「操流ノ型・柳」でいとも容易く受け流すほどの技量を持つ。
王馬が操流の扱いに長けていたのに対し、飛は水天ノ型の扱いに卓越している。若槻の打撃を受けても軽度のダメージだったのは、太極拳ではなく水天ノ型の利用によるもの。ひいては操流ノ型と水天ノ型の連繋にも長けている。
二虎流を解禁したときの実力は、「これほど強かったでござるか!」と驚愕し、劉が嫌な予感を覚えるほど。

またかつては東洋電力会長の私兵部隊「守護者」屈指の実力者で「」内部の「二虎一派」の一人でもある(ロン) (ミン)と拮抗する実力だったが、龍が守護者として活動している間に引き離し、そのまま神魔によって抹殺した。

  • 操流ノ型「(やなぎ)
  • 火天ノ型「火走(ひばしり)
  • 金剛・火天ノ型「瞬鉄(しゅんてつ)(さい)」、「瞬鉄(しゅんてつ)(ばく)
旧来の二虎流の技。

  • 金剛ノ型「鉄砕(てっさい)(つらね)
鉄砕で固めた拳によって高速かつ連続で相手の顔面を殴り付ける。

  • 金剛ノ型「飛斧脚(ひぶきゃく)
敵の頭部目掛けて放つ、敵の首から上を刈り取るかの如き強烈な飛び蹴り。
「火走」による高速移動から奇襲のように瞬時に繰り出せる技。

  • 水天ノ型「舞蛇(まいへび)
蛇やアイススケート選手を彷彿とさせる柔軟な身の逸らしにより相手の攻撃を回避する。

  • 操流・水天ノ型「縛鬼(ばくき)
相手の力の流れを操作して受け流しながら、瞬時に四肢で絡みつき相手の両腕を押さえ込み封じつつ首を絞め上げる。
空中に浮かされても問題なく使用可能。

  • 火・水天ノ型「絶壊(ぜっかい)
強烈な踏み込みで近づき、円を描くような両手を合わせた掌打を叩き込み吹き飛ばす。
似たモーションで言えばかめはめ波。

  • 二虎流第参奥義「神魔(しんま)
もう一人の二虎が新たに開発した新奥義。
肉体が呉一族の外しに似たような状態に変化するが、実態は憑神と降魔の併用。
異常加速した心音は最早簡単に聞き取れないレベルであり、強化の度合いは呉一族の秘技「外し」を瞬間的に凌駕。驚異的反応速度に加えて超人体質の異常筋力に匹敵するパワーを得る。
また常人の数十倍を刻む鼓動によって発生する数十倍の速さの血液循環速度を応用し、傷口から血を弾丸のように飛ばして牽制する小技も使えるようにもなった。

憑神の欠点だった「一部の技の使用不可」が解消されており、降魔の恩恵で反応速度の大幅な強化ももたらされた2大奥義のいいとこ取りと言える効果を持つ。
しかし心臓と脳への負荷は憑神と降魔以上となり「外し」をも上回る負荷が生じるようになった文字通り禁断の技。
使い手の飛自身「これ以上は戻れなくなる」として安易な出力上昇は慎重な態度取っている。

「もう一人の十鬼蛇ニ虎」の弟子4000人の中で、飛のみがこの領域にたどり着いた。

【作中での活躍】

対抗戦では第12試合で若槻武士と戦う。
一進一退の攻防が続く中、神殺トームのモニタールームが何者かに襲撃を受け制圧されてしまう。




大詰めだ(・・・・)
始めようぜ(・・・・・)




その人物は「蟲」のメンバーにしてかつて加納アギト呂天を弟子とし、桐生刹那に「二虎流」を教え、約12年前に十鬼蛇王馬の師匠と戦い死亡したと思われていたもう一人の十鬼蛇二虎」本人であった。


遊びは、もう十分だろう?
開放しろ

モニターをジャックした二虎がそう会場に映像を流して語りかけると、飛は突然意味の無い鶴の構えを取り出す。
そんなふざけた行いにキレた若槻は正拳を打ち込むも、飛の「二虎流操流ノ型・柳」で躱されると同時に投げられ逆に抑え込まれてしまう

そして……

俺の二虎流(・・・)だよ。

「虎の器」は、俺だ。

本性を現した後、飛は二虎流をフル活用。「火走」との合わせ技で、序盤とは打って変わって一方的に若槻を攻めた。

そして、「瞬鉄・爆」で若槻を場外へ押し出そうとしたが、逆に投げられそうになる。「柳」で引き離そうとするも若槻の秘策で押さえ込まれ、そのまま左脇腹に執拗なまでの膝蹴りを喰らった。
しばらく喰らい続けた後に再び「柳」で引き離すが、このダメージはさすがに堪えた。

そして、身体能力のぶつかり合いを望む若槻は、「前借り」*2の使用を勧めた。
その要求にこたえ、「憑神」の上位互換となる二虎流第参奥義「神魔」を発動した。

抗えよ、人間。

そして飛躍的に上昇した筋力で100キロ近く体重の差がある若槻をたやすくリング外近くまで吹っ飛ばした。
若槻は、持ち技「爆芯」で持ち直しを図ろうとする。
飛はそれを察知し、循環速度による血の弾丸でけん制。「爆芯」を打つタイミングを潰した。

その後も「神魔」の力で若槻を圧倒。端から見ていた登場直後に「君は、「王馬君と僕の子供」だね。」と気色悪い発言をした桐生刹那は、飛を酷く歪で、哀れと評した。

何度攻撃を受けても立ち上がる若槻を心中でRPGのHPが高くて硬いウゼー敵と蔑みながら、彼を警戒し確実に削ることを画策した。
師の気紛れで憑神を貰った、お前とは違うんだよ。
俺が「次の虎」だ。
心中でそう語りながら若槻を痛めつけ、王馬に自身の力を見せつけた。

負担軽減のため、若槻がよろけたタイミングで「神魔」を一瞬だけ解除した。しかし解除の瞬間を若槻に見抜かれ、距離を詰められ、「刻み突き」で攻められた。
「瞬鉄・砕」で動きを潰そうとするも、若槻の方が動きが早く、「爆芯」がヒット。
「舞蛇」でやり過ごすも、完全にはよけきれず吐血した。

再び「神魔」を発動し、怒涛のラッシュで完膚なきまでに打ちのめした。
それでも若槻は諦めずに組み付いた。

若槻にしつこく組み付かれながら、飛は、ニ虎から課せられた「試練」を思い返した。

最後の試練だ。
拳願会のトップを一人とってこい(・・・・・)
ただし、十鬼蛇王馬以外(・・・・・・・)だ。
他は、殺して構わねえ。
お前が、「虎の器」に相応しいと示してみろ。

「十鬼蛇王馬」にこだわる二虎に見せつけるように、飛は「神魔」を全開放した。

俺を見ろよ(・・・・・)、二虎。

勢いで若槻の組み付きを解き、「爆芯」をかわしながら一撃を打ち込み吹っ飛ばした。

そして・・・

………
……ああ、そう。

俺じゃ(・・・)なかったのか(・・・・・・)

そう呟き、全身から血を吹き出しながら、倒れた。

試合の結果はダブルノックダウンの判定となり、引き分けになった。
そして飛の方は、「神魔」を長時間使ったせいで、あと数分で死に至る状態にまで追い込まれていた。

試合終了後、すぐに煉獄のスタッフ達が駆けつけ、そこに劉とメデルも駆けつけた。
飛を診察したスタッフの一人は、劉とメデルに、彼に残された時間があまりないことを伝え、親族と連絡をとれるか確認した。

それを聞いたメデルは、飛から遺言と親しい者の名を聞こうとした。
本性を知って尚、彼の為にメッセンジャーの役を買って出たのだった。
メデルは飛に、神に誓って必ず伝えると約束した。


【余談】

  • 伏線
実は作中で正体が判明する以前より、一部の読者からは「虎の器」ではないのかと囁かれており、その推測が的中した形となった。
呂天やニコラ、など二虎の弟子だったり素性がよくわからない怪しい人物たちの正体が明かされる前の段階からこのような推測が出ていたのは、以下の要素が原因である。
  • 煉獄に参加したのが2年前拳願絶命トーナメントとほぼ同時期)。
  • これまで「虎の器」とされる人物やその関係者には皆名前に将棋の駒の名称(王将+その他の駒)が使われている
該当者 駒の名称
十鬼蛇王馬 王(王将) + 馬(竜馬=角行の裏。桂馬を馬と略すことは無いため。)
臥王鵡角 王(王将) + 角(角行)
臥王龍鬼 王(王将) + 龍(竜王=飛車の裏)
飛王芳 王(王将) + 飛(飛車)

また、ナイダンや呂天が立て続けに奇妙な行動をとったことで煉獄メンバーが拳願会側に説明を求め、山下一夫が「」について説明した際、山下は拳願会の弱みを見せない為に「『蟲』は整形手術を利用して特定の人物と入れ替わる形で成りすます手口を常用すること」「拳願会はその手口で潜入した輩に侵食されていること」については伏せていた。

だが、飛は「『蟲』の組織名だけなら聞き覚えはある」と言った直後に「(成りすましは『蟲』の常套手段だから)ナイダンや呂は偽物だったのか……」と、『蟲』について熟知している者のみが出来る矛盾した発言をしていた*4
これについては王馬も即座に違和感を覚えており、この時点で飛の不審さを匂わせていた。

  • 初登場
上記の通り『ケンガンアシュラ』最終話に登場したフード男の正体でもあるため、煉獄側の対抗戦メンバーの中では最も早く登場していたことになるが、単行本13巻でのキャラ紹介によると実は『ケンガンアシュラ』初期段階ではユリウス・ラインホルトに代わり絶命トーナメントに出場する予定だったことが判明した。

トーナメント1回戦終了後に滅堂が提示した闘技者交代権は作中で一度も使われることはなかったが*5、当初の展開では「蟲」が同盟を結んでいた東洋電力に助力する形で介入し、2回戦第三仕合で東洋電力が交代権を使用してユリウスに代わり飛が若槻と戦う予定だったとのこと。
結局都合により展開が変わったため交代権は作中で一度も使われなかったが、当初の飛vs若槻のネームの一部は「ケンガンオメガ」での煉獄との対抗戦で一部再利用されているとのこと。





追記・修正は「虎の器」になってからお願いします。

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最終更新:2024年04月24日 23:11

*1 総合格闘技

*2 若槻は「前借り」と言う技の本当の名前が「憑神」ということを知らない

*3 飛が「蟲」の一員である事から、不意打ちの類を警戒したため

*4 拳願会の幹部である山下も、「他所の地下格闘団体の拠点はどこそこにあるらしい」という伝聞程度の情報しか知らなかったり、招待されるまで煉獄の試合観戦すらしたことが無かったりと、各地下格闘団体は基本的に一定の距離を取っている。そのため、正体を秘匿する「蟲」の各地下格闘団体での暗躍振りについては、実際に潜入され被害を被った団体の最高幹部か当の「蟲」構成員以外は知る由は無い

*5 2回戦第四仕合でガンダイが権利を使用しているが、そもそも関林とマーヴェラス・セキは同一人物で闘技者が入れ替わっているわけではないため、権利は使われていないこととなる。