黒い三連星

登録日:2022/06/20 Mon 17:48:05
更新日:2024/04/20 Sat 01:05:54
所要時間:約 26 分で読めます






ガイア、オルテガ、マッシュ、ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!!

↑最初のお前誰だよ。




(くろ)三連星(さんれんせい)とは、宇宙世紀ガンダムシリーズにて登場したガイア、オルテガ、マッシュの三人の腕利きパイロット達により構成された三人一組のユニット名。
ちなみに本編では基本的に“三連星”とのみ呼ばれている。

◇目次

【概要】

機動戦士ガンダム』にて登場したジオン公国軍を代表するエースパイロットチームであり、実はファースト劇中ではたったの2話*1しか登場していなかったのにもかかわらず、
  • 一度聞いただけで覚えてしまえる必殺コンビネーション「ジェットストリームアタック」
  • 彼等が搭乗する形で初めて劇中にお目見えした重MSドム
のインパクトだけで“黒い三連星”の名を瞬く間に刻み付けた。

なお、上記の様に本編での活躍自体は案外と短かく、連邦軍のトップであるレビル将軍より「ルウム戦役で私を捕虜にした戦士たちだ…手強いぞぉこれは」……と言われた事位しかバックボーンとなる情報も明かされていなかった。
しかし、本放送終盤からの番組人気の盛り上がりと共に急速に『機動戦士ガンダム』の世界観が補完されると共に裏設定が広がりを見せていく中で“黒い三連星”に纏わる情報と設定も厚みも増していった。

現在では、一年戦争当時のエースパイロットの一翼を担う存在*2として“黒い三連星”の名はガンダム史に燦然と輝くものとなっており『ガンダム』を代表する話題、定番ネタの一つとしてシリーズは勿論、その枠を越えてオマージュやらモチーフとした例が作られ続けている。もちろんジェットストリームアタック付きで。



【一年戦争開始前~開始後】

“黒い三連星”こと制式名称「ジオン公国軍突撃機動軍第7師団第1MS大隊司令部付特務小隊」は、突撃機動軍司令キシリア・ザビ少将旗下の特務部隊である。
……尤も、一般的な小隊以下の士官とはいえ叩き上げの三匹のオッサンで完結した部隊*3というのは宇宙世紀でも前代未聞であると思われる。
その実態も当人達の意志を強く反映させつつ特例で存在が許されている独立愚連隊に近い部隊であり、スタッフ間でもそういう認識がされていたのか後の『THE ORIGIN』ではランバ・ラル「兵隊やくざ」と呼ばれる場面がある。

その出鱈目な成り立ちは一年戦争以前の訓練生時代から始まっていたようで、メンバーであるガイア、オルテガ、マッシュは以前はジオン公国軍教導機動大隊第2中隊D小隊に籍を置き、他の隊員達と共にザクⅠでの訓練に励んでいた。
この当時から圧倒的な操縦技術×3を見せつけていた三人は、更に三位一体のチームユニットとしても無類の強さまで発揮した。
この、有無を言わさぬ成果には同僚は勿論、上官すらも何の文句も言えなかったのか、三人は既に隊内にて優遇された扱いを受けていたという。

これだけ優秀となれば、当然のように各々に人を率いることを期待する方向に進んだのか、一年戦争の開戦前までには幾度かの“三連星”メンバーの入れ替えがあったようなのだが、
……結局は何よりも当人達の意志が反映されたのだろう、0079年1月の一年戦争開戦~ルウム戦役開始までには本来のガイア、オルテガ、マッシュによる無敵のトリオにチームが固定されると共に独立愚連隊が実戦投入されることになったようである。

ルウム戦役での三人は他の兵士と同様にザクⅡC型に搭乗。*4
最大の功績となったのが、後に本編登場回にて当事者であるレビル将軍自身から語られたマゼラン級アナンケを撃沈してレビル将軍を捕虜としたことであり、この時に後に自ら“ジェットストリームアタック”と称した三位一体のコンビネーションを披露したとされる。
前述の通り“三連星”はルウム戦役ではアナンケの他にも多数の連邦艦船を撃沈しており、これ等の功績から以降は中隊長機として新開発されたザクⅡS型が各々に与えられることになった。
上述の通り、彼等のザクⅡC型が一般機だったのか既にカスタマイズされていたのかについては意見が分かれる所であるが、所謂“黒い三連星”のパーソナルカラーが反映されるようになったのはザクⅡS型に乗ってからとされる場合もある。
そして、ここまでの情報とは反対にここで彼等が専用の黒いザクⅡS型に乗り込んだこと、若しくは三人が揃いの黒いパイロットスーツに身を包むようになったことが“黒い三連星”と呼ばれるきっかけであったとされている場合もある。(この場合はルウム戦役時点までは呼び名が無かったことに。ややこしいね。)

こうして三人揃って角付きの隊長専用機であるザクⅡS型を 与えられた“三連星”は名実共にジオンを代表するエースパイロット“チーム”となり宇宙で活躍。
……しかし、余りのハッスルぶりでも祟ったのか3月には搭乗していたザクⅡS型がオーバーホールに出されることになり、休暇も兼ねたのか1週間の後方勤務を命じられると共に古巣である教導機動大隊第2中隊D小隊の特別演習に参加することとなり、ここで後進に指導を行ったらしい。
因みに、この際に三人の実戦での活躍を称えて、彼等が使用 していたザクⅠが“黒い三連星”パーソナルカラーに塗り替えられると共に教官機として用意された。*5

この特別演習の後に前線への復帰となった訳なのだが、追い詰められながらも連邦軍の抵抗も激しくなっていたのか(秘かにV作戦が開始された時期でもある。)オーバーホールに入っていたS型ではなく、更なる新型である高機動型ザクⅡを与えられている。

……この時期までの活躍は『機動戦士ガンダム』の本編から外れた部分であるので詳細は不明なものの、同年11月にキシリア直々の命を受けてV作戦の成果である連邦の新型MS部隊を擁する新造戦艦“木馬”ことホワイトベースが支配地を侵攻していた都合で、オデッサ基地を預かるマ・クベの支援の為に地球へと降下させられることになる。
この時にナレーションで“直属の勇士達”とまで言われているので、突撃機動軍内では文句無しのエースとして信頼を勝ち得ていたことがうかがえる。
捕捉すれば、キシリア自身も第21話にて連邦の“白い奴”ことガンダムのザクを遥かに越える性能の片鱗を目の当たりにしているので、支援の方法が限られている中で出来る限りの手を打つとなれば最精鋭の“三連星”を送ってやることが、側近であり自身の地位の生命線を守るマ・クベへの報いであったのだろう。


【本編での活躍】

こうして、地上降下と共に新配備の重MSドムを与えられた“三連星”は本編での戦いへと突入。
主要任務は“木馬”ことホワイトベース隊を落とすことだが、首尾よく行っていた場合にはオデッサでの戦いでの主力も担う筈だったようなのだが、この目論見は後述のように瓦解している。

……余談なのだが、この“三連星”登場回のサブタイトルである第24話『迫撃!トリプル・ドム』の語呂の良さ 合間ってか、ドムが紹介される際には三機編成、名称も“トリプル・ドム”となっていることも少なくない。*6
……というか、メタいことを言えば結果的には後付けによる逆転現象なのだがドムの黒と紫のカラーリングは“黒い三連星”のパーソナルカラーなのに、以降のドム系統が後々まで“三連星カラー”がデフォという、理由付けしようと思えば“黒い三連星”は偉大だった位しか言い様のないことにもなってしまっている。*7

降下後には直々にマ・クベに出迎えられているのだが、台詞でのやり取り(ガイアが一方的に喋っているのに対してマ・クベは一言も発していない。)こそないものの、ここで“三連星”はマ・クベに対して全く階級差を意識していない馴れ馴れしい態度をとっており、マ・クベもマ・クベで無表情で塩対応している様子が描写されていた。*8

宇宙とは勝手の違う重力戦線での戦いとなった訳だが、地上でも“三連星”はドムのホバー走行による高速移動能力を難なく使いこなし自分達の長所を遺憾なく発揮。
その実力は流石に高く、未だに練度の足りないホワイトベース隊はこの時点でのフルメンバーで出撃していたものの散々に翻弄され、アムロのガンダムのみが何とか食らいついていくという状況に。*9

今回はGアーマーで出撃していた都合で、射撃武器を持っていないアムロもドムの高速機動には手を焼かされていたのだが、この頃より他者にも解る形で片鱗を見せ始めていたアムロの異常な知覚能力がまたもや実戦の中で発揮されており、手強いことを認めたガイアはオルテガとマッシュに呼び掛けて一気に仕留めるべく“ジェットストリームアタック”を仕掛けたのだが、この必殺のコンビネーションをも予知めいた洞察力でアムロは避けることに成功する。
完璧ともいえるコンビネーションをかわされたものの手応えを感じた“三連星”は続けて“ジェットストリームアタック”へ。
続いての攻撃では開幕の目眩ましにより視界を奪われてしまったものの、本能的に上方向に回避したアムロに対しマッシュ機が今度は縦方向の死角から攻撃。
しかし、それにも対応して有名な「俺を踏み台にしたぁ!?」で、ガイア機を足場に更に上に上がったアムロは攻撃を回避しつつ、序でにマッシュ機のどてっ腹にビームサーベルを叩き込む。
しかし、この動きにも対応して更に上方向からガンダムに攻撃を仕掛けようしたオルテガ機であったが、そこにホワイトベースのピンチを見かねて発進していたマチルダの乗ったミデアが間に入りこれを阻止する。
……もしかしたらアムロならオルテガ機の攻撃をも避けていたかもしれないのだが、何れにせよこれで危機は脱せた……ものの、怒りのオルテガはミデアのコックピットにダブルハンマーを振り下ろして破壊。
その間にアムロもマッシュ機を股下まで切り裂いて撃破。
マチルダが戦死する一方でマッシュを失ったガイアとオルテガも撤退し、初戦はお互いに痛み分けとなったのであった。


……こうして、マッシュを失ったことで怒りと闘志を燃やすガイアとオルテガは同志の死を悼むと共にプライドを賭けての復讐を決意。
連邦の大反抗作戦であるオデッサ作戦の決行を目前に控えている前線指揮官のマ・クベは指示に従わない二人に苛立ちを隠せない様子であったが、何れにせよホワイトベースを落とすことでは目的が一致している“二連星”は出撃。

レビル将軍はホワイトベースを前線とは逆方向からオデッサに向かわせる指令を出していたのだが、内通者であるエルラン中将から内容を聞いていたマ・クベはホワイトベースの位置情報を把握しており、これにより仇討ちに燃えるガイアとオルテガの強襲を受けることになったのである。

一方、このタイミングでアムロは前回の戦いで操縦に不馴れだったことで戦場で役に立てなかったことを悔やんでいたセイラに頼まれる形で哨戒ついでのGアーマーの訓練に付き合っていた
だが*10、その途中でジオンの前線基地から連邦軍のドラゴンフライが発艦したのを目撃する。
生前のマチルダの証言にもあった連邦のスパイの話が現実味を帯びてきたとして、二人は帰還命令を先延ばしにしてブライトの了承を得る形で追跡。
エルラン中将のビッグトレーへ帰還したのを確認すると強制的に着艦し、警戒に出てきたクルー達に事情を説明すると共に協力して一芝居を打ち、エルラン中将の裏切りを白日の下に晒したのだった。

一方、ホワイトベースはガイアとオルテガの猛攻の前にピンチを迎えていた。
手練れの兵士の操る最新鋭MSという組み合わせはたった2機でも驚異的であり、ハヤトガンタンクでは力不足、成長途中のカイガンキャノンでも詰めの甘さが露呈しそれぞれに中破させられてしまっていた。
“二連星”としても本命は自分達の仇であるガンダムであったので、炙り出すのを目的にしていた所でGアーマーが帰還。
前回の戦いでも(中から出てくるというビックリドッキリメカニックには気づいていなかったものの)Gアーマーの登場直後にガンダムが現れたことから改めての戦闘準備に入る。

アムロとしてもドムの性能の高さを理解していたので直ぐにドッキングを解くとガンダム単体で戦場へ、直後にGファイターが攻撃をも受けて前方(GメカAパーツ)を小破してセイラが帰還するも、ここで今度はハヤトがコアファイターにGメカBパーツを組み合わせたGスカイ・イージーで出撃して、ガンダムの足場になることで応戦していくことに。
燃えるシチュエーションなのだが難しい構図を要求されることもあってか、作画では縮尺が狂ってたり作画自体が崩壊してたりと当時のアニメーターの苦労がうかがえる残念な出来なことでも有名。

この戦法は見事にハマり、先ずはオルテガ機をすれ違い様に撃破。
たった一人残されたガイア機はしつこく食い下がるものの、この間にオデッサの戦い自体はエルラン中将の裏切りを見越して引いていた陣形を逆に利用されたことと、想定していた“三連星”の活躍が結果的に潰されることになったことでジオンの圧倒的大敗も間近となっていた。

しかし、ここで司令官マ・クベは水爆の発射をちらつかせて連邦軍を恫喝。
一方、ガイアに食い下がられながらも少しずつ前進はしていたホワイトベース隊の動きを視野に入れていたレビル将軍は恫喝に対して何の反応も示さない一方で、秘密裏にホワイトベースに使用されるであろう水爆ミサイルの構造データを流し破壊を依頼。

こうして、戦闘中なんだぞ無理言うなという状況に追い込まれたものの、無理でもやらなきゃ俺達も死ぬんだとブライトに発破をかけられたアムロ&ハヤトはヤケクソ気味にガイアを振り切り発射された水爆ミサイルに向かおうとするが、尚もガイアは邪魔しにかかりミサイルに追い付く所かGスカイ・イージーからガンダムを叩き落とし、反対にヒート剣で止めを刺しにかかる。
……しかし、絶好のチャンスながら不安定な体勢ではさしものガイアにも隙が出来ていたのか、アムロはカウンターでビームサーベルを突き刺すことに成功。
つづけて、今度こそ全力で水爆ミサイルに追い付くと見事に誘爆ポイントを避けての弾頭破壊に成功し、実質的なジオンの完全敗北が確定すると共に、無念の中でガイア機も爆散し“黒い三連星”の脅威は去ったのであった。


【メンバー】


ガイア


CV 出演作品
政宗一成 TV版,ゲーム『GGENERATION』シリーズ、『スーパーロボット大戦シリーズ
徳丸完 劇場版,特別版,政宗,一条の担当以外のゲーム作品
一条和矢 『THE ORIGIN』、ゲーム『ガンダムジオラマフロント』,『ガンダムバーサス』

“三連星”のリーダー格。
階級は大尉。士官学校出ではない叩き上げの一兵卒ながら、訓練と戦場での活躍のみで士官にまで上り詰めた実力の持ち主。
実際、態度や人柄については野卑という形容がピッタリとくるような髭面の威丈夫なのだが、戦闘、操縦技術は勿論のこと、見た目とは裏腹に非常に優れた観察、戦略眼の持ち主であり、戦闘でも常に自らが先陣を切る形で相手への突破口や対処を見出だし、必要に応じて残りの二人に協力の要請や指示を出していた。
“ジェットストリームアタック”でも常に一番手を担当しており、ガイアの動きを見てから変幻自在に後の二人が続く形で連携が進んでいく。
そうしたポジションにもかかわらず“三連星”の中では最後まで生き残ったどころか、先に散っていったマッシュとオルテガの為に本当にギリギリまで食い下がり、アムロも最後の最後の捨て身の攻撃の隙を突かねば倒せなかった程。
ここから、リーダーらしく実力に於ても間違いなく“三連星”最強であったと思われる。

自分達の能力には絶対的な自信を持ちつつも、相手を舐めてかかるようなこともなく、初めは嘲ったような態度を見せていたとしても相手が相応の実力者と見抜いたのならば即座に対応を転換できる柔軟性も備えている。
事実、当初はホワイトベース隊の体たらくから余裕綽々で居たものの、遅れて登場したアムロinガンダムとの初手のやり取りから「ただ者ではない」と悟った後は瞬時に態度を改め、その後で好きに暴れさせていたマッシュとオルテガを呼んで、直ぐに“ジェットストリームアタック”を指示して本気で叩き潰しにかかっていたことから、チームリーダーとしても非凡な素質の持ち主であったことがうかがえる。

『MS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝』では彼らの内面に少し踏み込んだ描写がなされ、主人公のフレデリック・ブラウンと会話するシーンがあり。
「戦艦を一隻沈めただけ」と謙遜する彼の戦果を「ガーッハッハハ、上等上等!」と褒め称え、当時の最新MSであるドムのコクピットに座らせたり、ブラウンの励ましの言葉に「ありがとよ!兄ちゃん!」と返したりと好漢として書かれている。
それまで黒い三連星と言えば「敵のエースパイロットで若干粗暴だがチームメイト想いでもある」事以外は書かれておらず、そういう意味では彼らの内面に踏み込んだ初めての作品と言えよう

劇場版では秘かに“TV本編より解りやすい演出”を心がけていた都合からか、アムロのニュータイプ能力がTVより早い段階*11で目覚めている都合で、ガイアが“ニュータイプ”の話題を自ら振るという演出になっている。
また、クラウレ・ハモンによる仇討ち特攻と順番が入れ替えられた結果、TV版とは違い一度で“三連星”全員が討ち死にしている。

なお、登場時のマ・クベとのやり取りでシャアの失脚を引き合いに出して自分達の実力を信用しろと言う場面があるためか『THE ORIGIN』ではルウム戦役にて最大の戦果を出したシャアへのライバル意識があったとされている。
また、前述のようにランバ・ラルとも面識があり出自の貧しさや態度からか内心では“兵隊やくざ”等と毒づかれていたようなのだが、士官になった後は互いに優れた兵士として通じ会う部分もあったことがうかがえる描写となっている。

現在までにフルネームが明確になっていない。『MSV』では“A・ガイア”の表記が登場しており、安彦良和の『THE ORIGIN』ではミゲル・ガイアがフルネームであるとされている。
しかし、これが公式での設定になっていくのかは解っていない。


マッシュ


CV 出演作品
永井一郎 TV版,ゲーム『機動戦士ガンダム vs』シリーズ
佐藤正治 ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズ
戸谷公次 ゲーム『機動戦士ガンダム 戦士達の軌跡』,『ガンダムバトルタクティクス』
水鳥鐵夫 ゲーム『機動戦士ガンダム PERFECT ONE YEAR WAR』
土屋トシヒデ 『THE ORIGIN』,ゲーム『ガンダムバーサス』

階級は中尉。
顔つき自体は“三連星”の中では最もツルンとした印象なのだが、代わりに顔の右側に縦方向に走る大きな向こう傷があり右目が潰れて隻眼となっている。
“ジェットストリームアタック”では常に二番手を担当しており、主にガイアの動きに合わせてフォーメーションの流れを作るのを役目としていた。
ここで、マッシュがガイアに合わせることで更に後に控えるオルテガが二人の動きを更に活かすか、或いは活かしつつも全く別方向からの攻撃に転じるかを選ぶ余裕が生まれるようで“三連星”のコンビネーションの調整役とも評される。
また、劇中で披露された一度目の“ジェットストリームアタック”では三番手のオルテガの攻撃の後に反転しての四番手目の攻撃を見せていたことから、三番手までで仕留めなれなかった場合のフォロー役も担っていた模様。(ここから考えるとバカ正直にガイア機を後追いすると詰みになるのかもしれない。)
一方、本編では前述のように二度目の“ジェットストリームアタック”を防がれる序でに真っ先に倒されてしまっており、振り替えってみても彼だけ顔のカットの挿入がなかったり、そもそも台詞も殆どない……等“三連星”では最も影が薄く目立たないポジションであった。死ぬ予定だったからかな。

こうした状況を鑑みてか『THE ORIGIN』では意図的に出番が増やされていると思われる場面が存在しており、やはりガイアやオルテガに負けず劣らずの荒くれもの気質の剛の者だというのが解る。


オルテガ


CV 出演作品
二又一成 TV版,松本が担当していないゲーム版
仲木隆司 劇場版
松本大 特別版,ゲーム『機動戦士ガンダム 一年戦争』,『ガンダム無双』,『GGENERATION』シリーズ(『WORLD』以降)
松田健一郎 『THE ORIGIN』,ゲーム『ガンダムバーサス』

階級は中尉。
“三連星”では一番の巨漢で顔つきも魁偉そのもの。
見た目通りに粗暴な態度だが実際のMSの操縦技術や状況判断能力は非凡かつ繊細で、必殺の“ジェットストリームアタック”でもトドメとなる三番手を担当している。
先の二人の行動を受けた上で、更に大胆かつ時には予想外の方向からの攻撃を加えるのが特徴で、コンビネーションの流れ的にもオルテガが順番通りに〆を担当するパターンが多いのだと思われる。
特に印象的なのが二度目の“ジェットストリームアタック”で、ガイアの目眩ましを避けたガンダム(アムロ)が背後から攻撃してきたマッシュを避けるべくガイア機を踏み台にした時で、この時にそれをも見越して更に高い位置からオルテガ機が潰しにいっている辺り、ほんの一瞬で予想外の動きをしたアムロの動きにすら対応していたことが見てとれる。
結局、アムロを助けるべく強引に割り込んできたマチルダのミデアに間に入り込まれて阻まれたものの、この時にも僅かな時間で報復として的確にコクピットを破壊しており、異常ともいえるレベルの判断能力の持ち主であることがうかがえる。

TV本編ではマッシュを失った翌日にガイアと共に報復戦に。
憎きアムロinガンダムを狙うが、セイラのGファイターと交代したハヤトのGスカイ・イージーの機動力を借りたガンダムとの交錯に破れて一瞬速く胴体を両断されて果てた。

劇場版では一度で“三連星”全員が討ち死にした都合からか、セイラの乗るコアブースターに撃墜されてしまう。

『THE ORIGIN』ではガイア達と同様にシャアに対抗意識を持っている描写がある他、ややコミカルな所もある人物として描かれている。


【ジェットストリームアタック】

“三連星”必殺のコンビネーションにして代名詞で、相手の射線上に一直線に重なって並び、高速で接近すると共に一機の姿しか見せない状態から繰り出される三位一体の連続攻撃である。
MSの高速機動を活かした戦術として“三連星”自身が開発したものらしく、前述の通りルウム戦役の時に初披露され、見事に成果を挙げるとともに以降も必殺のパターンとなったらしい。

並びは基本的にはというか恐らくはガイア→マッシュ→オルテガの順で固定されているらしく、基本型は連続で同じ箇所に攻撃していくことで崩しからトドメまでを一気呵成に行う……というものらしいのだが、実際には状況に応じて臨機応変に変化している。
勘違いされがちだが、本編の時点でも一度目と二度目の攻撃パターンが違っており、アムロが対応して回避出来たのは奇跡的なもの(パターンを読まれたとかそういうのではない)であり、つくづくアムロが異常なのと、マチルダの尊い犠牲があればこそ生還できたのだ。

上記のように元々は宇宙空間での戦闘用に開発したものなので地上では再現が難しいと思われるのだが、ドムの高速機動能力(ホバー機能)が地上での再現をかなえる形となったようだ。


なお、これも勘違いされがちだがガイアが“ジェットストリームアタック”を仕掛ける時にオルテガとマッシュに声をかけていたというのも厳密には間違いで、実際には仕掛けるのを伝える準備段階の際に「オルテガ、マッシュ…ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ」と言ったのみで、実際に仕掛ける場面では連携の為の合図などは出さずに各々が各々のタイミングで必殺のコンビネーションを繰り出しているという神業的な動きを見せているのだ。

……こうした詳細までの検証をしてみるとMSの戦術理論としてはかなり完成度が高く、後の時代まで取り入れられると共に再現に挑んだ…とする描写がされることもあるのも当然と言える。
また、上述の“三連星”達がナチュラルに見せていた神業的な連携について、劇場版以降も含むデータではフラナガン機関より「ニュータイプの素養あり」との調査結果が出されているともされている。
もし、オデッサ作戦前に壊滅していなければ、ジオン初のニュータイプどころかニュータイプ部隊は彼等になっていた……のかもしれない。


【ゲームでの活躍】

旧シリーズから度々登場し、ジェットストリームアタックが合体攻撃になったりと優遇されている。
ただし参戦作品の都合上ドムでは性能不足のため、後半は基本的にドライセンに乗っている。
他にも気の迷いかケンプファーやリック・ディアス(黒)、ヤクト・ドーガに乗ることもあるが、α以降はほぼ一貫してドム系を駆っている。
ちなみにドライセンでもジェットストリームアタックを仕掛けてくるのだが、その為に整備に無理を言ってジャイアントバズとヒートソードをつけて貰ってるらしい。
「無理を言った以上はデータをしっかりと取らなければ」と仲間思いな一面を見せる事もある。
とはいえシナリオ的には基本的に敵としての登場である上にマチルダさんとの絡みもなく、一度ジェットストリームアタックをイベントでやった以降はステージ中のちょっと強い雑魚みたいな扱いとなる。
…なのだが『スーパーロボット大戦EX』ではなんとリューネの章で仲間になる。とはいえ利害の一致以上の関係は無く余り絡まないが…。
またその『EX』ではオルテガがドムに文句をつけるという迷シーンもあるが、これは当時のスパロボには敵側に機体改造が施されていなかったが故のメタ発言でもあり、続く『第4次』では機体を改造されたドムに乗り、そのことについて言及する台詞も出てきている。
また『第2次』ではオルテガ、マッシュが死亡し、一人残ったガイアが弔い合戦に挑むというシーンもあるのだが、第3次以降は何事もなかったかのように生き返っている
なおその関係で黒い三連星が1ステージで3人揃わないのは『第2次』のみで、リメイクである『第2次G』では後と矛盾するためか生存する。
ちなみにマッシュは前述の通り悲鳴くらいしか台詞がない為かスパロボでは独自のキャスティングが成されている。
キャラクター辞典でも「原作と声優が違う」とわざわざ表記されておりシリーズ初の代役となっている。

その他、黒い三連星が登場しない『T』や『30』でも、ジオン系敵勢力のMSが往年のジェットストリームアタックを再現して自軍に挑んでくるイベントが存在する。

  • 機動戦士ガンダム 連邦vsジオン
一年戦争を無名兵士の立場で体験していくミッションモードをジオン側でプレイすると、マッシュのポジションでガイアとオルテガと組んで出撃するミッションがある。
敵を撃破していく中で途中から作品同様に強いアムロが参戦。一定時間経過で離脱していくが、自分が生き残るだけならまだしも3人で生き残るのは相当難しい。
ちなみに地球連邦側でプレイすると三連星と戦うアムロの救援として駆けつけるミッションがあるが、こちらはマチルダが戦死する場面から始まる。

プレイヤーはガイアが使用でき、全ミッションでマッシュとオルテガがお供を務めてくれるため、ゲーム中では「黒い三連星編」として表記されている。基本的にいずれかが撃墜されると作戦失敗になる点に注意。
もちろんジェットストリームアタックも使用可能。特定のコマンドを入力するといつものセリフの後にマッシュとオルテガが後ろにぴったり重なるよう追従し、3機でターゲットを同時攻撃する。「援護」コマンドよりも高速で移動できるが、基本的に支援要請を一切無視してしまうので注意。戦闘時は解除した方が効率的に攻撃してくれる。
この関係上、2人とも撃墜された場合を除いてガイアはタックルができない(敵のガイアは使ってくる)。
それぞれの搭乗機は不問で、ザク・ドム・ゲルググといった混成機体群でも問題なく使用できるが、1人でも三連星専用機以外に乗っている場合は発動できない。

ミッションはルウム戦役に始まり、WB隊との決戦に勝利して以降はなんと『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』に登場した闇夜のフェンリル隊のニッキ・シャルロッテ・レンチェフ・マニングと共闘するIFシナリオが展開される。

上記のようにIF展開とステージの多さはさることながら、三連星専用機は操作できるザクIIS型→ドム→高機動ゲルググに加えて旧ザク・高機動ザク・ゲームオリジナルの専用リックドムと合計6種7機という破格の待遇であり、大いに優遇されている作品であると言える。

初代から皆勤賞。そして逆シャア世代まで扱うアクシズの脅威でもギレン率いるジオン公国でも選択肢を間違わなければ最後まで使用できるし、外伝シナリオのキシリア率いる正統ジオンではホワイトベース隊と交戦させなかったためか最初から最後まで使用できる。

専用のカラーリングを持っているため、一年戦争では旧ザク高機動型ザクⅡ・ドム・高機動型ゲルググ・高機動型ギャンと多岐にわたる。
但しアクシズの脅威以降のナンバリングでもラルやガトーやライデンやマツナガと同じくグリプス戦役以降のMSの専用機は出ていない。

リーダー格のガイアはランバ・ラルには指揮能力で一歩譲るも戦闘力ではほぼ互角なOT最強クラスのエースパイロット。戦果を挙げさせて少佐以上に昇格させれば部隊の指揮もこなしてくれる。マッシュも指揮系ステータスはガイアより少し劣るもののガイアよりも射撃に優れ格闘も並み以上にあるためやはり戦闘でのポジションは選ばない。オルテガは二人よりも若干ステータスに癖があり、格闘はガイアに並ぶ一方で射撃が二人よりやや劣り耐久は最強クラスな一方で反応はSクラスでも2ケタ届かないなどややポジションや機体を選ぶ傾向にある。

一方でイベント面をに目を向けると、ドムさえあれば勝てるランバ・ラルと違い、黒い三連星では大抵のナンバリングでホワイトベース隊追撃に派遣してもアムロには勝てない。ジオン独立戦争期ではドワッジが開発終了していればイベントで勝利できるが、ドワッジは一年戦争限定のナンバリングだと後半の機体でドムとは開発機関に大きな隔たりがある。キリマンジャロへの侵攻を調整すれば十分間に合うラル隊のドムと比べるとやはり侵攻に多大な影響が出てしまう。
アライメントが気になるし手早く原作通りのジャブロー侵攻作戦をおこして速攻でケリをつけたいというプレイング以外では三連星を犠牲にするのはお勧めできない。黒い三連星のホワイトベース隊追撃派遣はNOを選択するのが無難だろう。

ちなみにドム3機とジェットストリームアタックだけで事足りる為か、ゲームによっては登場がオミットされる事もある。


【余談】

  • “ジェットストリームアタック”ネタの際に項目冒頭のように??「ガイア、オルテガ、マッシュ…」とするのは三人しかいないんだから間違いそりゃそーだ。
    実際には項目内にも書かれている通りガイア「オルテガ、マッシュ…」が正しいし、言ったタイミングも“ジェットストリームアタック”を仕掛ける寸前というのは間違いである。






「ガイア、オルテガ、マッシュ、ジェットストリーム追記修正アタックを仕掛けるぞ!」

↑だからお前誰だよ。

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最終更新:2024年04月20日 01:05

*1 24、25話。しかもフルメンバーで登場出来たのは24話のみ。

*2 結局は後付けなれど、後にルウム戦役当時の“シップスエース(艦隊撃沈数)”のガイドラインでは14隻の連邦艦船を落としているが、三人一組での実績のために個々人では5隻を落とすことが条件の“エースパイロットに届いていない”という設定が付けられていたりもした。…尤も、以降の派生作品では普通にジオンのエースパイロット達の一員として扱われているが。

*3 ただし、地球への降下をザンジバルで行っていることから所謂サポート要員としての整備班や補給班というのは充分に付けられていると思われる。余談ではあるが小説「コロニーの落ちた地で…」では連邦軍のジム3体小隊を動かすにはパイロットを除いて50人程度が必要と説明されている

*4 一般機だったと考えられる説が妥当な気もするが、この時点である程度のカスタマイズをしていた説。既にパーソナルカラーを用いていた説。…もあり。

*5 変な話だが前述の訓練時代から優遇されていた=練習機ですらカスタマイズでもされていたのか彼等が巣立った後も常態保存されていたらしい。

*6 『バンダイのプラモデル』

*7 元々はランバ・ラル専用のように搭乗したグフ同様、初登場以降は再生怪人になったみたいな話である。

*8 ORIGINではマ・クベはキシリアも一目置いて接する中将であったためか、さすがに三人とも荒くれなりに敬意をもって接している。また、ガンダムについて言及したとき「連邦のNTという戯言に惑わされるな」という態度でくぎを刺されガイアも沈黙するなど格の違いが描写されている

*9 カイのガンキャノンはともかく、ハヤトのガンタンクは改修でやっと1人乗りになったばかり、セイラはGアーマーに乗らされていきなり出撃という状況。

*10 この回からセイラが存在感を発揮しだすのとは反対にフラウ・ボゥがセイラの代わりに通信係となると共にアムロとの距離が開いていくというヒロイン交代が進んでいくことに。

*11 実際にはTVでもランバ・ラルとの戦いのあたりから目覚めはじめ、三連星との戦いのあたりで強まってきているのだが全く説明がされていないので気づいていない視聴者が多かった。