エルロイ・ハーウッド

登録日:2022/07/05 (火) 16:17:35
更新日:2024/03/13 Wed 14:48:58
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皆まで言わせんなよ。その方が、“面白そうだから”に決まってるだろうが?



エルロイ・ハーウッドとは、軌跡シリーズの登場人物である。

身長185cm
年齢47歳
所属 身喰らう蛇《ウロボロス》蛇の使徒《アンギス》第四柱
異名 《千の破戒者》《破戒》
CV:黒田崇矢

【概要】

《千の破戒者》の名をもつ結社の使途。
大多数が省略して「破戒」と呼ぶ。また「オッサン」「オジサン」「オヤジ」「破戒のオッサン」と呼ばれる。(それなりに付き合いがあるルクレツィアは旦さん)
一人称は基本的に「俺」だが、人に紹介する時は、自身を指して「オジサン」やら「善良なオジサン()」と言ってたりもする。
ド派手な青いコートを着込み、常に葉巻を愛飲し、顔の左半分は火傷にでもあったかのように灰色に変色している。ワイルドな顔立ちに無精髭を生やしたナイスミドルである。
(どう見てもカタギに見えない)凶悪な印象とは裏腹に、非常に軽い口調で他者と話すので、人付き合いは良い人物である。

元は《月光木馬團》の一員であったが、所属していた組織が結社に潰され、共に活動していたルクレツィア・イスレ、シャロン・クルーガーと一緒に結社に下った経緯がある。
前の組織をどう思っていたかは名言されていないが、作中の言動から特に思うところは無い模様。(これはルクレツィアも同様。シャロンに至っては嫌悪していた程)
そして結社に入った理由は、「面白そう、ワクワクしたから」らしい。

性格、本質はハッキリ言って擁護不可のクソ外道。結社に入った理由のように「面白そう」という理由だけで、場を引っ掻き回す京楽主義者。
戦闘狂たるヴァルター(黎では割とマシになった)をして「最悪にして猛毒のオヤジ」と称される程。
付き合いの長いルクレツィアもエルロイのやり方は苦笑しながら敬遠している。
本人も《破戒》という異名を気に入っており、その名前通り「道理やルールは破るもの」と語ってたりする。
今のところ使途としての任務は忠実に熟しており、結社が設けた数少ないルールやタブーは、ワイスマンと違いちゃんと守っている模様。
ただ「いつか破るのもアリ」とも言ってる。(どうして盟主はこんなクソヤバイ男に相応しいとはいえ《破戒》という物騒な名を与えたのだろうか…)
後述するが、黎の軌跡で起きた事件の「真の元凶」(一応、起こった事件そのものは、エルロイが指示した訳でも関わった訳でもない)とも言える存在。

こういった点からワイスマンの同類と観えるし、実際似たり寄ったりなのだが、違う点も幾つか存在する。
まず他者を徹底的に利用する道具としか見ていないワイスマンと違い、それなりに周囲の意見も尊重し、場合に寄っては譲歩もする。
一応無差別の殺人狂というわけでもないため、理由のない殺しも特にはしない。(当然、理由があれば躊躇なく実行する)

結社を抜けたレンにも懇意にしており、道具として接した教授や博士と違い、ちゃんと「人」「元仲間」として語り合っている。
レンも嫌悪感は特に抱かずに昔話をしていたところからレーヴェやヴァルター同様、親しくしていた様子。(ちなみにレンが苦手だった人物は猫可愛がりされていたルクレツィアの模様)
黎の軌跡でも「レンを色々と面倒をみた(禄でも無いことを教えた)」と語り、レンも否定していない。(実際に空でやったレンの行動はエルロイと似通っている部分がある)
レンからエルロイの総評は「自分が結社にいた時から全く変わっておらず、いい年してやんちゃし過ぎ。マクバーンの方がまだ落ち着いている。」と中々に散々。
それに対してエルロイは「アレと比べられても。というかマクバーンは俺より年上だ」と呆れた表情で語っていた。
このセリフからエルロイもマクバーンの正体を知っているものと思われる。
(ヴィータや博士も知っていたので当然ではある。ちなみにマクバーンがこっちの世界に来て50年なので、確かにマクバーンはエルロイより年上ではある。)

総じて外道なのは間違いないが、仲間や同僚を軽視するような非人間という訳ではない。
上述したように人付き合いが良い一面も教授のような演技という訳ではなく彼の素なので、他の執行者や使途から白眼視されていたワイスマンと違い、それなりに仲は悪くない様子。
ただその性格や後述する能力から信用や信頼はゼロに等しく、良心も全く持ち合わせていないクソ外道なのも確かなため、《深淵》や《鋼》と違って油断も譲歩も出来ない敵なのは間違いない存在である。

また、あろうことか結社から「期間限定で」離反して独自の犯罪計画を実行することもある*1
一度暴れてはまた結社に戻ると言ったことを何度も繰り返しているらしく、彼が離反する度にヴァルターやルクレツィアと言った実力者が彼を追いかけるために派遣されると言った事態になることも。
使徒の中でもぶっちぎりで最悪なので、同じく離反経験のあるクロチルダとは違って結社内でも警戒されまくっている証拠でもある。
自身の道楽のためだけに結社すら離れることもあるハーウッドだがこれでも他の使徒同様に盟主には忠誠を誓っているようで、「あの方」と敬意を込めた呼び方をしている。
しかしこんな男でも期間限定とは言え結社を裏切ったにも拘らずその後の復帰も認められており、盟主からも窘められるくらいで特にペナルティを与えられている描写も無く、更には執行者の任命権まで持っている。
尚更盟主は何を思って、この最悪の男にこれだけの地位と権限を与えたのか……謎に包まれるばかりである。

尚、カルバード共和国の巨大な孤島を丸ごと買い上げて新たな高級リゾート地として運営していたり*2、危険なBC兵器を作り出せるなどかなりの資産家でもある様子。
結社としての活動報酬、或いはこれまでの悪事で稼いだと思われるが自身の道楽のためならば散財も惜しまない。



【能力】

肉体はある程度鍛えて修羅場も潜っているものの、とりわけ戦闘力が高いわけでもなく異能も持たない。
そんなエルロイが《破戒》の異名を持ち第四柱に選ばれた訳は当然ある。
それがは国際的に禁止されている『BC兵器(biological and chemical weapons)』であり、生物兵器と化学兵器を用いての敵対者・敵対組織の自滅が彼の力。
本人によればB(生物兵器)は扱いが面倒なので、基本はC(化学兵器)とのこと。
このBC兵器だが人間は勿論、煉獄の悪魔や亡者といった人外の化け物にも効果があり、挙句に特殊な結界で覆われた無機物すら溶かす恐るべき代物である。
しかも事前に仕掛け時間差で作用する物と、その場でばら撒き即座に発動する物で別けられているらしく、悪魔や無機物を溶かした毒は即座に発動している。
同じ使徒のF・ノバルティスとはまた違った方向性の「悪の科学者」と言える人物である。

また彼にはもう一つの異名があり、それが『犯罪の天才』である。
古今東西、全ての悪事を研究、実践してきた犯罪のスペシャリストと称されているので、BC兵器以外にもありとあらゆる分野に精通している可能性が高い。
このような実力、能力、経歴もエルロイの悪辣さと外道さに拍車を掛けていると要因である。

肝心の戦闘についてだが、「黎の軌跡」ではお供のヴァルターやルクレツィアと違ってスポット参戦すらしなかった。
だが続編の「黎の軌跡Ⅱ」にてようやく戦闘スタイルが明かされた。
やはりBC兵器を自在に操る攻撃を得意としており、腕を振るうだけで毒液を発生させる、毒ガスを広げそこに葉巻を放り込んで引火させるなどバラエティ溢れた技を多く取り揃えている。
しかしながら、単純な火力よりも「凶毒」という専用の状態異常を付与する攻撃が非常に厄介。
この「凶毒」はスクラム状態になっている味方全員に猛毒を感染させるというもので技の範囲も相まって味方全員が一気に凶毒に侵されやすく、気が付けばパーティーが壊滅しかかっているなんてこともザラ。
また自身が開発した薬品によるドーピングも得意としている。*3

だが何より凶悪なのは「犯罪の天才」たる異名に相応しい頭脳である。
言葉巧みにターゲットを誘い出し、入念な仕込みと自身が開発した強力無比なBC兵器があれば自分より遥か格上の実力者十数人に取り囲まれていたとしても一切その場から動くことなく即座に始末可能。
更には相手を脅迫させて思い通りに動かすなんてのもお手の物で、作中では優れた頭脳を持つレンですら彼の掌の上で踊らされていた。
情報収集力も優れており、ゲネシスの存在は愚か隠された機能である「巻き戻り」についても把握している節がある他、教団の最高機密や関係者の過去も詳細に調べ上げるなど造作もない。
単純な戦闘力に依らない各方面での能力、凶悪さこそハーウッドが「蛇の使徒」第四柱を務める所以でもある。


【劇中の活躍】

●空の軌跡~創の軌跡

初出は空の軌跡the 3rdから。声のみで顔は映らず、盟主と使途の会議に参加していた。
この時は《白面》のことを『抜け目ない御仁』と称して、死んだことに驚いた様子だったが、似たような性質からシンパシーがあったのかもしれない。
その後も登場せず、シャロンや他の使途、執行者から度々言及される程度。

碧の軌跡での第一柱とアリアンロードのやり取りからプレイヤーからは帝国内に潜伏しているものと思われていた。この時《鋼》の口から彼の異名が《破戒》であることが初めて語られた。
近藤社長は碧と同時系列の閃の軌跡Ⅱ発売前は「閃の軌跡に登場しているかどうかは秘密」とコメントしてたが、閃の軌跡Ⅱ発売後は「帝国にはいない」とコメントしている。
ただ《幻焔計画》には参加していた様子なので、主に活動していたのは、帝国西部だった可能性がある。
(近藤社長のインタビューを解釈するなら、閃Ⅱの舞台である帝国東部にはいない、もしくは閃Ⅱ後は帝国にいないと受け取った方が正しい)

それから1年半が過ぎた閃の軌跡Ⅲでは教会からの介入を妨害すべくアルテリア法国方面で暗躍していた模様。
またこの作品で彼の主な経歴がシャロンの口から語られており、以前に《月光木馬團》で活動していたこと、彼の正式な異名である《千の破戒者》の名が語られている。

創の軌跡でも名が出ており、RF軍需工場で博士がシャロンに「《破戒》と《黄金蝶》が名残惜しそうにしていた」と語っている。
これに対してシャロンは「二人ともそんな人ではない」と素気無く言っているが、実際ルクレツィアはそれなりに気に掛けていたし、エルロイの性格的にもシャロンを邪険にするとは思えないので、名残惜しそうにしていたのは事実だと思われる。
(シャロンがエルロイをどう思っていたかは置いておく。というかシャロンの性格的に大体想像がつく…)
またマクバーンや博士の会話からこの時には、共和国で活動していたらしく、仕事や報告はキッチリとしていた様子。

●黎の軌跡

今作で遂に本名と顔が明かされ、本編に登場。
顔見せは、第三章サルバット狂騒曲から。
アーロンと一緒にナイトクラブに行ったヴァンと邂逅。
一緒に居たルクレツィアと共に、(どう見てもカタギに見えない容姿と)只者ではない言動と尋常ではない雰囲気からヴァンも一瞬身構えたが、即座に別の要因に気を取られて、そこまで交流は無かった。
またこの時、エルロイの方からヴァンに話しかけているので、この時点でヴァンが裏解決屋だと知っていた様子。(ヴァルターが既に一度ヴァンに依頼を出し、クレイユ村でも再会しているので、知っていて当然ではある)
そしてアルマータがサルバッドの映画祭に大混乱を齎したのを笑いながら見ていた。

そして第5章、ベルガルドが合流した裏解決屋の事務所にルクレツィアと共に登場。
彼らにアルマータの謝肉祭(カルナヴァル)の詳細とそれに出て欲しいという依頼を出した。
依頼を出した理由は、抑止力やアルマータを食い止めたいという理由ではなく、このままだと遊撃士等の一部を除いて、裏ばかりの勢力が集まり、戦力の方向が偏るため。
よって裏解決屋を投入し表裏両方を集めて、派手にやりたいから。つまり彼の京楽のためである。
これにはヴァンたちも呆れ、憤ったがそれ以上の驚愕の事実がエルロイの口から語られることになる。

それは自身の組織が結社に吸収される際に余った《月光木馬團》の団員を自身で面倒を見ることもせず、あろうことか同じく結社に潰された最低最悪の宗教団体であるD∴G教団の残党に合流させるという信じられないことを仕出かしたのである。
勿論エルロイは合流させた組織を放置し、自分はただ結社の使途としての仕事にのみ従事した。その結果、この団体は勝手に大きくなり最終的には《庭園》と呼ばれる特殊な育成システムを生み出した暗殺組織が誕生したのである。
更に《庭園》の現幹部で《月光木馬團》の生き残りの一人がメルキオルであり、彼が元D∴G教団であるジェラールと接触したことで、今作におけるアルマータと庭園の関係が生まれたのである。
つまり黎の軌跡における「真の元凶」はコイツである。しかも本人はこの所業を「面白そうだったから」と例によって自分の趣味だけでやらかしているので、本当に質が悪い。(しかも自分は最小限の干渉で、後は放置というのが尚更悪辣である)
これを聞いた時は裏解決屋の面々も怒りのあまり、まともに声も出せず、フェリに至ってはメルキオルにアイーダが殺された経緯もあり、エルロイを「貴様」呼ばわりする程であった。(フェリが他者を貴様呼びしたのは、この男ともう一人だけある)

裏解決屋もここでエルロイを始末しかねない話の内容だったが、アルマータが最優先だったのと、謝肉祭への情報と参加券が得られたので、渋々依頼を受けることに。
そして本人も結社のメンバーとしてヴァルター、ルクレツィアと共に謝肉祭に参加。この戦いでトンデモナイ作戦を実行する。
それは遺跡内部の各所にBC兵器を設置し、毒を蔓延させ、アルマータを皆殺しにするという外法である。
密閉空間の遺跡内部で実行すれば当然逃げ場はなく、同時にアルマータどころか参加した他の組織や勢力も全滅するという悪辣極まる戦法である。
当然このやり方をヴァンは拒否し、共闘関係ならエルロイ一人がリタイア、敵対関係ならヴァルター、ルクレツィアを退けることでエルロイは手を引き、結社はリタイアすることになる。
ちなみに謝肉祭で身喰らう蛇と共闘を選択した場合は支払う依頼料はヴァルターとルクレツィアの分をきちんと差し引いて来るので、意外と守銭奴な一面がある。

そしてしれっと革命記念祭に参加。なんとカフェ&バー「ベルモッティ」でルネ、カシムと一緒に飲んでいた。
これにはヴァンも驚愕し「革命記念祭をブチ壊したいのか」とルネに文句を言う程だった。
一応、謝肉祭で起きたことの情報交換をしていたらしいのだが、本人は「この二人と話すと新しい犯罪を思いつきそう」と実に恐ろしい言葉を宣っていた。
おまけにラヴレー30年物のワインを空けた挙句、それをヴァンに支払わせるという蛮行に出て、ヴァンは当然ブチ切れた。

そして革命記念祭途中でアルマータが引き押したパンデモニウム化を防ぐために裏解決屋と協力することに。
またヴァンに対して「ヴァンがこの事態をどう切り抜けるか楽しみ。それが観れるだけでもアルマータが煉獄から帰って来た甲斐がある」と語っているので、パンデモニウム化の仕組みをある程度知っていた様子である。
最終的にヴァンタイユ地区でゲネシスタワーを守る柱の一本をBC兵器で腐食させ、グラムハート大統領と共闘してこれを破壊、裏解決屋の道を切り開く手助けを行った。


●黎の軌跡Ⅱ


そして次回作である「黎の軌跡Ⅱ」では遂に本格的な暗躍を繰り広げる。
アルマータが引き起こした事件以上の「最大級の劇場型犯罪」を実行するためになんと(期間限定で)結社を裏切り、ノバルティスの開発物を幾らか盗み出し、「庭園」最後の暗殺者であるイクスとヨルダを引き入れ、更には《グレンデル=ゾルガ》を手駒とするガーデンマスターと一定期間協力する契約を結んでいた。
尚、イクス・ヨルダには自分の手伝いをさせる契約とは別に何らかの「試験」を課しているらしいが……。

第八のゲネシスを巡る、共和国の事件に何らかの形で関与しており、断章の舞台となるネメス島で遂にその本領を発揮する。
なんとヴァン達が求める第八のゲネシスの外郭の存在をちらつかせて島に向かわせたばかりか、ネット上でも自ら情報をリークすることで共和国中に化け物と称されるほどの実力者たちを集める。
そしてイクスを使ってヴァン達を誘き寄せ、毒ガスによってその場から一歩も動くこと無くヴァン達全員を全滅させた。*4

この全滅はゲネシスによる「巻き戻り」で無かったことにされたものの、ヴァン達は毒ガスの存在をいち早く知ることになりハーウッドに毒ガスを起動させないような立ち回りを要求されることに。
しかもハーウッドも「ゲネシスによる巻き戻り現象」を把握している節があり、本人はそれについて明言こそしなかったもののそれを利用した脅迫をすることでヴァン達を強制的に「島巡りツアー」に参加させる。
更にはこの交渉をするために「凶悪とされる使徒ハーウッドと裏解決屋が密会していた」というシチュエーションを作り出し、それを広めることによってハーウッド討伐のために集まった全勢力が裏解決屋と敵対する状況まで作り出していた。
このためヴァン達は嘗ての「謝肉祭」とは違う形のデスゲームを潜り抜ける羽目に。
島巡りツアーを強制させるハーウッドの狙いをヴァン達は捉えきれなかったものの、毒ガスを起動させないためにハーウッドの要求に従って格上の実力者たちを(時にはゲネシスによる「巻き戻り」に助けられながら)なんとか掻い潜って三つのチェックポイントを回ることになる。
そして三つ目のチェックポイントではトラウマを刺激されたレンとそれを見かねて加勢に入るヴァルター、ルクレツィアとそれらに敵対する裏解決屋になんと自ら協力する形で参戦。
つまりはスポット参戦のゲストキャラとしてまさかの共闘をすることになった。*5
レンが落ち着いた後は場を掻き乱すだけ掻き乱して即退散した。
その後、研究所に残された端末を解析することでこのネメス島そのものが嘗てレンが囚われたD∴G教団の中でも最悪中の最悪のロッジ「楽園」であることが判明する。

+ だが、肝心のハーウッドの目的が益々分からず仕舞いになっていたのだが……
ハーウッドが島巡りツアーを強制させた真の目的はカトルのトラウマを刺激してその体を天使として完成、暴走状態にすることだった。
結果、カトルはハーウッドの目論見通り天使としての力を解放してしまい、一度はネメス島そのものを滅ぼしてまたもやヴァン達を皆殺しにしてしまう。
ゲネシスによる「巻き戻り」でそれを回避しつつ、更には島の地下に隠された教団の本拠地である地下大空洞へと誘導。
第三者であるハーウッドの口から教団の所業とカトルに対する仕打ちが明かされることとなった。

しかし、このカトルの暴走ですらハーウッドの仕込みの一部でしかなく、カトルが隠したかった秘密を勝手に暴き出した上にその後始末を裏解決屋に丸投げ。
しかもその後差し向けたイクス・ヨルダたちにノバルティス博士や星杯騎士団から盗み出した反応兵器の試作品と起爆に必要な聖魔剣アペイロンを与えるというとんでもないことをしでかした。*6
なんとか反応兵器を持つ双子を取り押さえることに成功し、いよいよ最奥部にて待ち受けるハーウッドと対面。

彼の今作における「最大級の劇場型犯罪」、その締めくくりは嘗て教団が目指した「高位存在の悪魔をこの世界に顕現させること」だった。
そのために彼は第八のゲネシスの外郭を巡る事件を誘導、ネメス島で騒ぎを引き起こすことによって悪魔たちがこの世界に来るよう「門」が開くように後押ししていたのである。
当然そんなことはさせまいと扉を開くカギとなるゲネシスの外郭を奪い取るために挑みかかるヴァン達と交戦。
結果、外郭は奪い取られ、レンがトラウマを乗り越えたことによって悪魔たちの「門」は閉ざさてハーウッドの計画は潰えたのだった。

……のだが、長い仕込みの末の壮大な計画を潰されたにも関わらずハーウッドは悔しがるどころか裏解決屋を素直に賞賛するばかり。
本人曰く「完全犯罪計画をあっさり潰されるのもオツ」、「何事も計画通りではつまらない」、「その意味で自分の思い通りにならない裏解決屋は本当に面白い」とこの状況ですら楽しんでいた。本当にポジティブ過ぎるオッサンである。
しかし、ここまで壮大な計画を立てた意味が結局わからず仕舞いなので改めてそれをヴァン達が問い詰めるとハーウッドはこう答えた。


――ガキの頃から知っている娘が未だに引き摺っているって聞いたモンでなァ。


なんとレンが未だに教団のトラウマを引き摺っていることを気に掛け、それを乗り越えさせるためにこれだけのことを仕出かしたのだという。
だからこそ最悪の教団ロッジ「楽園」であるこの島を舞台にした「教団のやり残し」を実行に移したらしい。
確かにこれだけの経験を強制させればレンも否が応でもトラウマを乗り越えざるを得ず、結果としてハーウッドの宣言通りになった。
……が、当然これまで引き起こした事が事なのでそんな理由一つで許せるヴァン達ではなく、そもそも如何にもとってつけた理由なのもあってハーウッドの言を信じるものは皆無。
当のレン本人も感謝一つすることなく呆れるばかりだった。
「レンのためを思って」の下りは一応嘘ではないようだが、それがどこまでのウェイトを占めていたのか……最早与り知るのは本人のみである。



自身の計画を裏解決屋に潰された直後、《グレンデル=ゾルガ》やガーデンマスターがヴァン達が持つゲネシスの外郭を奪うために襲来。
ここでハーウッドとガーデンマスターによる協力関係は終了、ハーウッドはヨルダによる影の転移で特に報いを受けることなくあっさりと去ってしまうのだった。
その後、期間限定の裏切りも終了したことで結社にも改めて復帰。使徒たちに最低限の詫びを入れたものの、同時に盟主からこってり絞られたらしくしばらくは大人しくすることに。


+ しかし、こんな男が素直に大人しくしていられるはずもなく……
なんと物語の最終盤、《グレンデル=ゾルガ》とすべての決着をつけるべくオクトラディウムの中を突き進むヴァン達の前にイクス・ヨルダ兄妹と共に立ちはだかった。
何気にヴァン達しか知り得ない《グレンデル=ゾルガ》の呼び出しやオクトラディウムの存在を把握し、更にはヨルダとルクレツィアの力を借りて無理矢理異空間に侵入してくるという凄い所業をしている。
本人曰くすべての決着をつけようとするヴァン達のために「盛り上がるためのテキトーな前座を務めたい」という超意味不明な理由*7でボスとして戦いを仕掛けてくる。
当然、この戦闘において物語上の意味は全く無く、付き合わされたイクス・ヨルダからもブーイングが上がった。
ただこの双子に関しては契約とは別の「最終試験」を課すつもりであると告げることでやる気にさせ、ヴァン達も最終決戦に水を差されないために相手をすることなった。

激闘の末、適当なところで戦闘を切り上げてハーウッドたちは撤退。
その際に彼は「約束は約束」だとして、イクス・ヨルダに課していた試験の合否、その内容を露にする。




イクス・エルダリオン。並びにヨルダ・エルダリオン。

お前らには執行者、No.XXを連名で与える。



なんと試験の内容は双子を結社の執行者にするためのものだった。
無事試験に合格したことで双子は大歓喜、そのままハーウッドは双子を引き連れて去っていった。
あまりにも意味不明な登場、戦闘、そして一幕を見せつけられた裏解決屋の面々は最早ただただ呆れるしかなかった……。




こうして「黎の軌跡Ⅱ」におけるハーウッドの暗躍は終わった。
暴れ過ぎたこともあって前述の通り「しばらくは大人しくするつもり」らしいが、果たしていつまで大人しくしてくれるのやら……。



【余談】

概要にも記したが、性格、本質は教授に勝るとも劣らないド外道なのだが、どことなく憎めない(ブラック)ユーモア溢れる言動や社交性があり、そのワイルドな見た目や声も相まって意外にも人気が出た。
黎の軌跡の男性人気投票では、今作でなにかと株が上がった8位のヴァルターを上回り、なんと7位である。
ジェラールも10位と健闘しており、軌跡シリーズでは実に珍しい人気のある外道キャラとなった。


何事も追記、修正しなきゃつまらねぇ。そうだろう?

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最終更新:2024年03月13日 14:48

*1 「黎の軌跡Ⅱ」においては共和国政府と結んだ不可侵協定があったため、一時離反している

*2 ただし経営そのものは自身の正体を伏せた上でたまに遠隔で指示を出しているくらいで現地の人間に任せている

*3 戦闘では「DROP」という名の丸薬を服用して強化してくる。イクス・ヨルダにも同じものを与えているらしく、二人も戦闘において「DROP」を用いた強化をしてくる。

*4 この中には作中最強クラスのシズナやカシム、果ては仲間であったルクレツィアやヴァルターまでも含まれている

*5 しかもこれがゲーム上では初のハーウッドの戦闘初お披露目である。状況によってはSクラフトもここで拝めたりする

*6 その後のイクス・ヨルダ戦では二人同時に倒さないと本当に反応兵器を起爆されてデッドエンド、双子戦を延々とやり直す羽目になる。

*7 ヴァンは「ネメス島から逃げて以来退屈で仕方なかったから」と見立てている。ハーウッドはこれに関して否定しなかった