SCP-2348

登録日:2023/01/22 (日曜日) 16:50:00
更新日:2023/12/23 Sat 11:16:42
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✋「おそらはこちら ゆびさすほうへ」



SCP-2348はシェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
オブジェクトクラスKeter



説明

こいつが何かというと、南太平洋上のある地点に存在する積雲である。
大きさは幅0.6kmとごく普通の綿雲サイズだが、見てわかる特徴として人間の手の形を正確に模している。
おまけにその形を発見当時からずっと維持しており、更には周囲の気流などといった影響を完全に無視して同じ地点に留まり続けている。
人為的に移動させたり形を変えたりといった試みも行ったらしいが、現在まで一度も成功していない。
加えて位置している高度も水面から50kmと、通常の積雲の範囲 (~高度約2km) を大きく逸脱している。

つまり「成層圏ギリギリの上空に手の形をした小さな雲がぽつんと浮いている」という非常に奇妙な状態となっているわけだ。
まあ存在自体が奇妙なのは大抵のオブジェクトに当てはまることだが。



SCP-2348の基本的な性質はこれだけであり、こいつ自身が何かしらの異常な挙動を見せたことは今まで一度もない。
しかし、こいつが存在する地点の周囲では様々な異常現象や異常効果が継続的に発生しており、そのどれもが雲や空に関わるものとなっている。
要するにこいつは物理的実体を持ってはいるものの、本質的にはどちらかというと場所系や現象系のオブジェクトに近い代物というわけである。
報告書にはそれぞれの現象、効果についての説明があるため、順に見ていこう。



1
SCP-2348を5分以上観察している人物は、空にある他の雲、物体、現象の存在を認識しなくなります。これらの効果は観察を止めると終了します。

典型的な認識災害。
とはいえ発動に時間がかかる上に観察しなければすぐに収まるくらいの弱い効果である。



2
ポイント2348の半径60km以内の観察者は、夜空に天体が欠落していると報告します。SCP-2348はしばしば、目に見える唯一の星として言及されます。

さっきの認識災害と少し似ているが、時間帯が夜に限定されている代わりに効果が範囲指定かつ永続的なものになっている。



3
SCP-2348の直下を通過する雲の30% 60% 85%は、SCP-2348との見分けが付かず、同一の異常性を示すことが判明しています。雲は自然に消散するまで区別できないままです。

他の雲に異常性を感染させる効果があり、しかも時間とともに強くなってきているらしい。
感染した雲はこいつとの区別ができなくなり、更には1つ目の効果である「観察し続けることで空にある他の要素が認識できなくなる」という認識災害をそのまま発現するようだ。
また効果の説明などから考えるに、後述する6つ目と7つ目、そして「真下を通過した雲に一定の確率で異常性が感染する」というこの効果そのものも継承している可能性が高い。
だが元の雲が持っているような形状を維持する性質はなく、加えて「SCP-2348の位置を中心とした一定範囲」を対象とすることから2つ目の効果も受け継いでいないと考えられる。



4
ポイント2348の半径60km以内で稼働しているカメラ機器の9%は、様々な雲のリアルタイム映像を記録します。1分後にこれらの雲は例外なく消失します。実験によって映像中の雲は実在しなかったことが確認されています。

2つ目の効果と同じ範囲において、一部のカメラに実在しない雲を記録させる。
これもオリジナルの雲が位置している地点に基づく範囲指定型であるため、さっきの感染した雲は受け継いでいない効果だと思われる。



さて、ここまで見てきた効果は比較的無害なものばかりだが、この後から徐々にきな臭くなってくる。



5
半径60km以内の降雨にはしばしば、SCP-2348のそれと同一の構造を形成している氷晶が含まれます。ただし、氷晶の構造は人差し指が何かを指すように突き出されています。水に曝された氷晶は雲状のエアロゾルを生成します — これを摂取した者はSCP-2348との見分けが付かなくなり、その後に上空へ向かっての細胞複製が発生します。

さっきまでのものと比べて急にえげつないのが出てきた。

一応確認しておくがSCP-2348は雲である。
異常な雲とそれ以外の雲が見分けられなくなるならともかく、人間と雲の見分けがつかなくなるとはどういうことか?
しかもどうやら物理的な変化も伴っているらしい。もはや単なる認識災害の範疇には収まっていない。
この効果に曝露した人間の生死については不明だが、少なくとも元に戻るとは考えにくいだろう。

というか「細胞複製」ってなんだ。
そこは細胞分裂とかじゃないのか。
誤訳かと思いきやそうではなく、脚注で示された原文は「skywards cellular replication」。
直訳すると「空に向かって細胞複製」である。どうやらこれで合っているらしい。

どちらにせよ明らかに有害な効果であることは間違いない。
おまけにこいつは南太平洋上に位置している、つまり海の真っ只中にあるため、この効果範囲内に降った雨は必然的に水面と接触することになる。
雨天中の効果範囲内では気密装備が必須になりそうだ。



6
一部の人物はSCP-2348を日光、月光、星明りの唯一の光源として識別しました。空に関する情報はそれに応じて修正されました。



…ん?



いや待て、この効果は2つ目の効果の発展形だ。
2つ目の効果の時点では「60km圏内では夜空に星が見えず、SCP-2348が唯一の星として扱われる」というものだった。
つまり一部の人間はここから更に根本的な知覚、認識まで汚染され、昼も夜もこいつ以外の光源が空に存在しないと考えるようになってしまったわけだ。

そしてこの効果については範囲が言及されていない。
つまりこの効果の対象となる人物は、一度でもこいつを認識してしまった時点でまともに空を知覚することができなくなるということである。
最後の文章も、要は知覚、認識の汚染に伴って曝露者の空に対する考え方が修正されるということを意味しているのだろう。



え?
それならこんな誤解しそうな表現じゃなくて「これらの人物の空に関する認識は識別内容に応じて修正されました」みたいに書くだろって?
いやいや、そもそも翻訳の過程で表現がわかりづらくなるなんてSCPではよくあることだし、それくらい大目に見てほしいもので……



7
SCP-2348の直下を通過する空中物体の0.1%は、SCP-2348との見分けが付かないことが判明しています。この形式で影響を受けた有人航空機内の人物もまたの一部であることが判明しています。



…やっぱちょっと待て。
明らかに何かおかしい。

雲に限らず航空機にまで異常性が感染するのはまだいい。
さっき人間も感染して凄いことになってたんだからまあ起こりうることなんだろう。

だが「乗客が空の一部になる」って一体全体どういうことだ。
財団世界なんだから人間が概念の一部になってもおかしくないのはわかるが、それが異常な現象であることも間違いないはずである。
だったら概念の一部になったことで具体的に何が起こってるのかとか、物理的にはどういう状態になってるのかとか、そういうのを説明して然るべきだろう。
にもかかわらず「人が空の一部になったことが判明しました」の一言で説明を終わらせていいのか?
読んでる職員が置いてきぼりにされるんじゃないのか?



いやしかし、そもそもSCPの報告書というのは財団世界にいる人間が理解できるように書かれているものだ。
上位存在の我々に合わせて書かれたものではない。
我々は「伊る」「佐う」といった動作もフランスパン濃度という数値も知らないし、死が当たり前の世界に暮らしている。
そのせいで財団世界との認識の差に何度も困惑してきた。

もしかしたらこれを書いた財団も、人間が概念と一体化することがごく一般的な常識として知られてる世界に住んでるのかもしれない。
それならまあこの文を職員が読んでも問題なく理解できるだろう。
いやあよかったよかった。



さて、色々と脱線したが、SCP-2348が原因で発生していると思われる異常については上に挙げた通りである。
とにかく「空」と「雲」に関わる現象が多く発生していることがわかっただろう。



こいつがKeterクラスである理由はごく単純で、現状財団による制御が一切効かないオブジェクトだから。
効果範囲こそ限定されているものの、こいつの周囲で発生する異常はどれをとっても事前の阻止や抑制がほぼ不可能なものであり、特に後半の3つは人間に極めて有害である。
前半に限っても、2つ目の効果に関してはそれ単体で正常性のヴェールを破壊するリスクを秘めている。
加えて地味に厄介なのが3つ目の効果で、感染した雲には範囲指定型である2、4、5つ目の効果は受け継がれないと思われるが、逆に言えばその他の効果は受け継いでいる可能性が高い。
そしてこれは雲に限らず、5つ目と7つ目の効果に曝露した人間や航空機など、SCP-2348と見分けがつかない他の存在にも同様の異常性が発現している可能性が否定できない。

つまりこいつ、SCiPの収容を困難たらしめる「場所」「現象」「認識災害」の三要素に加えて、病気系やミーム系に恒例の「感染性」まで備えていると考えられるのである。
…範囲が限られてなかったら既にK-クラスシナリオを起こしていたかもしれない。

もっと言うと、現時点でこいつは形を変えることも移動することもなく海上に留まっているが、あからさまに「手」という見た目をしているのだ。
いつ手の形状を変えたり、陸地に向かって動き出してもおかしくないのである。
人為的にいくら動かそうとしても無理だった以上、仮に移動を開始したなら財団にそれを止める手段はないし、手の変形によって異常性がどう変化するのかもわかったものではない。
事実上、こいつの気まぐれ一つで収容があっさり破綻する状況に等しいわけだ。



そんなわけで財団は「周辺に建設した監視基地と人工衛星を使ってこいつを四六時中監視してね」「変化や移動の兆候があったらすぐ報告してね」という収容プロトコルを定めている。
正直「収容プロトコル」とは到底呼べないような代物だが、つまりは現時点でこいつに対して他にできることが何もないという意味に等しい。
「収容手順が簡潔なKeterにロクなものはいない」とはよく言った話である。



さて、先走り気味にこいつの危険性について語ってしまったが話を戻そう。
主な異常性については説明し終えたが、こいつに関して留意すべき点が1つと、現象や効果とは関係ないこいつ自身の特性がもう1つある。

まず前者の留意点についてだが、SCP-2348が最初に発見されてから現在に至るまで、こいつの半径2800km圏内における非異常の雲の数は徐々に減っている。
これは非SCP-2348雲、つまりこいつとの見分けがつく雲がこの範囲内において明らかに欠如しているという観測結果から判明した事実だが、何を示唆しているのかは案の定不明である。

次に後者のもう1つの特性について、これまでに説明した主な異常性は全てこいつから離れた場所で発生するものだったが、逆にこいつ自身に直接接触、干渉した場合は何が起こるのか。
人為的に試したのかどうかはわからないが、実際にSCP-2348に何らかの物体が入った際には目撃者曰く、こいつからは追加のしか排出されないらしい。
まあ要するに、入った物体は少なくともまともな形では出てこられないようである。
正直これに関しては予想通りというか何というか……



いずれにせよ、今の財団がやれることはただ一つ。
対処法が見つかるその日まで、成層圏の果てに浮かぶ掌が気まぐれを起こさないことを祈るばかりである。



追記、修正はおそらをひろげてからお願いします。







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考察

先程までの説明において出てきたいくつかの不審な点について、翻訳やら他のオブジェクトやらを引き合いに出してその場は誤魔化していたが、改めてここに列挙してみよう。

一部の人物はSCP-2348を日光、月光、星明りの唯一の光源として識別しました。空に関する情報はそれに応じて修正されました。

SCP-2348の直下を通過する空中物体の0.1%は、SCP-2348との見分けが付かないことが判明しています。この形式で影響を受けた有人航空機内の人物もまた空の一部であることが判明しています。

何らかの物体がSCP-2348の内部に入った場合、全ての目撃者は、SCP-2348からは追加の空しか排出されないと報告します。



いやこれ、どう考えても財団自体がこいつの影響にあてられちゃってるよね。

最後に至っては「空」が排出されるもの、つまり物質であるかのような書き方になってしまっている。
1つ目の効果の説明あたりまではちゃんと場所として定義できてたはずなのに、である。
「目撃者の報告をそのまま書いただけ」とも考えられるが、それなら実際には何が起こってるのかについての説明があってもいいはず、というかあるべきなのにそれすらない。
情報災害のせいでそこだけ書けないなどと考えようにも、それならこいつに情報災害的性質があることを明記しておくべきだし、そもそも局所的すぎてあまりにも不自然である。
というかここまでこじつけたとしても2番目の不審点については説明のしようがない。
要するに、財団がこの報告内容に違和感を覚えず説明にそのまま書いてしまった可能性が最も高いと言わざるを得ないのである。



しかし、だとしたら何故こいつの影響は財団内部にまで及んでいるのか。
財団はこいつの異常性の効果範囲を把握していたし、内部で発生する有害な現象から考えても監視基地などは範囲の外に位置していたはずである。



その理由はまたしてもごく単純で、財団がこいつの効果範囲と異常性を見誤っていたからである。

説明の最後において挙げられた留意点について振り返ってみよう。
こいつの半径2800km圏内において非異常の雲が減少していると言ったが、ここから推測できる実際の状況は2種類ある。
  • 単純に圏内における雲の全体数が減っている。
  • 圏内にあるほとんどの雲がSCP-2348に感染している。
SCP-2348がこれまで説明した通りの異常性しか持っていないなら、後者の状況しか考えられない。
つまりこいつの真下を通過して感染した雲から他の雲へと感染が続き、それが連鎖してパンデミックを起こしたというパターンである。
しかし感染した雲には形状を維持する性質はなく、真下を通過した雲にしか感染を広げることができない。
それを踏まえると、感染の異常性だけで2800km圏内の全域に拡散するのは極めて困難であり、加えて見分けがつかない雲があまりにも増えれば財団が異常に気づかないとは考えにくい。

つまり「雲が減っている」と明言されている点も併せて考えるなら、前者のパターンの方が自然なのである。
そしてそれはつまり、圏内の雲の減少を招いたのはこいつ自身の未知の異常性によるものということになる。



要するにこういうことだ。
半径60km圏内というのは、あくまでもこいつの異常効果が目に見えてわかるような形で顕著に表れる領域でしかない。
SCP-2348の本質的な異常性は最初からそれよりもはるかに広範囲に及んでいたか、あるいは財団が気づかないうちに既に広範囲まで拡散していたのである。

つまり現時点におけるこいつの真の効果範囲は想定されていた距離のおよそ46倍。
これじゃあ監視基地に限らずこいつに関わる財団施設はほぼ全て曝露してるに決まってる。
元々ほぼ収容できない代物ではあったものの、まさか財団自身が異常性から逃れることすらできていなかったとは驚きである。



ここまでの時点でもう色々とやばいが、ここで一度SCP-2348の異常性の本質について少し考えてみよう。

こいつの異常性が雲や人間に感染する際、感染した対象は総じて「SCP-2348と見分けがつかない」「SCP-2348と区別できない」などと表現される。
さっきから当たり前のように何度も書いているが、そもそも「見分けがつかない」「区別できない」とは一体どういうことなのか?
単に外見が似ているから判別が不可能という話かと思いきや、感染した人間には「細胞複製」という、雲では起こり得ないような謎の現象が確認されている。
加えて7つ目の効果においては感染した航空機に「機内」という要素が存在していることから、見た目が類似するような単純な変化ではないことが窺える。
更に言えばこれらの変化を普通に観測できているあたり、単なる認識災害の類と考えるのも少し妙な話に思えてくる。

じゃあ結局どういう意味なのかというと、恐らく最も近い表現は「お互いが別の概念であると定義することができない」というものである。
要するに、感染した対象とSCP-2348の間で外見や物理的性質が異なっていることは理解できるし、対象に起こっていることを正しく認識することもできる。
だがいざ観測した内容を頭で定義しようとすると「どちらも同じ概念」という結果が出力されてしまい、そのため実質的に判別が不可能になるというわけだ。



つまり、SCP-2348が対象に感染させているのは異常性ではなく、自身を構成している『概念』そのもの。

そして財団はSCP-2348を外見に基づいて「雲」であると定義していたが、こいつを構成する概念は実のところそれだけではない。
主要な効果範囲である60km圏内において、こいつは雲に限らず太陽、月、星など、空を構成する様々な要素として観測、識別、定義されることがある。
加えてこいつが存在している高度50kmは最初に説明した通り、成層圏とその上の中間圏のちょうど境界に位置する部分である。
そこから先はオゾン層の外側であり、温度が一気に下がる上に夜光雲を除けば雲もできない。
つまり一般的に空と見なされる領域の境目にこいつは存在していることになる。



これらを総合して考えると、SCP-2348を構成しているのは雲や星などの天球上に存在する要素を包括した「」という概念そのものであると考えられる。
そしてこの概念は感染性であり、曝露した対象を構成する概念を自分自身に置き換えるという異常性を持つ。

感染経路はさっき説明した通り「SCP-2348、もしくは感染した雲の真下を通過する」「60km圏内の雨から生じたエアロゾルを摂取する」「SCP-2348に接触する」の3つ。
そしてこれについては確証がないが、恐らく雲以外の感染した存在に接触する、または下を通過することによっても感染する可能性がある。

感染した対象は自身の概念が「」に置換されたことで、同じ概念で構成された存在であるSCP-2348との概念的な同一性により互いを判別することができなくなる。
そして自身を再定義した「」の概念に引きずられる形で物理的変容を起こし、最終的にSCP-2348と同様の異常性を示すようになる、というわけである。

わかりにくいという方は例の名を禁じられし森の異常性を思い浮かべていただきたい。あれと同じだ。
対象の概念に感染してそれを置換し、置換された概念を反映する形で現実を捻じ曲げる。
それこそがSCP-2348の本質的な異常性である。
それを証拠に、本家記事にはしっかりと「現実改変」のタグが付いている。



つまりこいつ、SCiPの収容困難要素である「場所」「現象」「認識災害」「感染性」そして「現実改変」と、見事に五拍子揃ったオブジェクトなわけだ。
何なんだこいつは。



ここまでの説明をまとめると、SCP-2348の真の姿とは「狂った形の「」として定義可能な、現実と認識の両方を汚染、侵食する異常概念」である。
「空に浮かぶ手の形をした雲」というのは目視できる一要素であり、半径60km圏内で発生する異常効果は概念の影響が部分的に地表に到達した結果だと考えられる。
とはいえ、存在する位置や異常効果の範囲、異常性の強度などから見ても、この概念の根本的な発生源があの雲であることは間違いないだろうが。

そして非異常の雲が減少している範囲からもわかる通り、この異常な「」は既にSCP-2348が位置する地点の半径2800km圏内の上空を覆い尽くしている可能性が極めて高い。

幸いにもというか何というか、現時点で拡散した「」が半径60km圏内のような致命的な効果を地表に及ぼしている様子はない。
範囲内にいる財団はもろに影響を受けてしまっているが、どうやら今のところは「空」に対する認識を歪める広域の精神影響という範疇に収まっているようだ。



…が、正直言って何の慰めにもならない。
こいつの影響が既に取り返しの付かない範囲にまで拡がってしまったことは変わらない。
そして財団自身もそのことに気づいていない。

というか、気づいたところで何ができるって言うんだ。
そもそも財団はこいつの収容はおろかまともに干渉できたことすらないのに。

そう、この事実が判明する以前からこいつはKeterであり、もっと言えばその中でも「単純に未収容かつ収容不可能」という一番タチの悪い代物である。
元から制御不能なオブジェクトが知らない間に更に危険になったからといって、結局のところ何かをやれるというわけでもないのが現実なのだ。



要するに結論は変わらない。
今の財団ができることは、対処法が見つかるその日まで、頭上を覆う狂った「」が落ちてこないことを願うだけである。



余談

SCP-2348が存在する南太平洋上のある地点について、説明では言及しなかったが、その場所とは「南緯48度52.6分 西経123度23.6分」。
そう、最も陸地と離れた海洋の一点であり海上の到達不能極とも呼ばれる「ネモ船長の点」である。
…そういえばこの地点には他に何か収容されていたような……



著者のNatVoltaic氏はディスカッションにて「個人的な 短編コンテスト のつもりで書いた (要約)」とコメントしており、実際に本家記事の全文も495単語と非常に短い。
加えて報告書自体にも不可解な要素が散りばめられており、初見ではほぼ確実に首を傾げることになるだろう。
そのため当項目では読み解きのために長々とした考察、解説を行ったが、元記事は全体的に不気味さや得体の知れなさをより強く感じさせられる内容となっている。
気になった方はぜひ一度読んでみて貰いたい。



追記、修正はおそらをおろしてからお願いします。







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更新


SCP-2348は現在、直下を指差す人間の手のような形状をしている。


ポイント2348の半径2800km以内の基地は直ちに無期限の封鎖状態に入り、外界からの完全な孤立を維持しなければならない。この半径内にいる民間人口は、収容チームが非SCP-2348エアロゾルの存在を確証できるまでは無視しなければならない。


液滴、氷晶、その他の微粒子から構成される大気構造についての情報は破棄しなければならない。職員はこれらの大気構造に由来するH2O分子を主成分とする液体を消費してはならず、代用流体を摂取しなければならない。封鎖解除指令が送信されるまでこれ以上のメッセージは無いものと考えるべし。


空を自称する実体は発見次第直ちに無力化しなければならない。




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…明日の財団はどんなを見上げているのだろうか?



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SCP-2348


おそら





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最終更新:2023年12月23日 11:16