マーシオ"ジェット"内藤

登録日:2023/02/26 Sun 01:42:37
更新日:2024/02/20 Tue 19:06:38
所要時間:約 24 分で読めます






強くなるためなら…
悪魔に忠誠を誓う!



マーシオ"ジェット"内藤は、全世界で人気沸騰中の格闘漫画タフ・シリーズのキャラクター。
第二部『TOUGH』に登場し、ハイパー・バトル本戦編におけるライバル・キャラとして活躍する。




【人物】

生まれつき耳が聞こえず音の無い世界で生きてきた聾唖者。*1日系ブラジル人。
他者の声が聞こえないので、普通に話しかけられると無表情のまま首をかしげる癖がある。
だが耳が聞こえないことは少なくとも格闘技においてハンデとは思っておらず、むしろ闘うことだけに集中できたという。
彼にとっては言語ではなく闘うことがコミュニケーションであり、闘いだけが人との繋がりを作るツールだった。
明らかに声が聞こえてるようなシーンがある?読唇術と言うてくれや
まあ読唇術とするには無理があるシーンもチラホラあるんやけどなブヘヘヘヘ
人間の命が非常に軽いスラム街で育ったため、命を奪われることのない格闘技は甘い世界だと考える冷めたところがあるが、格闘技を否定して見下しているわけではなく、純粋に勝負を楽しんでいる様子も見られる。

幼少期からフット・ワークや敏捷性に優れていたため、周囲から“ジェット”と呼ばれていた。
また、ラバー・リーゲメントと呼ばれる特異体質であり、先天的に強度と伸縮性に優れた靱帯を持っている。
現在はサクラ・トータルファイトアカデミーに所属し、ADCC(アブダビ)世界サブミッションレスリング選手権の87キロ級を全て一本勝ちによって制覇。その他にもMKC中量級トーナメント優勝、ムエタイ王者PCケージファイト優勝などの輝かしい戦績がある。

彼の正体は世界中にたくさんいる鬼龍の実子の一人。
鬼龍から珍しく息子として愛情を注がれていたが、本人はハイパー・バトル終盤までそのことを知らなかった*2
鬼龍の血を引く男としてキー坊ガルシアの面影を見るシーンがあり、顔立ちが若干似ている他、180cm・82kgと体格もガルシアとほぼ同じである。


過去

悪魔との出会い。


自分を救ってくれたのは神様ではなく、悪魔だった…

父は相変わらずヤリ捨てて蒸発、母が死亡して身寄りが無くなったため、幼くしてストリート・チルドレンとなる。
今日も生きていられるよう神に祈りながら、その日の飢えをギリギリでしのぐ過酷な毎日であった。
盗みを働いて店主から銃をぶっ放される、ギャングの使い走りをするなど死と隣り合わせの路上生活をしていたため、現在も身体中に無数の痛々しい傷跡が残っている。

ある時期から町の浄化を理由とした、“死の部隊”と呼ばれるストリート・チルドレン狩りが往行し始め、ジェットと仲間たちの住処にも迫ってくる。*3
音が聞こえないジェットは銃声に気づかず逃げ遅れて“死の部隊”に殺されそうになったが、突如現れた鬼龍によって助けられた。*4
ゴミのように扱われ、ネズミのように生きてきたジェットにとって、命を救われることは人間として扱ってもらえた初めての経験であり、「生きていてもいいんだ」と実感できた。
この経緯から鬼龍を強く慕い、忠誠にも似た感情を持っている。

その後、鬼龍の伝手でリオデジャネイロのサクラ・トータルファイトアカデミーに入れられ、同じ日系人のミスター・サクラから格闘技の手ほどきを受けることになる。
また鬼龍からも、強くなって自分自身の“格”を上げていくように徹底して教え込まれ、度々武術の指導を受けた。
その他にも美術館に連れて行ってもらったりするなど、普通の親子のような関係を築くこともあった。


エマ


君は殺したいと思えるほど女性を愛したことがありますか?


しばらくしてエマという彼女ができる。
ジェットとエマは互いに愛し合っていた…とジェットは思っていた。
しかし鬼龍がジェットに意味深な一言を言ったことでジェットが急いで家に帰ってみるとそこにはエマとジェットと親しい中年の男が裸になっており、エマが涙を流している姿だった。
これを見たジェットは当然エマが襲われたものと考え怒りを露わにする。
そして男が放った銃弾を回避し一発を叩き込み男は窓を突き破り外に吹っ飛んでいった。(安否は不明)
そしてエマに安心するようにと近寄るジェットだが……


パン     パン     


なぜ…?


なんとエマはジェットを狙撃。ジェットは病院送りになる。
そして病床の中で鬼龍に真相を聞かされる。
実はエマはビッチのメスブタであり、中年の男の愛人だった。
愛した女に裏切られたことで絶望する。
ジェットは信頼できる者は救世主である鬼龍だけとなり、彼の元で更なる力を求めるようになっていった。
結局何が言いたかったのか、殺したいほど愛するのくだりはなんだったのか


戦闘力

作中でも度々天才と呼ばれているように格闘技の才に秀で、鬼龍直々のトレーニングによって驚異的な戦闘能力を身につけている。
関節技は作中トップ・クラスの腕を持ち、電光石火の如く目にも止まらぬ速さで技を仕掛けることが可能。先述したアブダビ・コンバットでも圧倒的勝利による快進撃で優勝を飾っている。
打撃の技術も高く、速い・重い・強いの三拍子が揃った強烈な攻撃を繰り出す。
子供が人形の脚をもぎ取るように容易く人体を破壊する組み技に、鬼龍の遺伝子と技を受け継いだ打撃技術が加わって、高い水準で完成された総合格闘家となっている。


使用技

  • 霞突き/ステルス・コンビネーション
灘神影流で鬼龍が最も得意とする技。不可視の速度で放つ超高速の打撃のラッシュであり、殴られた対象はもちろん、傍から見ていても拳が見えない。
鬼龍から直々に仕込まれ、沸騰したお湯の中に沈んでいる石を素早く取り出すという過酷な修業の末に会得した。
ハイパー・バトルの実況やキー坊からはステルス・コンビネーションとも呼ばれていた。

この他には腕十字固めやヒール・ホールドなどのオーソドックスな関節技を多用する。


【活躍】

初登場は『TOUGH』第11巻。アラブ首長国連邦にてADCC無差別級に出場していた。
この無差別級の決勝戦にて前年度のチャンピオンである“大巨人”マルセイロと対戦し、体格で大きく上回るマルセイロを相手にいとも簡単にヒール・ホールドを極め、会場を沸かせた。

優勝を飾った翌日、負けた腹いせに大勢の仲間を引き連れて来たマルセイロに出くわす。
王子の専属コーチを解雇されたという恨み言をぶつけられたがスルーし、仲間たちもろとも拳が返り血で染まるほど徹底的にブチのめした。
白昼堂々街中で乱闘騒ぎ起こして大丈夫なんスかね

ハイパー・バトルの本戦に南米代表として出場するため、王子からの格闘技のコーチのスカウトを蹴ってニューヨークへと飛び立つ。
到着後、ニューヨークで名の知れた柔術家リコ・フェルナンデスの道場を尋ね、彼と手合わせして右足の腓骨と靱帯を破壊した。


VS. 朝昇

リコがう が あ あ あ あ(PC書き文字)と叫んで床を転げ回っている現場に丁度キー坊と朝昇の二人が現れる。
ジェットがリコを破壊してしまったのは不可抗力だと説明するミスター・サクラに対し、「骨と靱帯を不可抗力で同時に破壊できるわけがない」と反論してジェットに詰め寄るキー坊。
しかし朝昇がキー坊を制止し、尊敬するリコの敵討ちのために勝負を挑んでくる。

朝昇から勝負を挑まれても口を開くどころか表情一つ変えない態度に怒るキー坊に、ミスター・サクラはジェットが聾唖であることを告げる。
更に、悲鳴が聞こえないため意思表示(タップ)をしなかったリコが悪いと嫌味を言うが、朝昇は構わずジェットの脚に蹴りを入れて試合開始を促す。

膝蹴りを顔面に食らいつつも、早速ジェットの左脚を捕まえて膝靱帯を壊しにかかる朝昇。
ジェットも朝昇の鮮やかな関節技に即座に対応してアキレス腱をとったことにより、そのまま足関節の極めっこに突入する。

(格闘技なんて甘い世界)
(血を流したり骨を折ったり痛みはあるが生命(いのち)までは奪われない)
(甘い世界だ)

キー坊の忠告を無視して関節技で勝負をかける朝昇のアキレスをねじりきり、アキレス腱が断裂した音と朝昇の悲鳴が道場に響き渡る。
ジェットにはどちらも聞こえなかったが、彼の様子を見て勝負は決したと判断してブレイク。
そして「格闘技というコミュニケーションを通してお友達(●●●)になってやってもいい」と喧嘩を売るキー坊に手話で(ハイパー・バトルで本気で戦いたい)と伝え、ミスター・サクラと共に道場から立ち去る。

ちなみに朝昇はアキレス腱が切れたような音を意図的に出してやられたフリをしていただけだった。
ジェットは音が聞こえないからミスター・サクラを騙すために音を出したと考えられる
ジェットも(何も聞こえない)と明言しているので、猿先生がジェットの聾唖設定を忘れていたとかじゃないはず……多分


ハイパー・バトル第一回戦

ハイパー・バトル第一回戦直前に鬼龍と接触し、彼と出会ったストリート・チルドレンの頃を思い出す。

始まった第一回戦では、立ち技世界一とも言われている“ボーン・クラッシャー”アーネスト・カーマンと対戦。かつて対戦相手を殺害したとも噂される凶暴なカーマンにもいつも通り一切物怖じせず対峙し、試合開始直後に放たれたパンチのラッシュを紙一重で躱していく。
痛烈なボディ・ブローを脇腹に叩き込んで肋骨を砕くと共に、目にも止まらぬ早業で“腕ひしぎ逆十字”を極め、カーマンの右腕も骨ごとへし折った。
ぎ ゃ あ あ あ あ(PC書き文字)というカーマンの叫び声も観客の歓声も聞こえない静寂の中、いつの間にかリングの傍らで試合を見ていた鬼龍に忠義を示し、鬼龍も満足したように頷くのであった。


ハイパー・バトル第二回戦

第二回戦の対戦相手はモンゴル相撲の横綱にしてチンギス・ハーンの末裔であるヤム。
しかしヤムからは何も感じない、何も伝わってくるものがないと、いつにも増して冷めた表情をしていた。

試合開始の合図と共にローキックを仕掛け、脚が変形したと錯覚するほどの衝撃を与える。
このたった一発の蹴りだけでヤムの闘争本能を揺さぶり、精神が死んでいなくとも躯が闘うことを拒絶するほどの実力差を思い知らせてしまった。

(たとえあなたがどんな過酷な人生を歩んできたとしても気にもならない)
(ただ一方的に破壊するだけ…)

横綱としての誇りにかけて自分を鼓舞し、無理矢理タックルを仕掛けにいくヤムに対し、ジェットは至って冷静にタックルを捕らえてフロント・チョークを極める。
17歳の頃に両想いだった女の子が、親の決めた許嫁の元へ嫁に行くことになってしまい、涙ながらにお別れをしたというヤムの悲しい過去がここで明かされる。
ヤムにはもはや抵抗する力も無く、そのまま失神K・Oでジェットの勝利。勝っても勝利を称える歓声は聞こえず、達成感も喜びも無いまま第二回戦を終えた。


誓いの龍

キー坊と静虎の壮絶な親子対決の傍らで、鬼龍が狙撃され暗殺される事件が起きる。
後日、ドラゴン・クリフを訪れて鬼龍の残気を探る宮沢親子の前にジェットも姿を現す。

彼らに鬼龍が誰に殺されたのかを尋ねるが、当然二人は知らない。
続けて尊鷹が鬼龍の死に深く関わっているという噂の真偽について問いかけ、(もし真実であれば尊鷹は俺が殺す)と宣言。
その意志を示すように胸に(ドラゴン)のタトゥーを刻み、尊鷹への敵対心を燃やす。
今更なんスけど、もうバトル・キング=宮沢尊鷹ってバレバレっスね

ハイパー・バトル準決勝前の会見でも、次の対戦相手のキクタや決勝で待っているキー坊など眼中に無く、尊鷹(バトル・キング)に向かって宣戦布告をする。

(鬼龍の仇を取る…)
(私にはバトル・キングを殺す使命がある…!!)


ハイパー・バトル準決勝

準決勝は影の大統領ジョセフィーノの私邸“ブラック・ハウス”にて行われることとなった。

前述の通り準決勝ではキクタと対戦。ドーピングによるパワー・アップで準決勝への切符を掴んだキクタだったが、今回は薬に頼らずに闘うことを決意していた。勝つために手段は選ばないと言って堂々と薬を使っていた頃のキクタは荼毘に付したよ
菊多の得意とする寝技に持ち込まれてヒール・ホールドをかけられるが、そのまま上体を起こしてパウンドを食らわせて肋骨を折る。

試合開始直後のジェットの拳を掠めた頬からの出血多量によりレフェリーが試合を一時停止し、その間に立川博士からドーピング薬“ネオ・タチカワ・スペシャル”を打てと命令されるキクタ。
フェアな戦いのために薬の使用を拒否するが、立川博士に無理矢理薬を打たれて怪物ハイパー・キクタへと変貌する。

試合が再開され、ジェットが折れた肋骨目掛けて鋭いミドル・キックを放ったものの、キクタの脇腹が異常な大きさに肥大した筋肉によって膨らみ、キックの威力が殺されていた。
あらゆる攻撃も全てこの“マッスル・シールド”によって防御され、腕の筋肉を強化したマッスル・パンチを受けてダウンしてしまった。

地獄から這い上がってきた者の強さを見せてみろ…

鬼龍の幻影からの言葉を受け、満身創痍になりながらも不屈の闘志で立ち上がるジェット。
しかし腕十字も起死回生の一撃も全てマッスル・シールドで防がれ、ハイパー・キクタの脅威の筋肉を前に劣勢になっていく。
対照的にドーピングによって圧倒的な力を得たキクタは偽りの自信を得て、「神にも負けない」と意気揚々とジェットに襲い掛かる。な…なんだあ キクタがいともあっさりと薬に吞まれているっ

追い詰められてもなおジェットは立ち上がり、目で追えない速度の打撃“霞突き”によって反撃に打って出る。
不可視の攻撃に反応できずマッスル・シールドが追い付かないキクタは次第に焦り始め、ネオ・タチカワ・スペシャルの許容時間も近づいたことで、さっきまでとは逆にキクタが追い詰められる。

動きが鈍くなってきたキクタの攻撃に次第に対応し始め、グランドでの戦いも優位に進めていく。
そしてネオ・タチカワ・スペシャルの副作用で筋肉ダルマになって動けなくなったキクタの側頭部にハイ・キックを叩き込み、ついに逆転勝利を掴んだ。

なおハイパー・キクタは、ギリギリのところで博士に抑制剤を打たれて一命をとりとめた。*5
試合後、ジェットとの決戦を望むキー坊からの握手に応え、翌日の決勝戦に備える。


ハイパー・バトル決勝

決勝戦ではついにキー坊と激突。準決勝と同じくブラック・ハウスの特設リングが舞台である。
ジョセフィーノが怪しいニヤケ面で二人を眺め、格闘技史上最低最悪のファイターと言われマフィアとも深い繋がりを持つ悪党のファビアノ・ゴエズがレフェリーを務めるという異様な雰囲気の中、試合は開始された。

キー坊の攻撃を受けつつステルス・コンビネーションで反撃し、キー坊が攻勢に移る暇もなく次々と正拳やキックをヒットさせていく。その攻めの姿勢にキー坊はまるで鬼龍と闘っているかのような錯覚に陥っていた。
ジェットが攻勢に見えたが、連撃の隙間を縫ってキー坊が偶然放った幻突を受けてダウン。
ダイビング・パウンドで追撃してくるキー坊と、腕十字による反撃を狙うジェットでハイ・レベルな攻防を一瞬にして行い、お互い心身共にヒート・アップしていく。
その最中、キー坊はT・D・K決勝で激戦を繰り広げたライバルにして鬼龍の遺伝子を継ぐガルシアの面影をジェットと重ねていた。

ジェットが怒涛のラッシュで攻め込んでいると、突然レフェリーのゴエズが試合を中断し、重傷を負ったわけでもないキー坊にドクター・チェックをし始める。
ドクター・チェックが終わり何事も無く試合が再開されたが、程なくしてまたもやレフェリー・ストップがかけられてしまう。
試合に茶々を入れてくるゴエズにキー坊と読者が苛立ちはじめ、ジョセフィーノの指示で試合の流れをコントロールするためにわざと妨害していることを察する。
ときを同じくして、ジェットも最高の舞台での試合をマフィアのショーにされていることに静かに怒りを燃やし、激しい乱打戦のどさくさに紛れてキー坊と共にゴエズとの距離を縮めていく。

「いくでジェット!」

パ パ ァ ン とキー坊とジェットの2人が同時にゴエズの側頭部と腹にキックをフラストレーションが溜まった分思いきり叩き込みうっかり誤爆してしまい、ゴエズはリングに沈んだ。

「これで邪魔者はおらん」
「思いっきりやりあうでっ!!」

喜び勇んでジェットに飛び掛かるキー坊。迎え撃つジェットの顔にも笑みが浮かんでいた。

竜虎相搏つ

レフェリー不在の中、攻撃と防御が目まぐるしく変わっていく接戦がリング上で展開されていく。
すると、どこからともなく尊鷹(バトル・キング)が姿を現し、リングに飛びこんできた。それと同時にぶっ倒れていたゴエズが猿空間に送られた。
続けて試合を徒手空拳による果し合い(ノー・ルール)に変更することを提案、制限時間を撤廃してどちらかが戦闘不能になるまで“死合”を続行させると宣言する。
二人ともこれに同意し、オープン・フィンガー・グローブを捨てて素手での戦いに突入した。

キー坊からテイク・ダウンされて少し焦ったが、パウンドを完全に見切り、ポジションを奪いに行く。
キー坊も対抗して“三角絞め”を極め、バトル・キングがシュート・サイン*6を出す。ジェットの激しい抵抗により戦いは場外にまで もつれ込んでいく。
“三角絞め”で失神しかけたものの、バトル・キングへの挑戦を思い出して息を吹き返し、キー坊から再びマウント・ポジションの奪取に成功。
キー坊の両腕を押さえて無防備となった顔面にパウンドを振り下ろしつつ、目の前にいる尊鷹(バトル・キング)に何故か得体の知れない違和感を持っていたところ、なんともう一人の尊鷹(バトル・キング)が現れる。

元からいた方の尊鷹(バトル・キング)がマスクを外そうとした瞬間、後から来た方の尊鷹(バトル・キング)が飛び蹴りで一蹴、
そして結局元からいた方のマスクを剥ぎ取るという謎の展開にジェットも理解が追い付かなかったのか、そっちに注目して普通にキー坊の拘束を解いてしまった。いいんスかこれ
するとマスクを剝ぎ取られた方は、さっきまでの堂々たる態度とは打って変わって急に慌てふためき、鬼龍に雇われて尊鷹(バトル・キング)を演じていたことを告げ、その場にいた全員が荼毘に付されたはずの鬼龍がまだ生きていたことを知る。

偽バトル・キングの下りが片付くと、本物のバトル・キングがレフェリーを引き継いでリング上で試合が再開。
満身創痍のキー坊をサンド・バッグのように袋叩きにして勝負をかけに行くが、キー坊の起死回生の“菩薩拳”がクリーン・ヒットし、ドラゴンのタトゥーの上に菩薩の痣が浮かび上がる。なんで実況は公の場で使われていない菩薩拳知ってるんスかね ふうん実況は猿先生ということか

菩薩拳の直撃を受けてリングに仰臥するジェット。丁度そこに地獄から舞い戻った鬼龍と麻薬製造工場から戻ってきた静虎が試合会場に現れ、猛者たちが一堂に会することとなった。


決着

鬼龍の姿を見て、鬼龍の前で無様な闘い方は見せられないと再び立ち上がり、キー坊との熾烈な殴り合いが展開される。
その傍らでキー坊の母・熹恵との関係について鬼龍に問い詰める静虎。
鬼龍は「熹一は俺の子じゃない 俺の子はジェットだ」と答え、熹恵とはパリで会っただけだと言う。

試合はジェットが依然優勢を保ち、キー坊が血反吐を吐くまでに容赦なく鉄拳を打ち続ける。
しかしキー坊は眼窩底と肋骨が折られようとも持ち前のタフネスを発揮し、なかなかダウンしない。
静虎曰く徐々に弾丸滑りで対応できるようになっており、見た目ほどダメージは大きくないらしい。

「悪いのォ ワシはメチャクチャタフなんや」
なにっ タイトル回収っ
ジェットの右ストレートを弾丸すべりでいなしつつ塊貫拳によるカウンターを放ち、ジェットはリングに崩れ落ちる。

「立てジェット 父親の前で醜態をさらすな」

「俺の血を引く者がマットの上でだらしなく寝ている姿など見たくもない」という鬼龍の言葉を聞き感じ取り、立ち上がってキー坊へ決死のタックルを仕掛ける。
そして涙を流し、雄叫びを上げながら力の限りパウンドをキー坊の顔面に叩き込む。
鬼龍の息子であることを確信し、彼の遺伝子の“強さ”を証明するために生まれてきたのだと、今までずっとわからなかった“この世に生まれてきた意味”を噛みしめていた。

(自分の人生を呪ったこともある)
(しかし今は全てを肯定できる)


(全てはこの日のためにあったんだ)
(悪魔の宿命を全うするために)

魂をこめた最後の一撃を放つが、その一撃は再び弾丸すべりで受け流され、全力の塊貫拳を打ち込まれる。
ジェットの背中が破裂したように表皮が吹き飛び、鮮血が飛沫のように飛び散った。
静虎が最も得意とする“弾丸すべり”、尊鷹が生み出した“塊貫拳”を鬼龍から伝授される。まさに唯一宮沢三兄弟全員から影響を受けたと言えるキー坊の前に、ジェットは完全に停止した。

ハイパー・バトルを制したのは灘神影流の若き当主…
宮沢熹一だぁっ!!

程なくして目を覚ましたジェットは敗北を認めることができず、満身創痍の体で熹一に殴りかかる。
しかしバトル・キングに止められ、キー坊からももう体中がボロボロで戦えないから勘弁してくれと健闘を称えられる。

「もうお前とは二度と闘りたぁない…」

(もう一度闘ろう)

「だからもうお前とは闘りとうないって…」


新たなる旅立ち

キー坊と肉体言語で語り合い、家族の存在を知って満足するジェットだったが、ふと鬼龍の方を見ると銃を構えたマフィアに囲まれていた。
鬼龍は構わず武装したマフィアを一掃し、ついでにずっと抱えていたジョセフィーノの首をへし折る。だが倒れたマフィアの一人が鬼龍に銃口を向けて発砲する。

気づいたときにはジェットの体は鬼龍の前に立ちふさがって盾となっていた。
ようやく得られた家族の“絆”を、彼は身を挺して庇わずにはいられなかったのだった。


ジェットが目を覚ますとそこは荒野で、目の前には巨大な地獄門があった。
門が開き、吸い込まれるように門の方へ歩いていくジェット。
後ろから聞こえるはずのない誰かの呼び声が聞こえたような気がしたが、彼は満足したように微笑み、自らの足で門の向こう側へと歩いて行った。


キー坊が必死に出血を手で押さえて呼びかけるが、銃弾はジェットの喉を貫いており、静虎が救助を試みるまでもなく即死していた。
鬼龍はクソFBIのブライアント捜査官に責め立てられても悪びれるどころか「ジェットは望んで俺の犠牲になった」「親のために死ぬことを喜びとさえ感じていたはずだ」と、ドヤ顔で語る。
薄情で傲慢な態度の鬼龍に怒るキー坊だったがその怒りを飲み込み、満足そうな顔をして逝ったジェットを見て鬼龍のために死ぬことは彼にとって確かに本望だったのではないかと鬼龍に伝えた。


その後、宮沢一族の身内として手厚く葬られ、キー坊・静虎・ジイチャンによって葬儀が行われた。そこへバトル・キングこと尊鷹も覆面をつけたまま姿を現し、ジェットの墓に花を手向けて手を合わせる。
そして葬式に顔を出せというキー坊の説得に「葬式なんて退屈で馬鹿馬鹿しい(意訳)」「ジェットは生きているから俺の息子だった」と言って応じなかったはずの鬼龍も現れる。
いつになく暗い表情でジェットの墓に触れ、キー坊に対して「当主の顔を立てるために来てやった」とツン・デレ全開の言葉を吐く。

さっさと鬼龍が墓地から去り、続けて尊鷹、最後にキー坊・静虎・ジイチャンの三人も立ち去っていく。
無人となった墓地に佇むジェットの墓石にはKIRYU’S SON(鬼龍の息子)と刻まれていた。


TOUGH 龍を継ぐ男

新たな鬼龍の息子である龍星をガルシアやジェットに重ねたNEOキー坊によって言及される。
なんでもジェットもまた鬼龍及びその遺伝子を継ぐ者が発症する疾患「バースト・ハート」を発症しており、ハイパー・バトルの時点で既にボロボロだったらしい。後付けを超えた後付け
キー坊曰く「もしバースト・ハートでなかったのなら自分なんて一発でやられていたかもしれないとのこと。
また、幽玄等の強敵と相対した後の今でも「もう二度と闘いたくない」と思わせられたのはジェットだけとのこと。


【関連人物】

  • 宮沢鬼龍
ジェットの実父にして救世主。
わざわざストリート・チルドレンだった彼を救出したうえに武術を指導しており、養家を出るまで完全に放置されていた龍星や、本当に世話をしたのか分からない姫次、そして頑なに息子として認めないガルシアたちなど、他の息子と比較しても特に目を掛けられていたことがわかる。
しかしスラムから救出しても、ほとんどの世話は知り合いに押し付けて半ば放置するなど相変わらずネグレクト。
スラム街でストリート・チルドレンになったのも、命を落としたのも元を辿れば鬼龍のせいなんだ。鬼龍さん…あなたはクソだ

  • ミスター・サクラ
ジェットの付き人として同行していた日系人の男性。ブラジルのリオデジャネイロでサクラ・トータルファイトアカデミーという格闘技団体を運営している。
鬼龍と知り合いのようで、サンパウロで救出したジェットの面倒を見るように頼まれた。
鬼龍が「俺の息のかかった格闘技ジムの経営者の養子にさせた」と語っているが、ミスター・サクラが養父になったのかは明確にされていない。
一見すると嫌味なだけの男に見えるが、半ギレ状態のキー坊の一撃を躱すなど、格闘家としてそこそこの腕前を持っていると考えられる。

  • エマ
かつてのジェットの恋人。ジェットは彼女を心の底から愛していたが、実はジェットと親しかったオッサンの愛人であった。
親切にしてくれた知り合いに裏切られ、恋人にも拒絶されたことでジェットは深く絶望し、その絶望から再起するため鬼龍の元で更なる強さを追求していく。
+ ...
これだけならばジェットに哀しき過去……で済む話だったが、彼女が登場する過去回想には所々不明瞭な部分があり、尊鷹の「許せなかった…」の真相やファントム・ジョーがグレート・オルカを破壊した理由などと同じくタフ七十不思議の1つとされている。

主に“エマはなぜジェットを撃ったのか/泣いていたのか”という部分を中心にこじつけ考察がなされ、一部のマネモブ(タフ・スレの住人やタフ・ファン)の間で以下のような説が浮上している。

  • エマは鬼龍の言葉通り本当にオッサンの愛人で、ジェットに同情したオッサンに頼まれて上っ面の彼女を演じていた。あのときは偶然何かしらの口論をしていたか、銃を突きつけられて無理矢理犯されるというイメージプレイをしていただけであり、ジェットを撃ったのは本命のオッサンを殴り倒されてマジギレしたから。
  • エマはメスブタを超えたメスブタで、あの手この手でいろんな男を引っかけていた。ジェットにオッサンとの関係がバレて保身のための演技で泣いていたが、オッサンが殴り倒されて自分もやられると思ったのでとっさにジェットを撃った。鬼龍はエマの正体がメスブタだと知らず、オッサンの愛人だと勘違いしていた。
  • エマは望まずしてオッサンの愛人にさせられ、肉体関係を迫られていた。そしてエマをレイプしたと勘違いしてオッサンをぶっ飛ばしたジェットに「次は自分かもしれない」と恐怖して撃った。ジェットは耳が聞こえないためその事が分からず、言葉を話せないためエマを心配する気持ちを理解してもらえなかった。
  • オッサンにレイプされて男性に対する恐怖心を植え付けられたため、近づいてきたジェットも反射的に拒絶してしまった。鬼龍は真実を知っていたが都合よくこれを利用し、ジェットの精神を追い込むためにあえて嘘を吹き込んだ。
  • 回想における鬼龍の怪しい言動から考えて、ジェットに絶望を与えるために最初から全て鬼龍が仕組んだことであり、エマとオッサンは鬼龍に雇われた役者だった。しかし鬼龍の脚本や演技指導が適当だったせいで不具合が生じてしまった。

他にも説はあるが、どんなに頑張ってもどこかしら不自然になるんだ。
そして最後は「猿先生何も考えてないと思うよ」「タフで真面目に考察するマネモブってバカみたいじゃないですか」で片付けられてしまうんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ。


  • エドガード・C・ガルシア
同じく鬼龍の遺伝子を受け継いだ男。『TOUGH』の時点で既に故人。
遺伝子上は鬼龍の子ということで、ジェットと顔立ちや雰囲気など似通っている部分がある。
手合わせをしてジェットの高い実力を思い知ったキー坊は、世界規模の格闘技大会の決勝戦というシチュエーションも相まってガルシアを思い出し、ジェットが鬼龍の実の息子だと知る前から二人の面影を重ねていた。

  • ジェットの母
名前は明らかにされておらず、ジェットが物心つく前にブラジルで不慮の事故により死去している。
鬼龍とはフランスのモンマルトルで出会い、将来を嘱望されたデザイナーだったとのこと。


【余談】

初登場時はモブっぽい地味な顔だったが徐々にイケメン化していき、ハイパー・バトル準決勝の頃には道元から男前と言われるくらいに端正な顔立ちになっている。ついでに決勝では中継を見ているメスブタ女性たちから画面越しに黄色い声援を送られている。
登場当初はものすごい悪人面だったが、いつの間にか顔の傷跡が消えて茶目っ気のある顔立ちになっていったヨッちゃんなどの前例もあるので、“タフではよくあること”と考えられる。

猿先生がグランド・ジャンプ・むちゃで短期集中連載として執筆した『エイハブ』の第一話見開き巻頭カラーページにおいて、『TOUGH』の単行本第26巻の表紙に描かれているジェットの顔が流用されている。*7
やっぱし怖いスね猿先生のコピ・ペは



(鬼龍の言うことは嘘ではなかった)
(有難く…追記・修正する!!)


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最終更新:2024年02月20日 19:06

*1 よって彼の台詞はほぼ全てモノローグか手話となっている。

*2 なんとなく察してはいたが確信はしていなかった様子

*3 このストリート・チルドレン狩りはブラジルの「カンデラリア教会虐殺事件」がモデルだと考えられる。“死の部隊”という名称もこれから出ている。

*4 他の仲間たちは逃げきれなかったようでジェットが“死の部隊”に取り囲まれたときにはすでに全員射殺されていた

*5 ジェットのハイ・キックによって脳震盪を起こし、筋肉が弛緩されたおかげで抑制剤を打つまでのわずかな時間を稼ぐことができた。

*6 技の形が決まったときにレフェリーが出すサイン

*7 前髪と顎髭が若干変化しているが、ほぼそのまま再利用されている。