ドラッツェ(MS)

登録日:2023/05/11 (木曜日) 14:23:00
更新日:2023/09/12 Tue 10:12:56
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ジュッテか!?

ドラッツェとは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』などに登場する簡易量産型MS。
デザイナーは明貴美加。



性能

DRA-C
型式番号:MS-21C
所属:デラーズ・フリートアクシズ袖付き
開発:デラーズ・フリート
生産形態:量産機*1
全高:29.8m
頭長高:29.8m
本体重量:23.9t
全備従量:49.0t
ジェネレーター出力:596kW
推力:117,500kg
主動力:熱核融合炉
装甲材質:超硬スチール合金
センサー有効範囲:10,900m 18,800m(袖付き機のみ)


概要

ドラッツェは、デラーズ・フリートが独自開発した宇宙専用の簡易MS。
……そう、MSなのである。なので型式番号には『MS』が付くのだが、脚が無く、どちらかと言えば『MA』に近しい。
肩部には丸い燃料タンク兼スラスター・ポッドを備え、頭部は高機動対応型として新造された物で真上も向けるようにモノアイが改造されているなどかなり形状が違っているが、
一応ザクⅡF2型をベースにしている。

その実態は新規開発というよりも既存品転用のミキシングビルド機であり、ザクⅡの胴体(破損したり、組み立てが間に合わなかった物)・腕部をベースに、
背部バックパックはガトル宇宙戦闘爆撃機のメインスラスターを加工したもの、脚部もガトルのブースターを用いた燃料タンク兼スラスターに、ショルダーアーマーのフレームやジョイントとジッコなどの球形スラスターを流用した肩部プロペラントタンク兼スラスターポッド*2、シールドは戦艦の装甲を転用など、ありとあらゆる部分がリサイクル品で成り立っている。*3
だが当時のデラーズ・フリートは資金と戦力と物資のどれもが不足している状態だったため、あり合わせの備品やジャンクパーツを使った急拵えの機体でも戦えるなら大歓迎されたのである。

実際のスペックは、AMBAC作動肢の大半が使えないので旋回性能及び運動性が著しく低く、それを補うための肩部スラスター・ポッドも慰め程度の効果しかない。
一方で直線での機動性だけは優秀なようで、リック・ドムⅡに匹敵する加速力はある。
MS相手では流石に厳しいが、反面モビルポッドや航宙戦闘機に対しては優位を取り易い特性もあるので全く戦力の頭数に入らない訳でもない。

デラーズ・フリートでは累計30機ほど製造され、デラーズ紛争にて運用された。
紛争終了後も、アクシズへ合流できた機体、そして袖付きへ流れついた機体など細々とではあるが残存機が歴史を歩んでいるのが確認されている。


武装

  • 3連40㎜バルカン砲
右腕前部に取り付けられた固定武装。
機関部・マガジン・センサーなど必要部分を腕部装甲と一体化させているため、マニュピレータ―が存在しない。
三連装の砲身は見た目は単装砲に見える様なシーリング加工が施されている。

  • シールド
左腕部に装備した盾。シンプルな造形ながら戦艦の装甲を転用したので強度が高い。

シールド裏に固定接続された武装。
本来ザクⅡの融合炉では出力不足で使えないのだが、本機ではシールド裏に専用小型ジェネレーターとエネルギーCAPと冷却装置を増設して半ば強引に運用している。

  • シュツルム・ファウスト
手持ち式の使い捨ての無誘導ロケット推進弾。媒体によっては装備している。


劇中の活躍

機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY

OVA第9話より登場。コンペイトウ宙域で哨戒任務に就いたGP01フルバーニアンと交戦する。
優秀な機動性で肉薄しビームサーベルで攻撃しようとしたが、ビームジュッテにより防がれ逆にビームサーベルで胴体を斬られて撃破された。

その他にも細々と出撃している様子が描かれ、バランスを崩した拍子にモンシア機のジム・カスタムと衝突して片腕を吹っ飛ばす様子も見せた。

機動戦士Ζガンダム A New Translation

星の鼓動は愛編にて、アクシズ合流機が登場。塗装がグレーに変更されているが、直接の戦闘は無し。


派生機

ドラッツェ改

ピクチャードラマ『宇宙の蜻蛉2』に登場した派生機。
肩部スラスター・ポッドを三連三角配置の宇宙突撃艇用スラスターに換装している。それにより機動性が低下したが、加速性能に優れているという。
右腕部も通常のザクⅡマニュピレータ―に差し戻され、ザクマシンガンなどザク規格で使える手持ち携行武装が使えるようになった。

ドラッツェ改(重装備型)

Web企画『アナハイム・ラボラトリー・ログ』に掲載された機体。
ドラッツェ改にさらなる武装追加を施した機体で、アクシズ内部で運用された。
右腕部は別形式の腕に装着して手でグリップ保持もするガトリング砲を採用し、左腕シールドの表面にシュツルムファウストが2発追加。
なおシュツルム・ファウストをシールド表面に装着した為シールドからは防御機能は失われたとされている。
多分、やろうと思えばシュツルム・ファウストを使い切った状態でシールド機能は戻るのだろうが今度は逆にシュツルム・ファウスト装着機構が破壊されるリスクも発生する為
シールド機能は失われたという事にして安全性や整備コストを改善する方向に舵を切ったのだろう
脚部スラスター・ポッドにザクⅡ用の三連装ミサイルポッドを2基ずつ計四基装備している。
これにより機動性が大きく損なわれたが、火力面ではやっと当時のMSと渡り合える程度になったらしい。

ドラッツェ(袖付き仕様)

機動戦士ガンダムUC』に登場。
衛星パラオでの交戦時に、袖付き所属機体が登場。
カラーリングがピンク色に変更され胸部と左腕に装飾が施されている。
機動力の高さと換装された右腕の長銃身ガトリング・ガンのセンサーを利用し、偵察哨戒任務に就いている。

劇中ではユニコーン奪還の為のネェル・アーガマのパラオ攻撃時、二機でデルタプラスに挟撃を仕掛けるが、
いくらなんでもこの時代の新鋭MSにリサイクル品が通用する筈もなく、軽くいなされてしまう(デルタプラスのパイロットが同乗するミネバに配慮したため、それぞれ片腕と脚部スラスターの破壊に留まる)。
他にもう一機出撃していたが、こちらはロトのマシンキャノンで蜂の巣にされ墜とされた。


ガンプラ

殆どの登場シーンがワンシーン程度だったせいか、0083公開当時は当然の様にプラモ化されなかった。まあ当時はこの手の色物機体は大抵ガレージキット送りだったからね……。

それから数十年経ち、遂に2011年にHGUC化された。
特徴的なボディはそのまま再現されているが、自立不可能なせいかスタンドが標準付属している。
また3連40mmバルカン砲は当然だが、通常の右腕が付いてくるので差し替えが可能。
UC版のガトリングガンは模型オリジナルアレンジとして携行装備としてグリップを付ける形にされ、逆に腕部装着用パーツをオミットした形で付属。
シールは肩部スラスター内側の赤色部分やモノアイレール用が付属。
元々脚部は可動域が絶望的なので立体化してくれた事に歓喜する人が多く、実際ドラッツェは再販の度に売り切れが続出する人気キットとなっている。
まあ流石にHG系スケールなので内蔵着陸脚など一部のギミックは省略されている。

袖付き仕様は2012年にプレミアムバンダイ限定でキット化。
胸部と両前腕が新規造形。通常版とは逆にグリップパーツ(とザクタイプの右腕)は削除されているため手持ちは不可な代わりに
右腕一体化装着用パーツが付属し特徴的なガトリングガンを再現できる。

ドラッツェ改は2016年にプレミアムバンダイ限定でキット化。
ザクⅡF2型の握り手とその付近のランナーが流用された都合上F2型の武装パーツの一部が付属する為、プレイバリューに長ける。
新規造形の肩部大型スラスター内部の赤色部分のシールは付属しないため、再現するには塗装が必要。


ゲーム

スーパーロボット大戦シリーズ

第3次スーパーロボット大戦に登場。DC兵が乗るザコ機体。
脆く火力も低くゲーム雑誌の紹介でも「ザクより弱い」と言われる始末。運動性が存在しない作品でもあり機動力も活かせない。シールド防御も当時存在しない。
それ以降の出番はなかったが、第3次Zで袖付き仕様として21年ぶりに登場。でも最弱クラスの雑魚敵なのは相変わらず…

ギレンの野望シリーズ

ジオンの系譜やアクシズの脅威など、一年戦争以降も取り扱うナンバリングで登場。

ビームサーベルを持っているためか、MSの必要技術レベルが高い。
移動力が8と量産型のわりに高いので補給線の確保などには使えるのだが、元々スクラップのリサイクル系なためか耐久力がこの時期のMSにしては低いので、
実弾系が増えてくる同時期の連邦系を相手にするのは少々無謀。

さらに言えばジオン系は最終的には地上(ジャブロー)に侵攻せねばならないので、宇宙専用のこいつを作りすぎても困る。

バトルオペレーション2

2023年5月現在まで3機が参戦。全体の傾向として低耐久およびデカいヒットボックスと引き換えに宇宙専用故の高い機動力と攻撃性能を誇る。
ドラッツェは2018年10月にコスト200の強襲機として実装。
最低コスト帯ながらにスラスター性能・宇宙戦用スキルは標準以上のものがあり、射撃・格闘もそれなりに申し分ない。
格闘連撃こそできないが下格闘が高威力高判定と長距離に伸びる突きなので非常に使いやすい。
ただ旋回性能が劣悪なのと、ヒット判定が長く伸びている脚部部分まで付いているので被弾リスクが高いのが懸念点。

ドラッツェ改はコスト250の汎用機で参戦。
射撃補正偏重という思い切った仕様で、ガトリングやシュツルムファウストによる中距離戦は得意。格闘もドラッツェ由来のものを揃えている。
高速移動の加速力は上位コスト帯並の数値があり、宇宙の縦横無尽に飛び交う戦場地形では移動時間が短く済むためやりやすい。
一方で旋回性能も劣悪で、防御補正も並程度しか持たないため非常に打たれ弱い。奇襲と恒常的な攻撃性能に特化しすぎた代償だろう。

ドラッツェ改(重装備型)もコスト300の支援機で参戦。
支援機としては機動力と格闘のリーチに優れ、射撃手数もそこそこ。
長射程で弾数が多いガトリング、シールドに装着されていて取り回しがいい2連シュツルムファウスト、追撃用に使える脚部ミサイルポッドと一つ一つが優秀。
さらにガトリングはドラッツェ改用ガトリングもしくはヅダなどが装備する135mm対艦ライフルに換装可能。
特に対艦ライフルは大よろけで強襲機からの自衛にも使える。
相変わらず低耐久なので強襲機に攻撃されたらすぐ溶ける。その前に持ち前の機動力で逃げつつ射撃していくのが基本戦法である。


SDガンダムGジェネレーションシリーズ

初代から参戦。設定通りにガトルを用いる設計で作れる事も多い。
機動力に特化している分、攻防両面で性能が低すぎる。その上武装も貧弱。
更に開発及び設計による進化の系譜もいきなりの袋小路になっている作品が大多数を占める。
なので味方チームとして使うのは一年戦争期ステージであっても厳しく、敵として出てきても大した脅威にならない。
ダメ押しに宇宙専用かつサブフライトシステムも使用不可なので出せるステージすら限られる。もし愛着があって使うようなら修羅の道。

ガンダムバトルシリーズ

『クロニクル』~『アサルトサヴァイブ』に参戦。
連邦軍(0083)の場合は最弱クラスの雑魚。
デラーズ軍では宇宙に上がるタイミングで入手。移動速度はあるが、如何せん火力も耐久力も頼りにならず、ゲルググMまでの繋ぎとしてもビッター専用ザクの方がマシな趣味機体。]

機動戦士ガンダムUC(PS3)

UC冒頭からラプラス跡戦までを描いた、プレイヤーがドラッツェを操作可能な数少ないゲーム。
設定通り機動力は高いが武器がサーベルとガトリングのみも火力が貧弱、そして耐久もやや低いといった一撃離脱前提の機体。
本作品の溶断演出もあり、辻斬りプレイでは中々。

性能をフル強化して手持ち武器をビームマグナム等に換装すれば量産機でもそこそこ戦えるこのゲームですら、機体の構造上ライフル等を持たせられない為、完全に固定武装で戦う必要がある。
MS相手ならまだしも、戦艦を沈めるとなると僚機に任せるしか無く、自分で沈めに行くとかなり苦行になる…等々縛りプレイとしても怪しい、最早ファンサクラスの代物。
コイツに乗っていたパイロットがどれだけ苦労していたかが身に染みる。

余談

肩部の丸い燃料タンク兼スラスター・ポッドだが、その形状から水星の魔女に登場するチュアチュリー・パンランチシニヨン(お団子頭)*4のようだと話題になった。

そのため彼女専用のデミトレーナーに付けてよりそれっぽくしたり、逆にドラッツェのカラーリングをピンクにしてチュチュ専用ドラッツェのようなガンプラを作るユーザーが散見された。
寄しくも地球寮も台所事情が厳しく、デミトレーナーも旧式のミキシングになっているという不思議な共通点があり、妙な親和性を感じさせる。




追記・訂正はアクシズ部隊に合流した者のみお願いします。


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最終更新:2023年09月12日 10:12

*1 純正ではなくミキシングビルド形式

*2 一部の者が「あんな被弾し易い部分が燃料タンクな筈ない」と主張しているが一部設定画に燃料供給ケーブルが繋がっている事が記されており燃料タンクも兼ねているのはほぼ確定。そもそも被弾率に関してなら脚部タンクも大して変わらない。

*3 ただし、頭部に関しては新造らしい。

*4 当然ながら燃料タンクやスラスターではない