悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~

登録日:2024/01/21 Sun 23:25:00
更新日:2024/04/09 Tue 15:02:55
所要時間:約 4 分で読めます




転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢

レベル上げに興じていったらうっかり世界最強に

悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~』は、七夕さとりによるライトノベル作品。
小説家になろう」にて2018年6月から連載され、2019年5月からKADOKAWA(カドカワBOOKS)により刊行されている。
既刊6巻。

【概要】

なろう作品ではすっかり市民権を得ている「悪役令嬢」ものの作品の1つである。
本作の主人公であるユミエラは、原作ゲームでは裏ボスのような扱いであったのだが、転生してゲーマーだった前世の記憶が蘇り、いかにゲームの主人公たちから討伐されないようにするか努力するところから始まる。しかし、その努力の方向性が間違っていたことから、とんでもない方向にゲームのキャラたちを巻き込んでしまうことになる。

イメージとしては悪役令嬢ものを広めた転生ものに近く、主人公のズレっぷりとラブコメ要素が見どころ。
違いとしては、本作の主人公の性格といったキャラクター性とレベル上げをし続けたことによって、最強格の力を手に入れてしまったところである。
RPGでダンジョンを進めるよりもレベル上げにどっぷりハマってしまったプレイヤーあるあるが本作の根幹の設定として機能しているとも言える。

メディアミックス展開として「のこみ」によるコミカライズ版が2020年5月より「B’s-LOG COMIC」より連載されている。(既刊3巻)
さらに2024年1月より寿門堂によりテレビアニメ化された。
メディアミックスに当たっては小説版も含め、後発ほど雰囲気がコメディ寄りかつマイルドになっていると作者自ら言及しており、中には設定が変化しているキャラもいる。

【あらすじ】

乙女ゲーム『ヒカユウ』(光の魔法と勇者様)の悪役令嬢・ユミエラに転生してしまった主人公。
実は、ユミエラは魔王を倒したあとに登場する裏ボスで、
レベルをカンストしていないと倒せないほどの強大な存在だった。
しかし、ただ倒されるだけの存在ではいたくはない。
そう考えたユミエラは、ゲームのストーリーに干渉しないよう、目立たず生きていこうと決意するが、
ゲーマー魂に火が付いて思わず自身のレベルを99まで上げてしまった。
その強大な力のせいで、周囲の人々から「魔王」と疑われることになってしまう。
平穏な学園生活を望むユミエラが手にする未来とは――?
(アニメ公式HPより引用)

【キャラクター】

  • ユミエラ・ドルクネス
CV:ファイルーズあい
本作の主人公。
原作ゲームの「ヒカユウ」では悪役令嬢であり、本編クリア後のやりこみ要素では裏ボスとして君臨する存在。
闇属性魔法が使えることや闇属性を司る黒髪を有していることから、黒髪忌避の激しい王国において使用人やクラスメイトを始めとする周囲とは距離を取られてしまっていた。
果ては両親からも疎まれており、両親が領地をずっと離れているのもあり一切顔を合わせたことがない。

その正体は日本のゲーマー女子大生が転生した姿。いわゆる廃ゲーマーでもちろん「ヒカユウ」もプレイ済み。
あらすじ通り討伐されることを回避するためにストーリーにかかわることを避ける方針であった一方、自身が裏ボスであると気づいてからは誰よりも強いそのポテンシャルを最高では?と感じ、洞窟ダンジョンで10年間モンスター狩りによるレベリングに興じていた。
これについてはいざという時は自身が魔王を倒すことも視野に入れていたため。
そしてゲーマーとしての血が騒いだためか「自殺行為」*1ともいえるレベリングの結果、レベル99にまで成長し、今では基本的にあらゆる者を圧倒する最強キャラにまで成り上がってしまった。
無論闇魔法も極めており、ゲームでは魔王と裏ボス以外使用できないブラックホールを生み出すことも可能なレベルにまで強くなっている。

悪役令嬢とあるが、よく見られるような高飛車で主人公を蹴落とすようなキャラではない。
レベリングを行っていない「本来」は力もなく仕方なしにエレノーラの派閥に入って下っ端としていじめの実行犯をやらされていたのではないかとユミエラは推測している。
外観は黒髪で忌避されてはいるが偏見なしに見れば誰もが認める美女。一方で表情筋が死んでいるレベルで感情表現に乏しく、パトリックなど一部の人間を除けば何を考えているのか分からないと言われるような雰囲気をまとっている。
黒髪と闇魔法、レベル99及び数々の蛮行(とそこから尾ひれのついた噂)の評判から初対面の相手とまともなコミュニケーションをとることはほぼ絶望的。
とはいえ内面は結構感情豊かであり、特に小説媒体では一人称視点で話が進むこともあって多彩な反応が見られる。
もっともその実かなりの天然。
頭はよく平時は物事をきちんと整理できるのだが、根本的に思考が脳筋よりでレベル99の能力で押し通せば何とかなると考えている節がある上、先述のレベリングなど後先考えずに行動を引き起こすことが多々あり、その都度パトリックが頭を痛めている。
ゲームなどを通じて剣にあこがれており、訓練で木製とは言え剣に触れた際は嬉しそうだった。

また、漫画とアニメではよく天然な性格が相まってデフォルメされた表情の描写がよく見られるが、とても可愛らしいものになっている。

  • リュー
CV:柳田淳一
ユミエラが依頼を受けてドラゴン退治をした際、発見した卵に闇魔法を注いで生まれたドラゴンの子ども。
この世界では「龍(竜)」という言葉は存在しなかったことから、ユミエラはリューと名付けた。
一晩でユミエラを超える巨体に成長して周囲を驚かせたが、当のユミエラは意に介さない。それどころか卵に魔力を注ぎ続けたためなのか、ユミエラの中で母性が生まれ、ユミエラはリューを心底可愛がっている。

勿論クラスメイトを始めとする周囲は、ユミエラ共々恐れられている。
リュー本体はスキンシップを兼ねて頭からかぶりつく愛情表現(?)をするが、逆効果になっている。


  • パトリック・アッシュバトン
CV:内田雄馬
辺境伯家の出身で、魔物狩りの経験もある少年。
戦闘での指揮能力が高く、クラスメイトたちからの人望は厚い。ユミエラの常識外れな行動に振り回されがちだが、彼女のことを心配する面倒見のいい好人物。
とりわけ対人コミュニケーションが絶望的な彼女にとっては数少ない話し相手の1人になる。こうした光景を見てユミエラにもクラスの話し相手が少しずつ増えていくことになる。

なお原作ゲームの「ヒカユウ」ではモブキャラとして扱われていたため、攻略対象ですらなかった模様。
ユミエラに会うまでは闇属性を司る黒い髪色*1を気にしていたが、同じように黒髪のユミエラに対してシンパシーを感じている節がある。
まあユミエラはあのような性格のためお察しであるが・・・

魔物討伐の実戦演習の際、レベル上げが「効率が悪い」と思って不満を抱いていたが、それを聞いたユミエラが「魔物呼びの笛」で大量の魔物を呼び寄せてしまい、彼を含むクラスメイトは体力と精神力をすり減らしながらも地獄のレベル上げを強いられることになる。
もっともパトリック達地方貴族にとっては戦闘力を上げることも責務のため意外と好評な面もあったりする。
そしてパトリック自身もユミエラに釣り合う人物になるべくレベリングに励むことに。


  • アリシア・エンライト
CV:和氣あず未
乙女ゲーム「ヒカユウ」の主人公。
平民出身であるが、ゲームの世界では貴重な光属性魔法の持ち主であることから、平民階級ながら王立学園の特待生になった。
困っている人を放っておけない心優しい、まさに主人公の王道を行く性格。
設定から考えると同じ乙女ゲームを題材にした某キャラと共通点がいくつかある。

web版・書籍版とコミック版・アニメ版とではユミエラに対する態度が大きく異なる。
前者ではさしたる根拠もなく思い込みのみでユミエラを魔王と決めつけ、激しい敵愾心を燃やしている。
ユミエラにも非がなかったわけではないが、客観的に見ても異常といえる態度をとっており最終的には……

後者ではレベル99という尋常ではないステータスを引っ提げて入学し、闇魔法を行使できるユミエラには苦手意識を持っており、距離をとっている。
というのも闇魔法を使えるユミエラを見ると彼女が黒いオーラに覆われた存在のように見えてしまう*2ことから、おびえてしまっているため。
もっともこちらは本来の善良な性格がピックアップされており、恐怖心に負けずユミエラと対話をしてある程度良好な関係を築けている。


  • エドウィン・バルシャイン
CV:八代拓
「ヒカユウ」の攻略対象キャラ。バルシャイン王国の第2王子。
剣と魔法を両方こなせる魔法剣士。ビジュアル的にメインの攻略対象キャラっぽい印象を受ける。
ユミエラがレベル99であることを信用できず、嘘をついていると考え、学園長をけしかけ彼女を退学へ誘導しようとするが、彼女の見せたブラックホールで認めざるを得なくなった。
もっとも以後もユミエラを敵視し、顔を合わせるたびに嫌味を唱えることが続くが……
以下2人も含め、それまで挫折知らずだったところに強大な力を持つユミエラが現れたことからその存在を認められなかったうえ、プライドの高さから自分が間違っていることも認められなかったという悪循環に陥っていたといえる。


  • ウィリアム・アレス
CV:石谷春貴
乙女ゲームの攻略対象のひとり。王国の将軍を父に持つ大剣使い。
所謂脳筋キャラ。猪突猛進で怒りっぽいが、正義感は強い。

剣術に関しては人一倍努力をしており、王立学園入学前にレベル10に到達している。
ユミエラがレベル99であることは信用しておらず、実習の授業の時に勝負を挑む。しかし、ユミエラには全て動きを見切られ、盛大にずっこけて敗北した。


  • オズワルド・グリムザード
CV:天崎滉平
乙女ゲームの攻略対象のひとり。王国の大臣を父に持つ、クールな天才魔法少年。
基本的には全属性(火・風・水・土)すべての魔法を行使可能な天才。
冷たく見えるが、困っているアリシアをさりげなく助けるなど、心優しい一面もある。

ユミエラに対しては、レベル99であることを信じていなかったが、自分が破壊できなかった鎧を破壊してしまったことでプライドが粉砕されることになる。
なお、ウィリアム、オズワルド共にアニメ版においては武術大会時にユミエラの実力を認める一幕が挿入されている。


  • エレノーラ・ヒルローズ
CV:日高里菜
バルシャイン王国唯一の公爵家であるヒルローズ家の令嬢。
第二王子のエドウィンにぞっこんで、彼に近づく女性たちを牽制している。

原作ゲームの「ヒカユウ」ではエレノーラこそ、他の乙女ゲームで見られるような主人公を貶めるような悪役令嬢的な存在であるのだが、これは周囲がそう仕向けたもので、本来の性格は純粋無垢で素直な性格である。
ユミエラとの出会いで自身の振舞についての考えも改めていくことになる。

なおそれ以降は何かとユミエラにかかわっていくが、当のユミエラは困惑気味・・・。

【テレビアニメ】

2024年1月より放送中。
第1話のAパートはアリシアを主軸にしたヒカユウの世界観の提示を演出する描写が行われており釣りフェイク的な狙いも込められていた。
その後、ユミエラが登場し、彼女視点の物語が始まることになる。

制作は寿門堂。

【主題歌】

  • OP:「LOVEorHATE?」
前島麻由によるオープニングテーマ
誰かに認められなくても前を進むユミエラを思わせる歌。結構カッコいい曲。
  • ED:「好きがレべチ」
エレノーラ(日高里菜)とユミエラ(ファイルーズあい)によるエンディングテーマ。
二人が踊る場面も用意されており、それがとても可愛らしい。



追記・修正は99までレベルを上げてからお願いします。


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最終更新:2024年04月09日 15:02

*1 白に近い灰色。このレベルでも忌避の対象に合うほど黒髪蔑視が強いといえる。

*2 人間どころか下手をすれば化け物にしか見えずに魔王ではないかと疑ってしまった