BEYBLADE X (ベイブレードX)

登録日:2024/03/29 Fri 14:55:16
更新日:2024/04/17 Wed 21:50:33
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もう、遊びじゃない

GEAR SPORTS


♦概要

BAYBLADE X(ベイブレードX)とは爆転、メタルファイト、バーストに続く4世代目のベイブレードシリーズである。

3世代目であるベイブレードバーストの最終商品発売からそう間を開けず2023年3月21日*1に概要が発表され、
その後の5月にはベイやスタジアムの詳細が発表、6月にはコロコロ魂フェスティバルIN東京おもちゃショー2023にて体験会及び先行販売、
7月15日に一般販売がスタートと、発表からの展開は非常にスムーズ。

一般販売の少し前からコロコロコミックで漫画の連載、10月からはアニメの放送も行われており最初からメディアミックスも盛ん。

"ベイブレードはスポーツへ"をテーマにこれまでとは一味も二味も違う新次元のベイブレードであることが強調されており、
子供が楽しめるホビーとしての姿勢は崩さないまま大人にも楽しめるコンテンツを目指している。

全体的に明るくビビットな色使いよりも黒や緑など落ち着いたデザインが多かったり、
シリーズ名が「BEYBLADE X」と英語表記が基本になっている点からもその方針がうかがえるだろう。

爆転からベイブレードのオリジンとカスタマイズ性、メタルファイトからコマの性能をグンと引き上げたメタルブレード、
バーストから革命をもたらしたバーストギミック、と歴代シリーズからそれぞれのいいところを引き継いだ集大成ともいえるシリーズとなっている。


♦ベイブレードXの特徴

・スタジアム・ルール

まず注目したいのは本シリーズ専用の新スタジアム「エクストリームスタジアム」

これまでベイブレードのスタジアムというのは円形で、外周には均等に2~3か所オーバーポケットを配置、
残りはフェンスで囲ってあるというものが基本であった。

今回のスタジアムはその基本を大きく打ち破り、外形は四角。かつほぼ全面をカバーで覆われている。
外周付近には細かい凹凸の付いたレール「エクストリームライン」が設置されており、
このラインの凹凸が後述するベイの軸のギヤと噛み合うことでベイが急加速するX(エクストリーム)ダッシュ」というギミックが本シリーズの目玉となっている。

エクストリームラインはほぼ円形だが上部のみスタジアム中央に向かって急カーブしており、Xダッシュしたベイは中央に勢いよく飛び出すことになる。
その軌道の延長線上にあたるスタジアム下部の1辺のみがオーバーポケットになっており、
特にその中央の6割ほどが「エクストリームゾーン」、残る左右2割ずつのエリアが「オーバーゾーン」と区別される。

バトルは4pt先取制で、エクストリームゾーンに相手を叩き込む「エクストリームフィニッシュ」が3pt
オーバーゾーンに弾き出す「オーバーフィニッシュ」と相手を破壊する「バーストフィニッシュ」が2pt
いわゆる持久勝ちの「スピンフィニッシュ」が1pt

エクストリームラインの存在とこの獲得ポイントの重みによってかなりアタック優位なバランスに作られており、
歴代シリーズで続いた持久最強環境をどうにか改善しようとするメーカーの意図がうかがえる。

それを抜きにしてもXダッシュの急加速とそれによって起こる今までにない衝突のラッシュはメタルの重厚感と合わせて迫力満点。
バトルそのものが派手なので見ているだけでも楽しい。観戦自体がエンタメになるというのはスポーツ化の一要素でもあるだろう。

その激しさから互いのベイがよく吹っ飛ぶが、全面をカバーで覆っているうえオーバーポケットが1辺のみなので
いきなり両者が場外に吹っ飛んで即終了…なんてあっけない展開も起きづらい。

Xダッシュのおかげで、アタックタイプが中央の相手ベイにまともに当たれず外周をグルグル回ってほとんど接触もなく持久負け…という
歴代シリーズでどうしてもありがちだったつまらない展開もほぼ起きなくなっている。

・ベイブレード本体

大部分がメタルでできた接触部分「ブレード」
その直下でバーストギミックの根幹かつベイの高さを司る「ラチェット」
軸先とギヤの付いた「ビット」の3パーツ構成。

ブレードは外周など大部分がメタルで、中央にはビットチップやフェイスのように「ギヤチップ」という丸いパーツがあり、ベイを象徴するイラストが描かれたシールが貼られている。
メタベイのウィールより全体的に凹凸がしっかり出ており、より激しい弾き合いが起きやすくなっている。

ラチェットはブレードに付けて回転方向にカチッと回すことで固定。外周はプラ(PMMA)製で基本的に円形だが小さな突起を持ち、
そこに大きなダメージを受けると固定が外れてバーストする。

また形状が同じでも高さの違うパーツが複数あり、ベイの高さを決める役割も担っている。
低いほどラチェットに攻撃を受けづらい=バーストしづらく、高いほどバーストのリスクは上がるが傾いた際に下に擦りづらく持久面で有利になる。

ビットはラチェット中央の穴に差し込む細長いパーツ。硬いプラ製。先端が軸先でその少し上にギザギザのギヤを持ち、
ここがエクストリームラインと噛み合うことでXダッシュが発動する。

またビットだけが抜けて起こるバーストもあり、ラチェットと干渉する部分の太さでバーストしやすさが決まる。
基本的にディフェンス、スタミナのビットはバーストしやすい。

・その他ギア

ここでいうギとは「装備」の意味の方。
ここまで出てきた「歯車」の方のギとは一貫して区別して表記されている。

冒頭にあるようにベイブレードXのキャッチコピーは「GEAR SPORTS」。
ベイやスタジアムの方の根幹であるギヤだけでなく、スポーツらしく装備や道具、ギアも重要だというダブルミーニングである。

もっとも大事なギアはベイをシュートするランチャーだろう。
今回のベイ取付部はメタルファイト時代のようなシンプルなフック状の爪が3本。

ブレード側にわかりやすく引っ掛ける箇所があり取り付けやすいうえにガタつかない、
シュート前に落下しにくい、シュートの際の引っ掛かりが少ない、と歴代でもかなり優秀。

2024年2月現在「ワインダーランチャー」、「ストリングランチャー」、「エントリーランチャー」の3種類が存在する。

ワインダーランチャーはその名のとおりのワインダー式。今までのワインダー式ランチャーは簡素な入門用といった位置付けで
サイズも小さくパワーも弱いものが多かったが、今回は大人でも握りやすい大きめのサイズ感。
パワーもストリングと差が生まれないようにしているとのこと。
気兼ねなく引ききれることもありこちらの方が強くシュートできるというブレーダーも少なくないだろう。

エントリーランチャーはその廉価版。本体が小さくなっており少々持ちにくいが案外そこまでパワーは落ちておらず、ある程度は戦える。

ストリングランチャーは紐を引いて回し、内部のバネで自動で巻き戻るタイプ。
こちらはバーストのものから大きな進化はないが、やはりシュート毎にワインダーを差しなおす必要がないのは非常に便利。

本体が大きいため外付けのグリップがなくても持ちやすい、引く際の抵抗がワインダーより少なく
シュートコントロールがしやすい等の利点があり、上級者の多くがこちらを使用している。

ただし紐の長さに限りがあるため考えなしに引っ張ると破損する恐れがあり、多少慣れが必要。
それ抜きでも内部の構造が複雑なためワインダー式より壊れやすいなど、欠点もある。

バースト時代のベイロガーに相当するデバイス「ベイバトルパス」もシリーズ初期から稼働している。
ランチャーに取り付けてシュートパワーを測定できるほか専用スマホアプリとのbluetooth連携で様々な機能が利用できる。

スマホアプリではベイコード*2読み取りやバトルパスでのシュート回数計測、
アプリ上での仮想バトルなどでベイポイントを獲得、それを消費してレアベイゲットバトルにチャレンジできる。
そのほか読み取ったベイコードによって自分の所持ベイが登録されていき、一覧が3Dモデル付きで見られるコレクション機能も。

・Xオーバープロジェクト

ブランド名の「X」はそのまま「未知数」「見えない」という意味の「X」や「過激」という意味の「eXtreme」などが込められていると思われるが、公式から明言されている物の一つに「crossover」があり、上に挙げた全ての世代のベイで遊ぶことができ、かつて遊んでいた元ブレーダーにも刺さるようになっている。

初代「爆転シュート ベイブレード」からは基本となる「タイプの相性」や「改造要素」を引き継いでいる。
ベイの中央に丸いパーツがあり、そこにキャラクターが描かれているという点もビットチップがモデルになっていると思われる。
エクストリームダッシュの急加速もエンジンギアのようだし、工具も使わずに組み立て可能という点もらしい。

二作目「メタルファイト ベイブレード」からは上記の通り「メタルブレード」を継承。
ギヤチップのデザインがグラフティー調な点や「直接ぶつかり合う金属パーツ」「高さを決めるパーツ」「軸先」という点から構造上の直接のモチーフにもなっていると思われる。

三作目「ベイブレードバースト」からは「バーストギミック」を継承。
公式インタビューで「バーストギミックの搭載は後付け」とぶっちゃけられているが、その分バーストロック用のスプリングが存在しない為組み立てやすい。
金属とプラスチックの融合というシリーズ中期からのデザインラインの引継ぎも行われていると思われる。

構造の上でのオマージュだけでなく、X(クロス)オーバープロジェクトと銘打って往年の名機体をベイブレードXの構造でリバイバルする企画が発表されている。
プロジェクト発表時点で既にドランザーSの復刻が決定されている。
これらのベイは箱デザインに至るまで全て当時の物を引き継いでおり、ベイ本体も可能な限り復刻前に寄せたパーツ構成となっている。
本格化に先んじて行われた復刻投票でトライピオが爆転部門一位になり、その余りの規格外さで商品化を逃がしたりと珍事も起こった。

♦ラインナップ

・ベーシックライン(BX-○○)

初期から発売のナンバリングモデルで、正統派な性能と銘打たれている。


・ユニークライン(UX-○○)

2024年3月から始まった新たな製品ライン。
ベーシックラインでメタル製だったブレードのランチャーへのフック部をプラ製に変更し、
その分のメタルを外側に配分することで固有に性能に特化したシリーズとされる。

あくまでこれまでの上位互換などではないため、ベーシックラインとも並行して商品展開されている。

ギヤチップはシールのカバーが廃された上でランチャーフックと一体化し、造形が施されているだけの物になった。
シールは直接貼ってあるうえにエクストリームダッシュの際にビットと共に回転する機構もオミットされるなど簡素化が目立つ。
一方でブレードの金属部にはコーティングのようなものがされており、現状全ての機種がメタルコートされているような状態になっているが、初期のメタベイのようにバトルの度に削れて歴戦の個体になっていくので注意。


・その他モデル(BX-00系)

いわゆるレアベイといった特殊なベイや、過去作ベイの復刻モデルが該当する。
キャンペーンやB4ストアなどの限定品も含まれるが、ここでは新規ベイのみ紹介する。


♦余談

タイプの入れ換え

旧シリーズを遊んだことがある人ならピンと来たと思うが、ディフェンスタイプとスタミナタイプの軸先形状の担当は従来と入れ替わっている。
具体的にはこれまでディフェンスタイプのベイは接地面積を稼ぎ安定感を高める為か半球状の軸先が多く、スタミナタイプは摩擦を減らし持久力を稼ぐべく細い軸先が採用されていたが、Xシリーズではこの担当が入れ替わっている。
これはメタベイの「ZERO G」システムと同様にスタジアムがより過激になった事で、形状ごとにそのタイプらしい動きが変化したと思われる。
ちょうど変化したタイプが同じディフェンスとスタミナなのもそれを伺わせる。

モチーフとランチャーフックの関係

各ベイブレードによってランチャーフックの形状は同じ場合と違う場合があるが、よく見るとBXラインの機体はモチーフごとにランチャーフックの形状が揃えられている。

  • アニメ・漫画でチームペルソナが使用した機体
中央に向かって走る線、ランチャー側フックが通るレールの辺りに長方形。
  • 実在する生物がモチーフ(シャークエッジ及びチームズーガニックの使用機)
根元の辺りに丸、その中に六角形。
  • 幻獣がモチーフ(ワイバーンゲイル、フェニックスフェザー及びチームユグドラシルの使用機)
菱形が爪のように二つ重なった形状。
フェニックスウィングのみ例外として外側の菱形が大型化して刃の一部となっている。



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最終更新:2024年04月17日 21:50

*1 ベイブレードの試合開始の掛け声「3,2,1,GOシュート!」に因み、3月21日は「ベイブレードの日」として日本記念日協会に正式に認定された。

*2 ベイブレードX関連商品などについている専用QRコード

*3 ルール上、この場合はポイントにならず仕切り直し

*4 ラインナップが3種のみですべてブレードは新規のヴァイパーテイル、かつアソートが均一というライトなランダム商品

*5 もともと、大会景品や準レアベイにいくつか金塗装されたものは存在していた