秘伝要員(ポケモン)

登録日:2012/03/15 Thu 13:44:19
更新日:2024/04/09 Tue 12:34:57
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秘伝要員」とは、『ポケットモンスター』シリーズの第六世代以前の作品における概念。
ひでん技やフィールドで使うための技をひとつのポケモンにまとめて覚えさせること、もしくはそのような技ばかりを覚えたポケモンのことである。


ひでんを初めとしたフィールドで使える技には「なみのり」や「たきのぼり」といった極一部を除いて威力が半端で、ガチバトルでは使いにくいものが多い。
また、威力が良くても技タイプがノーマルに偏っていたり溜め技だったりと問題点が多い。

しかし、特定のマップを進むためには必ず誰かに覚えさせる必要が出て来る。
ポケモンは4つしか技を覚えられないため、使い勝手の悪いフィールド技を覚えさせるとバトルでは使いづらくなる。

しかもひでんに至っては他の技を直接上書き出来ず、初代では忘れさせることが不可能。
現在でもわざわすれが必要なため、一時的に覚えさせるようなやり方も難しい。


そこで使いづらいひでんをバトルで使わないポケモンになるべく集中させることで、バトルで使うポケモンの技を自由にすることが出来る。


ただし、秘伝要員を使うとパーティの枠を開けなければならず、戦闘要員6匹でパーティ編成を行うトレーナーには戦力ダウンになりかねない。

そこで6匹パーティのトレーナーは使用頻度の高い技だけ、分散させて攻略用パーティに覚えさせる。
或いは秘伝要員兼戦闘要員になれるポケモンに覚えさせる…というやり方を採用することもある。


ストーリー攻略なら極端に高威力の技を使う必要はなく、むしろ高威力でも反動の強い技やPPの少ない技は使いづらいこともある。
逆にひでん技は反動がなく、多くは威力そこそこでPPも多めなので攻略用なら十分使える。

上手く活用すればわざマシンを用意せずに戦闘要員へ手頃な一致技やサブウェポンを与えられるかもしれない。

特に第四世代までわざマシンは消耗品であり複数手に入らないものも多かったため、攻略要員へ安易に使って後悔した人もいたのではないだろうか。
その点ひでんマシンは初代から安定して使用回数が無限なので、他のポケモンに使えなくなる心配がない。


ただし戦闘要員へひでんわざを分散する場合、パーティ編成の際に目的のひでんわざを覚えられるポケモンを入れなければならないため、
ある程度制約が掛かるというデメリットもある。

パーティ編成においてひでんわざは一長一短と言えるだろう。

●おもな秘伝要員
赤緑青ではミュウを除いて唯一「いあいぎり」と「そらをとぶ」を両立できた初代秘伝要員。
対戦ではまさにカモと言うべきカモネギであったが、秘伝要員としてはそこそこ優秀だった。


「そらをとぶ」と「いあいぎり」以外を覚える。
水系ひでんわざが色々と必要になる海辺では重宝する。


こちらは「そらをとぶ」を「あなをほる」以外を使用できる。
ゴルダックとはお好みで。
鍋にするのだけはやめたげてよお!


600族秘伝要員。
初代では水ポケの代用程度だったが、世代が進むごとに秘伝技のレパートリーが増え、
今のところ歴代秘伝技の中で「フラッシュ」と「ロッククライム」以外は全て覚えられる。
水ポケと弱点を補完しあえるため、水ポケと分散してよく使うひでんわざを覚えさせ、戦闘要員に組み込んでも負担になりにくい。


かつて第二世代で「こころのめ」+「じわれ」のコンボで大活躍したパワフルオタマジャクシ。
覚える秘伝技は「なみのり」などの水系と「かいりき」等の力を使う技で、戦闘要員としても十分に使える。


秘伝要員としてはニョロボンの下位互換なのだが、金銀ではイベントで光るギャラドスが入手出来たので、
当時のギャラドスの弱さも相俟って秘伝要員としてよく使われていた。


ピカチュウ版で「そらをとぶ」を習得。
元々覚えた「いあいぎり」「かいりき」「あなをほる」と組み合わせて水辺以外の移動はそつなくこなせる。


序盤で捕獲出来るノーマルポケモンで、陸エリアと周辺のちょっとした水辺はコイツがいれば大丈夫。

出てくるソフトが少ないのでクリア後になりがちだが、「いあいぎり」「かいりき」「いわくだき」「あなをほる」を一通り覚える上「ものひろい」持ち、さらにマッスグマとの差別化に「あまいかおり」も覚える優秀振り。しかも可愛いし
リングマに進化するとものひろいを失うので、完全に秘伝要員としての運用となる。


みんな大好きテクニシャンでマイペースな種犬。
全ての技を「スケッチ」できるのでパーティ内で足りない秘伝技を埋めるのに最適。
その代わり他の秘伝要員よりも技を覚えさせるのに手間がかかる。
コイツが空を飛んでいる絵を想像できないのは誰もが通る道。


序盤で捕獲でき、陸エリアと周辺水域はコイツがいれば大丈夫。
特性のお陰で「ものひろい」要員としても優秀。
ORASコンテストライブでは秘伝技しか覚えていないNNヒデンと言うマッスグマが登場する。
とうとう公式により秘伝要員として認定されてしまった。


使用頻度の高い「そらをとぶ」+「なみのり」を一匹でカバー出来る。
ストーリー攻略では秘伝要員兼戦闘要員としても使えるため優秀。
一方秘伝技が廃止された第七世代以降はまさかの雨アタッカーに転身。


第三世代の秘伝要員の一角。
「いあいぎり」+「そらをとぶ」を覚えられ、他の技スペースも全て秘伝で埋められるため、パーティの秘伝穴埋めで活躍してくれる。
ステータスとタイプは埋葬レベルなのでまさに秘伝専用要員。
ORASでは「あまいかおり」+「じしん」+「はっぱカッター」で群れバトルによる努力値稼ぎ要員最筆頭にまで出世した。


第三世代で序盤から捕獲可能な水ポケモン。
第三世代ではトロピウスとコイツの二匹で秘伝1~8を埋められる良い子。
特に決めているポケモンがいない限り海はこいつに任せることになるはず。
最近は特性「ちからもち」のおかげで戦闘面でも非常に頼れるようになった。
ぞうきん呼ばわりはやめたげてよお!


序盤に捕獲でき、進化させれば「そらをとぶ」「フラッシュ」「きりばらい」以外の秘伝技は覚えられるようになる。
進化後はみずタイプ複合なので、他の序盤ノーマルと違って陸でも海でも活躍してくれる。
リメイクの『BDSP』でもどこからともなく秘伝要因として召喚されるポケモンの1匹として抜擢された。


「なみのり」「たきのぼり」「かいりき」「いわくだき」を使える。
さらに序盤ポケモンの中でも種族値が高く、戦闘でも終盤まで活躍できる。


第四世代では「そらをとぶ」以外の秘伝技を全て覚える事ができた。
とはいえビーダルやフローゼルが使えずエンペルトが使える秘伝技が微妙すぎるため、秘伝要員にするならクリア後か。


DPtでビーダルが覚えない「そらをとぶ」「きりばらい」に加えて「かいりき」「いわくだき」も覚える。
ゲットは基本的に殿堂入り後だが、2体で「フラッシュ」以外全てカバーできるため移動・探索には便利だった。
HGSSでは「きりばらい」→「うずしお」の入れ替え分を補えないので別の組み合わせが必要。


序盤で捕獲できるノーマルポケモン。
「さいみんじゅつ」「いかりのまえば」「くろいまなざし」等で捕獲要員としても使える。
対戦では不遇だが、ストーリー攻略ではまあまあ使える子。


BWでは珍しい秘伝要員。ステータスも平均的で扱いやすい。
かつておたすけクマシュンとして公式から配信された。
「かいりき」「なみのり」「いあいぎり」しか覚えないので特別器用というわけではないが、
序盤では貴重なこおりタイプなので、早めに受け取ると戦闘要員兼秘伝要員として活躍する。


イッシュ地方御三家
イッシュの秘伝技は「そらをとぶ」以外を全て覚えるので、ストーリークリア後に秘伝要員にできる。
ちなみにヒヤッキーも「かいりき」以外は同じ技を使える。


「そらをとぶ」「なみのり」「ダイビング」を覚える。
たきのぼりを覚えないのが残念だが最初にミジュマルを選ばなかった場合に意外と役に立つ。
移動の際はスワンナの上に座んなさい。


ご存じ元祖幻のポケモンにして、全てのわざマシン・ひでんマシンを使える唯一のポケモン。
実は初代で技スぺを秘伝技のみで埋めることが出来るのはこいつだけだったりする。
そもそも幻を秘伝要員にするのは役不足(本来の意味)以外の何物でもないのだが。


こちらもご存じ幻のポケモン。
ミュウと違ってわざマシンには制約があるが、ひでんマシンは全て使用できる。
特性を考慮すれば秘伝要員としてはミュウの上位互換と言えるが、やはり役不足でしかない。


XYの序盤ノーマル枠であり「いあいぎり」「なみのり」「かいりき」「いわくだき」「あなをほる」と芸達者。
「ものひろい」でアイテム補充にも貢献してくれる。
唯一のノーマル/じめん複合タイプでもあり、戦闘でもでんきタイプ対策として使うことも可能。


XYにて「なみのり」中に専用グラフィックを与えられた。
なみのり中のグラフィックがラプラスになるのは第二世代を彷彿とさせる。
「なみのり」「たきのぼり」「かいりき」「いわくだき」を覚えるため、技スペを全部フィールド技で埋められる。
しかもストーリー中盤で人から譲ってもらえる上、その直前にはライバルからなみのりのひでんマシンを貰える。
譲ってもらえるときのやり取りは初代に似ており、とことん過去作のファンが歓喜する仕様である。
この段階で手に入るポケモンとしては種族値が高く耐久もあるため旅パに入れても扱いやすい。
貰えるラプラスはHP個体値31、残り全て20、性格すなお固定、性別ランダムの良個体。
対戦でも使えないことはないし、親個体にしても良いし、ストーリークリア後にも活躍が期待できる。
一致技の水と氷に加えて電気技あたりを覚えさせれば殆どの相手に等倍以上が取れる。


ORASにおいて「なみのり」「ダイビング」中の移動が高速化されるというアイデンティティを与えられた。
作中でも「サメハダーのなみのりは早い」という旨を語るNPCがおり、その事を知っていたプレイヤーは多いかもしれない。
(サファイアにおける図鑑でも時速120キロで泳ぐと説明されている)
が、いざ実際にサメハダーでなみのりを実行すると、専用グラフィックでマッハ自転車並のスピードを叩き出す勇姿に驚愕することだろう。
ホウエン地方はなみのりを要する箇所が多いため、早い段階で手持ちに加えられればスムーズに進行できる。
隠れているポケモンにゆっくり近付いて接触しようとすると、うっかりスピードを出し過ぎて気付かれてしまうのは玉に瑕。
覚えられる秘伝技も「なみのり」「ダイビング」「たきのぼり」「かいりき」「いわくだき」と秘伝要員として不足はない。
なお、背ビレに掴まってバランスを取るため手放しが出来ず、サメハダーでなみのりを使用したときのみ、つりざおが使用できない。
同作でメガシンカやなみのり時の専用グラをゲットしたりとサメハダーへの妙な好待遇に往年のファンは涙した…かもしれない。


「なみのり」「ダイビング」「たきのぼり」「かいりき」「いわくだき」を覚える。
ついでにORASでは専用グラフィックがあるため、水辺の秘伝要員としてはほぼサメハダーの下位互換。
グラフィックの大きさ的にもサメハダーとどっこいどっこい。
しかし速度は速くないため、隠れているポケモンにゆっくり近づいて接触するときはサメハダーより扱いやすい。
釣りもできる点はサメハダーとの差別点になる。
進化すると専用グラフィックが没収されるので、秘伝要員のホエルコには「かわらずのいし」を持たせよう。


ORASで何故か「なみのり」「ダイビング」中の専用グラフィックを獲得した超古代ポケモン。
…が、大きすぎてアイテムが拾えず、トレーナーにこちらから話し掛けられない。
超古代ポケモンと言えどやはり速度はサメハダーに及ばない。
また、ミュウと同じく伝説を秘伝要員にするのは役不足であると言える。


ポケモンライドによる移動

第六世代では目玉要素のひとつとして、秘伝要員以外のポケモンに乗って移動する場面が登場した。
X・Yのカロス地方では、ゴツゴツした山道をサイホーン、豪雪地帯をマンムーに乗って移動することになり、既存の秘伝技では対応出来ない道を進むという場面が登場した。
牧場周辺ではメェークルに乗って段差を登り、ミアレシティではゴーゴートに乗って街の外周部を遊覧するなど、乗れること自体を純粋に楽しむための要素も登場した。
ORASではこの発展系としてアイテム「むげんのふえ」を使ってメガラティを呼び出し、背中に乗って自由に空を飛んで移動できる機能が登場した。
一瞬で移動するだけならそらをとぶのほうが便利だが、珍しいポケモンやアイテムが見つかるマボロシのばしょはメガラティ兄妹の力がないと辿り着けないため、そらをとぶの需要は大きく下がった。

そして第七世代以降ではポケモンに乗れるという要素が大きく発展して、秘伝技という括り、もといフィールド技全般が廃止されるに至った。
ではどうなったかというと、SM/USUMのアローラ地方は、第六世代の移動システムの統合・発展系として、移動用ポケモンをアイテムで呼び出す「ライドギア」というアイテムが登場した。
フィールドグラフィックが七頭身になり、トレーナーより小さなポケモンに運ばれて空や海の上を移動するという不自然な描写が難しくなったためだろう。
パーティ編成に制約を与える仕様だった点も考慮すれば良変更といえるだろう。
ただし、中には「自分の手持ちポケモンの力で道を切り開くのが好きだった」というプレイヤーもおり、自分のものではないポケモンを呼び出すという仕様を残念がる声も一部にはある。

剣盾では自転車が水陸両用になったためライドポケモン自体が登場しないが、「そらをとぶ」に関してはアーマーガアが運ぶ「そらとぶタクシー」という形で登場している。
通常はロード中のアニメーションとして省略表示されるが、シュートシティ専用のそらとぶタクシーを使ったときや、ヨロイじまに初めて着く場面ではアーマーガアが主人公の乗ったゴンドラを運ぶ行く様子が描かれる。

BDSPではポケッチアプリとして形を変えて再登場。
従来の秘伝要員とライド系のシステムを統合したような機能で、ひでん技になっている技のわざマシンを入手すると自動的にポケッチに登録され、使用するとどこからともなく現れた野生ポケモンがひでん技を使って主人公を助けてくれる。
ただし、ジムバッジを持っていなければ使えないのは従来と同じ。
ひでんわざ以外のポケモンに乗らないフィールド技に関しては従来のシステムが復活しており、ポケモン一覧の画面からフィールドで使えるようになった。

LEGENDSアルセウス』も、移動用ポケモンをアイテムで呼び出す形はSM/USUMに近いが、LEGENDSアルセウスのヒスイ地方はポケモンの野生感を前面に出しているが故、SM/USUMに比べるといくらかは自然。
シンオウさまの加護を受けた特別なポケモンたちがポケモンライドの役割を果たしており、カミナギのふえを吹くとどこからともなく現れて主人公の行きたい場所へと連れて行ってくれる。
そらをとぶに関してはアルセウスフォンの機能により一瞬で移動できる。テレポートしているようにも見えるが、ロード画面で走る主人公のシルエットがあるため、ナビゲーション機能で素早くたどり着けるということなのだろう。

スカーレット・バイオレット』のパルデア地方は起伏に富んだ地形のため、自転車が普及していないという設定がある。
その代わり、ライドポケモンがストーリー面も含めて大きくピックアップされており、パッケージを飾る伝説のポケモンコライドン/ミライドンがその役割を担う。
ただし当初は機能が制限されており、レジェンドルートの物語を進めることでライド技の種類が増えていくという点で、過去作を踏襲している。
「そらとぶタクシー」も続投しているが、諸事情により担当ポケモンがイキリンコに変わっている。




追記・修正は理想の秘伝要員を探しながらお願いします。

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最終更新:2024年04月09日 12:34