ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4158 お帽子さん、外れてね
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ankoss
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『お帽子さん、外れてね』 12KB
愛で ギャグ 不運 飾り 飼いゆ 失礼します
愛で ギャグ 不運 飾り 飼いゆ 失礼します
※ 誤字脱字があったので、タイトル含めて少し修正しました。
チートあきです。
ゆっくりーなースプレー。
飼いゆっくり用のお飾りクリーナーである。適量をお飾りに吹き付け、付属のブラシで丁
寧に磨くと、見違えるようにきれいになる。お飾りの自己回復機能を利用しているらしい
が、詳細は企業秘密らしい。汚れ防止効果もある。天然成分由来でありゆっくりが舐め
ても問題ない。加工所の新製品。一本980円。
飼いゆっくり用のお飾りクリーナーである。適量をお飾りに吹き付け、付属のブラシで丁
寧に磨くと、見違えるようにきれいになる。お飾りの自己回復機能を利用しているらしい
が、詳細は企業秘密らしい。汚れ防止効果もある。天然成分由来でありゆっくりが舐め
ても問題ない。加工所の新製品。一本980円。
「どうだ、まりさ」
男はゆっくりーなーで磨いた帽子を見せた。
まりさ種の三角帽子。リボンの着いている位置は右前で、左斜め前にある小さな切れ
目がチャームポイントらしい。
まりさ種の三角帽子。リボンの着いている位置は右前で、左斜め前にある小さな切れ
目がチャームポイントらしい。
「ゆわーい。まりさのおぼうし、ぴっかぴかなのぜー!」
お下げを動かしまりさが幸せそうに笑う。
座布団に座った男と、その隣で目を輝かせている飼いまりさ。
加工所名物よくわからないオーバースペックのおかげか、お帽子は人間の目から見て
もぴかぴかになっていた。喩えるなら使い込まれた木綿製から新品の絹製へと。
男は磨き終わった帽子を自分の頭に乗せた。白い歯を見せ斜めに構える。
座布団に座った男と、その隣で目を輝かせている飼いまりさ。
加工所名物よくわからないオーバースペックのおかげか、お帽子は人間の目から見て
もぴかぴかになっていた。喩えるなら使い込まれた木綿製から新品の絹製へと。
男は磨き終わった帽子を自分の頭に乗せた。白い歯を見せ斜めに構える。
「どうだ?」
「おにいさん、かっこいいのぜ」
「おにいさん、かっこいいのぜ」
帽子を乗せた飼い主を見上げ、まりさが感想を言う。
「まりさもかぶりたいのぜ」
「よしよし」
「よしよし」
満足げに頷いて、男は帽子を脱いで。
脱いで。
脱いで。
脱いで。
脱いで。
「……ん? あれ?」
眉を寄せる。
帽子は変わらず頭に乗ったままだった。
帽子は変わらず頭に乗ったままだった。
「どうしたのぜ?」
「んー? どうして? 取れないぞ……。何でだ? あれ……」
「んー? どうして? 取れないぞ……。何でだ? あれ……」
不思議そうな顔をするまりさに、男は眉を寄せて答える。両手で帽子を引っ張るが、頭
から離れない。接着剤や留め具でくっついているわけではない。それなのに、帽子が外
れない。帽子を引っ張ると髪の毛と頭皮が一緒に引っ張られていた。
から離れない。接着剤や留め具でくっついているわけではない。それなのに、帽子が外
れない。帽子を引っ張ると髪の毛と頭皮が一緒に引っ張られていた。
「……おにいさん、なにしてるのぜ?」
あくまで笑顔のまままりさが訊いてくる。
しかし、その場の空気は音もなく硬くなっていく。
帽子の縁に指を差し込み、男は答えた。
しかし、その場の空気は音もなく硬くなっていく。
帽子の縁に指を差し込み、男は答えた。
「帽子が取れない」
「ゆーん?」
「ゆーん?」
まりさの頬を冷や汗が一筋流れる。
しかし笑顔は崩さず、お下げを動かしながら、やや硬い仕草でのーびのーび。
しかし笑顔は崩さず、お下げを動かしながら、やや硬い仕草でのーびのーび。
「そーんなはずないんだぜ。なにいってるのぜ。おぼうしがぬげないなんて、そんなわけ
ないんだぜ。じょうだんはやめるのぜ……じょうだんはやめてほしいのぜ……?」
ないんだぜ。じょうだんはやめるのぜ……じょうだんはやめてほしいのぜ……?」
少し声が震えていた。
男は座ったまま前屈みになり、まりさの前に帽子を差し出した。
男は座ったまま前屈みになり、まりさの前に帽子を差し出した。
「いや、マジ。引っ張ってみろ」
帽子の先端を咥え、まりさがずりずりと後ろに下がる。
「ゆーしょ、ゆーしょ……」
が、帽子は脱げない。
その事実を否定するように、まりさは帽子を取ろうと必死に後ろに下がっていた。帽子
が千切れないほどの力に押えつつも、粘り強く後ろに下がった。
一分ほど頑張ってから、
その事実を否定するように、まりさは帽子を取ろうと必死に後ろに下がっていた。帽子
が千切れないほどの力に押えつつも、粘り強く後ろに下がった。
一分ほど頑張ってから、
「どぼじでどれないのおおおお!」
悲鳴を上げた。
「ゆーくりーなーにそんな副作用はない。当たり前だけど」
スプレーの箱に入っていた取り扱い説明書を広げ、隅から隅まで目を通す。A4用紙を
四つ折りにしたもので、書かれてる内容は普通だった。当たり前だが、ゆーくりーなーを
付けた帽子が、人間の頭にくっつくという注意は書かれていない。
四つ折りにしたもので、書かれてる内容は普通だった。当たり前だが、ゆーくりーなーを
付けた帽子が、人間の頭にくっつくという注意は書かれていない。
「おぼうし、まりさのかっこいいおぼうし……」
涙を滲ませ、まりさが男の頭を見つめている。
「しかたない……」
男はその場に立ち上がった。
部屋の隅に置いてあった透明な箱に歩いていく。成体ゆ一匹サイズ。何のために購入
したかは覚えていないが、今はまりさ用の道具箱になっている。ゆっくりフードやオレン
ジ湿布、防カビ剤などが入っていた。
透明な箱から紙箱をひとつ取り出し、中身を広げる。
部屋の隅に置いてあった透明な箱に歩いていく。成体ゆ一匹サイズ。何のために購入
したかは覚えていないが、今はまりさ用の道具箱になっている。ゆっくりフードやオレン
ジ湿布、防カビ剤などが入っていた。
透明な箱から紙箱をひとつ取り出し、中身を広げる。
「とりあえず、外れるまでこれかぶってろ」
木綿製のお帽子だった。布製お飾り1980円。お飾りを失ったゆっくり用の製品である。
予備のお飾りが主な使い方だが、普通の帽子よりも頑丈な事を生かし、作業帽子に使
うゆっくりもいるらしい。
予備のお飾りが主な使い方だが、普通の帽子よりも頑丈な事を生かし、作業帽子に使
うゆっくりもいるらしい。
「なんか、いわかんすごいのぜ……」
頭に乗せられたシワ付三角帽子に、まりさが悲しげな顔をする。
男は改めて、帽子を引っ張った。
男は改めて、帽子を引っ張った。
「どうしたもんかなぁ」
「ゆん……、ゆん……」
「ゆん……、ゆん……」
まりさは不安げに呻いている。
男は大きく吐息してから、部屋を見つめ。
男は大きく吐息してから、部屋を見つめ。
「これか……」
机の上に置いてあるエンピツ立てに目を留めた。
シャーペンや定規などと一緒に立てられている、黒いハサミ。刃の部分をフッ素コート
したもので、錆びにくく汚れにくいという特性を持つ。切れ味は、多分普通。それでも、ま
りさの帽子を切るのには十分だ。
シャーペンや定規などと一緒に立てられている、黒いハサミ。刃の部分をフッ素コート
したもので、錆びにくく汚れにくいという特性を持つ。切れ味は、多分普通。それでも、ま
りさの帽子を切るのには十分だ。
「ゆんやあああ!」
悲鳴を上げるまりさ。男の思いつきをすぐさま理解した。
走るように床を跳ね、まりさは机の前に立ちはだかる。人間相手に効果はないが、
それでも全力の抵抗である。両目から涙をこぼし、お下げを横に伸ばしていた。
走るように床を跳ね、まりさは机の前に立ちはだかる。人間相手に効果はないが、
それでも全力の抵抗である。両目から涙をこぼし、お下げを横に伸ばしていた。
「それはだめええっ! ぜったいにだめええっ! おにいさんっ、やめてね! まりさの
おぼうしさんきらないでね! はさみさんはゆっくりできないよおおお!」
「わかってるよ。でも、明日の夜まで取れなかったら諦めろ。オレも仕事あるから」
おぼうしさんきらないでね! はさみさんはゆっくりできないよおおお!」
「わかってるよ。でも、明日の夜まで取れなかったら諦めろ。オレも仕事あるから」
カレンダーを見ながら、男は告げる。
今日は土曜日の夜。明日は日曜日。明後日は月曜日で仕事だ。まりさ帽子かぶって
仕事にはいけないので、最悪帽子は切断して外す。さすがに切れば離れるだろう。
今日は土曜日の夜。明日は日曜日。明後日は月曜日で仕事だ。まりさ帽子かぶって
仕事にはいけないので、最悪帽子は切断して外す。さすがに切れば離れるだろう。
「帽子切った時は生帽子買ってやる。それで我慢してくれ」
加工所製の生帽子。加工所独自のお飾り培養技術によって作られる人工お飾り。飼
いゆっくりがお飾りを紛失した時に使われるものだ。付けた相手に合わせて少しづつ変
化し、一週間ほどで完全に持ち主に馴染む。
基本種の場合だと5000円前後。希少種だと高いものは5万円以上するらしい。
いゆっくりがお飾りを紛失した時に使われるものだ。付けた相手に合わせて少しづつ変
化し、一週間ほどで完全に持ち主に馴染む。
基本種の場合だと5000円前後。希少種だと高いものは5万円以上するらしい。
「ゆぅぅぅ」
唇を噛み締め、鼻の辺りを赤くし、まりさは涙を流した。
飼いゆっくりであるため、飼い主の仕事の大事さはよく理解している。そこまでわがま
まを通せないことは、まりさも分かっていた。
飼いゆっくりであるため、飼い主の仕事の大事さはよく理解している。そこまでわがま
まを通せないことは、まりさも分かっていた。
「はなれてね。まりさのおぼうしさん、おにいさんのあたまからはなれてね……。きられる
のはゆっくりできないよ……」
のはゆっくりできないよ……」
布帽子を頭に乗せ、まりさが涙目で男の頭を見つめている。
普段の「~だぜ」口調が抜けていた。
普段の「~だぜ」口調が抜けていた。
「しっかし、何でだ。何で取れないんだぁ? これ、まりさの帽子だろ。まりさが脱げない
なら分かるけど、なんで人間のオレが脱げないんだ? ぴったりフィット?」
なら分かるけど、なんで人間のオレが脱げないんだ? ぴったりフィット?」
帽子と髪の毛の隙間に指は入る。だが、それだけだ。差し込んだ指を動かして帽子を
外すことはできない、まりさの帽子は頑なに男の頭にくっついていた。
外すことはできない、まりさの帽子は頑なに男の頭にくっついていた。
「おぼうしさん、まりさのかっこいいおぼうしさん……」
まりさは弱々しく泣いている。
午後十一時。ネットで情報検索。
「まりさの帽子が外れなくなった……。んな話あるわけないよなー」
解決手段が見つからない。
そもそも、まりさの帽子が頭にくっついたという話も見つからないのだ。事故で頭に嵌
ったとか、接着剤でくっついたとかはある。半ばネタとして書かれているので真偽の程は
不明だが。乗せたら外れなくなったという話はどこを調べても出てこない。
そもそも、まりさの帽子が頭にくっついたという話も見つからないのだ。事故で頭に嵌
ったとか、接着剤でくっついたとかはある。半ばネタとして書かれているので真偽の程は
不明だが。乗せたら外れなくなったという話はどこを調べても出てこない。
「どうなってるんだろうな、これ?」
まりさ帽子を撫でながら、自問する。
もしかしたら、日本で初めての出来事かもしれない。嬉しくない考えが浮かぶ。
ゆっくりーなーの発売元である加工所には、問い合わせの電話とメールを送った。
頭にくっついた帽子を撫で、男は部屋の隅を見た。
もしかしたら、日本で初めての出来事かもしれない。嬉しくない考えが浮かぶ。
ゆっくりーなーの発売元である加工所には、問い合わせの電話とメールを送った。
頭にくっついた帽子を撫で、男は部屋の隅を見た。
「ゆーん……ゆーん……」
まりさは眠っていた。まりさはいつも八時くらに寝てしまう。
丸いバスケットにタオルを敷いた寝床。手作り寝床としては、普通のものだ。そこに丸く
なって、まりさは眠っていた。頭に乗せているのは布製帽子。しかし、安眠という雰囲気
ではない。寝顔は苦しそうだった。
丸いバスケットにタオルを敷いた寝床。手作り寝床としては、普通のものだ。そこに丸く
なって、まりさは眠っていた。頭に乗せているのは布製帽子。しかし、安眠という雰囲気
ではない。寝顔は苦しそうだった。
「いがないで……おぼうじざん、いがないで……」
そんな寝言とともに、もぞもぞと足を動かす。
悪い夢を見ているようだ。
悪い夢を見ているようだ。
翌朝。
「ふあ」
男は頭を動かし、その重さに眉を寄せた。
寝起きで思考が濁っていた頭が、昨日の出来事を大雑把に復習する。興味本位でま
りさの帽子をかぶったら取れなくなった。外れないので帽子を付けたままベッドで眠って
しまった。そのせいか妙に節々が重い。
寝起きで思考が濁っていた頭が、昨日の出来事を大雑把に復習する。興味本位でま
りさの帽子をかぶったら取れなくなった。外れないので帽子を付けたままベッドで眠って
しまった。そのせいか妙に節々が重い。
「ゆっ。おぼうしさん……おぼうしさんおぼうしさん――」
「!」
「!」
まりさの声がすぐ近くから聞こえた。
普段寝ている寝床に目を向けるが、そちらにはいない、
起き上がろうと上体を起こすが、その動きは途中で止められた。
動きが止まる。呼吸も止まる、思考も止まる。
普段寝ている寝床に目を向けるが、そちらにはいない、
起き上がろうと上体を起こすが、その動きは途中で止められた。
動きが止まる。呼吸も止まる、思考も止まる。
「まりさはまりさだよ。ゆっくりしていってね。おぼうしさんのいばしょは、まりさのあたまの
うえだよ。ゆっくりりかいしてね。おぼうじざん、はなれてね。おにいさんのあだまがらは
なれてね」
うえだよ。ゆっくりりかいしてね。おぼうじざん、はなれてね。おにいさんのあだまがらは
なれてね」
いつの間にか男の枕元に移動していたまりさ。
どこか壊れた目付きで帽子の先を咥えている。血走った目と痩けた頬、ぼさぼさに跳ね
た黄色い髪の毛。荒い呼吸に目の下の隈、全身から立ち上る飢えた獣のような気迫。帽
子の先を咥えたまま涙を流している。
それはゆっくりではない。何か異質なモノに見えた。
どこか壊れた目付きで帽子の先を咥えている。血走った目と痩けた頬、ぼさぼさに跳ね
た黄色い髪の毛。荒い呼吸に目の下の隈、全身から立ち上る飢えた獣のような気迫。帽
子の先を咥えたまま涙を流している。
それはゆっくりではない。何か異質なモノに見えた。
「おぼうし、おぼうし、まりざのおぼうしぃ」
「っ。ぎゃああああ!」
「っ。ぎゃああああ!」
男はまりさの顔面を掴み、力任せに投げ捨てた。
べちゃ。
壁にぶつかり、床に落ちるまりさ。帽子を噛み千切ったかとも思ったが、男が引っ張っ
た時に帽子から口を放していたらしい。
た時に帽子から口を放していたらしい。
「力入れすぎたか……?」
ともあれ、投げた方がやばいと思うほど、腕に力がこもっていた。
壁には餡子がべったりと張り付いている。
壁には餡子がべったりと張り付いている。
「……だいじょぶか?」
「まりさはへいきだよ、もんだいないよ?」
「まりさはへいきだよ、もんだいないよ?」
口から餡子を垂らしながら、まりさは平然と答えた。目の焦点はあっていない。意識こ
こに在らずといった雰囲気で、今度は喋るオモチャのようになっている。極度のストレス
で痛覚も上手く働いていないのかもしれない。
こに在らずといった雰囲気で、今度は喋るオモチャのようになっている。極度のストレス
で痛覚も上手く働いていないのかもしれない。
「なんとかしないとな」
よれよれになった帽子の縁を撫で、男はそう決意を新たにした。
昼頃。
「ゆへっ、ゆへへへへ」
突然、まりさがゲスい笑みを浮かべた。
男はパソコンモニタから一時目を離し、まりさを見る。
男はパソコンモニタから一時目を離し、まりさを見る。
「まりさいいことおもいついちゃったのぜ! これはめいあんなのぜ」
血走った目、引きつった笑顔、窶れた顔。口元から薄く涎が流れ落ちている。時折、小
さく身体が痙攣していた。餡子脳内のネジが一本か二本、抜けてしまったのだろう。お帽
子のないストレスによる暴走だった。
口にハサミを咥え、まりさがぴょんぴょんと近付いてくる。
さく身体が痙攣していた。餡子脳内のネジが一本か二本、抜けてしまったのだろう。お帽
子のないストレスによる暴走だった。
口にハサミを咥え、まりさがぴょんぴょんと近付いてくる。
「おにいさんのかみのけさんを、このはさみでちょーきちょーきすれば、まりさのおぼうしは
はずれるのぜ! これは、せいきのだいはつめいなのぜ! さあ、おにいさん。かみのけ
をだすのぜええ! まりさがちょーきちょー――」
はずれるのぜ! これは、せいきのだいはつめいなのぜ! さあ、おにいさん。かみのけ
をだすのぜええ! まりさがちょーきちょー――」
お帽子の左前。
男はまりさのチャームポイントに手を掛ける。チャームポイントと言っているが、実際は
ツバの半ばまで入った切れ目だった。つまり弱点であえる。そこに思い切り力を込めて
引っ張れば、帽子は容易に裂けてしまう。
男はまりさのチャームポイントに手を掛ける。チャームポイントと言っているが、実際は
ツバの半ばまで入った切れ目だった。つまり弱点であえる。そこに思い切り力を込めて
引っ張れば、帽子は容易に裂けてしまう。
「ゆっ!」
まりさの口からはさみが落ちた。
一緒に、頭に登っていた血も一気に落ちる。ゆっくりに血はないが。
一緒に、頭に登っていた血も一気に落ちる。ゆっくりに血はないが。
「ゆあああああ! ごべんなざいいいい!」
両目から滝のような涙を流し、まりさが土下座する。
「まりざ、ちょうしにのっでばじだあああ! だがらおぼうじ、ぢぎらないでええ!」
べたべたと連続土下座をするまりさに。
満足げに男は帽子から手を放した。
満足げに男は帽子から手を放した。
夕方頃、加工所から回答メールが返ってきた。
頭に帽子がくっついた理由は、帽子と男の頭の相性が偶然にも合ってしまったからで、
ゆっくりーなーの影響ではない。そして、帽子の外し方だが。
頭に帽子がくっついた理由は、帽子と男の頭の相性が偶然にも合ってしまったからで、
ゆっくりーなーの影響ではない。そして、帽子の外し方だが。
「お帽子の脱ぎ方。パンを尻にはさみ、右手の指を鼻の穴に入れ、左手でボクシングを
しながら『いのちをだいじに』と叫ぶ」
しながら『いのちをだいじに』と叫ぶ」
男は書かれていた帽子の外し方を読み上げた。
「わけがわからないのぜ」
床から男を見上げ、まりさは半眼で呟く。
「どれはこっちのせりふだ」
「とりあえずやってみるのぜ」
「とりあえずやってみるのぜ」
八畳のアパート。フローリングの床の上で、男とまりさは向かい合っていた。
男は冷蔵庫から取り出した食パンを一枚尻にはさんでいる。右手の人差し指はしっか
りと鼻の穴に突っ込まれていた。端から見れば意味不明な恰好だろう。グローブを付け
た左手で空フックを繰り出しながら、朗々と叫ぶ。
男は冷蔵庫から取り出した食パンを一枚尻にはさんでいる。右手の人差し指はしっか
りと鼻の穴に突っ込まれていた。端から見れば意味不明な恰好だろう。グローブを付け
た左手で空フックを繰り出しながら、朗々と叫ぶ。
「いのちをだいじにい!」
………。
重い沈黙。
まりさが無言で目を逸らす。
まりさが無言で目を逸らす。
「取れるかー!」
べし。
男は帽子を床に叩き付けた。
一緒に落ちる食パン。
そして、男は帽子を拾い上げ、ぱたぱたと埃を払ってから、再び頭に乗せた。念のため
引っ張ってみるが、やはり離れない。ぴったりと頭にくっついている。
男は腕組みをして、頷く。
一緒に落ちる食パン。
そして、男は帽子を拾い上げ、ぱたぱたと埃を払ってから、再び頭に乗せた。念のため
引っ張ってみるが、やはり離れない。ぴったりと頭にくっついている。
男は腕組みをして、頷く。
「さて、まりさ。コツは大体分かった。なんか面白い事やってみろ」
「………。わかったのぜ」
「………。わかったのぜ」
呆れたような顔で、まりさは頷いた。
しかし、すぐには考えが浮かばない。面白い事というのは、考えて浮かぶものではな
いのだ。それでも、ゆんゆんと餡子脳を捻って考える。
まりさが小さくジャンプをした。その場で時計回りに一回転し、
しかし、すぐには考えが浮かばない。面白い事というのは、考えて浮かぶものではな
いのだ。それでも、ゆんゆんと餡子脳を捻って考える。
まりさが小さくジャンプをした。その場で時計回りに一回転し、
「ゆっくりんぱ!」
男に流し目を送りつつ、斜めに構えたポーズ。
「………」
右手で口元を押え、男は目を逸らした。瞳に映る哀れみの光。
泣きながら、まりさはのーびのーびする。
泣きながら、まりさはのーびのーびする。
「やめてね! そういうかおは、マヂでやめてね! すっごいきずつくよ! まりさのがら
すのはーとが、ぶろーくんふぁんだむだよ!」
すのはーとが、ぶろーくんふぁんだむだよ!」
男はこほんと咳払いをして。
「よし、次」
「ゆっくりやるよ」
「ゆっくりやるよ」
まりさは目を閉じ、眉間にしわを寄せ、餡子脳をこねる。どうすれば飼い主のかぶった
帽子が外せるか。そのためには、まりさは何でもするつもりだった。
しかし、このようなネタを考えるのは、苦手である。
帽子が外せるか。そのためには、まりさは何でもするつもりだった。
しかし、このようなネタを考えるのは、苦手である。
というか。
「どぼじでおぼうしまだがぶっちゃうのおおお!?」
「言うのが遅いぃ!」
「言うのが遅いぃ!」
べし。
男は再び帽子を床に叩き付けた。
それを拾い直すよりも速く。
それを拾い直すよりも速く。
「ゆぅぅぅ!」
泣きながら全力疾走したまりさが、帽子を咥えて窓辺まで避難した。まるで小動物の
狩りのように帽子に飛びつき、帽子を咥えて離れる。
男が手を伸ばしても届かない距離まで移動したまりさ。
狩りのように帽子に飛びつき、帽子を咥えて離れる。
男が手を伸ばしても届かない距離まで移動したまりさ。
「おぼうしさん、まりさのおぼうしさん! もどってきたよ!」
感激の涙を流しながら、よれよれになった帽子をぺろぺろと舐めたり、すりすりと頬摺り
したりしている。ともすれば、永遠のお別れになるかもしれなかった帽子。それが無事に
戻ってきたのだ。感激もひとしだろう。
したりしている。ともすれば、永遠のお別れになるかもしれなかった帽子。それが無事に
戻ってきたのだ。感激もひとしだろう。
「ゆーん、ゆん」
感動の涙とともに、再会の時間を噛み締めるまりさ。
男は近くに落ちていた布製のまりさ帽子を掴み、
男は近くに落ちていた布製のまりさ帽子を掴み、
「これで一件落着ってわけか」
どこか寂しげな笑みを浮かべ、布製帽子を頭に乗せた。
過去SS
anko4147 ぐんまりさ迷子になる
anko4144 いたさなえ
anko4128 ちぇん CV:若本規夫
anko4109 ゆっくり・ボール・ラン 2nd STAGE
anko4108 ぱちゅりーの居場所
anko4104 続・どMとどS
anko4090 BGM 天国と地獄
anko4086 HENTAI ありす
以下略
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